新潟県立高田農業高等学校は、1899年(明治32年)に新潟県で最初の農学校として創立された、120年以上の歴史と伝統を誇る専門高校です。「新潟県農業教育発祥の地」として、これまで1万7千人以上の卒業生を社会に送り出してきました。農業の専門知識や技術を学ぶだけでなく、豊かな人間性と実践力を育むことを教育目標に掲げています。

広大な実習地や充実した設備を活かし、座学だけでは得られない体験的な学びを重視しているのが、高田農業高等学校の大きな魅力です。1年生では農業の基礎を幅広く学び、2年生からは自分の興味や進路希望に合わせて専門的なコースを選択できるカリキュラムが特徴です。生徒一人ひとりが自分の「好き」や「得意」を見つけ、将来の夢に向かって主体的に学べる環境が整っています。

この記事では、そんな新潟県立高田農業高等学校の具体的な学びの内容から、学校生活の様子、卒業後の進路まで、受験生や保護者の皆さんが知りたい情報を詳しくご紹介します。自然や食、環境に関心がある人、専門的なスキルを身につけて社会で活躍したいと考えている人にとって、高田農業高等学校がどのような場所なのか、ぜひ参考にしてください。

新潟県立高田農業高等学校の基本情報

項目 内容
正式名称 新潟県立高田農業高等学校
公立/私立の別 公立
共学/男子校/女子校の別 男女共学
所在地 〒943-0836 新潟県上越市東城町1丁目4-41
代表電話番号 025-524-2260
公式サイトのURL http://www.takadan-h.nein.ed.jp

新潟県立高田農業高等学校の偏差値・難易度・併願校

新潟県立高田農業高等学校の偏差値は、農業科全体で「45」程度とされています。これは新潟県内の公立高校の中では標準的な難易度ですが、専門学科という特性上、農業への明確な興味・関心を持っていることが重要になります。

合格に必要な内申点の目安としては、中学3年間の9教科の評定合計が平均で「3」程度、つまりオール3(合計81点/135点満点)が一つの基準となりそうです。もちろん、部活動での実績や資格取得なども評価の対象となるため、日々の学習に加えて、様々な活動に積極的に取り組むことが大切です。

新潟県の公立高校入試制度では、原則として公立高校同士の併願はできません。そのため、高田農業高等学校を第一志望とする受験生の多くは、私立高校を併願校として選択しています。主な併願校としては、同じ上越地区にある関根学園高等学校や上越高等学校などが挙げられます。

新潟県立高田農業高等学校に設置されている学科・コース

新潟県立高田農業高等学校では、1年次に全員が「農業科」として農業の基礎を学びます。様々な分野の実習を体験する中で自分の適性や興味を見極め、2年生から以下の3学科8コースに分かれて、より専門的な学習に進んでいきます。

  • 生物資源科

    • 農業生産コース: 米や野菜の栽培を通して、生産から経営までの知識と技術を学びます。農業の担い手を目指す人におすすめです。

    • 畜産科学コース: 家畜の飼育管理や生態について学び、アニマルセラピーなども体験します。動物が好きで、畜産業に関心がある人にぴったりです。

    • 草花園芸コース: 草花や花木の栽培、フラワーデザインなど、生活に彩りを与える園芸の知識と技術を学びます。花や緑に関わる仕事がしたい人におすすめです。

    • 森林資源コース: 森林の育成や環境保全、木材加工(ウッディクラフト)など、森林と人との共生について学びます。環境問題や林業に興味がある人に向いています。

  • 食品科学科

    • 食品加工コース: パンやジャム、乳製品などの加工技術や貯蔵、衛生管理について学びます。食品開発や製造に関わりたい人におすすめです。

    • 栄養科学コース: 食品の成分や栄養について学び、健康的な食生活を提案する知識を身につけます。食と健康に関心が高い人にぴったりです。

  • 農業土木科

    • 水利科学コース: 農地の整備や農業用水路など、食料生産の基盤となるインフラについて学びます。公共性の高い仕事や土木技術に興味がある人におすすめです。

    • 測量設計コース: 測量やCAD(設計支援ソフト)を使い、地域の生活環境を整備・保全する技術を学びます。ものづくりや設計に関心がある人に向いています。

新潟県立高田農業高等学校の特色・校風

新潟県立高田農業高等学校は、「自主自律」や「礼譲信義」を校訓に掲げ、落ち着いた雰囲気の中で主体的に学ぶ姿勢を大切にしています。生徒たちは「高農生(たかのうせい)」と呼ばれ、「時を守り、場を清め、礼を正す」という行動目標のもと、真面目で礼儀正しい生徒が多いと評判です。

  • 校風・雰囲気: 専門的な実習が多いため、生徒たちは協力し合いながら真剣に課題に取り組んでいます。農業という共通の目標を持つ仲間たちと、充実した学校生活を送ることができるでしょう。

  • 校則: 他の高校と比較して、校則は標準的か、やや厳しいという声があります。特に頭髪や服装に関する指導は定期的に行われるようです。スマートフォンの校内での使用については、ルールが定められており、授業中の使用は禁止されています。

