千葉県立成田国際高等学校は、「楽しくなければ成国じゃない」という合言葉が生徒たちの間で自然に生まれるほど、活気とエネルギーに満ち溢れた学校です。1975年の開校から約50年の歴史を持ち、成田の地で多くの卒業生を社会に送り出してきました。その校風は、ただ楽しいだけでなく、真剣に学び、友情を育む土壌にもなっています。
この明るい雰囲気は、成田国際高等学校が掲げる高い目標と深く結びついています。かつては文部科学省から「スーパーグローバルハイスクール(SGH)」に指定され、現在は「グローバルスクール」として、生徒たちが「世界に羽ばたくグローバル人材」になることを目指しています。学校行事や部活動に全力で打ち込みながら、国際的な視野を広げられるのが、この学校の最大の魅力と言えるでしょう。
では、そんな個性豊かな学校での3年間は、具体的にどのようなものなのでしょうか。学校生活を思い切り楽しみながら、大学進学という目標も達成できるのか、気になる点は多いはずです。この記事では、成田国際高等学校の本当の姿を、偏差値や進学実績といったデータから、在校生のリアルな声まで、詳しく解説していきます。
成田国際高等学校の基本情報
まずは、学校の基本的な情報を確認しましょう。
項目 | 内容 |
正式名称 | 千葉県立成田国際高等学校 |
公立/私立の別 | 公立 |
共学/別学の別 | 男女共学 |
所在地 | 〒286-0036 千葉県成田市加良部3-16 |
代表電話番号 | 0476-27-2610 |
公式サイト | https://cms2.chiba-c.ed.jp/naritakokusai-h/ |
成田国際高等学校の偏差値・難易度・併願校
成田国際高等学校の受験を考える上で、最も気になるのが偏差値や難易度です。具体的な目標を立てるための参考にしてください。
偏差値
学科によって偏差値は少し異なりますが、おおよその目安は以下の通りです。複数の情報源を総合すると、県内でも上位に位置する学力が求められることが分かります。
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国際科: 62前後
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普通科: 56前後
難易度
偏差値だけでは分かりにくい「合格のリアル」を、内申点や入試本番の目標点から見ていきましょう。
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合格に必要な内申点の目安: 135点満点中、120点前後が目標とされています。合格者の分布を見ると97点から135点と幅がありますが、高い内申点を確保していることが合格への大きなアドバンテージになります。これは、中学1年生からの通知表の成績が非常に重要であることを意味します。日々の授業態度や提出物、定期テストへの取り組みが、成田国際高等学校への道を開きます。
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合格に必要な学力検査の目標点: 500点満点中、360点〜370点あたりが目標点となります。特に国際科の入試では、英語の配点が1.5倍になる傾斜配点が採用されています。英語が得意な生徒にとっては有利ですが、逆に英語で高得点を取ることが合格の鍵を握ると言えるでしょう。
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同じくらいの偏差値の他の高校: 公立高校では、幕張総合高校や津田沼高校、成東高校などが比較対象として挙げられます。これらの学校と比べて、成田国際高等学校は特に国際教育に強みを持っています。
主な併願校
千葉県の公立高校入試では、他の公立高校との併願はできません。そのため、多くの受験生が滑り止めとして私立高校を併願します。成田国際高等学校の受験生がよく選ぶ併願校は以下の通りです。
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成田高等学校
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八千代松陰高等学校
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千葉敬愛高等学校
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東京学館高等学校
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千葉英和高等学校
これらの学校は、立地や偏差値、校風などを考慮して選ばれることが多いようです。
成田国際高等学校に設置されている学科・コース
成田国際高等学校には、それぞれ特色の異なる2つの学科が設置されています。どちらの学科も単位制で、生徒一人ひとりの興味や進路に合わせた柔軟な学びが可能です。
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普通科
