福井県立若狭高等学校は、120年以上の輝かしい歴史と、未来を見据えた革新的な学びが共存する、とても魅力的な学校です。そのルーツは江戸時代の小浜藩の藩校「順造館」にまで遡り、地域に深く根差した伝統を今に伝えています。歴史と伝統を大切にしながらも、常に新しい挑戦を続けているのが若狭高校の大きな特長です。
スーパーサイエンスハイスクール(SSH)としての先進的な研究活動や、地域の宝である海を探究する海洋科学科でのユニークな学びは、皆さんの知的好奇心を大いに刺激してくれるでしょう。医師を目指す生徒から漁師を目指す生徒まで、多様な夢を持つ仲間たちが集まるこの場所で、あなただけの可能性を見つけてみませんか。
この記事では、そんな福井県立若狭高等学校のリアルな姿を、中学生の皆さんや保護者の方々に分かりやすくお伝えします。学校選びは、これからの自分を形作る大切な一歩です。この情報が、あなたの素晴らしい未来への扉を開くきっかけになることを心から願っています。
若狭高等学校の基本情報
まずは、学校の基本的な情報を確認しておきましょう。見学や問い合わせの際に役立ててください。
項目 | 内容 |
正式名称 | 福井県立若狭高等学校 |
公立/私立の別 | 公立 |
共学/別学 | 男女共学 |
所在地 | 〒917-0072 福井県小浜市千種一丁目6-13 |
代表電話番号 | 0770-52-0007 |
公式サイトURL | http://www.wakasa-h.ed.jp/ |
若狭高等学校の偏差値・難易度・併願校
高校選びで気になるのが、やはり偏差値や難易度ですよね。ここでは、具体的な数字だけでなく、合格に向けての目安や併願校についても詳しく解説します。
若狭高等学校には複数の学科があり、それぞれで偏差値が異なります。複数の情報を参考にすると、おおよその目安は以下のようになります。
-
文理探究科:
-
普通科:
-
海洋科学科:
文理探究科は、福井県内では金津高等学校や羽水高等学校の探究特進科などが同じくらいのレベル感として挙げられます。一方、普通科や海洋科学科は、それぞれ異なる目標を持つ生徒たちが集まるため、偏差値にも幅があります。この多様性こそが、若狭高等学校の大きな魅力の一つと言えるでしょう。
福井県の公立高校入試では、学力検査(500点満点)と内申点(中学3年生の9教科の成績で45点満点)で合否が総合的に判断されます。合格の目安として、文理探究科を目指すなら学力検査で360点前後、内申点は36/45点以上あると心強いでしょう。普通科は320点前後、内申点32/45点あたりが一つの目標になります。もちろん、これはあくまで目安なので、日々の学習を大切に積み重ねていくことが最も重要です。
福井県では公立高校を複数併願することは一般的ではないため、併願校は私立高校から選ぶことになります。若狭高校を受験する生徒の多くが併願先として検討するのが、同じ嶺南地区にある敦賀気比高等学校です。敦賀気比高校は、全国的に有名な野球部をはじめスポーツが盛んなだけでなく、近年は進学にも力を入れており、特進コースなどを設置しています。若狭高校とはまた違った校風なので、オープンキャンパスなどに参加して、自分に合う環境か見極めるのがおすすめです。
若狭高等学校に設置されている学科・コース
若狭高等学校には、皆さんの興味や将来の夢に合わせて選べる、特色豊かな3つの学科があります。それぞれの学科でどんなことが学べるのか、見ていきましょう。
-
文理探究科
-
より高いレベルの学問を探究し、難関大学進学を目指す学科です。2年生になると、さらに専門的な2つのコースに分かれます。
-
国際探究科: 人文科学や社会科学を中心に、語学力や論理的思考力を鍛えます。将来、国際的な舞台で活躍したい人におすすめです。
-
理数探究科: スーパーサイエンスハイスクール(SSH)の中核を担うコースで、科学的な探究活動に重点を置いています。科学技術の分野で未来を切り拓きたい人にぴったりです。
