兵庫県立加古川東高等学校は、県内でも屈指の進学校として知られています。しかし、その魅力は高い偏差値や大学進学実績だけにとどまりません。「自治創造」「明朗親和」という校訓のもと、生徒一人ひとりが自らの力で未来を切り拓く力を育む、活気に満ちた学びの共同体です。

本当の学びとは何か、自分の高校生活をどう形作っていきたいか、そんな問いを持つあなたにとって、加古川東高等学校はきっと多くの答えを与えてくれる場所でしょう。全校生徒が取り組む「探究活動」や、学校全体が熱気に包まれる体育祭など、ここでは仲間と共に挑戦し、成長できる機会が溢れています。

この記事では、単なる数字だけでは伝わらない、加古川東高等学校のリアルな姿を、様々な角度から詳しくご紹介していきます。

加古川東高等学校の基本情報

まずは、学校の基本的な情報を確認しておきましょう。

項目 内容
正式名称 兵庫県立加古川東高等学校
公立/私立の別 県立
共学/男女別の別 男女共学
所在地 〒675-0039 兵庫県加古川市加古川町粟津232-2
代表電話番号 079-424-2726
公式サイトURL https://www.hyogo-c.ed.jp/~kakohigashi-hs/

加古川東高等学校の偏差値・難易度・併願校

加古川東高等学校への合格は、高い学力が求められる大きな挑戦です。しかし、その難易度を正しく理解し、戦略を立てることが合格への第一歩となります。

最新の偏差値は、理数科が70、普通科が68とされており、兵庫県内の公立高校の中でもトップクラスに位置します。同じ東播磨地域の加古川西高校(偏差値62)や明石北高校(偏差値62)と比較しても、その難易度の高さが分かります。

この難易度を理解する上で、偏差値以上に重要なのが「内申点」です。兵庫県の公立高校入試では、当日の学力検査の点数(250点満点)と調査書(内申点、250点満点)の合計500点満点で合否が判断されます。内申点の計算方法は少し特殊で、以下の式で算出されます。

この計算式から分かるように、音楽、美術、保健体育、技術・家庭といった実技教科の評価が、5教科よりも高く設定されています。つまり、加古川東高等学校を目指すには、主要5教科だけでなく、副教科にも真剣に取り組み、バランスの取れた成績を収めることが不可欠です。

合格に必要な内申点の目安は、理数科(推薦選抜)で45点満点中42点、普通科(一般選抜)で250点満点中218点から230点あたりが一つの目標とされています。これは、通知表のほとんどが「5」で、あっても「4」が数個という非常に高いレベルです。ただし、内申点が少し目標に届かなくても、当日の学力検査で高い得点を取ることで逆転合格は可能です。内申点が220点台でも、当日400点以上(500点満点)を取って合格した例もあります。内申点と学力検査、この二つの目標をしっかり見据えて対策を進めることが重要です。

公立高校が第一志望の場合、併願校は私立高校から選ぶのが一般的です。加古川東高等学校の受験生が多く選ぶ併願校としては、同じく高い進学実績を誇る滝川第二高等学校や須磨学園高等学校などが挙げられます。また、兵庫県の複数志願制度を利用して、第二志望として加古川西高校や明石北高校、東播磨高校などを選択する受験生もいます。

加古川東高等学校に設置されている学科・コース

加古川東高等学校には、それぞれの目標や興味に応じた二つの魅力的な学科が設置されています。

  • 普通科

    • どんなことを学ぶ場所か:国公立大学や難関私立大学への進学を目指し、高いレベルの授業が展開されるコースです。文系・理系を問わず、幅広い進路に対応できる学力を養成します。

    • どんな生徒におすすめか:将来の夢がまだ具体的でなくても、高いレベルの環境で総合的な学力を伸ばし、大学進学を目指したい生徒におすすめです。後述する「探究活動」は普通科の生徒も全員が取り組みます。

  • 理数科

    • どんなことを学ぶ場所か:文部科学省からスーパーサイエンスハイスクール(SSH)の指定を受けており、大学や研究機関と連携した高度な理数教育が受けられます。AIやドローンなどの先端技術に触れる機会もあり、課題研究を通して未来の研究者・技術者としての素養を磨きます。

    • どんな生徒におすすめか:理科や数学が大好きで、将来は研究者や医師、エンジニアなどを目指している生徒に最適です。受け身の学習ではなく、自ら問いを立てて探究することに喜びを感じる生徒にとって、最高の環境と言えるでしょう。

加古川東高等学校の特色・校風

加古川東高等学校の校風をキーワードで表すなら、「自治創造」「文武両道」「自由闊達」そして「真面目」でしょう。生徒の自主性を重んじる自由な雰囲気と、学業に真摯に取り組む規律ある空気が両立しているのが最大の特色です。

  • 宿題の量と授業のペース

    口コミでは「課題は多い」「授業はめっちゃ早い」という声が多く聞かれます。高いレベルの学習内容を定着させるため、日々の予習・復習は欠かせません。この学習量が、大学受験での自信につながると評価されています。

