三重県で充実した高校生活を送りたいと考えたとき、多くの受験生が候補に挙げるのが三重県立桑名高等学校です。100年以上の歴史を誇る伝統校であり、県内トップクラスの進学実績で知られていますが、その魅力は勉強だけにとどまりません。長い歴史の中で培われた確かな教育基盤の上に、生徒の自主性を重んじる自由な校風が根付いています。

「桑高(くわこう)」の愛称で親しまれるこの学校の最大の特徴は、真剣に学習に取り組む雰囲気と、学校行事を全力で楽しむ活気が見事に両立している点です。生徒たちは日々の課題や課外授業に真摯に向き合う一方で、地域でも評判の文化祭「桑高祭」では、まるで別人のように生き生きと輝きます。この「よく学び、よく遊ぶ」というメリハリのある環境が、桑名高等学校の独特の文化を創り出しています。

この記事では、偏差値や進学実績といったデータはもちろん、校則の厳しさや部活動の様子、在校生のリアルな声まで、あなたが本当に知りたい桑名高等学校の姿を、進学アドバイザーの視点から詳しく解説していきます。この記事を読めば、桑高があなたにとって最高の3年間を過ごせる場所かどうか、きっとイメージが湧いてくるはずです。

桑名高等学校の基本情報

まずは、桑名高等学校の基本的な情報を確認しておきましょう。学校選びの第一歩として、所在地や連絡先は正確に把握しておくことが大切です。

項目 内容
正式名称 三重県立桑名高等学校
公立/私立の別 公立
共学/男子校/女子校の別 男女共学
所在地 〒511-0811 三重県桑名市大字東方1795番地
代表電話番号 0594-22-5221
公式サイトのURL https://www.kuwana-h.ed.jp/

桑名高等学校の偏差値・難易度・併願校

桑名高等学校を目指す上で、まず気になるのが学力レベルでしょう。ここでは、学科ごとの偏差値や合格に必要な内申点の目安、そして多くの受験生が選ぶ併願校について具体的に解説します。

桑名高等学校には特色の異なる3つの学科があり、それぞれ偏差値も異なります。以下は2025年から2026年にかけての目安となる偏差値です。

学科・コース 偏差値の目安
理数科 67~69
普通科 60~63
衛生看護科 53~58

理数科は三重県内の公立高校の中でも最上位クラスに位置し、非常に高い競争率となります。普通科も県内上位の難易度であり、合格には中学校で安定して高い成績を収めていることが求められます。衛生看護科は、専門的なコースであるため人気が高く、偏差値以上にしっかりとした対策が必要です。

偏差値だけでなく、具体的な難易度をイメージするために、他の高校と比較してみましょう。

  • 理数科(偏差値67~69)は、四日市南高校の数理科学コースや津西高校の国際科学科など、各地域のトップ校の専門コースと肩を並べるレベルです。

  • 普通科(偏差値60~63)は、川越高校の国際文理科や津西高校の普通科、伊勢高校の普通科などが同程度の学力レベルの高校として挙げられます。

合格に必要な内申点(通知表の評定)の目安は、45点満点で以下のようになります。

  • 理数科:安全圏としては40~42以上が目標となります。ただし、桑名高等学校の理数科は当日の学力試験の得点を重視する傾向があり、内申点が39でも当日点で高得点を取って合格した例もあります。最後まで諦めずに学力向上に努めることが合格の鍵です。

  • 普通科:最低でも36(9教科オール4)以上は確保したいところです。これを下回ると、当日点でかなりの高得点が必要となり、厳しい戦いになる可能性があります。

  • 衛生看護科:専門性の高さから志望者が多く、内申点は38~40程度を目安に考えておくと良いでしょう。

三重県の公立高校入試では、基本的に1つの高校しか受験できないため、万が一に備えて私立高校を併願することが一般的です。桑名高等学校の受験生は、学力レベルや通学の利便性から、以下のような私立高校を併願校として選ぶことが多いようです。

  • 海星高等学校

  • 津田学園高等学校

  • 暁高等学校

  • 名城大学附属高等学校

  • 鈴鹿高等学校

桑名高等学校に設置されている学科・コース

桑名高等学校の大きな魅力の一つは、多様な進路希望に応える3つの学科が設置されていることです。学校側もこの多様性を「大桑名」のスケールメリットとして捉えており、異なる目標を持つ仲間と切磋琢磨できる環境が整っています。

  • 理数科

    • どんなことを学ぶ場所か:高度な数学・理科教育に重点を置き、探究的な学習や研究活動を通して科学的思考力を養います。文部科学省からスーパーサイエンスハイスクール(SSH)の指定も受けています。

