神奈川県立川和高等学校は、県内でもトップクラスの進学校として知られるだけでなく、「高い次元の文武両道」をスローガンに掲げ、生徒一人ひとりが持つ可能性を最大限に引き出す教育で高い評価を得ています。

部活動で全国大会を目指しながら、同時に難関大学への現役合格を成し遂げる。そんなエネルギッシュで充実した高校生活を、あなたは想像できるでしょうか。偏差値の高さだけで語られることの多い川和高等学校ですが、その本当の魅力は、生徒たちが勉強、部活動、学校行事のすべてに全力で打ち込み、仲間たちと切磋琢磨しながら成長できる活気あふれる環境にあります。

この記事では、そんな川和高校のリアルな姿を、中学生の皆さんや保護者の方々が具体的にイメージできるよう、様々な角度から詳しくご紹介していきます。

川和高等学校の基本情報

まずは、学校の基本的な情報を確認しましょう。

項目 内容
正式名称 神奈川県立川和高等学校 (Kanagawa Prefectural Kawawa Senior High School)
公立/私立の別 公立
共学/別学 男女共学
所在地 神奈川県横浜市都筑区川和町2226-1
代表電話番号 045-941-2406
公式サイトURL https://www.pen-kanagawa.ed.jp/kawawa-h/

川和高等学校の偏差値・難易度・併願校

川和高校を目指す上で最も気になるのが、その難易度でしょう。具体的な数字と合わせて、合格に必要な力をイメージしてみてください。

偏差値・難易度

川和高等学校の偏差値は、神奈川県の公立高校の中でも最上位グループに位置します。

  • 普通科:

この偏差値は、非常に高い学力が求められることを示しています。しかし、川和高校の入試で特徴的なのは、偏差値の高さだけではありません。合格の鍵を握るのは、中学時代の学習への取り組みを示す「内申点」です。

合格に必要な内申点の目安は、135点満点中「127点」前後と言われています。これは、主要5教科だけでなく、技能4教科を含めた9教科すべてで、ほぼ最高の評価を得ている必要があることを意味します。

神奈川県の公立高校入試の第1次選考における川和高校の評価比率は、「内申点:学力検査:特色検査 = 」です。他の進学校が「」などの比率を採用しているケースもある中、川和高校が内申点の比率を「4」と高く設定している点には、学校からの明確なメッセージが込められています。それは、単に試験本番に強い生徒だけでなく、「中学3年間、全教科にわたってコツコツと真面目に努力を続けてきた生徒」を求めているということです。この内申点重視の選考方法は、入学後の厳しい学校生活—つまり、高いレベルの勉強と非常に活発な部活動を両立させる「文武両道」を実践できる、粘り強さと自己管理能力を持った生徒を選抜する仕組みとして機能しているのです。このため、川和高校には「根は真面目」な生徒が多く集まる傾向があります。

同じくらいの偏差値の他の高校

志望校選びの参考に、川和高校と同じくらいの難易度の公立高校も知っておくと良いでしょう。

  • 横浜緑ヶ丘高等学校

  • 多摩高等学校

  • 横浜サイエンスフロンティア高等学校

  • 柏陽高等学校

  • 厚木高等学校

  • 相模原高等学校

  • 平塚江南高等学校

  • 神奈川総合高等学校

主な併願校

神奈川県の公立高校入試では、公立高校を複数併願することはできません。そのため、川和高校を受験する生徒の多くは、万が一の場合に備えて、以下のような難易度の近い私立高校を併願校として選んでいます。

  • 中央大学附属横浜高等学校

  • 法政大学国際高等学校

  • 桐光学園高等学校

  • 山手学院高等学校

  • 日本大学高等学校

  • 法政大学第二高等学校

  • 桐蔭学園高等学校

川和高等学校に設置されている学科・コース

川和高等学校は、生徒一人ひとりの進路希望に柔軟に対応できるカリキュラムを備えています。

  • 普通科

    • 川和高校に設置されているのは普通科のみです。1年生のうちは全員が同じカリキュラムで学び、幅広い知識の土台を築きます。そして、2年生に進級する際に、それぞれの興味や将来の目標に合わせて「文系」と「理系」のコースに分かれます。