  • 校則(スマホ、服装など)

    校則は比較的緩やかで、生徒の自主性に任されている部分が大きいようです。ただし、自由には責任が伴います。スマートフォンの校内での使用は電源OFFが原則となっており、学習への集中を妨げないためのルールは明確です。服装については、式典などを除けば私服での登校も可能で、制服は任意購入となっています。部活動のジャージで過ごす生徒も多く、合理的で自由な雰囲気がうかがえます。

  • 生徒たちの雰囲気

    「真面目で努力家な生徒が多い」「周りから良い刺激をもらえる」という評価が大多数です。高い目標を持つ仲間たちと切磋琢磨できる環境は、この学校の大きな魅力です。いじめなどもほとんど聞かれず、多様な個性を持つ生徒が互いを尊重し合っている雰囲気があります。

  • アルバイト

    原則として禁止されています。学業と部活動、学校行事に集中してほしいという学校の方針の表れです。

  • 制服の評判

    伝統的な男子の学ラン、女子のセーラー服です。特に女子の制服は胸元の「KH」の刺繍が特徴的で、品があると評判です。近年、制服の着用が任意になったことは、生徒の自主性を尊重する校風の変化を象徴しています。

  • 土曜授業

    毎週土曜に授業があるわけではありませんが、年間計画を見ると、模試や学校行事のために月に1〜2回程度、土曜登校日が設定されています。

加古川東高等学校の部活動・イベント

部活動

「文武両道」を掲げる加古川東高等学校では、部活動への加入率が90%を超える学年もあるほど、多くの生徒が勉強と部活動を両立させています。運動部、文化部ともに非常に充実しており、活気に満ちています。

  • 運動部

    陸上競技部、水泳部、ソフトテニス部などが、近畿大会に出場するなど高い実績を残しています。また、バドミントン部やサッカー部、硬式野球部などは部員数も多く、非常に活発です。強豪校というよりは、限られた時間の中で効率よく練習し、学業と両立しながら高みを目指す姿勢が特徴です。

  • 文化部

    文化部の中でも特に活発なのが、SSH指定校ならではの「自然科学部」です。物理・化学・生物・地学・数学といった班に分かれ、大学レベルの本格的な研究に取り組んでいます。その研究成果は、全国規模の発表会でも高く評価されています。また、部員数が100名近い吹奏楽部は、地域の演奏会にも参加するなど、学校の顔として活躍しています。演劇部や放送部、書道部などもコンクールで優秀な成績を収めています。

イベント

加古川東高等学校の学校生活を彩るイベントは、クラスや学年の団結力を高める大切な機会です。

  • 体育祭

    6月に行われる体育祭は、学校最大のイベントと言っても過言ではありません。全校生徒が団(色別のチーム)に分かれて総合優勝を目指し、応援合戦や競技に全力を注ぎます。特に、コロナ禍を経て本格的に復活した伝統競技「ヘビの皮むき」は、大変な盛り上がりを見せます。準備期間から本番まで、生徒が主体となって創り上げる体育祭は、最高の思い出になるでしょう。

  • 文化部発表会・球技大会

    一般的な「文化祭」はありませんが、5月に「文化部発表会」が開催され、文化部が日頃の活動の成果を披露します。また、前期(9月)と後期(2月または3月)に球技大会があり、クラス対抗で熱戦が繰り広げられます。

  • 修学旅行・遠足

    2年生の修学旅行では、新潟でのスキー実習や東京でのキャリア研修などが行われます。また、秋には全学年で遠足が実施され、リフレッシュの機会となっています。

加古川東高等学校の進学実績

加古川東高等学校の最大の強みの一つが、県内トップクラスの大学進学実績です。生徒たちの努力と、それを支える学校の強力なサポート体制の成果が現れています。

2024年度の最新の合格実績を見ると、そのレベルの高さがよく分かります。

  • 国公立大学

    • 東京大学 2名、京都大学 6名、大阪大学 33名、神戸大学 37名など、最難関・難関大学に多数の合格者を輩出しています。

    • 地元の兵庫県立大学へは36名、大阪公立大学へは24名が合格しています。

    • 国公立大学全体の合格者数は273名にのぼり、卒業生の多くが国公立大学へ進学していることがわかります。

  • 難関私立大学

    • 「関関同立」には延べ454名(関西学院大学 216名、関西大学 77名、同志社大学 79名、立命館大学 82名)が合格しています。

    • これは延べ人数(一人の生徒が複数の大学・学部に合格した場合も含む)ですが、多くの生徒が国公立大学と並行して難関私立大学にも合格できる学力を持っていることを示しています。

  • その他

    国公立大学医学部医学科にも6名が合格するなど、理系の進学にも非常に強いのが特徴です。

これらの輝かしい実績は、単に授業のレベルが高いからだけではありません。加古川東高等学校では、理数科の「課題研究」のノウハウを普通科にも展開した全校的な「探究活動」が行われています。生徒が自ら問いを立て、仮説を検証し、発表するという一連のプロセスを通して、大学入試はもちろん、その先も役立つ論理的思考力や表現力を養っています。夏休み中の補習や、大学の先生を招いての特別講座なども充実しており、生徒の知的好奇心と挑戦を力強く後押しする体制が整っています。

