ラ・サール高等学校は、鹿児島県にありながら、その名は全国に轟く日本屈指の進学校です。毎年、日本各地からトップクラスの学力と高い志を持つ少年たちが集い、互いに切磋琢磨する環境は、まさに「知の殿堂」と呼ぶにふさわしいでしょう。その圧倒的な大学進学実績、特に東京大学や京都大学、そして医学部への合格者数は、多くの受験生にとって憧れの的となっています。

しかし、ラ・サール高等学校の真の魅力は、その学力だけにとどまりません。多くの生徒が経験する寮生活を通じて育まれる深い友情、困難に立ち向かう精神力、そして自らを律する力は、一生涯の財産となります。勉強はもちろんのこと、個性豊かな学校行事や部活動に全力で打ち込む中で、生徒たちは人間的に大きく成長していきます。この学校での経験は、単なる大学受験のための3年間ではなく、人生の礎を築くための濃密な時間となるのです。

この記事では、そんなラ・サール高等学校がどのような学校なのか、偏差値や進学実績といったデータから、在校生や卒業生の声に基づいたリアルな学校生活まで、進学アドバイザーの視点から徹底的に解説していきます。この記事を読めば、なぜラ・サールがこれほどまでに多くの優秀な生徒を惹きつけ、社会のリーダーを輩出し続けるのか、その理由がきっと見えてくるはずです。

ラ・サール高等学校の基本情報

まずは、学校の基本的な情報を確認しておきましょう。問い合わせや学校見学の際に役立ちます。

項目 内容
正式名称 ラ・サール高等学校
公立/私立の別 私立
共学/男子校/女子校の別 男子校
所在地 〒891-0192 鹿児島県鹿児島市小松原2-10-1
代表電話番号 099-268-3121
公式サイトURL http://www.lasalle.ed.jp/

ラ・サール高等学校の偏差値・難易度・併願校

ラ・サール高等学校を目指す上で、最も気になるのがその難易度でしょう。ここでは偏差値という指標を使いながら、そのレベル感を具体的にお伝えします。

偏差値

ラ・サール高等学校の偏差値は「78」です。

この数値は、日本の高校の中でもトップ中のトップに位置することを意味します。偏差値78がどれほどのレベルかというと、全国で最も有名な進学校の一つである東京の開成高校と肩を並べる水準です。九州地方においては、他の追随を許さない圧倒的な1位であり、鹿児島県内でももちろんトップに君臨しています。

この偏差値は、単に「勉強ができる」というレベルをはるかに超えています。全国模試で常に上位1%以内に入るような、極めて高い学力が求められると考えてください。授業は、この高いレベルの生徒が集まっていることを前提に、非常に速いスピードで深く進んでいきます。そのため、ラ・サールへの入学は、全国の優秀なライバルたちと学び合うという、刺激的でハイレベルな環境に身を置くことを意味します。

同じくらいの偏差値の他の高校

  • 開成高等学校(東京)

  • 灘高等学校(兵庫)

  • 筑波大学附属駒場高等学校(東京)

  • 久留米大学附設高等学校(福岡)

  • 青雲高等学校(長崎)

主な併願校

ラ・サール高等学校の入試は非常に難関であるため、多くの受験生が併願校も受験します。鹿児島県内の受験生の場合、以下のような高校が併願校としてよく選ばれる傾向にあります。

  • 鶴丸高等学校(公立)

  • 樟南高等学校(私立・文理コース)

全国から受験生が集まるため、実際にはそれぞれの出身地にあるトップクラスの公立・私立高校を併願するケースがほとんどです。

ラ・サール高等学校に設置されている学科・コース

多くの進学校が「特進コース」や「理数科」などを設置しているのに対し、ラ・サール高等学校の教育システムは非常にシンプルです。

  • 普通科

ラ・サールには、入学時に選ぶ専門的な学科やコースは存在しません。すべての生徒が同じ「普通科」の生徒として入学し、高校1年生の間は共通のカリキュラムで学びます。そして、高校2年生に進級する際に、それぞれの希望進路に応じて「文系クラス」と「理系クラス」に分かれる仕組みです。

この方式は、学校の教育理念を色濃く反映しています。将来どの分野に進むにしても、まずは幅広い分野の知識を高いレベルで身につけるべきだという考え方です。高校1年生の1年間、文系・理系にとらわれずにじっくりと学ぶ中で、自分の興味や適性を見極めることができます。また、中学からの内部進学生と高校からの入学生は、高校2年生から混合クラスとなるため、1年かけて全員が同じ学力水準に到達できるようなカリキュラムが組まれています。

