高校選びは、これからの3年間、そしてその先の未来を考える上で、とても大切な一歩ですね。たくさんの選択肢の中から、「ここだ!」と思える学校を見つける旅の途中にいる中学生の皆さんと、その保護者の皆様を心から応援しています。今回ご紹介する石川県立七尾高等学校は、地元で「七高(ななこう)」の愛称で親しまれ、能登地方を代表する進学校として、1世紀以上の長い歴史と輝かしい伝統を誇る学校です。
しかし、七尾高等学校の魅力は、その歴史や進学実績だけではありません。勉強はもちろんのこと、部活動や学校行事にも全力で打ち込む「文武両道」の精神が息づいており、生徒一人ひとりが主役になれる場所です。伝統を大切にしながらも、スーパーサイエンスハイスクール(SSH)事業など、未来を見据えた先進的な教育にも力を入れている、まさに「伝統と革新」が共存する学び舎と言えるでしょう。
この記事では、そんな七尾高等学校がどんな学校なのか、偏差値や難易度といった受験情報から、在校生のリアルな声に基づいた校風、充実した学校生活の様子まで、皆さんが本当に知りたい情報を、一つひとつ丁寧に解き明かしていきます。この記事を読み終える頃には、七高での高校生活を具体的にイメージし、自分にとって最高の選択をするためのヒントが見つかるはずです。
七尾高等学校の基本情報
まずは、学校の基本的な情報を確認しておきましょう。いざという時に役立つ連絡先や公式サイトは、ブックマークしておくと便利ですよ。
項目 | 内容 |
正式名称 | 石川県立七尾高等学校 |
公立/私立の別 | 公立 |
共学/男女の別 | 共学 |
所在地 | 〒926-0817 石川県七尾市西藤橋町エ1番地1 |
代表電話番号 | 0767-52-3187 |
公式サイトURL | https://cms1.ishikawa-c.ed.jp/nanaoh/ |
七尾高等学校の偏差値・難易度・併願校
七尾高等学校を目指す上で、まず気になるのが学力的な難易度ですよね。ここでは偏差値や内申点の目安、そして一緒に受験されることが多い併願校について見ていきましょう。
学科・コース別偏差値
高校の偏差値は、模試を実施する会社によって少しずつ数値が異なります。これは、受けている模試の受験者層が違うためです。複数のデータを参考に、大まかな位置づけを把握するのがおすすめです。
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進研ゼミのデータ (2024年度模試参考)
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理数科:55~59
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普通科:50~54
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普通科文系フロンティアコース:50~54
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その他の情報サイトのデータ
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七尾高校全体:61~65
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これらの数字から、七尾高等学校が石川県内でも学力レベルの高い、しっかりとした準備が必要な高校であることがわかります。特に理数科は、より高い学力が求められる傾向にあります。
難易度のイメージと内申点の目安
偏差値だけでは、具体的な目標が立てにくいかもしれません。そこで、合格した先輩たちの内申点(9教科45点満点)を見てみましょう。これはあくまで一例ですが、中学時代にどれくらいの成績が必要かの参考になります。
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理数科に合格した先輩の例: 中1から中3まで、ほぼオール5に近い43~44点をキープ。
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普通科(文系フロンティア含む)に合格した先輩の例: 中1から中3まで、40点台前半を維持しているケースや、30点台半ばで合格しているケースもあります。
ここから見えてくるのは、非常に高い内申点を持つ生徒がいる一方で、3年間真面目にコツコツと勉強を積み重ねてきた生徒にも、十分に合格のチャンスがあるということです。ただし、いくつかの情報からは、入学時の合格ラインと、入学後に授業についていくために必要な学力には少し差がある可能性も示唆されています。特に、数学と英語は授業の進度が速く、課題も多いため、この2教科の基礎を中学のうちにしっかりと固めておくことが、入学後のスムーズなスタートにつながる鍵と言えそうです。
主な併願校
石川県の公立高校入試では、基本的に1校しか受験できません。そのため、万が一に備えて私立高校を併願するのが一般的です。七尾高等学校を受験する生徒がよく併願する私立高校は以下の通りです。
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星稜高等学校(普通科Aコース、Bコース)
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鵬学園高等学校(普通科アドバンスコース、スタンダードコース)
これらの高校のオープンキャンパスにも参加し、自分に合う学校かどうかを確かめておくと、安心して本番に臨めるでしょう。
七尾高等学校に設置されている学科・コース
七尾高等学校には、生徒一人ひとりの興味や進路希望に合わせて専門性を深められる、魅力的な3つの学科・コースが設置されています。
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普通科
