岩手県立高田高等学校は、陸前高田市に唯一存在する高等学校です。2008年に広田水産高等学校と統合し、普通科と全国的にも珍しい海洋システム科を併せ持つ学校として、新たな歴史を歩み始めました。東日本大震災では校舎が全壊するという甚大な被害を受けましたが、国内外からの多くの支援により2015年に高台へ新校舎が完成し、素晴らしい教育環境が整っています。

「至誠・錬磨・創造」を校訓に掲げ、知・徳・体の調和のとれた人格の完成を目指しています。震災からの復興を担う人材育成はもちろん、地域や社会の発展に貢献できる生徒を育てることを目標としており、地域と密着した探究活動「T×ACTION」や防災教育に力を入れているのが大きな特長です。

この記事では、そんな困難を乗り越え、地域と共に未来を創造する岩手県立高田高等学校の具体的な魅力について、進学アドバイザーの視点から詳しく解説していきます。普通科での進学を目指す人はもちろん、水産・海洋分野に興味がある人にとっても、きっと新たな発見があるはずです。

岩手県立高田高等学校の基本情報

高田高等学校の基本的な情報を表にまとめました。

項目 内容
正式名称 岩手県立高田高等学校
公立/私立の別 公立
共学/男子校/女子校の別 男女共学
所在地 〒029-2205 岩手県陸前高田市高田町字長砂78-12
代表電話番号 0192-55-3154
公式サイト https://www2.iwate-ed.jp/tak-h/

岩手県立高田高等学校の偏差値・難易度・併願校

高田高等学校の偏差値は、学科によって異なります。普通科が49程度、海洋システム科が37程度とされています。

偏差値49は、岩手県内の公立高校の中では中堅レベルに位置します。同じくらいの偏差値の高校としては、大船渡東高等学校(普通科)などが挙げられます。合格に必要な内申点の目安としては、5段階評価で平均3.5以上、特に主要5教科では4に近い評価を得ておくと安心できるでしょう。

岩手県の公立高校入試では、基本的に他の公立高校を併願することはできません。そのため、高田高等学校を受験する場合、併願校は私立高校から選ぶことになります。主な併願校としては、地理的に近いことや学力レベルが近いことから、高田高等学校の生徒は、大船渡市にある大船渡高等学校や、一関市にある一関学院高等学校、一関修紅高等学校などを検討するケースが多いようです。

岩手県立高田高等学校に設置されている学科・コース

高田高等学校には、特色の異なる2つの学科が設置されています。 それぞれの学科で、自分の興味や将来の夢に合わせた専門的な学びを深めることができます。

  • 普通科

    • どんなことを学ぶ場所か:大学進学から就職まで、幅広い進路に対応するための基礎学力を固める学科です。2年生からは文系と理系に分かれ、さらに3年生では国公立大学進学や就職など、より具体的な目標に合わせたコース選択が可能になります。

    • どんな生徒におすすめか:将来の夢がまだ具体的に決まっていない人や、大学で専門分野を学びたいと考えている人におすすめです。

  • 海洋システム科

    • どんなことを学ぶ場所か:「海・船・魚」に関する生産から流通までのシステムを総合的に学ぶ、水産・海洋系の専門学科です。 2年生からは、小型船舶などの資格取得を目指す「海洋科学コース」と、食品製造などを学ぶ「食品科学コース」に分かれます。

    • どんな生徒におすすめか:海の生き物や船に興味がある人、将来、水産業や食品関連の仕事に就きたいと考えている人に最適です。

岩手県立高田高等学校の特色・校風

高田高等学校は、「地域との連携」「文武両道」「未来志向」といったキーワードで表せる校風を持っています。東日本大震災からの復興を地域と一体となって進めてきた経験から、生徒たちは地域への愛着が深く、社会貢献への意識が高い傾向があります。

  • 宿題の量:「宿題は多くて大変」という声が見られます。 特に、進学を目指す生徒に対しては、放課後や長期休業中の課外授業や講習も充実しており、学習サポートは手厚いようです。

  • 校則:他の高校と比較すると、やや厳しいという意見があります。特に服装や髪型に関する指導は厳しいようです。 スマートフォンは校内での使用が禁止されており、見つかると指導の対象となります。

  • 生徒たちの雰囲気:全体的に真面目で、落ち着いた雰囲気のようです。「皆、仲良し」という口コミもあり、いじめもほとんどないとの声が聞かれます。

  • アルバイト:原則として禁止されていますが、長期休業中に限り、許可を得て行うことが可能です。

  • 制服:男子は黒の詰襟学生服、女子は紺のブレザーにスカートまたはスラックスです。デザインについては「普通」という意見が多いようです。

  • 土曜授業:基本的に土曜授業はありません。

岩手県立高田高等学校の部活動・イベント

部活動

高田高等学校は部活動が非常に盛んで、多くの部が県大会や東北大会、全国大会で活躍しています。 運動部、文化部ともに充実しており、生徒の多くが部活動に加入し、文武両道を目指して日々練習に励んでいます。

  • 運動部

    • 特に女子ソフトテニス部は全国レベルの強豪として知られ、インターハイにも出場しています。

    • 過去には女子バレーボール部が全国制覇、硬式野球部が夏の甲子園に出場した実績もあります。

    • その他、陸上競技部、卓球部、サッカー部、バスケットボール部なども活発に活動しています。

  • 文化部

    • 美術部や書道部は県の高総文祭で多数の入賞を果たしています。

    • 吹奏楽部は地域のイベントにも積極的に参加し、地域に根差した活動を行っています。

    • 珍しい部活動としては、郷土芸能部があり、地域の伝統文化の継承に貢献しています。

イベント

生徒会が中心となって企画・運営する学校行事は、生徒たちにとって大きな楽しみの一つです。

  • 高高祭(文化祭)