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どんなことを学ぶ場所か: 幅広い分野の知識をバランス良く学び、多様な大学進学に対応できる学力を身につける学科です。2年生からは文系と理系に分かれ、それぞれの進路希望に合わせた専門的な学習が始まります。
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どんな生徒におすすめか: 将来の夢がまだ具体的に決まっていない人や、理系分野への進学を考えている人におすすめです。
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国際科
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どんなことを学ぶ場所か: 高度で実践的な英語コミュニケーション能力と、国際社会への深い理解を育むことに特化した学科です。ネイティブの先生によるディベートやディスカッションの授業が豊富で、2年生からは第二外国語(フランス語、中国語、韓国語)も選択できます。
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どんな生徒におすすめか: 英語が大好きで、将来は海外で活躍したい、あるいは国際的な分野に進みたいという強い意志を持っている人に最適です。
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成田国際高等学校の特色・校風
学校選びでは、データだけでなく、その学校が持つ「空気感」も大切です。成田国際高等学校のリアルな学校生活をのぞいてみましょう。
校風を表現するキーワード
自由闊達、文武両道、グローバル、生徒主体
中学生が本当に知りたいポイント
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宿題の量は多いか少ないか: 口コミなどを見ると、宿題の量について特に厳しいという声は少ないようです。しかし、進学校であるため、日々の予習・復習や大学受験に向けた自主的な学習は不可欠です。特に、個人のやる気によって学習への取り組みに差が出やすい環境でもあるため、自己管理能力が求められます。
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校則は厳しいか緩やかか: 全体的に「自由」という評判が多く、他の高校と比べると校則は緩やかな傾向にあります。ただし、頭髪の染色やピアスなどは禁止されており、社会の一員としての節度は求められます。スマートフォンの持ち込みは許可されていますが、授業中の使用はもちろん禁止です。体育祭など、行事によっては使用が制限される場面もあるようです。
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生徒たちの雰囲気: 明るく活発で、誰とでも分け隔てなく話せるフレンドリーな生徒が多いようです。学校行事にはクラス一丸となって全力で取り組む文化があり、強い一体感が生まれます。一方で、自由な校風からか「勉強を頑張る生徒」と「学校生活を楽しむことを優先する生徒」に二極化する傾向があるという指摘もあります。どちらの道を選ぶかは自分次第ですが、互いを尊重し合う雰囲気が根付いています。
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アルバイトは可能か: 届け出制で許可されています。学業や生活に支障が出ない範囲で、社会経験を積むことができます。ただし、午後8時までといった時間制限や、成績に関する条件など、いくつかのルールが定められています。
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制服の評判はどうか: 特に女子の制服は、深い緑色を基調としたセーラー服で、県内でも非常に有名かつ人気があります。「この制服が着たいから成国を選んだ」という生徒も少なくありません。男子の制服も、赤いネクタイが映えるダブルのブレザーで、スタイリッシュな印象です。近年、女子制服にはスラックスも導入され、選択の幅が広がっています。
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土曜授業はあるか: 成田国際高等学校では、原則として土曜授業は行われていません。その代わり、月曜日には7時間目までの授業が設定されており、週全体の授業時間数を確保しています。
成田国際高等学校の部活動・イベント
部活動
成田国際高等学校では、多くの生徒が部活動に加入しており、勉強と両立しながら熱心に活動しています。運動部、文化部ともに充実しており、全国レベルで活躍する部も存在します。
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少林寺拳法部: 全国大会の常連であり、優勝経験も持つ全国屈指の強豪部です。部員のほとんどが高校から少林寺拳法を始める初心者ですが、質の高い指導のもとで大きく成長し、関東大会や全国大会で輝かしい成績を収めています。心身ともに鍛えたい生徒に最適です。
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女子サッカー部: 県内でも強豪として知られ、活気のある部活動です。高いレベルの大会にも出場しており、チーム一丸となって目標に向かう姿勢は、学校全体のエネルギーの源にもなっています。