-
-
普通科
-
国語・社会・数学・理科・英語の5教科をバランス良く学び、幅広い進路に対応できる学力を身につけます。習熟度別授業や少人数授業があり、一人ひとりに合わせた丁寧な指導が受けられます。
-
まだ将来の夢がはっきり決まっていない人や、大学進学から就職まで、幅広い選択肢の中からじっくり自分の道を選びたい人におすすめです。
-
-
海洋科学科
-
文部科学省から「マイスター・ハイスクール」に指定されている、全国でも珍しい学科です。地域の水産業を未来の成長産業にするため、最新技術や新しい価値を生み出すセンスを磨きます。
-
海や生き物、食に興味がある人、そして、座学だけでなく、実習やプロジェクトを通して実践的に学びたい人に、最高の環境が用意されています。JAXAの「宇宙日本食」に認証された「鯖味付け缶詰」も、この学科の生徒たちの研究から生まれました。
-
若狭高等学校の特色・校風
学校全体の雰囲気は、一言でいえば「多様性の尊重」です。キーワードは、「異質のものに対する理解と寛容」「文武両道」「伝統と革新」「地域との連携」といった言葉で表せます。
この学校の最も大切な教育目標は、「異質のものに対する理解と寛容」です。偏差値の項目でも触れたように、若狭高校には様々な学力層、異なる目標を持つ生徒たちが集まっています。この多様な環境の中で、互いの違いを認め、尊重し合いながら共に学ぶことを通して、人間的に大きく成長できるのが最大の特色です。
では、中学生の皆さんが気になる学校生活のリアルな部分を、口コミなどを基に見ていきましょう。
-
宿題の量・授業のペース: 授業のスピードは、特に進学を目指すコースでは「とにかく速い」という声があります。予習・復習は必須で、「予習してないと授業について行けない」と感じる生徒もいるようです。ただし、これは高い進学実績を支える裏返しでもあり、先生や友人に質問すれば優しく教えてくれる雰囲気があるため、真面目に取り組む生徒にとっては力を伸ばせる環境です。
-
校則: 全体的に、落ち着いた学習環境を重視する傾向があるようです。
-
スマホ: 「登校時に電源をOFFにし、カバンに入れておく」のがルールです。授業に集中するための決まりと捉えましょう。
-
アルバイト: 原則として禁止されています。長期休暇中など、特別な事情がある場合は許可されることもあるようですが、基本的には学業と部活動に専念することが期待されています。
-
口コミでは「校則が厳しすぎる」という意見も見られますが、これは学校が学業に集中できる環境を大切にしていることの表れとも言えます。
-
-
生徒たちの雰囲気: 真面目に勉強に取り組む生徒が多い一方で、部活動や学校行事に全力で打ち込む活発な生徒もたくさんいます。様々なタイプの生徒が互いに刺激し合いながら学校生活を送っているようです。
-
制服: デザインが新しくなり、「よくなった」という評判があるようです。
-
土曜授業: オープンスクールや模試などが土曜日に行われることがあります。
若狭高等学校の部活動・イベント
部活動
若狭高等学校は「文武両道」を掲げており、部活動が非常に盛んです。部活動加入率は90%以上と非常に高く、ほとんどの生徒が何らかの活動に打ち込んでいます。運動部18、文化部14と、選択肢が豊富なのも魅力です。
特に全国レベルで活躍する部活動も多く、学校の誇りとなっています。
-
ラグビー部: 「花園」こと全国高校ラグビー大会に10回以上の出場経験を誇る強豪です。力強いプレーは多くの生徒に勇気を与えています。
-
野球部: かつては甲子園の常連校で、春の選抜ベスト4や国体優勝など輝かしい歴史を持ちます。元阪神タイガースの川藤幸三さんをはじめ、多くのプロ野球選手を輩出しています。
-
ボート部: 全国高校総体(インターハイ)で優勝経験もある全国トップクラスの実力です。小浜の美しい水辺で練習に励み、毎年素晴らしい成績を収めています。
