和歌山商業高等学校は、1904年に創立された120年以上の歴史と伝統を誇る、和歌山県で唯一の商業科単独高校です。 長い歴史の中で、3万5千人を超える卒業生を社会に送り出し、県内はもちろん、全国各地の産業界で活躍する多くの人材を育成してきました。 「県和商(けんわしょう)」や「和商(わしょう)」の愛称で親しまれ、地域社会との強い結びつきを大切にしています。

これまでの伝統を重んじながらも、時代の変化に対応した新しい商業教育を積極的に取り入れているのが、現在の和歌山商業高等学校の大きな特徴です。ビジネスの現場で即戦力となる専門知識や技術の習得はもちろんのこと、資格取得を活かした大学進学にも力を入れています。

この記事では、そんな歴史と革新が共存する和歌山商業高等学校について、中学生や保護者の皆さんが知りたい情報を詳しく、そして分かりやすく解説していきます。偏差値や学科の特色、部活動、学校行事、そして在校生や卒業生からのリアルな口コミまで、県和商の魅力を余すところなくお伝えしますので、ぜひ最後までご覧ください。

和歌山商業高等学校の基本情報

和歌山商業高等学校の基本的な情報を以下の表にまとめました。

項目 内容
正式名称 和歌山県立和歌山商業高等学校
公立/私立の別 公立
共学/男子校/女子校の別 男女共学
所在地 〒640-8272 和歌山県和歌山市砂山南3丁目3番94号
代表電話番号 073-424-2446
公式サイト https://www.wakayama-ch.wakayama-c.ed.jp

和歌山商業高等学校の偏差値・難易度・併願校

和歌山商業高等学校を目指す上で気になる偏差値や難易度について解説します。

最新の偏差値は49程度とされています。 これは和歌山県内の公立高校の中では中堅レベルに位置します。同じくらいの偏差値の高校としては、和歌山県立和歌山工業高等学校や和歌山県立和歌山北高等学校などが挙げられます。

合格に必要な内申点の目安は、一概には言えませんが、中学時代の成績がオール3以上であることが一つの基準となるでしょう。ただし、これはあくまで目安であり、当日の学力検査の点数も重要になります。日頃から授業に真面目に取り組み、定期テストで安定した点数を取ることが大切です。

和歌山県の公立高校入試では、基本的に他の公立高校を併願することはできません。そのため、和歌山商業高等学校を第一志望とする受験生の多くは、私立高校を併願校として選択します。主な併願校としては、開智高等学校、和歌山信愛高等学校、近畿大学附属和歌山高等学校などが挙げられることが多いようです。

和歌山商業高等学校に設置されている学科・コース

和歌山商業高等学校には「ビジネス創造科」という1つの学科が設置されており、1年次で商業の基礎を共通で学んだ後、2年次から生徒一人ひとりの興味や進路希望に合わせて、より専門的な2つのコースに分かれます。

  • ビジネス創造科

    • 地域情報コース: ビジネスで必要となる様々な情報の活用や、ソフトウェア、ネットワークの活用を中心に学びます。 将来、地域の産業界で活躍したい人や、情報系の大学・専門学校への進学を考えている人におすすめです。

    • 会計コース: 簿記会計に関する専門的な知識と技術を深く学び、日商簿記2級以上のハイレベルな資格取得を目指します。 企業の経理や会計のプロフェッショナルを目指す人、または経済・経営・商学系の大学への進学を希望する生徒に適しています。

和歌山商業高等学校の特色・校風

和歌山商業高等学校の特色や校風をキーワードで表すと、「資格の和商」「文武両道」「地域密着」といった言葉が挙げられます。

学校全体の雰囲気としては、真面目に学習や部活動に取り組む生徒が多いようです。商業高校という特性上、将来の就職や進学を見据えて、明確な目標を持っている生徒が多く集まる傾向があります。

  • 宿題の量: 宿題の量は、普通科の高校と比較すると、それほど多くはないという声があります。ただし、資格取得のための課題や検定前の勉強は自主的に行う必要があります。

  • 校則: 校則は、他の高校と比較して厳しいという意見が多いようです。 特に頭髪や服装、スマートフォンの使用に関しては厳しく指導されることがあります。 スマートフォンは校内での使用が禁止されており、授業中やテスト中は電源を切る必要があります。 これは、社会人として必要な規律を身につけるという教育方針の表れとも言えるでしょう。