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吹奏楽部: コンクールのA部門(大編成)で常に上位の成績を収めている実力派です。千葉県吹奏楽コンクールでは金賞の常連で、本選大会にも頻繁に出場しています。美しいハーモニーを追求する中で、仲間との強い絆を育むことができます。
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その他の部活動: この他にも、テニス部や陸上部などの運動部、書道部や茶道部、写真部といった文化部も盛んに活動しています。また、「スイーツ同好会」や「中国語同好会」など、ユニークな同好会も存在し、自分の「好き」を追求できる環境が整っています。
イベント
「楽しくなければ成国じゃない」を象徴するのが、生徒が主体となって作り上げる大規模な学校行事です。
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雄飛祭(文化祭): 毎年6月に行われる学校最大のイベントで、2日間で3,000人以上が来場するほどの盛り上がりを見せます。各クラスや文化部が趣向を凝らした展示や発表を行いますが、中でも最大の見どころは、国際科3年生が全員で作り上げるミュージカルです。そのクオリティの高さは圧巻で、開演前には長蛇の列ができるほどの人気を誇ります。
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体育祭: 文化祭の熱気そのままに、クラス対抗で様々な競技に汗を流します。成田国際高等学校の体育祭の伝統は、フィナーレで行われる全校生徒によるフォークダンスです。学年やクラスの垣根を越えて大きな一つの輪になって踊る光景は、強い一体感と感動を生み出します。
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修学旅行: 2年生の秋に実施される一大イベントです。かつては台湾やオーストラリアなど海外を訪れることが多く、学校のグローバルな特色を象徴する行事でした。近年は関西方面など国内での実施となっていますが、班別行動などを通して日本の文化や歴史を深く学び、友人との絆を深める貴重な機会となっています。
成田国際高等学校の進学実績
楽しい学校生活だけでなく、卒業後の進路もしっかりとサポートしています。成田国際高等学校は、国公立大学や難関私立大学へ多数の合格者を輩出する進学校です。
最新の大学進学実績
卒業生の約8割が4年制大学へ進学します。最新の合格実績は以下の通りです。
進路分類 | 主な大学名と合格者数(2025年春実績) |
国公立大学 | 合計32名。千葉大学(7)、埼玉大学(1)、東京都立大学(1)、東京外国語大学(1)、名古屋大学(1)、お茶の水女子大学(1)など。 |
難関私立大学 | 早稲田大学・慶應義塾大学・上智大学に合計11名。GMARCH(学習院・明治・青山学院・立教・中央・法政)には合計131名が合格。 |
その他私立大学 | 日本大学(42)、東洋大学(64)など、日東駒専レベルの大学にも多数の合格者を輩出しています。 |
その他進路 | 専門学校への進学や就職、海外留学など、生徒の多様な希望に応える進路指導が行われています。 |
(合格者数は延べ人数を含む場合があります)
進学実績を支える取り組み
高い進学実績は、日々の授業の質の高さに支えられています。特に、大学進学者のうち約8割が、学力試験で合否が決まる「一般選抜」で合格を勝ち取っている点は注目に値します。これは、推薦頼りではなく、本質的な学力が身につく教育が行われている証拠です。月曜日の7時間授業など、必要な学習時間を確保するための工夫も行われています。生徒一人ひとりのやる気を引き出し、自ら学ぶ姿勢を育むことで、高い目標の達成を後押ししています。
成田国際高等学校の特長・アピールポイント
他の高校にはない、成田国際高等学校ならではの魅力を5つのポイントにまとめました。
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SGH(スーパーグローバルハイスクール)としての教育的財産
文部科学省の指定を受け、大学レベルの国際的な課題研究に取り組んできた経験は、今も学校の教育活動に深く根付いています。生徒たちは世界的な視野で物事を考え、探究する力を養います。
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日常にあふれる国際交流の機会
アメリカ、オーストラリア、韓国、台湾などに姉妹校があり、留学生の受け入れや派遣が活発に行われています。校内で当たり前のように異文化に触れることができる環境は、グローバルな感覚を自然に磨いてくれます。
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公立高校では珍しい第二外国語の履修
国際科では、英語に加えてフランス語、中国語、韓国語を本格的に学ぶことができます。ネイティブの先生から直接指導を受けられるため、将来の可能性を大きく広げることができます。
