富山高等専門学校射水キャンパスは、皆さんがイメージする「高校」とは少し違う、特別な学びの場です。それは、中学を卒業した15歳から、大学のような専門的な学びと自由な学生生活をスタートできる「高専(こうせん)」だからです。この学校のキャッチフレーズは「15歳からのカレッジライフ」。まさに、高校生活と大学生活の魅力を一度に体験できるような、刺激的な5年間が皆さんを待っています。
射水キャンパスがユニークなのは、最先端のデジタル技術を学ぶ「電子情報工学科」、世界を舞台に活躍する力を養う「国際ビジネス学科」、そして広大な海へ夢を馳せる「商船学科」という、個性豊かな3つの学科が集まっている点です。異なる目標を持つ仲間たちと交流しながら、自分の専門分野を深く探究できる環境は、富山高等専門学校射水キャンパスならではの大きな魅力と言えるでしょう。
この記事では、そんな富山高等専門学校射水キャンパスがどんな場所なのか、どんなことを学べるのか、そして皆さんの未来にどう繋がっていくのかを、進学アドバイザーの視点から詳しく解説していきます。自由な校風の裏にある責任、そして卒業後の輝かしい進路まで、皆さんが本当に知りたい情報を詰め込みました。この学校が、あなたの夢を叶えるための最高のステージになるかどうか、一緒に見ていきましょう。
富山高等専門学校射水キャンパスの基本情報
まずは、学校の基本的な情報を確認しておきましょう。特に所在地や連絡先は、学校見学や問い合わせの際に必要になります。
項目 | 内容 |
正式名称 | 富山高等専門学校 |
公立/私立の別 | 国立 |
共学/別学 | 男女共学 |
所在地 | 〒933-0293 富山県射水市海老江練合1番2 |
代表電話番号 | 0766-86-5100 |
公式サイトURL | https://www.nc-toyama.ac.jp/ |
富山高等専門学校射水キャンパスの偏差値・難易度・併願校
高専の入試は、一般的な高校入試とは少し仕組みが違うので、偏差値だけでなく、その意味合いもしっかり理解することが大切です。
学科ごとの偏差値(2025年-2026年目安)
学科によって求められる学力レベルが異なります。最新の情報を参考にすると、偏差値の目安は以下のようになっています。
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国際ビジネス学科: 64〜66
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電子情報工学科: 61〜64
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商船学科: 54〜58
難易度の捉え方と内申点の目安
富山高専の入試で最も知っておいてほしいのは、学力検査(当日のテスト)の結果が非常に重視されるという点です。富山県の公立高校入試が「学力検査:内申点=約4:3」の比率であるのに対し、富山高専の一般入試は「学力検査500点:内申点200点」、つまり「5:2」の比率です。これは、内申点に少し不安があっても、当日のテストで高得点を取れば「実力で逆転がしやすい」入試制度だと言えます。
合格に必要な内申点の目安
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推薦選抜:推薦入試を考えている場合は、厳しい基準があります。国際ビジネス学科と電子情報工学科は「主要5教科の評定合計が20以上、かつ全9教科の合計が32以上」であること、商船学科は「全9教科の合計が32以上」であることが出願の条件となります。
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学力選抜:一般入試では明確な内申点の足切りはありませんが、やはり高い方が有利です。内申点は中学2年生の9教科評定合計と、中学3年生の9教科評定合計を2倍したものを合わせて算出されます。目安として、9教科で35〜39(5段階評価)あれば有利に進められますが、30〜34程度でも学力検査の結果次第で十分に合格を狙えます。
主な併願校
富山高専は国立のため、富山県内の公立高校や私立高校との併願が可能です。多くの受験生は、万が一の場合に備えて私立高校を併願先に選ぶ傾向があります。
主な併願校としては、以下のような高校が挙げられます。
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富山第一高等学校(S特別進学コース、特別進学コース)
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高岡第一高等学校(特別進学コース)
これらの学校は、富山高専を目指す学力層の生徒が、安心して受験に臨むための選択肢としてよく選ばれています。
富山高等専門学校射水キャンパスに設置されている学科・コース
射水キャンパスには、それぞれ全く異なる専門分野を学べる3つの魅力的な学科があります。どの学科も、1年生のうちから専門的な内容に触れられる「くさび形教育」を取り入れているのが特長です。
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電子情報工学科
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どんなことを学ぶ?:AIやゲームのプログラミング、ロボットを動かす電子回路の設計、インターネットを支えるネットワーク技術など、現代社会に不可欠なデジタル技術の基礎から応用までを、実習中心で学びます。
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どんな生徒におすすめ?:「自分の手でアプリやゲームを作ってみたい」「テクノロジーの力で未来を便利にしたい」と考える、探究心旺盛な人におすすめです。