-
かるた部: 文化部ながら、競技かるたの全国大会に出場する実力派です。集中力と瞬発力が試される熱い戦いを繰り広げています。
-
スキューバダイビング部: 全国でも珍しい部活動です。海洋科学科と連携し、若狭の豊かな海を舞台に活動できるのは、この学校ならではの特権と言えるでしょう。
イベント
若狭高校の学校生活を彩るイベントは、どれも生徒が主役で、大きな盛り上がりを見せます。
-
学校祭: 9月に行われる、一年で最も大きなイベントです。文化祭と体育祭が連続して開催され、学校全体が熱気に包まれます。文化祭では、各クラスが趣向を凝らした企画や展示、ステージ発表を行い、準備期間からクラスの団結力が高まります。体育祭では、色別のチームに分かれて様々な競技に挑み、学年を超えた交流が生まれます。
-
合唱コンクール: 7月に市の文化会館の大きなホールで行われる本格的なイベントです。各クラスが課題曲と自由曲を練習し、美しいハーモニーを響かせます。クラス一丸となって一つのものを作り上げる達成感は格別です。
-
研修旅行(修学旅行): 生徒たちにとって忘れられない思い出となる一大イベントです。
-
強歩大会: 長い距離を歩き通す、若狭高校の伝統行事の一つ。体力と精神力が鍛えられます。
これらの行事は、勉強だけでは得られない貴重な経験と、一生の友人との絆を育む大切な機会となっています。
若狭高等学校の進学実績
伝統的に進学校としての評価が高い若狭高等学校は、手厚い進路指導と生徒一人ひとりの努力により、毎年優れた進学実績を上げています。学校には「キャリアサポートセンター」が設置され、きめ細やかなサポートを行っています。
最新の大学進学実績(2023年度卒業生)をいくつかご紹介します。
-
国公立大学:
-
福井大学 21名(うち医学科1名)、福井県立大学 9名、敦賀市立看護大学 4名、神戸大学 2名、広島大学 2名、金沢大学 2名、大阪教育大学 3名、京都教育大学 3名など、地元の大学を中心に多数の合格者を出しています。
-
-
難関私立大学:
-
関西圏では、立命館大学 5名、関西大学 2名、関西学院大学 2名、近畿大学 5名、龍谷大学 5名、京都産業大学 7名など。
-
首都圏では、早稲田大学 1名、立教大学 1名、専修大学 2名など、全国の有名私立大学にも合格しています。
-
-
その他の進路:
-
大学進学だけでなく、短期大学や、若狭高等看護学院(7名)などの看護・医療系専門学校、さらには公務員(福井県警察 3名、小浜市役所 2名)や地元優良企業への就職など、多様な進路を実現しています。
-
これらの実績は、文理探究科でのハイレベルな授業はもちろん、普通科での習熟度別授業や、SSH活動、高大連携プログラムなど、学校全体で学力を高めるための様々な取り組みが実を結んだ結果と言えるでしょう。
若狭高等学校の特長・アピールポイント
他の高校にはない、若狭高等学校ならではの強みやユニークな取り組みを7つのポイントにまとめました。
-
スーパーサイエンスハイスクール(SSH)指定校
大学レベルの本格的な科学研究に挑戦できます。地域の豊かな自然や資源をテーマにした探究活動は、科学的な思考力を養い、理系進学に大きな強みとなります。
-
宇宙食にもなった海洋科学科の研究
生徒たちが開発した「鯖味付け缶詰」がJAXAの宇宙日本食に認証されたことは、学校の革新性を象徴する出来事です。本物の課題に挑戦できる、実践的な学びがここにあります。
-
「マイスター・ハイスクール」としての専門教育
海洋科学科は、次世代の地域産業を担う専門家(マイスター)を育成する拠点として国から指定されています。最先端の知識と技術を学び、地域に貢献できる人材を目指せます。
-
藩校から続く120年以上の歴史と伝統