    • どんな生徒におすすめか:最難関の国公立大学の理系学部を目指す人や、科学の世界に強い探究心を持っている人におすすめです。

  • 普通科

    • どんなことを学ぶ場所か:国公立・私立を問わず、文系・理系の幅広い大学進学に対応できるバランスの取れた学力を身につけます。2年生からは進路希望に応じた科目選択が可能です。

    • どんな生徒におすすめか:大学進学を希望しているが、まだ具体的な分野を決めかねている人や、文武両道で充実した高校生活を送りたい人におすすめです。

  • 衛生看護科・衛生看護専攻科

    • どんなことを学ぶ場所か:高校3年間と専攻科2年間を合わせた5年一貫教育で、看護師の国家試験受験資格取得を目指します。最新の設備が整った実習室での演習や、病院での臨地実習など、実践的な学びが豊富です。

    • どんな生徒におすすめか:「絶対に看護師になりたい」という強い意志を持ち、最短ルートで専門的な知識と技術を身につけたい人に最適です。

桑名高等学校の特色・校風

桑名高等学校の雰囲気をキーワードで表すなら、「文武両道」「自由闊達」「生徒主体」といった言葉がぴったりです。勉強には真剣に取り組みながらも、生徒の自主性を尊重する校風が、学校生活のあらゆる場面に表れています。

  • 宿題の量:口コミでは「多い」という声が多数を占めます。長期休暇はもちろん、ゴールデンウィークなどでも課題が出されるため、学習習慣が身についていないと大変かもしれません。一方で、「やるべきことが明確で助かる」というポジティブな意見もあり、日々の小テストと合わせて、着実に学力を定着させるシステムが整っていると言えます。

  • 校則:多くの在校生が「緩やか」だと感じています。スマートフォンの校内への持ち込みは許可されており、授業中に電源を切るなどのマナーを守れば、休み時間に使用できます。ただし、校内での充電は禁止です。

  • 服装・頭髪:髪の染脱色や制服の加工は禁止されていますが、それ以外の頭髪や靴下などに関する規定は比較的自由なようです。式典などでは正装が求められますが、普段の学校生活では、常識の範囲内であれば厳しく指導されることは少ないという声が多いです。

  • 生徒たちの雰囲気:全体的に落ち着いていて、「民度が高い」「いじめは聞いたことがない」といった口コミが多く見られます。勉強熱心な生徒が多いですが、行事などでは一転して非常に活発になり、クラスの団結力も強いようです。

  • アルバイト:原則として禁止されています。ただし、夏休みなどの長期休暇中に限り、学校に申請し許可を得れば可能です。

  • 制服の評判:2022年度から、男子は学ラン、女子はセーラー服から、紺色のブレザースタイルに一新されました。この新制服は在校生から非常に好評です。「お洒落で可愛い」「動きやすくて機能的」といった声が多く、特に女子はスラックスも選択できるため、防寒や動きやすさの面で喜ばれています。気候に合わせてセーターを着用したり、ネクタイとリボンを自由に選べたりと、柔軟な着こなしができる点も人気の理由です。

  • 土曜授業:あります。主に1年生を対象に、土曜の午前中に英語・数学・国語の課外授業が実施されており、基礎学力の定着をサポートしています。

  • 施設・設備:校舎自体は歴史があるため古い部分もありますが、近年改修工事が進められています。特に衛生看護科の実習室など、専門的な施設は最新の設備が整っています。図書館や自習室は広く、学習環境が整っていると評判です。なお、食堂はありませんが、昼休みにはパンや飲料などを販売する購買があります。

この学校の自由な校風は、単なる「緩さ」ではありません。高いレベルの学習を求める一方で、生活面では生徒の自主性と自己管理能力を信頼するという、大学のスタイルに近い教育方針の表れと言えるでしょう。この環境は、自律した学習者を育む上で大きなメリットですが、自己管理が苦手な生徒にとっては挑戦となる可能性もあります。

桑名高等学校の部活動・イベント

桑名高等学校の「文武両道」を象徴するのが、活発な部活動と熱気あふれる学校行事です。勉強で培った集中力と、行事で発揮されるエネルギーが、桑高生の人間的な幅を広げています。

部活動

運動部・文化部ともに非常に多くのクラブがあり、生徒の加入率も高いようです。忙しい勉強の合間を縫って、多くの生徒が部活動に打ち込んでいます。

  • 全体の様子:運動部は約20、文化部は約15、さらに同好会も複数あり、選択肢が非常に豊富です。特に強豪として知られる部活は練習もハードなようですが、多くの生徒が学業と両立させています。

