愛農学園農業高等学校は、三重県伊賀市に位置する日本で唯一の私立農業高校です。この学校の最大の特長は、単に農業の知識や技術を学ぶだけでなく、「神・人・土を愛する」という三愛精神を教育の基本に置き、全寮制の中で「生きる力」そのものを育むことにあります。全国から集まる仲間と共に、有機農業を実践し、自分たちで育てた作物を日々の食事でいただくという、農場から食卓までが一体となった生活を送ります。

一般的な高校とは少し違う、ユニークな教育方針を持つ愛農学園農業高等学校。ここでは、自然と共に暮らし、仲間と深く関わりながら、自分自身と向き合う3年間が待っています。農業に興味がある人はもちろん、「何か新しいことに挑戦したい」「本当の学びを体験したい」と考えている中学生や保護者の方にとって、愛農学園農業高等学校は非常に魅力的な選択肢となるでしょう。

この記事では、そんな愛農学園農業高等学校の具体的な学校生活、学びの特色、そして気になる偏差値や進路について、詳しくご紹介していきます。

愛農学園農業高等学校の基本情報

愛農学園農業高等学校の基本的な情報を表にまとめました。全国でも珍しい私立の農業高校で、全生徒が寮で生活を共にします。

項目 内容
正式名称 愛農学園農業高等学校
公立/私立の別 私立
共学/男子校/女子校の別 男女共学
所在地 〒518-0221 三重県伊賀市別府690
代表電話番号 0595-52-0327
公式サイト https://ainogakuen.ed.jp/

愛農学園農業高等学校の偏差値・難易度・併願校

愛農学園農業高等学校の入試は、学力試験だけでなく、面接を重視する傾向があるようです。偏差値は参考情報として捉え、学校の教育方針への理解と共感が合格の鍵となります。

愛農学園農業高等学校の偏差値は、各種受験情報サイトによると37〜39程度とされています。しかし、この学校は学力だけで合否が決まるわけではない点に注意が必要です。全寮制で有機農業を学ぶという特殊な環境のため、生徒本人の「ここで学びたい」という強い意志や、共同生活への適性が非常に重要視されます。

入試は専願のみで、面接では「この学校で何をしたいか、何を学びたいか」といった、魂のこもった受け答えが求められるという卒業生の声もあります。そのため、偏差値が基準に達しているから安心というわけではなく、逆に学力に少し不安があっても、農業への熱意や人間性をアピールできれば合格の可能性は十分にあります。

併願校については、愛農学園農業高等学校が専願での募集のため、他の高校との併願はできません。この学校を第一志望として、しっかりと準備を進める必要があります。

愛農学園農業高等学校に設置されている学科・コース

愛農学園農業高等学校には「農業科」のみが設置されています。しかし、その学びは非常に深く、専門的です。1学年25名という少人数教育の中で、生徒一人ひとりが主役となって農業と向き合います。

  • 農業科

    • どんなことを学ぶ場所か:入学後の1年間は、牛・豚・鶏・野菜・米・果樹の6つの部門をすべて体験します。2年生からは自分の興味や関心に合わせて部門を選択し、より専門的な知識と技術を深めていきます。化学肥料や農薬を使わない有機農業を実践し、命を育むことの大切さを体感的に学びます。

    • どんな生徒におすすめか:机の上の勉強だけでなく、実際に土に触れ、動物の世話をしながら学ぶことに興味がある人。自然や食、環境問題に関心があり、持続可能な生き方を模索したい人におすすめです。

愛農学園農業高等学校の特色・校風

愛農学園農業高等学校の校風は、キーワードで表すなら「共同生活」「有機農業の実践」「キリスト教精神に基づく人間教育」と言えるでしょう。全寮制という環境が、他にはない濃密な人間関係と学びの場を生み出しています。

  • 校風・生徒の雰囲気:全国から様々な背景を持つ生徒が集まり、1学年25名という少人数の中で3年間を共に過ごします。寮生活や農場での共同作業を通して、互いを認め合い、尊重し合う精神が育まれるようです。楽しいことばかりではなく、時には意見がぶつかり合うこともありますが、それも人間的な成長の糧となる濃い人間関係が築かれます。