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国際ビジネス学科
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どんなことを学ぶ?:ビジネスの現場で本当に「使える」英語力と、韓国語やロシア語などの第二外国語を習得します。同時に、経済や経営の専門知識を学び、国際社会で活躍するための土台を築きます。
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どんな生徒におすすめ?:「将来は海外で働きたい」「外国の人とコミュニケーションをとるのが好き」「語学力と専門知識の両方を身につけたい」というグローバルな視野を持つ人におすすめです。
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商船学科
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どんなことを学ぶ?:大型船を安全に導く「航海士(ナビゲーター)」を目指す航海コースと、船の心臓部であるエンジンや機械を管理する「機関士(エンジニア)」を目指す機関コースに分かれ、海と船に関する最先端の技術を学びます。
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どんな生徒におすすめ?:「世界中の海を舞台に仕事がしたい」「巨大な乗り物を動かすことにロマンを感じる」という、冒険心と責任感にあふれる人におすすめです。
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富山高等専門学校射水キャンパスの特色・校風
富山高専の校風をキーワードで表すなら、それは「自由闊達」と「自主・自律」です。大学のような自由な雰囲気の中で、学生一人ひとりが自らの行動に責任を持つことが求められます。
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校則は緩やか?:多くの在校生が「校則は緩い」と感じています。服装や髪型に関する厳しい規則は少ないようです。スマートフォンの持ち込みも許可されており、授業中以外は自由に使えます。アルバイトも原則可能です。ただし、自由だからこそ、時と場所をわきまえた行動が大切になります。
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宿題は多い?:一般的な高校と比べて、日常的な宿題の量は「ほとんどない」という声が多いです。また、土曜授業もありません。その分、自由な時間が多く生まれますが、その時間をどう使うかが非常に重要になります。
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生徒たちの雰囲気:同じ興味や目標を持つ学生が集まっているため、「自分に似たような仲間が多くて居心地が良い」と感じる人が多いようです。学科の垣根を越えてクラスが編成される「混合学級」もあり、多様な友人関係を築くことができます。全体的に落ち着いていて、自分の好きなことに没頭する真面目な学生が多い印象です。
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制服の評判は?:特に旧富山商船高専時代からの伝統を受け継ぐ制服は「かわいい」と評判で、入学の決め手の一つになったという卒業生もいるほどです。
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自由の裏にある責任:この学校で最も大切なことは、自由な環境を自己管理できるかどうかです。先生方は大学の教授のように、手取り足取り教えるというよりは、学生の自主性を尊重する「放任主義」に近いスタイルです。そのため、「自分で勉強できない人には向いていない」「自由な校風故に、できない子は放置される」という厳しい意見もあります。学習の遅れから留年(進級できないこと)する学生もいるため、自由な時間を計画的に使い、主体的に学ぶ姿勢が不可欠です。
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充実したキャンパス施設:学生生活を支える施設も整っています。お弁当や文房具が買える生協(購買)や、安くて美味しいと評判の食堂があり、多くの学生が利用しています。また、遠方からの学生のために「和海寮(わかいりょう)」という学生寮も完備されており、一人部屋で快適な寮生活を送ることができます。
富山高等専門学校射水キャンパスの部活動・イベント
射水キャンパスの部活動やイベントには、この学校ならではのユニークなものがたくさんあります。
部活動
運動部・文化部ともに多くのクラブがあり、活発に活動しています。特に射水キャンパスは、その成り立ちから海に関連する部活動が盛んです。
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漕艇(カッター)部・ヨット部:射水キャンパスを象徴する部活動です。カッターとは、十数人で力を合わせて漕ぐ大型のボートのこと。ヨット部は、部員の多くが初心者から始めながらも、インターハイや国体などの全国大会に数多く出場する強豪です。海に近いキャンパスの立地を最大限に活かした活動は、他では味わえない貴重な経験となるでしょう。
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柔道部:部員数は少数精鋭ながら、広い道場で熱心に活動しています。高専大会だけでなく、地域の高校の大会にも本郷キャンパスとの合同チームで出場しています。