  • 生徒たちの雰囲気: 真面目で落ち着いた生徒が多い一方で、部活動や学校行事には活発に取り組む生徒も多く、メリハリのある学校生活を送っているようです。

  • アルバイト: アルバイトは原則として禁止されていますが、家庭の事情など特別な理由がある場合は、許可を得て行うことが可能です。

  • 制服の評判: 制服は、男子は詰襟、女子はセーラー服で、伝統的なデザインです。 特に大きな変更はなく、昔ながらのスタイルが受け継がれています。

  • 土曜授業: 現在、土曜授業は実施されていないようです。

和歌山商業高等学校の部活動・イベント

部活動

和歌山商業高等学校は部活動が非常に盛んで、多くの生徒が加入し、文武両道を実践しています。 運動部、文化部ともに充実しており、全国大会で活躍する部も少なくありません。

  • 運動部: 特に硬式野球部は甲子園出場経験もある伝統的な強豪校として有名です。 また、相撲部や卓球部もインターハイに出場するなど、輝かしい実績を誇っています。

  • 文化部: 文化部では、ワープロ部や簿記部が全国レベルで活躍しています。 ワープロ部は、タイピングの速さと正確さを競う大会で、過去に何度も全国大会に出場し、大会新記録を樹立したこともあります。 簿記部も全国大会の常連で、日商簿記検定などの難関資格取得に向けて日々活動しています。

イベント

和歌山商業高等学校では、生徒たちが主体となって作り上げる多彩な学校行事が年間を通して行われます。

  • 体育祭: 毎年6月頃に、多目的ホール「ビッグホエール」を貸し切って盛大に開催されます。 クラス対抗で様々な競技に熱戦を繰り広げ、学校全体が一体となって盛り上がります。

  • 文化祭: 10月に行われる文化祭は、各クラスが趣向を凝らした展示や模擬店、ステージ発表を行います。 1年生は展示、2年生は舞台発表、3年生は模擬店を担当するのが伝統です。 書道部によるパフォーマンスや、吹奏楽部の演奏なども人気を集めています。

  • 修学旅行: 2年生の2月頃に実施されます。 近年の行き先は東京・横浜方面で、観光だけでなく、ディズニーアカデミーでの研修など、商業高校ならではの学習要素も取り入れられています。 過去には長野県でのスキー研修だった時期もあるようです。

  • 和商デパート: 和歌山商業の特色を最もよく表すイベントの一つが「和商デパート」です。これは、生徒たちが模擬株式会社を設立し、商品の仕入れから販売、決算までを実践的に学ぶ販売実習で、毎年多くの地域住民で賑わいます。

和歌山商業高等学校の進学実績

和歌山商業高等学校は、「就職にも進学にも強い」という大きな特徴を持っています。卒業後の進路は、就職と進学がおよそ半々ですが、近年は大学や専門学校への進学を選ぶ生徒が増加傾向にあります。

  • 大学進学: 取得した資格を活かした学校推薦型選抜(旧指定校推薦・公募推薦)を利用して、有名私立大学や経済・商学系の学部に進学する生徒が多数います。 関西大学、近畿大学、龍谷大学などへの進学実績があります。また、国公立大学では和歌山大学などに合格者を出しています。

  • 専門学校進学: 看護、医療、美容、コンピュータ、簿記法律など、専門的なスキルをさらに高めるために専門学校へ進む生徒も多くいます。

  • 就職: 地元和歌山県内の有力企業や金融機関への就職に強いのが伝統です。 長年にわたる卒業生の活躍により、企業からの信頼が厚く、毎年安定した求人が寄せられます。公務員になる卒業生もいます。

進学実績を支える取り組みとして、放課後や長期休暇中に、資格取得や大学受験に向けた補習・講習が数多く開かれています。

和歌山商業高等学校の特長・アピールポイント

他の高校にはない、和歌山商業高等学校ならではの強みやユニークな取り組みをまとめました。

  • 圧倒的な資格取得実績: 「資格の和商」として知られ、在学中に全国商業高等学校協会主催の検定で1級を3種目以上取得する「3冠」を達成する生徒が数多くいます。中には9種目全てで1級を取得する「9冠」を達成する生徒もおり、これは全国的にも非常にレベルの高い実績です。

