多摩科学技術高等学校は、その名の通り科学技術分野に特化した東京都立の専門高校です。理科や数学が好きな生徒、将来は研究者や技術者として活躍したいという夢を持つ生徒にとって、まさに理想的な環境が整っています。最先端の実験設備が整った環境で、大学レベルの研究に触れられるのは、多摩科学技術高等学校ならではの大きな魅力と言えるでしょう。

この学校の最大の特徴は、文部科学省からスーパーサイエンスハイスクール(SSH)の指定を受けている点です。これにより、通常の高校では体験できないような先進的・実践的な理数教育が展開されています。1年生のうちから4つの専門領域を学び、2年生からは自分の興味や関心に合わせて専門分野を選択し、課題研究や卒業研究へとステップアップしていきます。

この記事では、そんな多摩科学技術高等学校について、偏差値や難易度、学校生活の様子、部活動、進学実績など、受験生や保護者の皆さんが知りたい情報を詳しく、そして分かりやすく解説していきます。科学の世界への扉を開きたいと考えている中学生の皆さん、ぜひ最後まで読んで、自分の未来像と重ね合わせてみてください。

多摩科学技術高等学校の基本情報

項目 内容
正式名称 東京都立多摩科学技術高等学校
公立/私立の別 公立
共学/男子校/女子校の別 共学
所在地 〒184-8581 東京都小金井市本町6-8-9
代表電話番号 042-381-4164
公式サイト https://www.metro.ed.jp/tamakagakugijutsu-h/

多摩科学技術高等学校の偏差値・難易度・併願校

多摩科学技術高等学校の偏差値は、科学技術科で「62」程度とされています。これは都立高校の中でも上位に位置しており、入学には高い学力が求められます。理数系の科目に特化しているため、特に数学や理科が得意な生徒が集まる傾向があります。

難易度の目安として、合格に必要な内申点は換算で「48」前後(9教科の素内申で33〜35程度)が一つの基準となるようです。もちろん、当日の学力検査の点数が重要ですが、しっかりとした内申点を確保しておくことが合格への近道と言えるでしょう。学力検査は自校作成問題ではなく、都立高校共通問題が使用されます。

都立高校が第一志望の場合、併願校としては私立高校を選ぶのが一般的です。多摩科学技術高等学校の受験生は、同じく理数系に力を入れている私立高校や、同程度の偏差値の高校を併願するケースが多く見られます。

  • 主な併願校の例:

    • 工学院大学附属高等学校

    • 東京電機大学高等学校

    • 拓殖大学第一高等学校

    • 八王子学園八王子高等学校

    • 錦城高等学校

多摩科学技術高等学校に設置されている学科・コース

多摩科学技術高等学校に設置されているのは「科学技術科」のみですが、その中で4つの専門領域を深く学んでいくことになります。1年次には全員がすべての領域の基礎を学び、2年次から自分の興味や進路希望に応じて領域を選択し、より専門的な研究を進めていきます。

  • 科学技術科

    • BT(バイオテクノロジー)領域: 微生物や遺伝子、食品化学など、生物の仕組みを利用する技術を学びます。生命科学や医療、食品開発などに興味がある人におすすめです。

    • ET(エコテクノロジー)領域: 環境問題を化学的に分析し、解決策を探る技術を学びます。環境分析や新素材開発など、地球の未来に貢献したい人におすすめです。

    • IT(インフォメーションテクノロジー)領域: AIやIoT、ネットワークなど、進化し続ける情報技術を学びます。プログラミングやロボット制御、CGなどに興味がある人におすすめです。

    • NT(ナノテクノロジー)領域: 物質を原子・分子レベルで制御し、新しい材料や機能を生み出す技術を学びます。材料開発や電子デバイスなど、ものづくりの根幹に関わりたい人におすすめです。

多摩科学技術高等学校の特色・校風

多摩科学技術高等学校の校風は、「探究心旺盛」「自主自立」といった言葉で表現できるでしょう。生徒一人ひとりが自分の興味のある分野に対して、とことん向き合える環境が整っています。

  • 宿題の量: 課題研究や卒業研究など、探究活動に関する課題が多いため、一般的な高校と比べると宿題やレポートの量は多いという声が多いようです。ただし、それは自分の興味を深めるための時間であり、やりがいを感じる生徒がほとんどです。

