宮崎県立延岡高等学校は、120年以上の豊かな歴史と革新的な教育が融合する、県北を代表する進学校です。歌人・若山牧水を輩出した深い伝統を受け継ぎながら、常に未来を見据えた学びを提供しています。長い歴史の中で築き上げられた「質実剛健」の精神は、今も生徒たちの心に息づいています。

しかし、延岡高等学校の魅力は伝統だけではありません。文部科学省から「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」、さらにユネスコ本部から「ユネスコスクール」としての認定を受け、地域に根ざしながら世界に通用する人材の育成に力を注いでいます。探究学習や国際交流といった、他では得られない特別な経験が、ここでは日常の学びとして用意されています。

この記事では、そんな延岡高等学校での高校生活がどのようなものか、中学生の皆さんと保護者の皆様が具体的にイメージできるよう、偏差値や校風、部活動、進学実績などを詳しく解説していきます。挑戦と成長に満ちた3年間が、あなたを待っているかもしれません。一緒にその扉を開けてみましょう。

延岡高等学校の基本情報

延岡高等学校の基本的な情報を表にまとめました。学校選びの第一歩として、まずはこちらをご確認ください。

項目 内容
正式名称 宮崎県立延岡高等学校
公立/私立の別 公立
共学/別学の別 男女共学
所在地 〒882-0837 宮崎県延岡市古城町3丁目233番地
代表電話番号 0982-32-5331
公式サイトURL https://cms.miyazaki-c.ed.jp/6027/

延岡高等学校の偏差値・難易度・併願校

延岡高等学校への合格を目指す上で、偏差値や難易度を正しく理解しておくことは非常に重要です。ここでは、具体的な数値と共に、合格の目安や主な併願校について解説します。

最新の偏差値は以下の通りです。

  • メディカル・サイエンス科: 64

  • 普通科: 60

この偏差値は、延岡高等学校が宮崎県内、特に県北エリアにおいてトップクラスの学力を誇る進学校であることを示しています。合格するためには、中学校での学習内容を深く理解し、高いレベルで定着させておく必要があります。

難易度をより具体的にイメージするために、いくつかの補足情報をお伝えします。

  • 同じくらいの偏差値の他の高校:県内では、宮崎西高等学校(普通科 63)や宮崎南高等学校(フロンティア科 62)などが学力的に近いレベルの高校として挙げられます。これらの高校と並ぶ、県内有数の難関校の一つと考えてよいでしょう。

  • 合格に必要な内申点の目安:明確な基準はありませんが、在校生や卒業生の情報を見ると、5段階評価で合計41〜45程度がひとつの目安となるようです。これは、主要5教科だけでなく、副教科においても高い成績を収める必要があることを意味します。日々の授業態度や提出物など、中学校3年間を通した真摯な取り組みが評価されます。

宮崎県の公立高校入試では、基本的に他の公立高校を併願することはできません。そのため、延岡高等学校を受験する生徒の多くは、滑り止めとして私立高校を併願します。主な併願校としては、以下のような高校の特進コースが選ばれることが多いようです。

  • 鵬翔高等学校(特進英数科)

  • 延岡学園高等学校(普通科アドバンスc)

  • 聖心ウルスラ学園高等学校(普通科特別進学c)

延岡高等学校に設置されている学科・コース

延岡高等学校には、生徒一人ひとりの進路目標や興味・関心に応えるための2つの魅力的な学科が設置されています。それぞれの特色を理解し、自分に合った学科を選びましょう。

  • 普通科

    • どんなことを学ぶ場所なのか:国公立大学や難関私立大学への進学を目指し、5教科を中心に幅広く、かつ深く学ぶ学科です。3年次には芸術分野の選択科目も用意されており、多様な進路希望に対応できる柔軟なカリキュラムが特長です。

    • どんな生徒におすすめか:将来の夢がまだ具体的に決まっていないけれど、大学で専門的なことを学びたいと考えている人や、文系・理系を問わず幅広い選択肢を残しておきたい人におすすめです。

  • メディカル・サイエンス科

    • どんなことを学ぶ場所なのか:医学・歯学・薬学・看護学などの医療系や、最先端の科学技術分野への進学に特化した学科です。SSH(スーパーサイエンスハイスクール)の活動と連携し、大学教授による講義や医療現場での体験など、専門性の高い探究活動を行います。

    • どんな生徒におすすめか:将来、医師や研究者など、科学や医療の分野で社会に貢献したいという強い意志を持っている人や、理数系の科目が得意で、高校から一歩踏み込んだ学びを体験したい人に最適です。