  • 校則:スマートフォンの持ち込みは原則としてできません。ゲーム機なども同様です。これは、目の前の仲間や自然、そして自分自身と深く向き合う時間を大切にするための学校の方針です。不便に感じるかもしれませんが、その分、読書をしたり、仲間と語り合ったり、音楽を楽しんだりと、自分たちで楽しみを見つける力が養われます。

  • 宿題・学習:一般的な高校と同じく国語、数学、英語などの普通科目も学びますが、農業に関する専門科目や実習がカリキュラムの大きな柱となっています。特に実習は授業時間だけでなく、朝5時半からの搾乳など、家畜の世話は生き物のリズムに合わせて行われます。

  • アルバイト:学校の規則に関する明確な情報は見当たりませんでしたが、全寮制で日々の農作業や寮の仕事があるため、アルバイトをするのは時間的にも物理的にも難しいと考えられます。

  • 制服:制服はなく、私服での通学(生活)となります。農作業が中心となるため、動きやすい服装が基本です。

  • 土曜授業:土曜日も授業が行われることがあります。

愛農学園農業高等学校の部活動・イベント

愛農学園農業高等学校では、農業高校ならではの活動が学校生活の中心となります。一般的な部活動とは少し異なりますが、生徒たちは日々の農作業やイベントを通して、専門性を高め、仲間との絆を深めています。

部活動

愛農学園農業高等学校では、厳密な意味での「部活動」は、農場の6つの「部門」活動がそれに当たると言えます。2年生になると、生徒は作物、野菜、果樹、酪農、養鶏、養豚のいずれかの部門に所属し、専門的な農業学習に励みます。

これらの活動は単なる実習ではなく、自分たちが育てたものが日々の食事になるという責任が伴います。例えば、酪農部門の生徒は毎朝早くから牛の世話をし、養鶏部門の生徒は卵を集めます。このように、生き物と向き合う実践的な活動を通して、生徒たちは大きな成長を遂げます。文化系の活動としては、軽音楽部などがあるようです。

イベント

愛農学園農業高等学校のイベントは、農業のサイクルと深く結びついています。

  • 収穫感謝祭・学園祭:毎年11月に行われる最大のイベントです。3日間にわたって開催され、生徒たちが丹精込めて育てた農産物の販売や、様々な催し物が行われます。

  • 農家実習:1年生では1週間、2年生では北海道で2週間、実際の農家に住み込みで実習を行います。農業の技術だけでなく、農家の暮らしそのものを体験する貴重な機会です。

  • 修学旅行:3年生の修学旅行では沖縄を訪れ、歴史や平和について学びます。

  • 国際交流:韓国にある姉妹校のプルム学園との相互訪問など、国際的な視野を広げる機会も設けられています。

愛農学園農業高等学校の進学実績

愛農学園農業高等学校の卒業生は、農業系の大学や専門学校への進学、農業法人への就職など、多岐にわたる進路を歩んでいます。学校での学びを活かし、食や農、環境に関わる分野で活躍する卒業生が多いのが特徴です。

卒業後の進路は、4年制大学への進学が約25%、短期大学や専門学校への進学が約25%、さらに深く農業を学ぶための専攻科への進学が約19%、そして就職が約13%となっています。

  • 国公立大学:秋田県立大学、帯広畜産大学、島根大学、信州大学、三重大学など、全国の農学系学部を持つ大学への進学実績があります。

  • 私立大学:国際基督教大学、東京農業大学、酪農学園大学など、特色ある私立大学へも進学しています。

  • 就職・その他:北海道から愛媛まで、全国各地の牧場や農園、農業法人へ就職する卒業生も少なくありません。また、卒業後に1年間、農家に住み込んで農業経営を学ぶ「専攻科」という独自のコースも用意されています。

愛農学園農業高等学校の特長・アピールポイント

愛農学園農業高等学校には、他の高校にはないユニークな魅力がたくさん詰まっています。ここでは、その中でも特に際立った特長をいくつかご紹介します。

  • 日本で唯一の私立・全寮制農業高校:全国から農業や自然に関心を持つ仲間が集まり、共に学び、生活する環境は、かけがえのない経験と一生の友人をもたらします。

  • JAS認定の有機農業を実践:開校当初から化学肥料や農薬に頼らない有機農業を実践しています。自分たちの手で安全な食を作り、それをいただくという「農場から食卓まで」のサイクルを日々体感できます。