  • 注目の部活動:

    • 運動部:陸上競技部、水泳部、バスケットボール部は特に活発で、練習がハードなことでも知られています。また、歴史ある硬式野球部や、全国大会出場経験のある剣道部、軟式野球部も有名です。高校の部活動としては珍しいボウリング部も設置されています。

    • 文化部:競技かるた部は、全国大会の常連として名を馳せており、滋賀県の近江神宮で開かれる大会に何度も出場しています。また、吹奏楽部やダンス部は、市内のホールで大規模な定期発表会を開催するなど、地域に根差した活発な活動を展開しています。書道部が地元の神社に絵馬を奉納するなど、ユニークな活動も魅力です。

イベント

桑名高等学校の学校生活を語る上で、学校行事は欠かせません。生徒主体の運営で、どの行事も大変な盛り上がりを見せます。

  • 桑高祭(文化祭):桑高のイベントの代名詞とも言えるのが、この「桑高祭」です。2日間にわたって開催され、1日目は桑名市民ホールという大きな会場でオープニングセレモニーが行われます。2日目は校内で一般公開され、他校の生徒や地域住民も多く訪れ、大変な賑わいを見せます。県内の高校で文化祭を一般公開するのは珍しく、生徒たちの企画力やクオリティの高さは評判です。

  • 体育祭:桑高祭の約1週間後に行われます。全校生徒で踊る「体育祭ダンス」や、伝統の「桑高体操」など、独自のプログラムがあり、学校全体の一体感が生まれます。

  • スポーツ大会:7月と3月の年2回、クラス対抗の球技大会が開催されます。クラスの団結力を高める絶好の機会となっています。

  • 修学旅行・校外研修:2年生の修学旅行では、近年は九州方面を訪れています。1年生は遠足の代わりに、京都での校外研修が実施されます。

これらの行事は、厳しい勉強の合間のリフレッシュになるだけでなく、企画・運営を通じて生徒たちの自主性や協調性を育む重要な教育の機会と位置づけられています。

桑名高等学校の進学実績

高い学力レベルを誇る桑名高等学校は、その進学実績においても県内有数の成果を挙げています。手厚い進学サポート体制に支えられ、多くの生徒が希望の進路を実現しています。

  • 国公立大学:毎年100名以上の合格者を安定して輩出しており、国公立大学への進学に強いのが大きな特長です。2024年度の卒業生の実績を見ると、地元の三重大学に41名、名古屋大学に11名、名古屋工業大学に5名と、東海地方の難関・有力大学に多くの合格者を出しています。さらに、京都大学(1名)、大阪大学(1名)、神戸大学(2名)といった全国の最難関大学にも合格者を送り込んでいます。

  • 難関私立大学:私立大学への進学実績も非常に豊富です。特に東海圏の有力私大に強く、2024年度は名城大学に142名、南山大学に96名、中京大学に72名が合格しています。また、関西の「関関同立」では立命館大学(37名)、同志社大学(12名)、関西大学(17名)など、東京の「MARCH」にもコンスタントに合格者を出しており、幅広い選択肢の中から進路を選べる環境です。

  • その他の進路:普通科・理数科の生徒のほとんどが4年制大学への進学を希望します。衛生看護科の生徒は、卒業後、併設の衛生看護専攻科へ進学し、看護師国家試験の高い合格率を誇ります。

これらの高い進学実績は、学校の手厚いサポート体制によって支えられています。1年生からの土曜課外授業、2年生以降の平日放課後補習など、授業時間数は県内トップクラスです。受験が近づくと、大学の過去問演習や個別指導など、志望校に合わせたきめ細やかな対策が行われます。また、推薦入試を希望する生徒には、面接指導なども手厚く行われるなど、あらゆる入試形態に対応できるサポート体制が整っています。