ラ・サール高等学校の特色・校風

ラ・サール高等学校を語る上で欠かせないのが、その独特の校風と、多くの生徒が経験する寮生活です。キーワードは「伝統」「全国区」「自主自律」「質実剛健」です。

学校全体の雰囲気・文化

ラ・サールは、カトリック系の学校としての伝統を重んじつつも、生徒の自主性を尊重する自由な雰囲気を持っています。勉強することが当たり前の環境であるため、生徒たちは互いに高め合いながら、落ち着いて学業に集中できます。

寮生活

学校の最も大きな特色は、全校生徒の約3分の2が生活する寮の存在です。日本全国から集まった仲間たちと寝食を共にすることで、学力だけでなく、コミュニケーション能力や協調性、そして何より生涯続く固い絆が育まれます。特に高校1年生の間は、複数人で一つの部屋を共有するため、様々な価値観に触れながら人間的に大きく成長する機会となります。卒業生たちが口を揃えて「寮生活が一番の思い出」と語るほど、この経験はラ・サールでの学校生活の核となっています。

宿題・校則・生徒の様子

  • 宿題の量:全国トップクラスの進学校ということもあり、宿題の量は多い傾向にあります。しかし、それは塾に通わなくても学校の授業と課題だけで大学受験に対応できるような、質の高い内容です。

  • 校則:校則は全体的に見て、それほど厳しくないという声が多いです。制服はなく、生徒は私服で登校します。

  • スマホの扱い:学校生活の規律を保ち、生徒同士の直接的なコミュニケーションを促すため、寮生・自宅生ともに校内への携帯電話の持ち込みは禁止されています。この一見厳しいルールが、生徒間の深い人間関係を築く上で重要な役割を果たしています。デジタルなつながりから解放された環境で、生徒たちは顔と顔を合わせて語り合い、時にはぶつかり合いながら、本物の友情を育んでいくのです。

  • 生徒たちの雰囲気:真面目で知的好奇心が旺盛な生徒が多いですが、面白い人や個性的な生徒もたくさんいます。男子校ならではの一体感があり、行事などでは非常に盛り上がります。

  • アルバイト:学業に専念することが求められるため、アルバイトは原則として認められていません。

  • 土曜授業:あります。

施設について

寮は比較的新しく快適ですが、校舎自体は歴史があるため、少し古いと感じる部分もあるようです。しかし、清掃は行き届いており、勉強するための環境は十分に整えられています。

ラ・サール高等学校の部活動・イベント

ラ・サールは勉強だけの学校ではありません。文武両道を実践し、部活動や学校行事にも全力で取り組む校風があります。

部活動

ラ・サールでは、部活動は単に技術を磨く場ではなく、人間形成の場として重視されています。多くの生徒が部活動に所属し、仲間との協調性や目標達成への努力を学んでいます。

  • 特に有名な部活動

    • クイズ研究会:テレビ番組の「高校生クイズ」で何度も優勝経験のある、全国的に有名な部活です。その知識量と頭の回転の速さは、まさにラ・サール生を象徴していると言えるでしょう。

    • 英語ディベート部:全国大会で活躍する強豪として知られています。高い英語力と論理的思考力が求められる活動で、グローバルに活躍したい生徒に人気です。

  • 全体の様子

    運動部は剣道、柔道、ラグビー、硬式野球部など18種類、文化部は将棋、囲碁、化学、音楽部など20種類、さらに鉄道研究会などの同好会もあり、非常に充実しています。どの部活も学業との両立を前提に、限られた時間の中で集中して活動しています。

イベント

ラ・サールの学校行事は、生徒たちの手で作り上げられ、非常に盛り上がります。その中でも特に有名な三大行事を紹介します。

  • 体育祭:例年9月に行われる体育祭は、ラ・サール最大の名物行事です。最大の特徴は、クラス対抗ではなく、生徒の出身地によって「東軍(紅組)」と「西軍(白組)」に分かれて競うことです。全国から生徒が集まるラ・サールだからこそできるこの組分けは、生徒たちの出身地への誇りと、チームとしての一体感を同時に育みます。特に、両軍の応援団が繰り広げる応援合戦は圧巻の一言です。