    • 文系コース:法学、経済学、文学、史学、国際関係学といった人文・社会科学系の学問分野を目指す生徒におすすめです。国語、地理歴史、公民、英語などの科目を重点的に学びます。

    • 理系コース:医学、薬学、工学、理学といった自然科学系の学問分野を目指す生徒におすすめです。数学や理科の授業時間数が多く、より高度で専門的な内容を深く学びます。特に医学部進学者が毎年出ていることからも、理系教育のレベルの高さがうかがえます。

川和高等学校の特色・校風

川和高校の最大の魅力は、その独特の校風と生徒たちの活気にあります。キーワードは「文武両道」「自主自律」「活気」です。

  • 宿題の量:課題の量は決して少なくはありませんが、多くの生徒が部活動と両立できるよう、効率的にこなしているようです。自己管理能力が自然と身につく環境と言えるでしょう。

  • 校則:校則は比較的緩やかで、生徒の自主性が尊重されています。

    • スマホの持ち込み・使用:基本的に許可されています。

    • 服装:制服はありますが、頭髪を染めたりピアスを開けたりすることは禁止されています。しかし、校則が自由だからといって風紀が乱れることはなく、生徒たちは「自由と責任」を理解し、節度ある行動をとっているようです。

    • アルバイト:許可されています。

  • 生徒たちの雰囲気:一言で表すと「根は真面目で、やる時はやる」生徒が多いようです。普段は明るく活発ですが、授業や勉強には真剣に取り組みます。何事にも全力で取り組む仲間たちに囲まれているため、自然とモチベーションが高まるという声が多く聞かれます。忙しい毎日の中で、一生付き合える仲間ができる最高の環境だと感じる生徒が多いようです。

  • 制服の評判:制服に関しては、正直なところ、生徒からの評価が分かれるポイントです。特に女子の制服は、リボンやネクタイのないグレーのダブルブレザーで、「地味」「可愛くない」という意見が少なくありません。「電柱」という愛称で呼ばれていたこともあるようです。制服のデザインを重視する人にとっては、少し気になる点かもしれません。

  • 土曜授業:基本的に土曜授業はありませんが、模試や特別な講座などが実施されることがあります。

川和高校の「文武両道」は、どのようにして成り立っているのでしょうか。在校生の口コミを分析すると、そこには独特の文化が見えてきます。多くの生徒が、1・2年生の間は部活動に生活の大部分を捧げます。朝練、昼練、放課後の練習と、週に6日も7日も活動に打ち込む生徒も珍しくありません。そして、3年生になり部活動を引退すると、まるでスイッチを切り替えるかのように、クラス全体が受験モードに突入します。この一斉の切り替えが、「受験は団体戦」という言葉に象徴される強力な学習環境を生み出すのです。この「全力で部活に打ち込むフェーズ」と「全力で勉強するフェーズ」という2段階の高校生活こそが、川和高校の驚異的な実績を支える原動力と言えるでしょう。

川和高等学校の部活動・イベント

川和高校の学校生活を語る上で欠かせないのが、非常に活発な部活動と、生徒主体で作り上げる学校行事です。

部活動

川和高校の部活動加入率は、1年生で9割以上、全体でも97%に達すると言われており、兼部する生徒も多いのが特徴です。学校全体が部活動を強力に推進しており、「高い次元の文武両道」をまさに体現しています。運動部・文化部ともに、全国レベルで活躍する部が数多く存在します。

  • 運動部の花形

    • ダンス部:高校ダンス界の強豪として全国的に有名です。「日本高校ダンス部選手権」では全国大会の常連であり、数々の賞を受賞しています。文化祭でのパフォーマンスは体育館が満員になるほどの人気を誇ります。

    • 女子ハンドボール部:神奈川県内でトップクラスの実力を持ち、関東大会や全国大会への出場経験も豊富です。県大会で優勝するなど、輝かしい実績を残しています。

    • 弓道部:男女ともに県大会や関東大会で常に上位に名を連ねる強豪です。先輩が後輩をマンツーマンで指導する「弟子制度」というユニークな伝統があり、初心者からでも着実に成長できる環境が整っています。