  • 校則: 校則は比較的緩やかで、生徒の自主性に任されている部分が大きいようです。スマホの校内での使用も、授業の妨げにならなければ基本的には認められているという口コミが見られます。服装に関しても、制服の着こなしはある程度自由度があるようです。

  • 生徒たちの雰囲気: 理科や数学、ものづくりが好きな生徒が集まっているため、共通の話題で盛り上がることが多いようです。お互いの研究内容を尊重し、高め合える知的な雰囲気があります。「オタク気質」の生徒も多く、自分の「好き」を隠さずに表現できる居心地の良い環境だという声も聞かれます。

  • アルバイト: アルバイトは原則として禁止されていませんが、学業との両立が求められます。課題や研究で忙しいため、実際にアルバイトをしている生徒は少ない傾向にあるようです。

  • 制服: 制服は、社会人のスーツを意識した落ち着いたデザインのブレザーです。知的で大人っぽいと評判が良い一方で、もう少し可愛らしさや格好良さを求める声も一部にはあるようです。女子はスラックスも選択可能です。

  • 土曜授業: 年間18回の土曜授業が実施されており、大学受験に向けた学力向上や、専門分野の探究活動に時間が充てられています。

多摩科学技術高等学校の部活動・イベント

部活動

多摩科学技術高等学校は、科学技術系の部活動が非常に充実しているのが大きな特徴です。もちろん、運動部も活発に活動しています。

  • 科学研究部: この学校を象徴する部活動で、化学物理班、数学班、生物班、生活科学班に分かれて活動しています。 それぞれの班が専門的な研究を行い、外部の研究発表会で優秀な成績を収めるなど、全国レベル、さらには世界レベルで活躍しています。 例えば、生物班は野川での生態調査を行ったり、化学物理班は本格的な化学実験に取り組んだりと、活動内容は大学の研究室さながらです。

  • ロボット研究部・無線工作部・パソコン部: ものづくりが好きな生徒に人気の部活動です。ロボットコンテストへの出場や、電子工作、プログラミングなど、それぞれの興味に合わせて専門的な活動に取り組んでいます。

  • 運動部・文化部: サッカー部、硬式テニス部、バスケットボール部などの運動部や、吹奏楽部、軽音楽部といった文化部も活発に活動しており、文武両道を実践している生徒も多くいます。

イベント

多摩科学技術高等学校では、理系の学校ならではのユニークなイベントと、一般的な高校らしいイベントの両方が楽しめます。

  • 多摩未来祭(文化祭): 最大のイベントである文化祭は「多摩未来祭」と呼ばれ、科学技術科ならではの展示や体験企画が満載です。 各領域の研究発表や、ロボット研究部によるデモンストレーション、科学研究部による化学実験ショーなど、知的好奇心をくすぐる催しが多く、毎年多くの来場者で賑わいます。

  • 体育祭: クラス対抗で様々な競技に熱中し、学年を超えて団結力を高める伝統的なイベントです。

  • 修学旅行: 2年次に行われ、例年、長崎などを訪れているようです。 平和学習だけでなく、現地の自然や文化に触れる貴重な機会となっています。

  • 研究発表会: 2年次の「課題研究発表会」や3年次の「卒業研究発表会」は、この学校の学びの集大成です。生徒たちは自ら設定したテーマについて1年間かけて探究した成果を、ポスターセッションや口頭で発表します。

多摩科学技術高等学校の進学実績

多摩科学技術高等学校は、理系大学への進学に非常に強い実績を誇っています。生徒の多くが国公立大学や難関私立大学の理工系学部に進学しており、専門高校としての教育成果が明確に表れています。

  • 国公立大学: 毎年、多くの生徒が国公立大学に合格しています。特に、キャンパスが近い東京農工大学への進学者が多いのが特徴です。その他、電気通信大学や首都大学東京(東京都立大学)などの理系大学、さらには東京工業大学などの最難関大学への合格者も輩出しています。 2024年度の入試では、国公立大学に58名が合格しています。

  • 難関私立大学: 早稲田大学、慶應義塾大学、上智大学、東京理科大学といった難関私立大学にも多数の合格者を出しています。 特に、東京理科大学や、東京電機大学、法政大学、芝浦工業大学といった理系学部に定評のある大学への進学が目立ちます。