延岡高等学校の特色・校風

延岡高等学校は、「文武両道」「質実剛健」といった言葉が似合う、伝統と活気に満ちた学校です。同時に、SSHやユネスコスクールとしての活動を通じて「グローバル」な視野と「探究学習」を重んじる、先進的な校風も持ち合わせています。

ここでは、中学生の皆さんが特に気になる学校生活のリアルな部分を、口コミなどを基に詳しく紹介します。

  • 宿題の量と課外授業:宿題の量は「多い」という声が多数です。特に部活動との両立には、計画的な学習習慣が不可欠です。また、延岡高校の大きな特徴として「朝課外」「夕課外」と呼ばれる補習があります。これらは希望制とされていますが、口コミでは「ほぼ強制」と感じる生徒が多く、クラスのほとんどが参加しているようです。この手厚い学習サポート体制が、高い進学実績の土台となっています。

  • 校則:全体的に「厳しい」という意見が多いようです。

    • スマホ:校内では電源を切ることがルールとなっています。

    • 服装:頭髪や靴下の長さなど、身だしなみに関する指導は比較的厳しい傾向にあるようです。

    • アルバイト:原則として禁止されています(特別な事情がある場合は除く)。

  • 生徒たちの雰囲気:「真面目で努力家が多い」のが特徴です。旧帝大をはじめとする国公立大学を目指す生徒が多く、自然と学習意欲の高い環境が形成されています。休み時間に問題を出し合ったり、放課後に自習室で教え合ったりと、仲間と切磋琢磨しながら目標に向かう、前向きな雰囲気に満ちています。

  • 制服の評判:伝統的なデザインでしたが、2025年度(令和7年度)入学生から制服が新しくなる予定です。時代に合わせて進化しようとする学校の姿勢がうかがえます。

  • 土曜授業:毎週の土曜授業は基本的にありません。しかし、学校行事や部活動の大会、模擬試験などが土曜日に行われることは多く、学校を中心に充実した週末を過ごす生徒が多いようです。

一見すると、宿題が多く課外も大変で、校則も厳しいという印象を受けるかもしれません。しかし、こうした環境だからこそ生まれる強い一体感があります。厳しい学習を共に乗り越える仲間との絆は非常に強く、そのエネルギーが文化祭などの学校行事で一気に爆発します。この「やるときはやる、楽しむときは全力で楽しむ」というメリハリこそが、延岡高校の最大の魅力と言えるでしょう。

延岡高等学校の部活動・イベント

部活動

延岡高等学校の「文武両道」を象徴するのが、活発な部活動です。1・2年生の部活動加入率は90%に達し、ほとんどの生徒が勉強と両立しながら仲間と共に汗を流しています。毎週水曜日は原則休養日となっており、メリハリをつけて活動できる環境が整っています。

運動部・文化部ともに数多くの部が活動していますが、ここでは特に有名な部活動や珍しい部活動をいくつか紹介します。

  • かるた部:全国的にその名を知られる強豪部です。人気漫画『ちはやふる』の影響もあり、多くの部員が所属しています。かるたの聖地「近江神宮」で開催される全国大会の常連であり、県代表として何度も出場する実力を誇ります。初心者から始める生徒も多く、先輩後輩の仲が良い和気あいあいとした雰囲気の中で、集中力と記憶力を鍛えることができます。

  • 運動部(野球部、サッカー部など):野球部は甲子園、サッカー部は全国大会への出場経験があり、長い歴史の中で輝かしい実績を残しています。陸上競技部や書道部なども全国大会へ出場する選手を輩出しており、高いレベルで挑戦したい生徒にとって最高の環境が整っています。その他にも、テニス、バスケットボール、バレーボール、弓道、剣道など、多種多様な運動部が活動しています。

イベント

延岡高校の学校生活を彩るイベントは、生徒たちが主体となって作り上げるため、毎年大変な盛り上がりを見せます。クラスの団結力が試される、最高の思い出作りの場です。

  • 萌樹祭(文化祭):6月に行われる学校最大のイベントです。特に3年生がクラスごとに上演する演劇は圧巻の一言。脚本から大道具、衣装、演出まで全て生徒たちの手で行われ、そのクオリティの高さは外部からも注目されるほどです。2年生は趣向を凝らした展示、1年生は美しいハーモニーを響かせる合唱コンクールと、学年ごとに異なる企画で祭りを盛り上げます。準備期間から放課後遅くまで学校に残り、クラス一丸となって取り組む時間は、かけがえのない青春の1ページとなるでしょう。