    • 陸上競技部:毎年、多くの選手が関東大会や全国大会へと駒を進めています。

  • 文化部の実力派

    • 吹奏楽部、室内楽部、書道部:これらの文化部も全国レベルの実力を持っています。吹奏楽部はコンクールで金賞を多数受賞し、室内楽部や書道部は全国高等学校総合文化祭に出場するなど、文化的な活動も非常に盛んです。

  • 多彩なラインナップ

    サッカー部や野球部といった人気の部活はもちろん、パティシエ部、クイズ研究部、競技かるた同好会など、ユニークな部も多く、自分の興味に合った活動を見つけることができます。

イベント

川和高校の学校行事は、生徒たちが自主的に企画・運営するのが伝統です。仲間と協力して一つのものを創り上げる経験は、何物にも代えがたい思い出になります。

  • 川和祭(文化祭):川和高校で最も盛り上がるイベントの一つです。クラスごとの出店や展示、ステージ発表などで、校内は熱気に包まれます。

    • 名物「川和饅頭」:文化祭で販売されるこのお饅頭は、川和高校の代名詞とも言える存在です。「一つ食べれば川和合格、二つ食べれば早慶大、三つ食べればハーバード」というユニークなキャッチフレーズで知られ、受験生や保護者にも大人気。販売開始前から長蛇の列ができるほどの人気ぶりです。

  • 体育祭:クラスごとに3つの色に分かれて競い合う、熱い戦いが繰り広げられます。

    • 名物「応援合戦」:ダンス部やバトン部、有志の応援団が繰り広げる華やかで迫力のあるパフォーマンスは、体育祭の最大の見どころです。

    • クラスTシャツ:生徒たちが自分たちでデザインするオリジナルの「クラT」は、クラスの団結力を高める大切なアイテムです。

  • その他の行事:年に2回開催される球技大会、自然豊かな「こどもの国」を走るロードレース大会、2年生の修学旅行(行き先は沖縄や関西など)など、年間を通して多彩なイベントが目白押しです。

川和高等学校の進学実績

「学力向上進学重点校」に指定されている川和高校は、その名にふさわしい高い大学進学実績を誇ります。現役進学率は86%を超え、多くの生徒が難関大学への切符を手にしています。

2025年度入試の主な大学合格実績は以下の通りです(既卒生含む)。

  • 国公立大学:110名

    • 東京大学:1名

    • 京都大学:1名

    • 一橋大学・東京工業大学・旧帝国大学(北海道、東北、名古屋、大阪、九州):合計19名

      • (内訳例)東北大学 7名、北海道大学 6名

    • 横浜国立大学:38名

    • 東京都立大学:14名

    • 国公立大学医学部医学科:6名

  • 難関私立大学

    • 早稲田大学・慶應義塾大学・上智大学:合計174名

      • (内訳例)早稲田大学 88名、慶應義塾大学 40名、上智大学 46名

    • GMARCH(学習院、明治、青山学院、立教、中央、法政):合計556名

      • (内訳例)明治大学 191名、法政大学 120名、青山学院大学 112名

  • 私立大学医学部医学科:6名

この実績を見ると、早慶やGMARCHといった難関私立大学への合格者数が非常に多いことがわかります。しかし、ここで注目すべきは、国公立大学への進学実績です。特に地元の横浜国立大学への合格者数は県内でも屈指の多さを誇り、東北大学などの旧帝国大学にも多くの合格者を輩出しています。これは、川和高校が単に「私立大学に強い」だけでなく、共通テストを含む厳しい国公立大学入試にも十分に対応できる、質の高い授業と手厚い進路指導を提供している証拠です。

1・2年生での小集団授業や、夏期講習、校内での大手予備校模試の実施など、生徒一人ひとりの進路実現を支える体制が整っています。川和高校は、国公立と私立、どちらの難関大学も視野に入れられる「デュアルトラック(両睨み)」の進学校と言えるでしょう。

