三重県立松阪高等学校、地元では「松高(まつこう)」や「南高(なんこう)」の愛称で親しまれるこの学校は、110年以上の歴史を誇る、地域を代表する進学校です。伝統ある進学校と聞くと、厳しい校風をイメージするかもしれませんが、この学校の最大の魅力は、高い学力レベルと驚くほど自由な校風が両立している点にあります。
この学校が掲げる目標は「自主自律」。生徒一人ひとりが自ら考え、判断し、行動することを尊重する文化が根付いています。先生から言われたことだけをこなすのではなく、自由な環境の中で、高い目標に向かって自分自身を律しながら努力する。そんな主体的な学びが、松阪高等学校での3年間を特別なものにしてくれます。
この記事では、そんな松阪高等学校がどんな場所なのか、偏差値や進学実績といったデータはもちろん、学校生活のリアルな雰囲気や先輩たちの声まで、詳しくお伝えしていきます。あなたの高校選びが、未来への素晴らしい一歩となるよう、一緒に見ていきましょう。
松阪高等学校の基本情報
まずは、学校の基本的な情報を確認しておきましょう。問い合わせや学校見学の際に役立ててください。
項目 | 内容 |
正式名称 | 三重県立松阪高等学校 |
公立/私立の別 | 公立 |
共学/男子校/女子校の別 | 男女共学 |
所在地 | 〒515-8577 三重県松阪市垣鼻町1664 |
代表電話番号 | 0598-21-3511(全日制) |
公式サイトのURL | https://www.mie-c.ed.jp/hmatus/ |
松阪高等学校の偏差値・難易度・併願校
松阪高等学校への合格を目指す上で、まず気になるのが学力的な難易度ですよね。ここでは偏差値や内申点の目安、そして多くの受験生が併願する私立高校について解説します。
松阪高等学校は、三重県内でもトップクラスの学力を誇る公立高校です。学科ごとの偏差値の目安は以下の通りです。
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理数科:
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普通科:
理数科は県内でも屈指の難易度を誇り、普通科も非常に高いレベルにあることが分かります。偏差値はあくまで一つの目安ですが、合格を勝ち取るためには、中学校での学習内容を深く理解していることが大前提となります。
合格に必要な内申点の明確な基準は公表されていませんが、この偏差値レベルの高校を目指すには、主要5教科はもちろん、副教科においても高い評価を得ておくことが重要です。目安としては、通知表の9教科合計で40以上を目指したいところです。特に理数科を志望する場合は、数学と理科で「5」を取っておくことが望ましいでしょう。
同じくらいの偏差値を持つ他の公立高校としては、津西高校、伊勢高校、上野高校などが挙げられます。これらの高校と比較検討することで、松阪高等学校の立ち位置がより明確になるはずです。
三重県の公立高校入試では、一つの高校(一つの学科・コース)しか受験できないため、併願校は私立高校となります。松阪高校の受験生が併願先として選ぶことが多いのは、同じく進学に力を入れている以下の私立高校です。
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高田高等学校(特にII類・I類進学コース)
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三重高等学校(特に特進コース)
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皇學館高等学校(特に特別進学コース)
これらの私立高校も非常にレベルが高く、しっかりとした受験対策が必要です。松阪高校を目指す学力があれば、これらの併願校の合格も視野に入ってきます。受験プランを立てる際の参考にしてください。
松阪高等学校に設置されている学科・コース
松阪高等学校の全日制課程には、特色の異なる2つの学科が設置されています。自分の興味や将来の目標に合わせて、どちらの学科が合っているか考えてみましょう。
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普通科
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どんなことを学ぶ?:幅広い教科をバランス良く学び、文系・理系どちらの進路にも対応できる総合的な学力を養います。2年生から文系・理系に分かれ、自分の興味や進路に合わせた専門的な学習を深めていきます。
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どんな生徒におすすめ?:将来の夢がまだ具体的に決まっていない人や、大学で文系・理系どちらに進むかじっくり考えたい人、幅広い知識を身につけたい人におすすめです。
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理数科
