志學館高等部は、鹿児島県内でもトップクラスの学力を誇りながら、一般的な進学校のイメージとは一線を画す、非常にユニークな個性を持つ学校です。高い偏差値と優れた大学進学実績の裏にあるのは、厳しい規則ではなく、生徒一人ひとりの自主性を最大限に尊重する「自由」の精神です。この学校では、管理されるのではなく、自ら考え、判断し、行動することが求められます。

この教育方針は、確固たる自己管理能力と高い学習意欲を持つ生徒にとっては、まさに理想的な環境と言えるでしょう。志學館高等部が求めているのは、与えられた課題をこなすだけでなく、自らの目標に向かって主体的に学びを深めていける人材です。高校生活を通じて、大学受験はもちろん、その先の人生で必要となる本当の意味での「生きる力」を育むことを目指しています。

この記事では、そんな志學館高等部の偏差値や具体的な学校生活、ユニークなイベント、そして卒業後の進路まで、皆さんが本当に知りたい情報を詳しく解説していきます。この学校の持つ独特の魅力が、あなたの心に響くかどうか、ぜひじっくりと読み進めてみてください。未来の可能性を広げるための、大切な一歩になるかもしれません。

志學館高等部の基本情報

まずは、学校の基本的な情報を確認しておきましょう。

項目 内容
正式名称 学校法人 志學館学園 志學館中等部・高等部
区分 私立・男女共学
所在地 鹿児島県鹿児島市南郡元町14-2
代表電話番号 099-257-4500
公式サイト https://www.jh.shigakukan.ac.jp/

志學館高等部の偏差値・難易度・併願校

志學館高等部は、鹿児島県内で非常に高い学力レベルを誇る私立高校です。その難易度を具体的に見ていきましょう。

  • 普通科:偏差値 69

この偏差値69という数値は、学年全体の上位約3%以内に入る学力が必要であることを示しており、県内トップクラスの難易度です。同じくらいの偏差値の高校としては、公立トップ校の鹿児島中央高等学校(普通科 偏差値69)が挙げられます。また、甲南高等学校(普通科 偏差値71)や鶴丸高等学校(普通科 偏差値75)を目指す受験生の併願校としても選ばれることが多いです。

合格に必要な内申点の具体的な基準は公表されていませんが、この偏差値レベルを考えると、主要5教科はもちろん、全教科で極めて優秀な成績が求められることは間違いありません。日頃の授業態度や提出物なども含め、高い評価を得ておくことが重要です。

鹿児島県の高校入試では、公立高校の併願はできないため、鶴丸高校や甲南高校などの公立トップ校を第一志望とする受験生にとって、高いレベルの教育を受けられる志學館高等部は、有力な私立の併願先となります。主な併願校としては、同じく私立の鹿児島純心女子高等学校や尚志館高等学校などが考えられます。

志學館高等部に設置されている学科・コース

志學館高等部に設置されているのは、大学進学に特化した以下の学科のみです。

  • 普通科

この学科は、国公立大学や難関私立大学への進学を目標とする生徒のために設計されています。特定の専門分野に分かれるのではなく、全ての生徒が大学受験という共通の目標に向かって学ぶ環境です。2年次からは、それぞれの希望進路に応じて文系・理系のコースに分かれ、より専門的な学習を進めていくことになります。特に、医学部や歯学部、薬学部といった医療系の難関学部への進学を目指す生徒が多く在籍しているのが大きな特徴です。将来の目標が明確で、高いレベルの大学を目指したいと考えている生徒に最適な学科と言えるでしょう。

志學館高等部の特色・校風

志學館高等部の最も大きな特色は、その校風にあります。キーワードで表すなら、「自主・自律」「自由闊達」「落ち着いた雰囲気」「信頼」といった言葉がぴったりです。

  • 校則:驚くべきことに、志學館高等部には明確な校則がほとんど存在しません。学校の教育方針は「自分たちで考えて正しいか正しくないか判断する」というもので、生徒の自主性が徹底的に尊重されています。そのため、髪型や靴、靴下なども自由です。

  • スマホの扱い:スマートフォンの持ち込みは許可されています。ただし、授業中の使用は表向きは禁止されているようで、生徒たちはマナーを守って使用しているようです。

  • 生徒たちの雰囲気:1学年が100人程度の少人数であるため、生徒同士の仲が非常に良く、アットホームな雰囲気です。生徒は穏やかで落ち着いた人が多いという声が多く、自由な環境の中でも真面目に学習に取り組む生徒が集まっています。

  • 宿題の量:「宿題はやや多い」という口コミがありますが、きちんとこなすことで学力が身につき、上位の成績を維持できるようです。自由な校風だからこそ、日々の課題に真摯に取り組む自己管理能力が求められます。