江戸時代の藩校「順造館」の門を正門として受け継いでいることからも分かるように、地域に根差した長い歴史と文化が学校の誇りです。この伝統が、生徒たちの品格を育みます。
-
多様な仲間と学ぶ「異質の尊重」という教育理念
進学目標も興味も異なる多様な生徒たちが、同じ校舎で学び、互いを認め合う校風は、人間的な視野を広げ、協調性を育む最高の環境です。
-
充実した高大連携と新設の学生寮
東京大学や横浜国立大学といったトップ大学との連携協定により、質の高い学びに触れる機会が豊富にあります。また、2023年に完成した綺麗な学生寮「若竹寮」は、遠方からの生徒も安心して学校生活に集中できる環境を提供します。
-
全国レベルで活躍する活発な部活動
ラグビー部、ボート部、野球部、かるた部など、多くの部が全国を舞台に活躍しています。「文武両道」を本気で目指せる環境が整っています。
若狭高等学校の口コミ・評判のまとめ
在校生や卒業生のリアルな声は、学校選びの貴重な参考になります。ここでは、様々な口コミを公平にまとめてみました。
-
良い点
-
「先生方は親切で、熱心な方が多いです。人数が少ない分、きめ細かい指導をしてもらえます」という、手厚いサポートを評価する声が多数あります。
-
「文武両道が実践できる学校。部活動も強く、進学率も高い」と、勉強と部活動の両立が可能な点を魅力に感じる意見が多いです。
-
「想像していたより成長できる場です。先生も優しい先生ばかり」など、入学後の満足度の高さがうかがえる声もあります。
-
学校行事が楽しく、クラスの団結力が強いと感じる生徒も多いようです。
-
-
気になる点
-
「授業のスピードが速く、予習・復習が欠かせない」という声があり、自主的な学習習慣が求められるようです。
-
「校舎の老朽化が進んでいる」といった、施設が少し古いという意見が見られます。
-
「周りに本当に何もない。コンビニすらない」と、学校周辺の環境を少し不便に感じる声もあります。
-
「校則が厳しすぎる」と感じる生徒もいるようです。特にスマホの扱いやアルバイトに関するルールは、事前に確認しておくと良いでしょう。
-
「地域の中学校から固まって進学してくる生徒が多く、他の地域から来た人は馴染みにくいことがあるかもしれない」という人間関係に関する指摘もありました。
-
アクセス・通学
若狭高等学校への主なアクセス方法は以下の通りです。
-
鉄道: JR小浜線「小浜駅」から徒歩約10〜13分。
-
バス: あいあいバス「小浜二中前」停留所から徒歩約4分。
若狭高校は地域の拠点となる学校であり、生徒のほとんどは小浜市、若狭町、おおい町、高浜町といった若狭地域から通学しています。これらの地域から多くの仲間が集まるため、学校を中心としたコミュニティが形成されています。
若狭高等学校受験生へのワンポイントアドバイス
ここまで読んでくれてありがとうございます。最後に、進学アドバイザーとして、若狭高等学校を目指す皆さんへメッセージを送ります。
若狭高等学校は、「知的好奇心が旺盛で、自分とは違う考え方を持つ仲間と共に成長したい」と考えるあなたに、最高の場所です。伝統を重んじながらも、宇宙食開発のような新しい挑戦を恐れない。そんな刺激的な環境に身を置きたいなら、ぜひ若狭高校を目指してください。ここには、あなたの可能性を最大限に引き出してくれる土壌があります。
受験勉強では、まず5教科の基礎を徹底的に固めることが大切です。福井県の入試では内申点も重要なので、中学3年生の定期テストや提出物にも真剣に取り組みましょう。そして、若狭高等学校の授業ペースに備え、今のうちから「予習→授業→復習」という学習サイクルを習慣づけておくと、入学後、大きなアドバンテージになります。大変なこともあると思いますが、夢に向かって努力する日々は、あなたを必ず成長させてくれます。応援しています!
※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。