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どんなことを学ぶ?:数学と理科の学習に重点を置いたカリキュラムで、科学的な探究心と論理的思考力を育てます。SSH(スーパーサイエンスハイスクール)の活動として、大学や研究機関と連携した実験や課題研究など、より専門的で高度な学びを実践します。
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どんな生徒におすすめ?:医歯薬系や理工系、農学系など、理系分野への進学を強く希望している人、実験や研究活動に興味があり、物事を深く掘り下げて考えるのが好きな人に最適です。
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この他に、多様なニーズに応えるための通信制課程も設置されていますが、全日制とは学習スタイルや目的が大きく異なるため、興味のある方は公式サイトの通信制のページで確認してください。
松阪高等学校の特色・校風
松阪高校の最大の特色は、その校風にあります。キーワードで表すなら、「自主自律」「文武両道」「自由闊達」といった言葉がぴったりです。
生徒の自主性を重んじる文化が隅々まで浸透しており、校則はありますが、その運用は比較的緩やかだという声が多く聞かれます。例えば、スマートフォンの校内での扱いについては、授業中は電源OFFがルールですが、休み時間などに使用している生徒は多く、自己管理に任されている側面が強いようです。服装に関しても、制服(男子は学ラン、女子はセーラー服)の着こなしについて細かく指導されることは少なく、髪型も染色やパーマは禁止ですが、それ以外は基本的に自由です。この自由な雰囲気こそが、生徒たちの主体性を育む土壌となっています。
一方で、学習面では「進学校」としての厳しい側面もあります。特に週末に課される主要3教科の課題は量が多く、計画的に進めないと部活動との両立は大変かもしれません。授業の進度も速く、予習を前提に進められることが多いようです。しかし、この環境が「周りの友達も頑張っているから自分も頑張れる」という高い学習意欲につながっています。生徒たちは真面目で知的な好奇心が旺盛な人が多く、互いに高め合える関係性を築いています。
アルバイトは原則として禁止されていますが、家庭の事情など、やむを得ない場合は届出をすれば許可されることもあります。土曜授業については、理数科では通常授業があり、普通科でも希望者向けの進学補習(土曜講座)が開講されており、大学受験に向けたサポート体制が整っています。
松阪高等学校の部活動・イベント
勉強だけでなく、部活動や学校行事も高校生活を彩る大切な要素です。松阪高校の「文武両道」の精神は、ここにも色濃く表れています。
部活動
松阪高校では、運動部・文化部ともに非常に多くのクラブが活発に活動しており、加入率も高い水準にあります。全国レベルで活躍する部も少なくありません。
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弓道部:東海大会や全国大会の常連として知られる強豪部です。専用の弓道場はないものの、限られた環境の中で工夫を重ねて練習に励み、高い実績を上げています。その姿は、まさに「自主自律」の精神を体現していると言えるでしょう。
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吹奏楽部:各種コンクールで輝かしい成績を収めている県内トップレベルの部活動です。県の代表として東海大会に出場するほか、日本管楽合奏コンテスト全国大会で特別賞を受賞するなど、その実力は折り紙付きです。地域のイベントでの演奏も多く、学校の顔の一つとなっています。
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放送部:「NHK杯全国高校放送コンテスト」で優勝という快挙を成し遂げたこともある、全国にその名を知られる部活動です。アナウンスや番組制作など、専門的なスキルを磨くことができます。
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SSC(スーパーサイエンスクラブ):理数科の生徒が中心となり、SSHの課題研究を行う、いわば「研究部」です。ユニークなテーマを設定し、本格的な探究活動に取り組んでいます。
その他にも、陸上競技部、野球部、サッカー部、ダンス部などの運動部や、書道部、美術部、合唱部といった文化部も盛んに活動しており、生徒一人ひとりが輝ける場所がきっと見つかります。
イベント
松阪高校の学校行事は、生徒が主体となって企画・運営され、毎年大きな盛り上がりを見せます。
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松高祭(文化祭):例年9月上旬に開催される、学校最大のイベントです。クラスごとの展示やステージ発表、部活動の発表など、内容は多彩です。特に、市内の文化ホールを借りて行われるステージ発表は本格的で、準備期間からクラスの団結力が一気に高まります。