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全体の様子:多くの運動部が、年に一度の「全国高専体育大会(高専大会)」を目指して練習に励んでいます。文化部も、軽音楽部や美術部、メカトロ技術研究部など、専門知識を活かせるユニークな部が揃っています。
イベント
富山高専のイベントは、一般的な高校とは一味違います。まず大きな特徴として、全校生徒で一斉に行う「体育祭」はありません。その代わりに、学生が主体となるユニークな行事が目白押しです。
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カッターレース大会:毎年7月に行われる、射水キャンパス最大の名物行事です。学科やクラス対抗でカッターを漕ぎ、速さを競います。クラスの団結力が試される、熱気あふれるイベントです。
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高専祭「北斗祭(ほくとさい)」:射水キャンパスで2年に1度、5月に開催される学園祭です。学生が主体となって運営する大規模なイベントで、模擬店や各学科の専門性を活かした展示、ステージでのライブパフォーマンスなど、大学の学園祭のような盛り上がりを見せます。時には、キャンパスが保有する練習船「若潮丸」の無料体験航海が行われることもあり、地域の人々も楽しみにしている一大イベントです。
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球技大会:体育祭はありませんが、クラス対抗の球技大会が年に数回開催され、友人との仲を深める良い機会となっています。
富山高等専門学校射水キャンパスの進学実績
富山高専の卒業生は、「大学編入」と「就職」という2つの強力な選択肢を持っています。卒業生の約半数が進学、もう半数が就職を選んでおり、どちらの道でも非常に高い評価を得ています。
大学編入という「ゴールデンチケット」
高専卒業生の多くが利用するのが、4年制大学の3年次に編入する制度です。これにより、多くの高校生が経験する厳しい一般入試を経ずに、難関大学へ進学する道が開かれています。その実績は目覚ましく、全国トップクラスの大学に多くの卒業生を送り出しています。
主な大学編入実績(過去5年間合計)
大学区分 | 主な大学名 | 過去5年間合計進学者数 |
旧帝国大学など | 東京大学、京都大学、東北大学、名古屋大学、大阪大学、九州大学、北海道大学、東京工業大学 | 32名 |
その他主要国公立大学 | 筑波大学、横浜国立大学、神戸大学、金沢大学、富山大学、長岡技術科学大学、豊橋技術科学大学 | 74名 |
難関私立大学 | 早稲田大学、中央大学、立命館大学 | 4名 |
また、富山高専に設置されている「専攻科」に2年間進学することで、4年制大学卒業と同等の「学士」の学位を取得することも可能です。
抜群の就職実績
就職希望者の就職率は、ほぼ100%に近い水準を誇ります。産業界からの評価が非常に高く、有名企業からの求人が多数寄せられます。特に商船学科の卒業生は、商船三井や川崎汽船といった大手海運会社へ、工学科の卒業生はダイキン工業やYKKなどの大手メーカーへと、専門性を活かしたキャリアを歩んでいます。
充実した進路サポート
こうした輝かしい実績を支えるのが、手厚い進路サポート体制です。4年生になると就職セミナーが開催され、履歴書の書き方から面接対策まで丁寧に指導してくれます。また、多くの企業を招いての「企業研究会」や、各種資格取得のための補講や講習会も充実しており、学生一人ひとりの希望の進路実現を力強く後押ししています。
富山高等専門学校射水キャンパスの特長・アピールポイント
他の高校にはない、富山高専射水キャンパスならではの強みや魅力をまとめました。
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5年一貫の「くさび形」専門教育
大学受験に左右されず、15歳から5年間(商船学科は5年半)かけてじっくりと専門知識を深められるカリキュラムが魅力です。低学年から専門科目に触れ、学年が上がるごとにその比重が高まっていく「くさび形教育」により、卒業時には大学工学部レベルの専門性が身につきます。
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「手を動かして学ぶ」実践重視の教育
キャンパスには最先端の設備が整った実験室や研究室が多数あり、座学だけでなく「手を動かす」ことを重視した授業が豊富です。ロボットコンテストへの挑戦や卒業研究などを通じて、社会で即戦力となる実践的な技術と思考力を養います。
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全国でも珍しいユニークな学科構成
最先端の「情報」、グローバルな「ビジネス」、そして雄大な「海運」という、全く異なる分野の専門学科が一つのキャンパスに共存しているのは全国的にも非常に珍しいです。この多様性が、学生に幅広い視野と刺激的な出会いをもたらします。
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全国トップクラスの女子学生比率
「高専は男子が多い」というイメージを覆す、全国でも有数の女子学生比率の高さが射水キャンパスの大きな特長です。学生の約半数が女子学生というデータもあり(令和4年時点)、誰にとっても学びやすく、活気のあるインクルーシブな環境が整っています。
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世界とつながる多彩な国際交流
カナダやアメリカ(ハワイ)、韓国など、世界各国の協定校との間で短期の海外研修や1年間の留学プログラムが用意されています。実践的な語学研修や異文化体験を通じて、グローバルな舞台で活躍するための翼を育むことができます。