  • 文化祭:例年6月に行われる文化祭は、研究発表やクラス企画、部活動の出店などで大変な賑わいを見せます。外部からの来場者も多く、近隣の女子高生にも人気のイベントとして知られています。ラ・サールならではのユニークな伝統として、一部のクラスでは、先輩たちが代々行ってきた企画内容を引き継いで実施するというものがあります。

  • 桜島一周遠行:冬に行われる、もう一つの名物行事が「桜島一周遠行」です。その名の通り、鹿児島が誇る活火山・桜島の周囲約35kmを、中学生から高校生まで全校生徒で歩き通すという過酷なイベントです。長い道のりを仲間と励まし合いながら歩ききった経験は、大きな達成感と共に、心身の強さを育む貴重な機会となります。

この他にも、学期ごとに行われるクラスマッチ(球技大会)や、希望者対象のイギリス・アメリカへの海外研修、OBの協力で行われる東大見学会など、多彩なイベントが用意されています。

ラ・サール高等学校の進学実績

ラ・サール高等学校が全国のトップ進学校として評価される最大の理由の一つが、その卓越した大学進学実績です。多くの生徒が、日本最難関の大学や学部へと進学していきます。

国公立大学

特に東京大学、京都大学、そして医学部医学科への合格者数は、全国でも群を抜いています。これは、単に個々の生徒が優秀であるだけでなく、学校全体に最難関大学を目指すという共通の目標と、それを達成するためのノウハウが蓄積されていることを示しています。ラ・サールという環境は、日本最高峰の学問の世界へと続く、確立された道筋を提供しているのです。

2025年の主な合格実績は以下の通りです。

  • 東京大学:42名(うち現役29名)

  • 京都大学:8名(うち現役4名)

  • 九州大学:22名

  • 国公立大学医学部医学科:多数(過去には年間69名の合格実績あり)。2025年は東京大学理科三類に4名、京都大学医学部に1名が合格しています。

難関私立大学

国公立大学だけでなく、首都圏や関西の難関私立大学にも多くの合格者を輩出しています。

2025年の主な合格実績は以下の通りです。

  • 早稲田大学:29名

  • 慶應義塾大学:36名

  • 東京理科大学:18名

  • 中央大学:15名

  • 明治大学:13名

進学サポート

ラ・サールでは、学校の授業そのものが非常にハイレベルであり、多くの生徒が塾に通うことなく志望校に合格しています。外国人教師による少人数制の英会話授業や、OBである大学教授の協力のもとで行われる東京大学の研究室見学会など、独自のプログラムも充実しています。学校全体が、生徒の知的好奇心を引き出し、高いレベルへと導くための強力なサポート体制となっているのです。

ラ・サール高等学校の特長・アピールポイント

これまでの情報をまとめ、ラ・サール高等学校ならではの魅力を7つのポイントに絞ってご紹介します。

  • 人間力を鍛える寮生活

    ただ生活するだけでなく、全国から集まった仲間と24時間生活を共にすることで、自立心、協調性、そして一生涯の友情を育むことができる、最高の人間教育の場です。

  • 全国トップレベルの仲間との出会い

    日本中から集まった、最も知的で意欲的な同世代の仲間たちに囲まれる環境は、他では得られない最高の刺激となり、自分の可能性を無限に広げてくれます。

  • 医学部・難関大への圧倒的な合格実績

    特に東京大学、京都大学、そして全国の大学の医学部への進学においては、日本でも最高峰の実績を誇ります。これらの道を目指す生徒にとっては、これ以上ない環境と言えるでしょう。

  • 絆を深めるユニークな伝統行事

    出身地でチームを組む体育祭や、全員で桜島を一周する遠行など、他校にはないユニークで過酷な行事を乗り越えることで、生徒間には言葉では表せないほどの強い連帯感が生まれます。

  • 自由と自律を重んじる校風

    制服がないなど、生徒の自主性を尊重する自由な校風が特徴です。その自由の中で、生徒たちは自らを律し、責任感ある行動を学ぶことができます。

  • 社会の第一線で活躍する強力な卒業生ネットワーク

    ラ・サールを卒業するということは、政財界、医学界、学術界など、あらゆる分野で活躍するリーダーたちの仲間入りをすることを意味します。この縦のつながりは、卒業後も大きな支えとなります。