川和高等学校の特長・アピールポイント

他の高校にはない、川和高校ならではの強みや魅力をまとめました。

  • 「高い次元の文武両道」の実現

    全国レベルの部活動と難関大学合格という二つの大きな目標を、本気で追いかけることができる環境です。

  • 生徒主体で創り上げる熱狂的な学校行事

    名物の川和饅頭で知られる「川和祭」や、応援合戦が圧巻の「体育祭」など、生徒が中心となって創り上げる行事は、一生の思い出になります。

  • 自由と責任を重んじる校風

    緩やかな校則のもと、生徒の自主性が尊重されます。自分で考えて行動する力が養われ、自立した大人へと成長できます。

  • 国公立・難関私立を両睨みできる高い進学実績

    「学力向上進学重点校」として、質の高い授業とサポート体制が整っており、幅広い進路選択が可能です。

  • 圧倒的な部活動加入率と活気

    97%という驚異的な加入率が示す通り、部活動は学校生活の中心です。活気あふれる環境で、高校生活を何倍も楽しむことができます。

  • 「受験は団体戦」の文化と強い仲間意識

    部活引退後、クラス全体で受験に向かう独特の文化があります。苦しい時期も仲間と支え合いながら乗り越える経験は、大きな財産になります。

川和高等学校の口コミ・評判のまとめ

在校生や卒業生からのリアルな声を集めました。良い点だけでなく、気になる点も知ることで、より深く学校を理解できるはずです。

良い点

  • 「とにかく学校生活が楽しい。部活も行事もすべてに全力で、一生の友達ができる最高の場所」という声が圧倒的に多いです。

  • 「周りの生徒の意識が高く、お互いに刺激し合えるので、勉強も部活も自然と頑張れる」。

  • 「自由な校風なので、のびのびと自分らしく過ごせる。先生方も生徒の自主性を信じて見守ってくれる」。

  • 「忙しいけれど、その分、時間の使い方が上手くなり、人間的に大きく成長できたと感じる」。

  • 「いじめなどは聞いたことがなく、みんな落ち着いていて平和な雰囲気」という意見も多く見られます。

気になる点

  • 「女子の制服が地味で可愛くない、という声は昔から根強い」。

  • 「部活動が本当に忙しいので、勉強との両立は想像以上に大変。強い意志と自己管理能力がないと厳しいかもしれない」。

  • 「最寄り駅から徒歩10分以上かかるので、アクセスが良いとは言えない。雨の日などは少し大変」。

  • 「1、2年生の時に部活や行事に熱中しすぎると、3年生になってからの受験勉強で巻き返すのが大変になる可能性もある」。

  • 「先生のサポートは手厚いというより、生徒の自主性に任せるスタイル。自分から質問に行かないと、置いていかれてしまうと感じる人もいるかもしれない」。

アクセス・通学

川和高校への主な通学方法は以下の通りです。多くの生徒が横浜市や川崎市など、幅広いエリアから通学しています。

  • 横浜市営地下鉄グリーンライン「都筑ふれあいの丘駅」より徒歩約10〜15分。

  • 東急田園都市線「市が尾駅」よりバスに乗車、「川和高校入口」バス停で下車後、徒歩約5分。

川和高等学校受験生へのワンポイントアドバイス

ここまで読んでくれてありがとうございます。最後に、進学アドバイザーとして、川和高校を目指す皆さんへメッセージを送ります。

川和高等学校は、「高校生活でできることは、全部やりたい!」と考える、エネルギッシュなあなたにぴったりの場所です。勉強も、部活も、行事も、友達との時間も、何一つ諦めたくない。そんな欲張りな目標を、本気で応援してくれるのが川和高校の魅力です。

受験勉強では、5教科の学力はもちろんですが、神奈川県の公立高校入試の中でも特に内申点が重視されるのが川和高等学校の大きな特徴です。中学3年間、授業に真面目に取り組み、提出物をきちんと出し、全ての教科でコツコツと努力を積み重ねてきたあなたの姿勢は、必ず評価されます。その継続力こそが、入学後、忙しい毎日を乗り越える力になるはずです。自信を持って、挑戦してください。応援しています!

※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。