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体育感謝祭(体育祭):こちらも9月に行われることが多いイベントです。クラス対抗で様々な競技に臨み、学年やクラスの垣根を越えて応援に熱が入ります。松高祭と並び、最高の思い出になること間違いなしです。
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修学旅行:2年生の秋に実施されます。仲間と共に過ごす数日間は、高校生活の中でも特に忘れられない貴重な体験となるでしょう。
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スポーツ大会:学期末などに行われる球技大会です。勉強の合間のリフレッシュとして、またクラスの親睦を深める機会として、多くの生徒が楽しみにしています。
松阪高等学校の進学実績
進学校である松阪高等学校の生徒たちが、どのような未来へ羽ばたいていくのか、最新の大学進学実績を見ていきましょう。その高い教育レベルを裏付ける、素晴らしい結果が並んでいます。
ほとんどの生徒が4年制大学への進学を希望し、実際に毎年多くの生徒が難関大学への合格を果たしています。特に国公立大学への進学者が多いのが特徴です。
主な国公立大学合格実績(2025年入試結果より)
大学名 | 合格者数 |
東京大学 | 1名 |
一橋大学 | 1名 |
名古屋大学 | 9名 |
大阪大学 | 3名 |
神戸大学 | 3名 |
三重大学 | 61名 |
名古屋工業大学 | 3名 |
名古屋市立大学 | 7名 |
主な難関私立大学合格実績(2025年入試結果より)
大学群 | 主な大学名 | 合計合格者数 |
早慶上理 | 早稲田大学、上智大学、東京理科大学 | 4名 |
GMARCH | 明治大学、青山学院大学、立教大学、中央大学、法政大学 | 7名 |
関関同立 | 関西大学、関西学院大学、同志社大学、立命館大学 | 79名 |
その他東海地区 | 南山大学、名城大学、中京大学、愛知大学 | 100名 |
地元私立 | 皇學館大学、鈴鹿医療科学大学 | 110名 |
これらの輝かしい実績は、生徒自身の努力はもちろん、学校の手厚いサポート体制によって支えられています。授業時間を長く確保し、深い学びを促す「65分授業」、難関大学受験に対応する「土曜講座」や長期休暇中の課外授業、そしてSSH活動で培われる探究力や表現力。これらすべてが、生徒一人ひとりの夢の実現へとつながっています。
松阪高等学校の特長・アピールポイント
他の高校にはない、松阪高等学校ならではの強みやユニークな取り組みを7つのポイントにまとめました。
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SSH指定校としての高度な探究学習「松高力」の育成
文部科学省からスーパーサイエンスハイスクール(SSH)の指定を受け、学校全体で探究活動に取り組んでいます。これにより育まれる課題発見力や協働性、挑戦する力などを「松高力」と名付け、未来を切り拓く人材を育成しています。
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生徒の好奇心を刺激するユニークな課題研究
SSH活動では、「歌って覚えよう♪」や「肌の弱い人も使える消毒液の実用化」など、生徒が自ら設定したユニークなテーマで研究を行います。その成果は全校生徒の前で発表され、知的な刺激に満ちた環境が作られています。
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世界に目を向けるグローバルな研修プログラム
SSH活動の一環として、台湾への海外研修などを実施。現地の高校生との交流や、世界的な企業の視察を通して、国際的な視野を養う貴重な機会が用意されています。
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生徒を信頼する「自主自律」の校風
校則はありますが、その運用は生徒の主体性に任されています。この自由な校風が、自分で考えて行動する力、自己管理能力を育み、大学進学後にも生きる大きな財産となります。
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全国レベルで活躍する文武両道の部活動
放送部が全国優勝を果たすなど、部活動の実績は全国トップレベルです。弓道部や吹奏楽部なども常に高いレベルで活動しており、勉強と両立しながら本気で打ち込める環境があります。
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学びを深める「65分授業」
1コマ65分・1日5限という独自の授業スタイルを採用。これにより、一つ一つの授業でじっくりと時間をかけて、表面的な知識だけでなく、物事の本質に迫る深い学びを実践できます。