  • 進学サポート: 年間18回の土曜授業や長期休業中の講習、習熟度別授業など、手厚い進学サポート体制が整っています。 また、大学の研究室と連携した「高大連携」プログラムも充実しており、大学での学びを先取りできる機会が豊富に用意されています。

多摩科学技術高等学校の特長・アピールポイント

多摩科学技術高等学校には、他の高校にはないユニークな魅力がたくさんあります。

  • スーパーサイエンスハイスクール(SSH)指定校: 文部科学省からSSHに指定されており、先進的な理数教育を受けることができます。大学や研究機関と連携したプログラムも豊富です。

  • 大学レベルの充実した実験設備: 電子顕微鏡や3Dプリンタ、各種分析機器など、大学の研究室レベルの高度な実験設備が整っており、本格的な研究活動に取り組むことができます。

  • 4つの専門領域から選べる探究活動: 1年次にBT・ET・IT・NTの4領域の基礎を学び、2年次から自分の興味に合わせて専門分野を選択。2年間の「課題研究」「卒業研究」を通して、とことん探究心を深めることができます。

  • 現役の研究者や技術者による指導: 「科学技術アドバイザー」として、大学や企業で活躍する研究者・技術者から直接指導を受ける機会が設けられています。最先端の研究に触れることで、学習意欲がさらに高まります。

  • 高大連携プログラムの充実: 近隣の東京農工大学をはじめ、多くの大学と連携しており、大学の講義を受けたり、研究室を訪問したりする機会が豊富にあります。

  • 「多摩未来祭」の盛り上がり: 文化祭では、日頃の研究成果を活かしたユニークな展示や企画が目白押し。科学の面白さを来場者に伝える、学校全体が一体となるイベントです。

多摩科学技術高等学校の口コミ・評判のまとめ

多摩科学技術高等学校の在校生や卒業生からは、その専門性の高さを評価する声が数多く寄せられています。

  • 良い点:

    • 「大学レベルの実験設備が整っていて、自分のやりたい研究に打ち込めるのが最高の魅力」

    • 「同じ趣味や興味を持つ仲間がたくさんいるので、話が合って毎日が楽しい」

    • 「先生方が専門的な知識を持っていて、研究の相談にも親身に乗ってくれる」

    • 「課題研究や卒業研究を通して、論理的思考力やプレゼンテーション能力が身についた」

    • 「校則が緩やかで、自由な雰囲気なので過ごしやすい」

  • 気になる点:

    • 「レポートや研究の課題が多く、かなり忙しい。楽な高校生活を送りたい人には向かないかもしれない」

    • 「駅から少し歩くので、雨の日は少し大変」

    • 「理系に特化しているので、文系の大学に進みたいと思った時に選択肢が限られる可能性がある」

    • 「専門的すぎて、先生から手厚く教えてもらうというよりは、自分で学ぶ姿勢が強く求められる」

アクセス・通学

多摩科学技術高等学校へのアクセス方法は以下の通りです。

  • 最寄り駅:

    • JR中央線「武蔵小金井駅」南口から徒歩約10〜12分

    • JR中央線「国分寺駅」南口から徒歩約26〜27分

  • バス利用の場合:

    • 「小金井警察署前」バス停から徒歩約1〜2分

JR中央線を利用して、小金井市、国分寺市、国立市、立川市、八王子市など多摩地区の広範囲から生徒が通学しているようです。

多摩科学技術高等学校受験生へのワンポイントアドバイス

多摩科学技術高等学校を目指す君へ。この学校は、「科学が大好き!」「ものづくりに夢中!」「将来は世界を舞台に活躍する研究者になりたい!」そんな熱い想いを持った君を待っています。大学のような環境で、中学ではできなかった専門的な研究に没頭できる日々は、何物にも代えがたい経験になるはずです。もし君が、探究心にあふれ、自ら課題を見つけて主体的に学んでいきたいと考えているなら、多摩科学技術高等学校は最高の場所になるでしょう。

受験勉強においては、理数系の科目に特に力を入れることが大切です。都立共通問題が使われるため、まずは5教科の基礎を固め、苦手分野をなくすことを目指してください。その上で、理科や数学については、単に公式を暗記するだけでなく、「なぜそうなるのか」という原理原則を深く理解する学習を心がけると、入学後の学びにも繋がります。多摩科学技術高等学校で、同じ夢を持つ仲間たちと一緒に、未来を創る第一歩を踏み出してください。応援しています!

※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。