  • 制服の評判:女子の制服はおしゃれで可愛いと評判です。男子は一般的なブレザーですが、悪くはないという評価が多いようです。

  • アルバイト:進学を重視する校風のため、アルバイトは原則として認められていないと考えられます。

  • 土曜授業:平常授業はありませんが、補習や特別講座などが開かれることがあるようです。

この「校則ゼロ」という環境は、単に自由であるというだけでなく、学校が生徒を深く信頼していることの表れです。この信頼に応えようとする意識が、生徒たちの間に落ち着きと高い学習意欲を生み出しています。この独特の文化が、志學館高等部を志望する生徒や保護者にとって、最大の魅力であり、同時に、入学前に適性を考えるべき最も重要なポイントと言えるでしょう。

志學館高等部の部活動・イベント

勉強だけでなく、学校生活を彩る部活動やイベントも非常に個性的で魅力的です。

部活動

志學館高等部は学業を最優先とする生徒が多いため、部活動は全国レベルを目指すというよりは、勉強と両立しながら楽しむ雰囲気が強いようです。運動部、文化部ともに活動していますが、特に際立った実績を持つ部活動に関する情報は少ない傾向にあります。これは、生徒たちが部活動だけでなく、学習やその他の活動にもバランス良く時間を使っていることの表れかもしれません。少人数制のため、先輩後輩の垣根なく和気あいあいと活動している様子がうかがえます。

イベント

生徒が主体となって企画・運営するイベントが多く、非常に盛り上がります。

  • 体育祭:志學館高等部の体育祭で名物となっているのが、生徒選抜チームと先生チームによる「ガチ」のリレー対決です。特に体育の先生や若い先生方は本気で勝負を挑んでくるため、毎年大変な盛り上がりを見せるそうです。先生と生徒の距離の近さ、そして学校全体の一体感が感じられる素晴らしいイベントです。

  • 修学旅行:高校の修学旅行先は、なんとドイツとオーストリアです。映画『サウンド・オブ・ミュージック』の舞台や、ナチスの強制収容所跡地などを訪れるという、非常に学びの多い内容となっています。国内旅行が一般的な中で、ヨーロッパへの修学旅行は、国際的な視野を広げる貴重な体験となるでしょう。

  • 独自の伝統:入学式や卒業式では、ヘンデルの『ハレルヤ』を全校生徒でハモリながら歌うというユニークな伝統があります。中高6年間、同じパートを担当し続ける生徒もいるそうで、学校の歴史と一体感を感じられる瞬間です。

志學館高等部の進学実績

自由な校風のもと、生徒たちがどれほどの成果を上げているのか、その進学実績は圧巻です。特に国公立大学や難関私立大学、そして医学部医学科への合格実績は、1学年の生徒数を考えると驚異的です。

以下は、過去5年間(2021年〜2025年)の主な大学合格実績です。

大学群 主な合格大学と人数(過去5年合計)
国公立大学 鹿児島大学 (86名)、横浜市立大学 (2名)、東京都立大学 (1名)など、合計175名
国公立大学医学部医学科 九州大学、広島大学、島根大学、佐賀大学など、合計32名
私立大学医学部医学科 金沢医科大学 (5名)、藤田医科大学 (4名)、愛知医科大学 (4名)など、合計75名
難関私立大学(GMARCHなど) 明治大学 (24名)、法政大学 (16名)、中央大学 (14名)、立教大学 (9名)など

特筆すべきは、やはり医学部医学科への進学実績です。国公立・私立を合わせると、過去5年間で107名もの合格者を輩出しており、「10人に1人は医学部に進学する」という口コミもあるほどです。これは、医療系を志す生徒にとって非常に刺激的で、目標を達成しやすい環境が整っていることを示しています。

こうした高い進学実績を支えているのが、手厚い学習サポート体制です。夏休みには「サマースクール」と呼ばれる10日程度の夏期補習が実施され、1・2年生は苦手分野の克服や発展的な演習に、3年生は本格的な受験対策講座に取り組むことができます。また、文系の生徒向けには早稲田大学や慶應義塾大学をはじめとする豊富な指定校推薦枠も用意されており、多様な進路希望に対応しています。

志學館高等部の特長・アピールポイント

他の高校にはない、志學館高等部ならではの強みやユニークな取り組みをまとめました。

  • 「校則ゼロ」が育む究極の自主性

    学校からルールで縛られるのではなく、生徒一人ひとりが自ら考え、判断する文化が根付いています。この環境は、大学や社会で求められる自己管理能力と責任感を自然に養います。