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切磋琢磨できる、意識の高い仲間との出会い
在校生や卒業生が口を揃えて「良かった」と語るのが、友人の存在です。真面目で、優しく、知的な仲間に囲まれることで、学習意欲が自然と高まり、充実した3年間を送ることができます。
松阪高等学校の口コミ・評判のまとめ
実際に通っている先輩や卒業生たちは、松阪高校での生活をどのように感じているのでしょうか。良い点と、少し気になる点を公平にまとめてみました。
良い点
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「先生方がとても熱心で、質問に行くと丁寧に教えてくれる」という声が非常に多いです。進路相談にも親身に乗ってくれるなど、サポートの手厚さが評価されています。
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「周りの友達のレベルが高く、良い刺激をもらえる」「一生付き合える最高の友達ができた」など、質の高い友人関係を築ける点を挙げる人が後を絶ちません。
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「松高祭などの行事が本当に楽しくて、クラスの団結力が強まる」と、学校行事への満足度は非常に高いです。
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「自由な校風が自分に合っていた。自分で考えて行動する力が身についた」と、自主自律の精神を体現できる環境を魅力に感じる声が多数あります。
気になる点
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「とにかく課題が多い。特に週末課題は大変で、計画的にやらないと終わらない」という意見は、多くの生徒が感じることのようです。
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「授業のスピードが速いので、一度つまずくと追いつくのが大変」という声も。日々の予習・復習が欠かせないようです。
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「先生たちの進学実績へのプレッシャーを強く感じることがある」といった、いわゆる「自称進学校」的な側面を指摘する意見も一部で見られます。
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「最寄り駅が普通しか停まらないので、電車の本数が少ないのが少し不便」といった、通学に関する声もあります。
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「私立高校に比べると、施設が少し古いと感じる部分がある」という意見も見受けられました。
アクセス・通学
松阪高等学校への通学方法を確認しておきましょう。多くの生徒が電車やバスなどの公共交通機関を利用しています。
交通手段 | 最寄り駅/バス停 | 所要時間 |
近鉄山田線 | 東松阪駅 | 徒歩約10分 |
JR紀勢本線 | 徳和駅 | 徒歩約20分 |
三重交通バス | 松阪高校前 | 徒歩約3~5分 |
三重県の学区制に基づき、主に松阪市、伊勢市、多気郡、度会郡などを含む「南部学区」からの通学者が中心ですが、「中部学区」である津市などからも通学が可能です。様々なエリアから生徒が集まっており、電車と自転車を組み合わせて通学する生徒も多いようです。
松阪高等学校受験生へのワンポイントアドバイス
ここまで読んでくれて、ありがとうございます。最後に、進学アドバイザーとして、松阪高等学校を目指す君にエールを送ります。
松阪高等学校は、「誰かにやらされる勉強」ではなく、「自分で掴み取りにいく学び」をしたいと考える君に、最高の環境を提供してくれる学校です。もし君が、高い目標を持ち、自由な環境で自分を試してみたい、そして何より学ぶことが好きだという気持ちがあるなら、この学校は間違いなく君を大きく成長させてくれるでしょう。
受験勉強においては、まず中学校の学習内容を完璧に固めることが何よりも大切です。特に、英語・数学・国語の基礎学力は、入学後のハイスピードな授業についていくための必須条件となります。理数科を目指すなら、数学と理科の応用問題にも積極的にチャレンジし、「なぜそうなるのか」を自分の言葉で説明できるレベルまで理解を深めておきましょう。大変な道のりですが、松阪高等学校で待っているのは、刺激的な授業、全国レベルの部活動、そして一生の宝物になる仲間たちです。その素晴らしい3年間を思い描きながら、最後まで頑張り抜いてください。応援しています!
※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。