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文系・理系のバランスが取れたカリキュラムで、幅広い大学進学に対応できる学力の土台を築きます。特定の分野に絞りきれていない人や、部活動と勉強を両立させながらじっくり進路を考えたい人におすすめです。
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普通科 文系フロンティアコース (NSH)
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英語や国語、社会科系科目を深く学び、国際社会で活躍できる人材を目指すコースです。英語でのコミュニケーション能力向上に特化したプログラムや、イギリスへの海外研修が大きな特長。将来、国際関係の仕事や語学を活かした職業に就きたい人にぴったりです。
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理数科 (SSH)
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文部科学省から「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」に指定されている、理数系のスペシャリストを育成するコースです。大学のような本格的な課題研究や実験に取り組み、「自ら探究する力」を徹底的に鍛えます。科学や数学が大好きで、将来は研究者や技術者になりたいという強い意志を持つ人におすすめです。
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七尾高等学校の特色・校風
七高の本当の魅力は、数字だけでは測れない学校の雰囲気や文化にあります。在校生や卒業生の声を基に、その素顔に迫ってみましょう。
キーワードで見る校風: 文武両道、探究心、イベントガチ勢、伝統と革新
リアルな学校生活Q&A
中学生の皆さんが気になるポイントを、口コミを基にまとめました。
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宿題の量は多い?少ない?
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「多い」という声が圧倒的多数です。特に予習・復習を前提とした授業が多く、「予習は絶対にしないと置いていかれる」という声も。一部では「ブラック自称進学校」と表現されるほど課題に追われる感覚を持つ生徒もいるようです。
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一方で、「部活をしている人でもこなせる量」「やる価値のある課題ばかり」という意見もあり、本人のやる気や要領次第で、成長の糧にできると捉えている生徒も多いようです。入学前から、毎日コツコツと机に向かう習慣をつけておくことが大切です。
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校則は厳しい?緩やかか?
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全体的には、他の進学校と比較して標準的か、やや厳しいと感じる生徒が多いようです。
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特に厳しいのがスマートフォンの扱いです。校内への持ち込みは許可されていますが、朝のホームルームで先生に預け、帰りに返却されるのがルール。校内での使用は原則禁止で、破ると指導の対象となります。
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服装については、女子の制服のスカート丈などは比較的厳しくチェックされることがあるようです。
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生徒たちの雰囲気は?
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「ガリ勉ばかりの静かな学校」というイメージを持つ人もいるかもしれませんが、それは少し違うようです。「いわゆる陽キャもたくさんいる」という声が多く、真面目な生徒、活発な生徒、物静かな生徒など、多様な個性を持つ生徒が集まっています。
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共通しているのは、勉強や部活、行事など、何事にも真剣に取り組む姿勢です。お互いを高め合える仲間がたくさんいる、というのが七高生の雰囲気のようです。
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アルバイトは可能?
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校則で明確に禁止されているかは情報がありませんが、これだけ宿題や予習が多い環境を考えると、学業との両立はかなり難しいと考えられます。基本的には学業に専念することが求められるでしょう。
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制服の評判は?
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男子は一般的な黒の学ランです。
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女子は、伝統的な紺色のセーラー服で、これが学校の象徴の一つにもなっています。クラシカルで品があると評判で、この制服に憧れて入学する生徒もいるようです。スカーフの結び方に少し特徴があるなど、歴史を感じさせるデザインです。
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土曜授業はある?