  • 体育大会:9月に開催される、もう一つの大きなイベントです。学年やクラス対抗で様々な競技に挑み、応援にも熱が入ります。萌樹祭で深まったクラスの絆を、今度はグラウンドで発揮する絶好の機会です。

  • 修学旅行:12月に実施されます。仲間と共に過ごす数日間は、高校生活の中でも特に心に残る思い出となるはずです。

  • その他の伝統行事:歌人・若山牧水の母校であることから、その功績を偲ぶ「牧水忌」という行事があったり、近隣の延岡星雲高校との野球定期戦が行われたりと、延岡高校ならではのユニークな伝統行事も大切に受け継がれています。

延岡高等学校の進学実績

延岡高等学校の最も誇るべき点の一つが、国公立大学への卓越した進学実績です。各種教育情報誌のランキングでは、国公立大学への現役進学率で「県内1位」「全国トップクラス」という評価を何度も獲得しており、その実績は全国的にも高く評価されています。

これは、生徒一人ひとりの努力はもちろん、先生方の熱心な指導と、学校全体で大学受験をサポートする強力な体制の賜物です。

以下に、近年の主な大学進学実績をまとめました。

  • 国公立大学:九州大学(医学部医学科含む)、宮崎大学(医学部医学科含む)、熊本大学をはじめ、全国の国公立大学に多数の合格者を輩出しています。特に地元九州の大学への進学者が多い傾向にありますが、全国の難関大学にも挑戦できる学力が身につきます。朝日新聞の教育情報誌によると、2023年には国公立大学への現役進学率で全国6位、2024年には全国22位にランクインするなど、その実績は折り紙付きです。

  • 難関私立大学:首都圏のGMARCH(明治大学、立教大学、中央大学など)や、関西の関関同立(関西大学、立命館大学など)といった難関私立大学にも、毎年安定して合格者を出しています。

  • その他の進路:ほとんどの生徒が4年制大学への進学を希望しますが、一部には専門学校への進学や就職を選ぶ生徒もいます。どのような進路を選択するにしても、学校が全面的にサポートしてくれます。

この高い進学実績を支えているのが、日々の授業に加えて行われる「朝課外」「夕課外」といった補習や、長期休暇中の講習です。希望制ではありますが、多くの生徒が参加し、受験に必要な応用力を徹底的に鍛えます。また、進路指導室には豊富な大学情報が揃っており、専門の先生方が親身に進路相談に乗ってくれるなど、万全のサポート体制が整っています。

延岡高等学校の特長・アピールポイント

数ある高校の中で、延岡高等学校が持つ独自の強みやユニークな取り組みを、7つのポイントに絞ってご紹介します。

  • 文部科学省指定「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」

    全校生徒が対象となる探究活動が最大の特長です。通常の授業の枠を超え、自ら課題を見つけ、仮説を立て、検証するプロセスを学びます。大学や企業と連携した本格的な研究活動は、他では決してできない貴重な経験となります。

  • 地域を科学する独自の探究学習「のべたかSALK」

    「Search and Analyze Local Knowledge」の略で、生徒たちが学校を飛び出し、延岡という地域が持つ魅力や課題を科学的な視点で探究する体験学習です。地元の大学や大手企業「旭化成」などと協力し、生きた学びを実践します。

  • 世界とつながる「ユネスコスクール」

    ユネスコが推進する理念(平和、人権、環境など)を実現するための活動を行う学校です。SDGs(持続可能な開発目標)をテーマにした学習や国際交流を通じて、グローバルな視野を養うことができます。

  • 活発な国際交流と「のべたか海外サイエンス研修」

    タイの姉妹校とオンラインで共同研究を行ったり、実際に現地を訪問して研究発表や文化交流を行う海外研修プログラムが用意されています。英語を「使う」場面を経験し、世界に挑戦する意欲を育みます。

  • 全国トップクラスの国公立大学現役進学率

    手厚い学習サポートと生徒たちの高い学習意欲により、全国でも有数の国公立大学現役進学率を誇ります。「国公立大学に進学したい」という強い目標を持つ生徒にとって、最も確かな道筋を示してくれる学校の一つです。

  • 生徒が主役で創り上げる、熱気あふれる学校行事

    特に文化祭「萌樹祭」の盛り上がりは格別です。準備期間からクラスが一つになり、最高の舞台を創り上げます。勉強だけでなく、行事や部活動にも全力で取り組む校風が、充実した高校生活を約束します。