桑名高等学校の特長・アピールポイント

桑名高等学校の魅力をまとめると、他の高校にはない多くのユニークな強みが見えてきます。

  • 県内屈指の進学実績と手厚いサポート体制

    国公立大学への高い進学率を誇り、それを実現するための課外授業や補習、受験直前対策など、学習サポートが非常に充実しています。

  • スーパーサイエンスハイスクール(SSH)指定校

    理数科を中心に、先進的で探究的な理数教育を受けることができます。科学的な思考力や表現力を伸ばしたい生徒にとって最高の環境です。

  • 看護師への最短ルート!5年一貫の衛生看護科

    県立高校で唯一、看護師養成のための5年一貫教育を行っています。最新の設備と豊富な実習で、最短で看護のプロを目指せます。

  • 自由な校風と生徒の自主性を尊重する文化

    校則が比較的緩やかで、スマートフォンの使用も認められるなど、生徒を大人として信頼する校風です。自主的に学校生活をデザインする力が身につきます。

  • 地域でも有名な「桑高祭」をはじめとした超盛り上がる学校行事

    生徒が主体となって創り上げる学校行事は、勉強の疲れを吹き飛ばすほどの楽しさと熱気に満ちています。特に文化祭の一般公開は大きな魅力です。

  • 新しくてお洒落な制服と柔軟な服装ルール

    2022年度に一新されたブレザータイプの制服は、デザイン性・機能性ともに生徒から大人気。女子のスラックス選択など、多様性にも配慮されています。

  • 駅近でアクセス抜群の好立地

    JR・近鉄の主要駅である桑名駅から徒歩約10分という通いやすさも、大きなメリットです。広範囲から生徒が通学しています。

桑名高等学校の口コミ・評判のまとめ

ここでは、在校生や卒業生から寄せられたリアルな声を、良い点と気になる点に分けて公平にご紹介します。

  • 良い点

    • 「先生のサポートが手厚い」「放課後も質問に付き合ってくれる先生が多い」など、学習面での手厚いフォローを評価する声が多数あります。

    • 「行事が最高に楽しく、クラスの団結力が強い」「桑高祭は一生の思い出」といった、学校行事への満足度は非常に高いです。

    • 「校則が緩く、自由な雰囲気で過ごしやすい」「個性を尊重してもらえる」など、生徒の自主性を重んじる校風を支持する意見も目立ちます。

    • 「周りの生徒の学習意欲が高く、自分も頑張れる」「図書館などの自習環境が整っている」と、勉強に集中できる環境を評価する声も多いです。

    • 「いじめなどの話は全く聞かない」「本当に良い人ばかりで毎日が楽しい」という、良好な人間関係を挙げる口コミも特徴的です。

  • 気になる点

    • 「課題がとにかく多くて大変」「週末はいつも宿題に追われている」という声は、桑高を目指すなら覚悟しておくべき点かもしれません。

    • 「行事は楽しいが、マラソン大会だけは苦手」という意見は、毎年一定数聞かれます。

    • 「校舎が全体的に少し古い」という指摘もあります。ただし、トイレの改修や専門教室の整備は進められています。

    • 「授業のペースが速いので、一度つまずくとついていくのが大変かもしれない」という、学力レベルの高さゆえの悩みも聞かれます。

アクセス・通学

桑名高等学校は、交通の便が非常に良い場所にあります。

  • 最寄り駅からのアクセス

    • JR関西線・近鉄名古屋線 「桑名」駅:西口から徒歩約10分です。主要な駅なので、急行も停車し、本数も多く便利です。

    • JR関西線・近鉄名古屋線 「桑名」駅:東口から三重交通バスに乗車し、「桑名高校前」バス停で下車、そこから徒歩約3分です。

    • 三岐鉄道北勢線 「西桑名」駅:徒歩約10~12分です。

  • 通学エリアの傾向

    桑名駅が複数の路線が乗り入れるターミナル駅であるため、桑名市内からはもちろん、四日市市、いなべ市、東員町、木曽岬町など、三重県内の広範囲から生徒が通学しています。また、近鉄線を利用して愛知県側から通う生徒もいるようです。

桑名高等学校受験生へのワンポイントアドバイス

桑名高等学校を目指す皆さん、こんにちは。進学アドバイザーとして、最後に皆さんへエールを送ります。

桑名高等学校は、「自分で考えて行動できる、自律した生徒」に特におすすめの学校です。高いレベルで勉強に打ち込みたい、でも、高校生活の思い出となる楽しい行事や部活動も絶対に譲れない。そんな欲張りなあなたにこそ、桑高の「よく学び、よく遊ぶ」環境はぴったりです。厳しい課題と自由な時間、その両方を自分で管理し、充実した3年間にデザインしていく力が求められます。

受験勉強では、まず5教科の基礎を徹底的に固めることが何よりも重要です。その上で、桑名高等学校の理数科を狙うのであれば、数学と理科の応用問題に力を入れましょう。内申点に少し不安があっても、桑高は当日の学力試験を高く評価してくれます。過去問を繰り返し解き、本番で実力を最大限発揮できるよう準備してください。

高校選びは、これからの自分を形作る大切な選択です。活気あふれる桑高祭で仲間と笑い合う姿、難しい問題が解けたときの達成感を想像してみてください。その未来の自分の姿が、今のあなたの頑張りを支える一番の力になるはずです。自分の可能性を信じて、全力で挑戦してください。応援しています!

※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。