加古川東高等学校の特長・アピールポイント

他の高校にはない、加古川東高等学校ならではの強みやユニークな取り組みをまとめました。

  • 全校生徒で取り組む本格的な「探究活動」

    最大の特長は、SSH(スーパーサイエンスハイスクール)で培われた高度な研究手法を、理数科だけでなく普通科の生徒も全員が体験できることです。これは「答えのない問い」に挑む力を育む、まさに未来を生き抜くための学びです。

  • 国指定SSHとSTEAM教育による最先端の学び

    理数科では、大学や企業と連携した専門的な研究活動や、AI・VR・ドローンといった先端技術を活用したSTEAM教育が実践されています。科学の面白さを深く味わい、世界レベルの視野を養うことができます。

  • 活発な国際交流プログラム

    台湾の高校との相互訪問やアメリカ研修旅行など、異文化に触れ、グローバルな視点を身につける機会が豊富に用意されています。

  • 生徒の主体性を育む「自由と規律」の校風

    服装などが自由である一方、学習に関する規律はしっかりしているというメリハリのある校風です。生徒を大人として信頼し、自主的な成長を促す環境が整っています。

  • 圧倒的な大学進学実績を支える手厚いサポート

    輝かしい進学実績は、熱心な先生方の指導、充実した補習や講習、そして生徒の高い学習意欲の賜物です。国公立大学を目指すための盤石なサポート体制があります。

  • 学校全体が一つになる名物「体育祭」

    生徒が主体となって創り上げる体育祭は、学校生活一番の盛り上がりを見せます。団結して一つの目標に向かう経験は、一生の財産になるでしょう。

加古川東高等学校の口コミ・評判のまとめ

在校生や卒業生、保護者からの声をまとめました。良い点だけでなく、注意すべき点も知ることで、よりリアルな学校像が見えてきます。

  • 良い点

    • 「先生方がとても熱心で、進路相談にも親身に乗ってくれる」という声が非常に多いです。

    • 「周りの生徒の意識が高く、自然と勉強する習慣がつく。最高の学習環境」と、仲間から受ける良い影響を評価する声が多数あります。

    • 「探究活動などを通して、自分で考える力が身についた」と、特色ある教育プログラムの価値を実感している卒業生が多いです。

    • 「体育祭や球技大会は本当に楽しく、クラスの団結力が強まる」など、行事への満足度も高いです。

    • 「校則が厳しくなく、自主性を尊重してくれるので、のびのびと過ごせる」という意見も目立ちます。

  • 気になる点

    • 「授業の進度が速く、課題の量もかなり多いので、自主的に勉強しないとついていくのが大変」という声は共通して聞かれます。高いレベルを維持するための厳しさと言えるでしょう。

    • 「できる生徒にとっては最高の環境だが、一度つまずくと精神的に辛くなるかもしれない」という意見もあります。高いレベルの環境だからこそのプレッシャーがあるようです。

    • 「校舎やトイレなど、施設の一部に古さを感じる」という指摘があります。

    • 「進路指導が国公立大学志向で、私立大学を軽視する傾向があると感じた」という一部の意見も見られました。

アクセス・通学

加古川東高等学校は交通の便が良く、広いエリアから生徒が通学しています。

  • 最寄り駅:JR山陽本線 「加古川駅」

  • アクセス:JR「加古川駅」を南に出て、徒歩約7分。駅からのアクセスが非常に良く、雨の日なども通いやすいです。

通学エリアは加古川市、高砂市、明石市、三木市、小野市など、東播磨地域全域に及びます。JRの主要駅に近いことから、広範囲から優秀な生徒が集まる「地域のハブ」としての役割も担っています。

加古川東高等学校受験生へのワンポイントアドバイス

ここまで読んでくれてありがとうございます。加古川東高等学校は、単に有名大学への合格を目指すだけの場所ではありません。知的好奇心が旺盛で、困難な課題にも仲間と協力して挑戦したい、そして「やらされる勉強」から「自ら学ぶ楽しさ」へとステップアップしたい、そんなあなたにこそ、最高の3年間を約束してくれる学校です。

加古川東高等学校への挑戦を決めたあなたへ、二つのアドバイスを送ります。一つ目は、中学の成績、特に音楽や体育などの実技教科を大切にすること。入試では内申点が大きな意味を持ち、実技教科の評価はあなたが思う以上に重要です。二つ目は、普段から「なぜ?」と考える癖をつけること。この学校の核である「探究」の授業は、その「なぜ?」から始まります。今からそのトレーニングを始めてみましょう。加古川東高等学校への道は決して平坦ではありませんが、その先にある成長と経験は、努力を上回る価値があります。あなたの挑戦を心から応援しています!

※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。