  • 120年以上の歴史と、若山牧水も学んだ伝統

    旧制延岡中学校時代からの長い歴史と伝統は、学校の大きな誇りです。偉大な先輩たちに続く一員として、歴史ある学び舎で3年間を過ごすことは、大きな自信と成長につながるでしょう。

延岡高等学校の口コミ・評判のまとめ

実際に延岡高等学校で学んだ先輩たちは、学校生活をどのように感じていたのでしょうか。在校生や卒業生から寄せられた様々な声を、良い点と気になる点に分けて公平にご紹介します。

良い点

  • 「大学進学、特に国公立を目指すには最高の環境」という声が非常に多いです。先生方のサポートが手厚く、周りの生徒も目標が高いため、自然と勉強に集中できる雰囲気があったようです。

  • 「SSHの活動は大変だったけれど、他ではできない貴重な経験ができた」という意見も目立ちます。探究活動や発表の経験が、大学入試やその後の学びにも役立ったと感じている卒業生が多いようです。

  • 「萌樹祭(文化祭)などの行事が本当に楽しい」という口コミは、ほぼ全ての生徒から聞かれます。準備から本番まで、クラス一丸となって全力で取り組む経験は、最高の思い出になるとのことです。

  • 「高い目標を持つ仲間と切磋琢磨できたことが財産」という声も多くあります。互いに励まし合い、時にはライバルとして競い合う中で、学力だけでなく人間的にも大きく成長できたと感じているようです。

気になる点

  • 「とにかく宿題や課外が多くて忙しい」というのは、多くの生徒が感じることのようです。部活動との両立には工夫が必要で、自分の自由な時間を作るのが難しいと感じることもあるようです。

  • 「校則が他校に比べて厳しいと感じる」という意見もあります。特に頭髪や服装、スマートフォンの使用に関するルールについては、もう少し自由度が欲しいと感じる生徒もいるようです。

  • 「朝課外が実質強制なのが少しきつい」という声も聞かれます。朝早くから学校に行く生活に慣れるまでは、体力的に大変だと感じるかもしれません。

  • 「卒業後の同窓会活動が少し大変」というユニークな意見もありました。伝統校ならではの、卒業生同士の強いつながりがあることの裏返しとも言えそうです。

アクセス・通学

延岡高等学校へは、JRやバスを利用して通学することができます。ここでは、主なアクセス方法と、どのエリアから通っている生徒が多いかについて説明します。

最寄り駅からのアクセス

  • JR南延岡駅から:距離は約2.4kmです。自転車を利用すると約10分で到着します。バスを利用する場合は、宮崎交通バスの延岡駅方面行きに乗り、「愛宕1丁目」バス停で下車後、徒歩約10分です。

  • JR延岡駅から:距離は約3.3kmです。宮崎交通バスの三輪行きに乗り、「延岡高校前」バス停で下車すると、徒歩約2分ですぐに学校に着きます。

主な通学エリア

延岡市内からの通学はもちろん、県北の広い地域から生徒が集まっています。

  • 日向市や門川町方面から通う生徒は、主にJR南延岡駅を利用しています。

  • 高千穂町、五ヶ瀬町、日之影町といった遠方の生徒向けには寮が用意されています。

  • 北方町や土々呂町など、比較的近隣の生徒は自転車や保護者の送迎で通学することが多いようです。

様々な地域から多様な生徒が集まることも、延岡高校の魅力の一つです。

延岡高等学校受験生へのワンポイントアドバイス

ここまで読んでくれて、ありがとうございます。最後に、進学アドバイザーとして、延岡高等学校を目指す君たちにエールを送ります。

延岡高等学校は、「高い目標に向かって、仲間と共に本気で努力したい」と考える君にこそ、ぴったりの学校です。特に、将来は医療や科学技術の分野で活躍したい、あるいは国公立大学で専門的な学問を究めたいという強い意志があるなら、ここは最高の環境になるでしょう。勉強も、部活も、行事も、すべてに全力で打ち込みたい。そんなエネルギーあふれる君を、延岡高校は待っています。

受験勉強では、まず中学校の基礎を完璧に固めることが何よりも大切です。特に、偏差値の高いメディカル・サイエンス科を目指すなら、数学と理科で他の人に差をつける応用力が求められます。また、内申点も非常に重要視されます。日々の授業に真剣に取り組み、提出物をきちんと出すなど、当たり前のことを丁寧に続ける姿勢が合格への一番の近道です。大変な道のりですが、延岡高校で得られる経験と友情は、君の人生にとってかけがえのない宝物になるはずです。ぜひ一度オープンスクールに足を運んで、その熱気を肌で感じてみてください。応援しています!

※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。