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平常授業として土曜授業があるという情報はありませんが、模試や補習、部活動の練習などで土曜日に登校することは頻繁にあるようです。特に受験学年になると、学校での学習サポートが手厚くなります。
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七尾高等学校の部活動・イベント
勉強だけが高校生活ではありません。七高では、仲間との絆を深める部活動や、学校全体が熱狂するイベントも大きな魅力です。
部活動
運動部、文化部ともに非常に活発で、多くの生徒が加入し、文武両道を実践しています。全国レベルで活躍する部も少なくありません。
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特に有名な部活動
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ボート部: かつてインターハイや全国高校選抜大会で優勝経験のある、全国屈指の強豪です。
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空手道部: 20年連続でインターハイに出場したという輝かしい実績を誇ります。礼儀と精神力を鍛えたい人には最高の環境です。
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男子バスケットボール部: 過去にインターハイで準優勝した経験を持つ伝統ある部です。
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SSC (スーパーサイエンスクラブ): 理数科の生徒が中心となり、SSH事業の一環として高度な研究活動を行う珍しい部です。他校と合同で環境DNAの調査を行うなど、本格的な科学探究ができます。
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この他にも、野球、サッカー、ダンス、吹奏楽、書道など、たくさんの部活動があり、それぞれが目標に向かって熱心に活動しています。
イベント
七高のイベントは、生徒が主体となって創り上げる「本気」のイベントばかり。その熱気は、在校生から「イベントガチ勢」と言われるほどです。
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七高祭(文化祭・体育祭)
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8月末から9月にかけて行われる、学校最大のイベントです。文化祭は2日間、体育祭は1日間の日程で、準備期間から学校中がお祭りムードに包まれます。
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文化祭では、各クラスが趣向を凝らした模擬店や展示、ステージ発表で盛り上がります。吹奏楽局やダンス部などのパフォーマンスは圧巻です。保護者や地域の方々も多く訪れ、大変な賑わいを見せます。
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体育祭の名物は、各団が伝統の演舞を披露する「応援合戦」。夏休みから練習を重ねた応援は迫力満点で、団の誇りをかけた真剣勝負が繰り広げられます。体育祭後には、有志参加の「後夜祭」が開かれ、最後の最後まで盛り上がります。
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修学旅行
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2年生の秋に実施されます。近年では北海道や九州などを訪れています。単なる観光旅行ではなく、九州大学のキャンパスを訪問したり、長崎の平和公園で平和学習を行ったりと、学びの要素がふんだんに盛り込まれているのが七高流です。もちろん、友人との自主研修やレクリエーションなど、最高の思い出を作る時間もたっぷりあります。
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その他の行事
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春の遠足、校内球技大会、校内陸上競技大会など、年間を通して様々な行事が計画されており、クラスの団結力を高める機会がたくさんあります。
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七尾高等学校の進学実績
能登地方随一の進学校として、七尾高等学校は国公立大学を中心に非常に高い進学実績を誇ります。生徒の努力と、先生方の熱心なサポートの賜物です。
最新の大学進学実績(2024年春・抜粋)
最新の合格実績を見ると、難関大学にも多くの合格者を出していることがわかります。
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国公立大学
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口コミでも「国公立志向が強い」と言われる通り、多くの生徒が国公立大学を目指し、見事合格を勝ち取っています。
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特に旧帝国大学(東大、京大、阪大、名大、東北大、九大、北大)には、2024年に合計15名が合格(京大2名、阪大5名、名大2名、東北大2名、九大1名、北大3名)という素晴らしい結果を残しました。
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地元の最難関である金沢大学には、毎年非常に多くの合格者を出しており、医学部医学科への合格者もいます。その他、富山大学や福井大学といった北陸の大学にも多数進学しています。
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難関私立大学
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早稲田大学、慶應義塾大学といった最難関私立大学や、同志社大学、立命館大学などの「関関同立」にも、毎年安定して合格者を出しています。
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進学実績を支える取り組み
高い進学実績の背景には、七高ならではの手厚いサポート体制があります。
特に、理数科の「SSH(スーパーサイエンスハイスクール)」事業と、文系フロンティアコースの「NSH(ニュースーパーハイスクール)」事業が大きな役割を果たしています。これらのコースでは、単なる知識の暗記ではなく、自ら課題を見つけ、仮説を立て、検証し、発表するという「探究学習」を深く行います。このプロセスを通じて培われる論理的思考力や表現力は、大学入試の小論文や面接、さらには大学入学後の研究活動にまで直結する、一生モノの力となります。
また、平常の授業以外にも、放課後や長期休暇中の補習・講習が充実しており、分からないことがあれば先生に質問に行くと、いつでも熱心に指導してくれるという声が多数寄せられています。この「生徒のやる気に応える」文化が、七高の進学力を支えているのです。
七尾高等学校の特長・アピールポイント
他の高校にはない、七尾高等学校ならではの強みやユニークな取り組みをまとめました。
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長年の実績を誇るSSH指定校
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2004年から続くスーパーサイエンスハイスクール指定校としての豊富な経験と実績があります。理数科では、シンガポールの高校との共同研究など、世界レベルの科学教育を体験できます。