  • 県内トップクラスの医学部進学実績

    国公立・私立を問わず、医学部医学科への圧倒的な合格実績は、学校の最も大きな強みです。医療の道を志す仲間たちと切磋琢磨できる環境は、他に代えがたいものです。

  • 少人数制ならではの密な人間関係

    1学年100人程度という規模だからこそ、生徒同士はもちろん、先生との距離も非常に近いです。個性豊かな先生方から親身なサポートを受けられ、一生涯の友人に出会える場所です。

  • グローバルな視野を養う欧州修学旅行

    高校の修学旅行でドイツ・オーストリアを訪れるという、非常に貴重な体験ができます。歴史や文化に直接触れることで、物事を多角的に見る力が養われます。

  • 文系生徒にも手厚い指定校推薦枠

    医学部進学のイメージが強いですが、早稲田大学や慶應義塾大学、GMARCHなど、難関私立大学の指定校推薦枠も充実しています。文系の生徒にとっても魅力的な進路選択が可能です。

  • 生徒と先生が本気で競う名物行事

    体育祭での先生チームとのリレー対決など、学校全体が一体となって盛り上がるユニークなイベントが豊富です。勉強だけでなく、学校生活そのものを楽しむことができる校風です。

志學館高等部の口コミ・評判のまとめ

在校生や卒業生からの声をまとめると、この学校の姿がより立体的に見えてきます。

良い点

  • 先生のサポートが手厚い

    「先生方がとても熱心で、身を削って生徒に向き合って下さる」「勉強だけでなく色々な相談に乗ってくれる」といった声が非常に多いです。個性的な先生が多く、授業が面白いという評判もあります。

  • 自由な校風でのびのび過ごせる

    「校則に縛られず自由でのびのびとした高校生活を送りたい人におすすめ」「穏やかな友人たちに囲まれて、もう一度戻りたいと思える6年間を過ごした」など、自主性を重んじる校風を高く評価する声が目立ちます。

  • 目標の高い仲間と切磋琢磨できる

    「医学部志望が周りにかなり多く、刺激になる」「1学年が100人ちょいなので、人数にしては合格実績がいい」といった、学習環境の良さを挙げる意見も多数あります。

  • 一生の友人に出会える

    少人数制のため、「男女みんな仲良く、志學館という1つの家族のよう」と感じる生徒が多く、卒業後も続く強い絆が生まれるようです。

気になる点

  • 高校からの入学者は馴染むのに努力が必要な場合も

    中高一貫校であるため、高校から入学する生徒は15人程度と少数です。すでに友人関係が出来上がっている中に加わるため、「最初はちょっとなじみ難いかも」という声や、「高校から入学した人へのサポートがあまりにも雑だと思った」という厳しい意見も見られます。

  • 自主性がないと厳しい環境

    自由な校風は、裏を返せば「自分から動かなければ何も始まらない」ということです。「自主性がある方ならきっと学校生活を楽しめる」という声がある一方、受け身の姿勢ではついていくのが難しいかもしれません。

  • いじめに関する懸念

    ほとんどの口コミが良い人間関係に言及する一方で、「友達がいじめられたのを見て心が痛い」という非常にネガティブな口コミも一件ありました。どのような学校でも起こりうることですが、念頭に置いておく必要はあります。

  • 授業の進度が遅いという意見

    「中高一貫校なのに関わらず授業の進みが遅かったのが不満でした」という声もありました。これは個人の感じ方による部分も大きいと思われます。

アクセス・通学

志學館高等部は鹿児島市内に位置しています。

具体的な最寄り駅や駅からのアクセス方法(バス路線、所要時間など)については、公式サイトで最新の情報を確認することが最も確実です。中高一貫校であるため、スクールバスが運行されている可能性も考えられます。

通学している生徒は、鹿児島市内全域はもちろん、市外の広い範囲から集まっていると推測されます。

志學館高等部受験生へのワンポイントアドバイス

ここまで読んでくれて、ありがとうございます。志學館高等部という学校の、他にはない魅力と少しだけシビアな側面が見えてきたのではないでしょうか。

最後に、進学アドバイザーとして皆さんにメッセージを送ります。この志學館高等部は、「自由には責任が伴う」ということを高校生活を通じて学びたい、自立した生徒に特におすすめです。誰かに管理されるのではなく、自分の意志で学び、自分の力で未来を切り拓きたいと強く願う君にとって、ここは最高の環境になるでしょう。特に、医師や研究者といった高い目標を持っているなら、同じ志を持つ仲間と出会える貴重な場所です。

志學館高等部の合格を勝ち取るためには、高い学力はもちろんのこと、「なぜこの学校で学びたいのか」という明確な意志が不可欠です。受験勉強では、苦手科目を作らないよう基礎を徹底的に固めましょう。そして、日頃から自分で計画を立てて勉強する習慣を身につけてください。その習慣こそが、入学後、君を支える最大の武器になります。挑戦を心から応援しています!

※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。