  • 実践的な商業教育「和商デパート」: 生徒が主体となって模擬デパートを運営する「和商デパート」は、企画、仕入れ、販売、経理まで、ビジネスの一連の流れを体験できる貴重な機会です。

  • 地域社会との連携: 地元の企業や自治体と連携したインターンシップや課題研究が盛んに行われています。 実際のビジネス現場に触れることで、社会人として必要なスキルや心構えを学びます。

  • 全国レベルで活躍する部活動: 野球部や相撲部といった運動部だけでなく、ワープロ部や簿記部などの商業系の文化部も全国大会で輝かしい成績を収めています。

  • 充実した進路指導: 就職と進学、どちらの進路にも手厚いサポート体制が整っています。特に、資格を活かした大学への推薦入試や、地元優良企業への就職においては、長年の実績と信頼があります。

  • 120年を超える歴史と伝統: 1904年の創立以来、多くの卒業生を輩出してきました。 この長い歴史の中で築かれたネットワークと「和商ブランド」は、生徒たちの将来にとって大きな財産となります。

  • 最新のICT環境: 商業高校ならではの特色として、コンピュータ室などのICT設備が充実しています。 プログラミングや情報処理の授業を通じて、現代のビジネスに不可欠なスキルを習得できます。

和歌山商業高等学校の口コミ・評判のまとめ

在校生や卒業生から寄せられる口コミを、良い点と気になる点に分けて公平にまとめました。

  • 良い点:

    • 「資格がたくさん取れるので、進学や就職にとても有利」という声が最も多く聞かれます。

    • 「先生方が熱心で、検定前には遅くまで指導してくれる」など、手厚いサポートを評価する意見も多いです。

    • 「就職率が良く、地元の有名企業に入れる可能性が高い」といった、就職に関する安心感を挙げる声も目立ちます。

    • 「部活動が盛んで、全国大会を目指せる環境がある」と、文武両道を評価する口コミもあります。

    • 「和商デパートなどの行事を通して、実践的なビジネスを学べるのが楽しい」という意見もあります。

  • 気になる点:

    • 「校則が他の高校に比べて厳しい」という声は、多くの口コミで見られます。 特に、服装や頭髪、スマートフォンの使用に関する規則が厳しいと感じる生徒がいるようです。

    • 「施設や校舎が少し古い」という意見もあります。

    • 「商業科目に興味がないと、授業についていくのが大変かもしれない」という、専門高校ならではの注意点を指摘する声もあります。

    • 「青春を楽しみたい、自由な校風を求めている人には合わないかもしれない」という意見も見受けられました。

アクセス・通学

和歌山商業高等学校への主なアクセス方法は以下の通りです。

  • 最寄り駅・バス停:

    • 南海「和歌山市駅」からバスまたはタクシーで約15分

    • JR「和歌山駅」からバスまたはタクシーで約20分

    • 最寄りのバス停は「砂山南」で、下車後徒歩約2〜3分です。

和歌山市内を中心に、岩出市、紀の川市、海南市など、比較的広いエリアから生徒が通学しています。JR和歌山駅や南海和歌山市駅を利用して、バスに乗り換えて通学する生徒が多いようです。

和歌山商業高等学校受験生へのワンポイントアドバイス

和歌山商業高等学校は、将来、ビジネスの世界で活躍したい、あるいは経済や経営について専門的に学びたいという明確な目標を持っている人に特におすすめの学校です。高校時代に専門的な知識やスキルを身につけ、たくさんの資格を取得したいと考えているなら、これ以上ない環境が整っています。部活動に打ち込みながら、勉強もしっかり頑張りたいという「文武両道」を目指す生徒にも最適な場所と言えるでしょう。

受験勉強においては、まず中学校の基礎的な内容をしっかりと固めることが大切です。特に、英語・数学・国語の主要3教科は、商業科目の学習の土台にもなりますので、苦手分野を作らないようにバランスよく学習を進めましょう。また、内申点も合否の重要な判断材料となります。日々の授業態度や提出物、定期テストへの取り組みを真面目に行うことを心がけてください。

和歌山商業高等学校での3年間は、あなたの将来の可能性を大きく広げてくれるはずです。夢の実現に向けて、頑張ってください!

※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。