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世界へ羽ばたく文系フロンティアコース
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国際社会で活躍することを目指し、英語でのコミュニケーション能力を徹底的に鍛えるコースです。ハイライトはイギリスへの海外研修で、ホームステイや現地学生との交流を通じて、生きた英語と異文化を学びます。
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文理の枠を超える「融合プロジェクト」
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理数科と普通科の生徒が協力し、「能登の課題解決」といった現実的なテーマに取り組む、ユニークな探究活動です。多様な視点を持つ仲間との協働を通じて、これからの社会で求められる問題解決能力を養います。
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全校が一体となる熱狂の「七高祭」
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生徒が主体となって創り上げる学校祭は、学校生活一番の思い出になること間違いなし。特に体育祭の応援合戦は、七高の伝統と生徒のエネルギーが爆発する圧巻のイベントです。
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生徒の主体性を引き出す手厚いサポート
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課題が多く大変な面もありますが、それは生徒の力を信じているからこそ。自ら質問に行ったり、助けを求めたりする生徒に対しては、先生方がどこまでも親身にサポートしてくれます。受け身ではなく、自ら学ぶ姿勢が身につきます。
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全国レベルで活躍する伝統の部活動
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ボート部や空手道部をはじめ、全国大会で輝かしい成績を収めてきた部活動が複数あります。高いレベルでスポーツに打ち込みたい生徒にとって、最高の環境が整っています。
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七尾高等学校の口コミ・評判のまとめ
最後に、在校生や卒業生から寄せられた「良い点」と「気になる点」を公平にまとめて紹介します。学校選びの参考にしてください。
良い点
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「先生方のサポートが手厚い。自分から質問に行けば、とても熱心に教えてくれる」という声が非常に多いです。
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「七高祭などの行事が本当に楽しく、クラスや団の団結力が強い。最高の思い出ができる」。
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「勉強も部活も本気でやりたい人には最高の環境。同じ目標を持つ仲間と切磋琢磨できる」。
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「理数科や文系フロンティアコースでは、他ではできないような専門的で面白い学びができる」。
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「真面目なだけでなく、明るく面白い人も多く、多様な友達ができる」。
気になる点
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「とにかく宿題、予習、復習の量が多い。慣れるまでは本当に大変」という意見は覚悟しておいた方が良さそうです。
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「課題が多すぎて、自分のやりたい勉強をする時間がないと感じることがある」という声もあります。
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「スマホの校内使用が禁止など、校則が少し厳しいと感じる部分がある」。
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「先生方は熱心な方が多いが、中には少し厳しい先生や、授業が分かりにくい先生もいる」という正直な意見も見られます。
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「学校のレベルについていくには、本人の強い意志と努力が不可欠。受け身の姿勢だと苦しくなるかもしれない」。
アクセス・通学
七尾高等学校は能登地方の中心に位置し、広いエリアから生徒が通学しています。
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最寄り駅
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JR七尾線・のと鉄道七尾線「七尾駅」
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駅からのアクセス
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七尾駅から徒歩で約9~10分です。多くの生徒が駅から歩いて通学しています。
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バスでのアクセス
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「小丸山公園下」バス停など、学校の近くに複数のバス停があります。
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通学エリアの傾向
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七尾市内からはもちろん、能登半島の各地から電車やバスを利用して通学している生徒がたくさんいます。
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七尾高等学校受験生へのワンポイントアドバイス
ここまで読んでくれて、ありがとうございます。七尾高等学校の魅力、そして少し大変なところも、リアルに伝わったでしょうか。
最後に、進学アドバイザーとして、皆さんへ応援のメッセージを送ります。七尾高等学校は、「高校で何かを成し遂げたい」「自分を成長させたい」と強く願う君にこそ、おすすめしたい学校です。ただ言われたことをこなすのではなく、自ら「なぜ?」と考え、探究していく面白さを知りたい人。高い目標に向かって一緒に頑張れる仲間が欲しい人。そして、勉強も行事も部活も、全部に全力で打ち込む、そんな熱い3年間を送りたい人。そんな君にとって、七尾高等学校は最高の舞台になるはずです。
受験勉強では、5教科をバランス良く学習することが基本ですが、特に七高での学びを考えると「英語」と「数学」の基礎力は非常に重要になります。この2教科は、入学後の探究活動やハイレベルな授業の土台となるからです。今のうちから苦手分野をなくし、得意分野はさらに伸ばしておきましょう。高校選びは未来の自分への大切な投資です。ぜひ一度、学校説明会や七高祭に足を運んで、その活気ある雰囲気を肌で感じてみてください。応援しています!
※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。