  • 驚異の食料自給率70%:生徒たちが農場で生産した米、野菜、肉、卵などが毎日の食事を支えています。命をいただくことへの感謝の気持ちが自然と育まれます。

  • 1学年25名の少人数教育:生徒一人ひとりに先生の目が行き届き、個性を尊重したきめ細やかな指導が行われています。

  • 「神・人・土を愛する」三愛精神:キリスト教の精神に基づき、知識だけでなく、良心や他者を思いやる心を育む人間教育を大切にしています。

  • 充実した農家実習と体験学習:北海道での長期農家実習や沖縄への修学旅行など、教室の外での学びが豊富に用意されており、視野を広げることができます。

  • スマートフォンから離れた生活:原則としてスマホやゲーム機が持ち込めない環境だからこそ、仲間との対話や読書、自然とのふれあいなど、リアルな体験に集中できます。

愛農学園農業高等学校の口コミ・評判のまとめ

愛農学園農業高等学校は非常に特色のある学校のため、口コミもその教育方針に共感するかどうかで大きく分かれる傾向があります。

  • 良い点

    • 「人間的に大きく成長できる」:全寮制での共同生活や、生き物の命と向き合う農作業を通して、自立心や協調性、責任感が養われるという声が多いようです。厳しいけれど、他では得られない貴重な3年間だと評価されています。

    • 「本物の有機農業が学べる」:農薬や化学肥料を使わない農業を実践的に学べる点を高く評価する声があります。食や環境への意識が高い生徒にとっては、理想的な環境と言えるでしょう。

    • 「先生と生徒の距離が近い」:少人数教育のため、先生方が一人ひとりに親身になって関わってくれるという意見が見られます。

    • 「一生の仲間ができる」:3年間、寝食を共にする仲間との絆は非常に強くなるようです。卒業後も続く深いつながりができるという声があります。

  • 気になる点

    • 「寮生活が合わない場合がある」:共同生活が基本となるため、一人の時間を大切にしたい人や、集団行動が苦手な人には厳しい環境かもしれません。

    • 「スマホが使えないのが不便」:外部との連絡や情報収集が制限されるため、不便さを感じるという意見は少なくありません。

    • 「考え方が合わないと辛い」:キリスト教の精神や学校独自の価値観があるため、それに共感できないと学校生活が苦しくなる可能性も指摘されています。

    • 「厳しい面もある」:日々の農作業や寮のルールなど、自由な高校生活をイメージしているとギャップを感じることがあるようです。

アクセス・通学

愛農学園農業高等学校は全寮制のため、ほとんどの生徒は学校の敷地内で生活しますが、帰省や来客時のためのアクセス情報も重要です。

  • 最寄り駅からのアクセス

    • 近鉄大阪線「青山町駅」から徒歩約15分

  • 主な通学エリア

    全寮制のため、通学という概念はありません。生徒は三重県内だけでなく、近畿圏を中心に、北海道や関東、長崎県など、全国各地から集まっています。インターネットでこの学校を見つけ、そのユニークな教育に惹かれて入学を決める生徒も増えているようです。

愛農学園農業高等学校受験生へのワンポイントアドバイス

愛農学園農業高等学校を目指す皆さんへ。この学校は、偏差値の数字だけでは測れない、特別な魅力と価値を持った場所です。もしあなたが、「自然が好き」「動物が好き」「自分の食べるものを自分で作ってみたい」という純粋な気持ちを持っているなら、ここは最高の環境になるでしょう。また、今の自分を変えたい、もっとたくましくなりたいと願っている人にも、大きな成長のチャンスを与えてくれます。

受験の準備としては、学力向上はもちろん大切ですが、それ以上に「なぜ愛農学園で学びたいのか」を自分の言葉で語れるようにしておくことが重要です。オープンキャンパスや体験入学に積極的に参加して、学校の雰囲気を肌で感じ、先生や在校生の話を聞いてみてください。そして、面接では飾らない言葉で、あなたの熱い思いを伝えてください。仲間と共に汗を流し、土に触れ、命と向き合う3年間は、きっとあなたの人生の宝物になるはずです。応援しています!

※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。