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圧倒的な大学編入・就職実績
卒業後の進路が非常に安定している点は、最大の強みの一つです。東京大学や京都大学をはじめとする難関大学への編入、あるいは大手優良企業への就職という、輝かしい未来への確かな道筋が用意されています。
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大学のような自由で活気あるキャンパスライフ
校則が緩やかで、学生の自主性を重んじる校風が魅力です。学生が主体となって運営する大規模な高専祭「北斗祭」など、高校とは一味違う、自由で責任ある大学のような学生生活を満喫できます。
富山高等専門学校射水キャンパスの口コミ・評判のまとめ
在校生や卒業生の声から、この学校の良い点と、入学前に考えておきたい点を公平にまとめました。
良い点
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自由で大人な環境:「高校というより大学のよう。自由な校風が最高」「生徒ではなく『学生』として扱われ、自分で考えて行動する力が身につく」といった、大人な環境を評価する声が多数あります。
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気の合う仲間が見つかる:「同じ趣味や目標を持つマニアックな学生が多いので、すぐに友達ができた」「寮生活がとにかく楽しく、一生の仲間ができる」など、友人関係の充実を挙げる声も多いです。
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専門分野に集中できる:「やりたいことが決まっている人には最高の環境」「大学受験の勉強に追われず、好きな分野を深く学べるのが良い」と、専門教育に魅力を感じる意見が目立ちます。
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キャンパスライフの快適さ:「制服が可愛いのが嬉しい」「学内にコンビニ(生協)や食堂があって便利」といった、日々の学校生活の快適さに関するポジティブな口コミも見られます。
気になる点
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自主性が求められる厳しさ:「自分で勉強計画を立てられない人には厳しい。先生はあまり干渉しないので、遅れると置いていかれてしまう」「自由の裏返しで、自己責任が重い」という声は、この学校の最も重要な注意点です。
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留年のリスク:「勉強を怠ると、本当に留年(進級できないこと)がある。普通の高校と同じ感覚ではいられない」と、進級の厳しさを指摘する意見があります。
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進路変更の難しさ:「一度入学すると、全く違う分野に進路変更するのは難しい。将来の目標をよく考えてから決めるべき」という、専門学校ならではの注意点を挙げる声もあります。
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独特の授業スタイル:「1コマ90分の授業は、慣れるまで長く感じるかもしれない」「先生によって授業の質に差があると感じることもある」といった、授業に関する意見も見られました。
アクセス・通学
富山高専射水キャンパスは、最寄りの鉄道駅から少し距離があるため、多くの学生がバスを利用して通学しています。
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富山駅から:富山駅の南口バスターミナル(4番乗り場)または北口バスターミナル(2番乗り場)から、「国立高専射水」行きのバスに乗車するのが最も便利です。所要時間は約30分〜40分です。
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高岡駅から:高岡駅の北口バスターミナル(5番乗り場)から、「富山高専」行きのバスが出ています。所要時間は約45分です。
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その他のエリアから:射水市のコミュニティバスを利用して、小杉方面や呉羽方面から通学することも可能です。
通学エリアは富山市や高岡市、射水市が中心ですが、県内全域、さらには県外からも学生が集まっています。そのため、多くの学生がキャンパス内にある学生寮「和海寮(わかいりょう)」で生活しています。通学時間が長くなる場合は、寮生活も有力な選択肢となるでしょう。
富山高等専門学校射水キャンパス受験生へのワンポイントアドバイス
最後に、進学アドバイザーとして、富山高等専門学校射水キャンパスを目指す皆さんへ応援メッセージを送ります。
この学校は、「自分の好きなことを、自分のペースで深く探求したい」という強い意志を持つ君にこそ、最高の場所です。もし君が、誰かに指示されるのを待つのではなく、自ら課題を見つけて挑戦することにワクワクするタイプなら、富山高等専門学校射水キャンパスの自由な環境は、君の可能性を無限に広げてくれるでしょう。
受験勉強では、高専独自の入試問題に慣れることが何より大切です。特に数学は、パズルのような思考力を問うユニークな問題が出題される傾向があります。書店で手に入る全国高専の過去問題集を繰り返し解き、問題のパターンに慣れておきましょう。そして忘れないでください。富山高専の入試は、当日のテストの点数が非常に重視されます。最後まで諦めずに努力すれば、必ず道は開けます。君の挑戦を心から応援しています!
※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。