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生徒が主役の圧巻の学校行事
「雄飛祭」のミュージカルに代表されるように、成田国際高等学校の行事は生徒たちの手で創り上げられます。企画力、協調性、リーダーシップなど、社会で役立つ実践的なスキルが、楽しみながら身につきます。
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誇りを持って着こなす、個性的で人気の制服
深い緑色のセーラー服は、学校のシンボルです。この制服への憧れが、生徒たちの学校への愛着と一体感を育み、日々の学校生活に彩りを添えています。
成田国際高等学校の口コミ・評判のまとめ
在校生や卒業生からのリアルな声は、学校選びの重要な参考になります。良い点と気になる点を公平に見ていきましょう。
良い点
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「とにかく学校生活が楽しい、行事が最高」という声が圧倒的に多いです。特に文化祭や体育祭は、クラスの団結力が高まり、一生の思い出になると評判です。
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「自由な校風で過ごしやすい」という意見も目立ちます。生徒の自主性が尊重され、のびのびと高校生活を送れる環境が評価されています。
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「国際交流が盛んで刺激的」という声もあります。留学生と話す機会が多く、自然と視野が広がると感じている生徒が多いようです。
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「制服が可愛い」という点は、特に女子生徒からの支持が厚く、学校への満足度を高める大きな要因となっています。
気になる点
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「勉強する人としない人の差が激しい」という指摘は、多くの口コミで見られます。自由な環境だからこそ、流されずに自分で目標を持って勉強する強い意志が必要になります。
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「先生によって指導の熱意に差がある」と感じる生徒もいるようです。熱心で素晴らしい先生が多い一方で、相性が合わないと感じるケースもあるかもしれません。
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「施設が少し古い」という意見もあります。歴史のある学校なので、最新の設備が整っているわけではないようです。
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「駅から少し歩くのが大変」という声も聞かれます。特に夏の暑い日や雨の日は、徒歩10分強の距離が少し負担に感じられることがあるようです。
アクセス・通学
成田国際高等学校は、成田市の中心部に位置し、交通の便が良い場所にあります。
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最寄り駅からのアクセス:
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JR成田線「成田駅」西口から徒歩約10分
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京成線「京成成田駅」西口から徒歩約12分
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通学エリア:
成田国際高等学校は千葉県の第4学区に属しています。そのため、主に成田市、佐倉市、四街道市、八街市、印西市、白井市、富里市、印旛郡(酒々井町、栄町)から通学する生徒が多いです。ただし、隣接する学区からの通学も可能なため、比較的広いエリアから生徒が集まっています。
成田国際高等学校受験生へのワンポイントアドバイス
ここまで読んでくれて、ありがとうございます。最後に、進学アドバイザーとして、成田国際高等学校を目指す君たちにメッセージを送ります。
この学校は、「ただ勉強するだけでは物足りない」「高校生活の3年間、何かに夢中になりたい」と考える人に特におすすめです。仲間と協力して何かを成し遂げることが好きな人、多様な価値観に触れて自分を成長させたい人にとって、成田国際高等学校は最高の舞台になるでしょう。
受験勉強では、まず5教科の基礎を徹底的に固めることが大切です。そして、合格のためには高い内申点が欠かせません。中学1・2年生の内容も含め、定期テストで確実に点を取り、授業態度や提出物にも真剣に取り組みましょう。特に国際科を目指すなら、英語は最重要科目です。教科書の音読やリスニング練習を毎日続け、自分の意見を英語で表現する練習もしておくと、入試本番で大きな力になります。成田国際高等学校での充実した日々を思い描きながら、頑張ってください!応援しています。
※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。