    • 毎年9月下旬に開催される最大のイベントです。

    • 海洋システム科が製造した缶詰やパンの販売は毎年大人気で、すぐに売り切れてしまうほどです。

    • 各クラスの展示やステージ発表、文化部の発表など、多彩な企画で盛り上がります。

  • 体育祭

    • クラス対抗で様々な競技に熱中し、クラスの団結力を高めるイベントです。

  • 修学旅行

    • 例年、関西方面を訪れ、歴史や文化を学びます。

その他にも、クラスマッチや氷上山登山遠足など、年間を通して様々な行事が計画されています。

岩手県立高田高等学校の進学実績

高田高等学校は、多様な進路希望に対応できるきめ細やかな指導を特色としており、国公立大学への進学者から、専門学校、就職まで幅広い実績を誇っています。

  • 国公立大学

    • 地元の岩手大学や岩手県立大学をはじめ、東北地方の国公立大学への進学者が多い傾向にあります。

  • 私立大学

    • 東北学院大学や東北福祉大学など、東北地方の主要な私立大学への進学者が安定しています。また、関東圏の大学へ進学する生徒もいます。

  • 専門学校・就職

    • 普通科からは公務員や民間企業への就職、海洋システム科からは水産・食品関連企業への就職や、水産系の大学校への進学など、専門性を活かした進路選択が目立ちます。

進学実績を支える取り組みとして、放課後や長期休業中に行われる課外授業や各種講習が充実しています。 教職員が一丸となって生徒一人ひとりの進路実現をサポートする体制が整っているのが、高田高等学校の強みです。

岩手県立高田高等学校の特長・アピールポイント

高田高等学校には、他の高校にはないユニークな魅力がたくさんあります。

  • 地域と連携した探究学習「T×ACTION」

    • 「Takata Action」の略で、生徒が主体的に地域の課題を発見し、解決策を探る探究活動です。 立教大学や岩手大学などとも連携し、地域貢献と自己の進路実現を結びつける先進的な取り組みです。

  • 全国でも珍しい「海洋システム科」の設置

    • 普通科と専門学科が併設されており、多様な生徒が互いに刺激し合える環境です。 海洋システム科では、実習船「海翔」を使った航海実習や、ダイビング、食品加工など、実践的な学びが豊富です。

  • 国際姉妹校との交流

    • 東日本大震災で漂着した実習船「かもめ」がきっかけとなり、アメリカのデルノーテ高校と姉妹校提携を結んでいます。 生徒間の交流を通じて、国際的な視野を広げることができます。

  • 充実した防災・減災教育

    • 震災の教訓を未来に繋ぐため、地域と連携した防災教育に力を入れています。 生徒たちは自らの経験を通して、命の尊さや備えの大切さを学んでいます。

  • 海の見える美しい校舎と図書室

    • 高台に建てられた新校舎は、広田湾を一望できる素晴らしいロケーションです。 特に図書室からの眺めは抜群で、落ち着いた環境で学習や読書に集中できます。

  • 地域産業を担う人材育成

    • 海洋システム科では、陸前高田市の基幹産業である水産業の担い手を育成しています。 生徒が開発したサバの缶詰は、道の駅で販売される人気商品となっています。

岩手県立高田高等学校の口コミ・評判のまとめ

在校生や卒業生からは、高田高等学校での学校生活について様々な声が寄せられています。

  • 良い点

    • 「先生方が親身になって進路相談に乗ってくれる」「地域との繋がりが強く、様々な体験ができる」といった、手厚いサポートや特色ある教育活動を評価する声が多いようです。

    • 「部活動が盛んで、目標に向かって仲間と頑張れる環境がある」「いじめが少なく、安心して学校生活を送れる」など、生徒同士の良好な関係性や文武両道の校風を魅力に感じる生徒も多いです。

    • 「新校舎が綺麗で、特に図書室からの眺めは最高」という、学習環境の良さを挙げる声も見られます。

  • 気になる点

    • 「校則が少し厳しいと感じることがある」「スマートフォンの校内使用が禁止なのが不便」といった、校則に関する意見があります。

    • 「駅から近いが、住んでいる場所によっては通学が少し大変」という、交通の便に関する声も一部で見られます。

    • 「進学に力を入れているが、より高いレベルを目指すには塾との両立が必要かもしれない」という意見もありました。

アクセス・通学

高田高等学校へのアクセス方法は以下の通りです。

  • 最寄り駅

    • JR大船渡線BRT「高田高校前駅」から徒歩約5分

BRTの駅が目の前にあるため、公共交通機関での通学は非常に便利です。通学している生徒は、陸前高田市内はもちろん、近隣の大船渡市や住田町など、気仙地区全域から集まっています。

岩手県立高田高等学校受験生へのワンポイントアドバイス

高田高等学校は、「地域のために何かしたい」「専門的な知識や技術を身につけたい」という強い意志を持つ生徒に特におすすめの学校です。震災を乗り越えた経験から生まれる地域との強い絆の中で、他ではできない貴重な学びを得ることができるでしょう。普通科でじっくり自分の進路を考えたい人にも、海洋システム科で夢への最短距離を進みたい人にも、高田高等学校は確かな道を示してくれます。

受験勉強においては、まず中学校の基礎学力を徹底的に固めることが大切です。特に普通科を目指す人は、苦手科目を作らないようにバランス良く学習を進めましょう。海洋システム科を志望する人は、理科や数学への興味関心はもちろん、「なぜこの学科で学びたいのか」という明確な目的意識を面接で伝えられるように準備しておくことが重要です。

高田高等学校での3年間は、単なる学力向上だけでなく、人間として大きく成長できる時間になるはずです。皆さんの挑戦を心から応援しています!

※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。