  • 学業に没頭できる学習環境

    携帯電話の持ち込みを禁止するなど、意図的にデジタルな distractions(気を散らすもの)を排除した環境が作られています。これにより、生徒は勉強や友人との対話、部活動に深く集中することができます。

ラ・サール高等学校の口コミ・評判のまとめ

実際に入学した生徒やその保護者は、ラ・サールでの生活をどのように感じているのでしょうか。良い点と気になる点を公平にまとめました。

良い点

  • 「寮でできた友達は、家族以上の存在。一生の宝物です。」という声が圧倒的に多いです。寝食を共にし、困難を乗り越えた仲間との絆は、何物にも代えがたいようです。

  • 「先生方の指導が熱心で、授業の質が非常に高い。塾に行かなくても学校の勉強だけで十分だった」という、学業面での満足度の高さも多くの口コミで見られます。

  • 「体育祭や文化祭が本当に楽しくて、最高の思い出になった。男子校ならではのノリで、クラスが一つになれた」と、学校行事の充実ぶりを評価する声も多数あります。

  • 「卒業して改めて、ラ・サールというブランドの大きさを感じる。どこへ行っても一目置かれる」と、卒業生であることへの誇りを感じている人が多いようです。

  • 「親元を離れて生活したことで、精神的にとても強くなった。人間として大きく成長できた」という、子どもの自立と成長を喜ぶ保護者の声も目立ちます。

気になる点

  • 「勉強についていくのが大変。高いレベルで自分を律し続けないと、落ちこぼれてしまう可能性がある」という意見もあります。自主的に学ぶ姿勢がないと厳しい環境かもしれません。

  • 「寮は新しいが、校舎は少し古いと感じる部分がある」といった、施設に関する指摘が一部で見られます。

  • 「全国から生徒が集まるので、入学当初は知り合いが誰もおらず、ホームシックになった」という声もあります。親元を離れる寂しさは、多くの寮生が乗り越えるべき最初の壁のようです。

  • 「携帯電話が使えないのは、最初はかなり不便に感じた」という、現代の高校生ならではの意見も見られます。

  • 「基本的に自主性が重んじられるので、勉強で遅れてしまった時に、手厚い補習があるわけではない」という声もあり、ある種の「自己責任」が求められる校風のようです。

アクセス・通学

ラ・サール高等学校へのアクセス方法は、自宅から通う「通学生」か、寮に入る「寮生」かで大きく異なります。

自宅から通学する場合

鹿児島市近郊に住む生徒が対象です。最寄り駅からのアクセスは以下の通りです。

  • 鹿児島市電:「谷山」電停(終点)から徒歩約5分

  • JR指宿枕崎線:「谷山」駅から徒歩約10分

寮や下宿から通う場合

ラ・サール高等学校の生徒の約3分の2は、全国各地から集まり、学校の寮や指定下宿で生活しています。そのため、この学校における「通学エリア」は、事実上「日本全国」と言えます。多くの生徒にとって、学期の始まりと終わりに飛行機や新幹線で地元と鹿児島を往復することが「通学」の感覚に近いかもしれません。この全国から多様なバックグラウンドを持つ生徒が集まることこそが、ラ・サールの大きな魅力の一つとなっています。

ラ・サール高等学校受験生へのワンポイントアドバイス

ここまで読んでくれて、ラ・サール高等学校への興味がさらに深まったことと思います。最後に、進学アドバイザーとして、未来のラ・サール生を目指す君にメッセージを送ります。

ラ・サール高等学校は、ただ学力が高いだけでなく、精神的な自立とタフさを持ち、知的好奇心にあふれる生徒に特におすすめの学校です。全国から集まる最高のライバルたちと切磋琢磨したい、親元を離れて自分を鍛えたい、そして何より学ぶことそのものが好きだという強い気持ちがあるなら、君にとって最高の環境が待っています。

ラ・サールの入試問題は、単なる知識の暗記量では太刀打ちできない、思考力を問う良問が多いことで知られています。合格を勝ち取るためには、特に数学や理科において、公式を覚えるだけでなく「なぜそうなるのか」という本質的な理解を深める学習が不可欠です。そして、何よりも大切なのが過去問演習です。何度も繰り返し解き、問題のスタイルや求められている思考の深さに慣れてください。厳しい挑戦になりますが、その先には、君を大きく成長させてくれる素晴らしい3年間が待っています。自分の可能性を信じて、頑張ってください。応援しています!

※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。