  • 宿題・課題: 専門教科では実習やレポートが多く、計画的に学習を進める必要があります。特に課題研究では、自らテーマを設定し、探求していく力が求められます。

  • アルバイト: アルバイトは原則として許可制で、長期休業中などに届け出をすれば可能です。学業との両立が条件となります。

  • 制服: 制服は男女ともにブレザースタイルで、落ち着いたデザインが特徴です。生徒からの評判は概ね良好なようです。

  • 土曜授業: 土曜授業は基本的にありません。

新潟県立高田農業高等学校の部活動・イベント

部活動

新潟県立高田農業高等学校では、運動部・文化部ともに多くの部が活動しており、生徒たちは勉強と両立しながら熱心に取り組んでいます。

  • 運動部: 特に相撲部は全国大会の常連として知られ、輝かしい実績を誇ります。柔道部や空手道部、陸上競技部なども活発に活動しています。

  • 文化部: 農業高校ならではの部活動として「測量部」があり、専門的な技術を競う大会で活躍しています。また、茶道部や書道部、文芸部など、文化的な活動も盛んです。

  • 農業クラブ: 全校生徒が加入する「農業クラブ」は、部活動とは別に、日頃の学習成果を発表する意見発表会やプロジェクト発表会、農業鑑定競技会など、全国規模の大会につながる活動を行っています。

イベント

生徒たちが主体となって作り上げる学校行事は、クラスの団結力を高め、学校生活を彩る大切な思い出となります。

  • 高農祭(文化祭): 毎年秋に開催される文化祭は、高田農業高等学校最大のイベントです。各クラスや部活動、コースごとの展示や発表に加え、生徒たちが実習で生産した新鮮な野菜や米、加工品などを販売する「高農市」は、毎年地域の方々で大変な賑わいを見せます。

  • 体育祭: 春に行われる体育祭は、クラス対抗で様々な競技に熱戦を繰り広げます。農業高校ならではのユニークな種目が行われることもあります。

  • 修学旅行: 2年生の秋に実施され、関西方面などを訪れることが多いようです。

  • スキー授業: 1年生の冬には、上越地域の恵まれた環境を活かしたスキー授業が行われます。

新潟県立高田農業高等学校の進学実績

新潟県立高田農業高等学校の卒業生は、専門的な学びを活かして多様な進路に進んでいます。大学進学から専門学校、就職まで、幅広い選択肢の中から自分の未来を切り拓いています。

  • 大学・短大進学: 農業系の大学への進学者が多く、特に東京農業大学への進学実績があります。その他、新潟県内の大学や、学んできた分野に関連する学部・学科へ進学する生徒もいます。

  • 専門学校: 農業大学校や、看護、福祉、調理、美容、公務員など、各自の興味関心に応じた専門学校へ進学する生徒が非常に多いのが特徴です。高校で身につけた専門性をさらに深める道を選んでいます。

  • 就職: 公務員(農林水産省、県職員、市町村職員など)や、地元の製造業、建設業、食品関連企業、農業法人など、幅広い業種への就職実績があります。学校で取得した資格や実習経験が高く評価され、多くの企業から求人が寄せられています。

学校では、進路ガイダンスや面接指導、企業見学などを通して、生徒一人ひとりの進路実現をきめ細かくサポートしています。

新潟県立高田農業高等学校の特長・アピールポイント

高田農業高等学校には、他の高校にはないユニークな魅力がたくさんあります。

  • 新潟県農業教育発祥の地: 120年以上の歴史と伝統があり、地域からの厚い信頼を得ています。

  • 1年次のローテーション学習: 入学後、全員が様々なコースの実習を体験できるため、自分の興味や適性をじっくり見極めてから専門分野を選択できます。

  • 広大な敷地と充実した実習施設: 校内には水田、畑、果樹園、温室、畜舎、演習林などがあり、実践的な学びの場が豊富に用意されています。

  • 多様な資格取得のサポート: 測量士補、危険物取扱者、2級土木施工管理技術検定、ボイラー技士、玉掛け、フォークリフトなど、将来に役立つ多くの専門資格の取得を学校がサポートしています。

  • 地域に開かれた「高農市」: 文化祭で開かれる農産物や加工品の販売会は、生徒たちの学習成果を地域に発信する大切な機会であり、大盛況となる名物イベントです。

  • 「高農」ブランドの確立: 学校の生産物や加工品は「高農」として商標登録されており、品質の高さが地域で認められています。

  • 国際的な農業認証「GLOBALG.A.P.」の取得: 稲作において、食の安全や環境保全に関する国際基準の認証を取得しており、世界水準の農業教育を実践しています。

新潟県立高田農業高等学校の口コミ・評判のまとめ

ここでは、在校生や卒業生から寄せられる声をまとめました。学校選びの参考にしてください。

  • 良い点:

    • 「専門的な知識や技術が身につき、将来の夢が明確になった」という声が多数あります。

    • 「実習が多く、座学だけでは学べないことを体験できるのが楽しい」と、実践的な学びへの評価が高いようです。

    • 「同じ目標を持つ仲間と出会え、充実した高校生活を送れた」という意見も多く見られます。

    • 「先生方が専門分野に詳しく、熱心に指導してくれる」といった、教員への信頼の声も聞かれます。

    • 「資格がたくさん取れるので、就職に有利だと感じた」という卒業生からの声もあります。

  • 気になる点:

    • 「最寄り駅から少し距離があり、バスを利用するか自転車通学の生徒が多い」という、アクセスに関する意見があります。

    • 「実習では体力を使う場面も多い」という声もありますが、それも専門高校ならではの経験と言えるでしょう。

    • 「普通科目に比べて専門科目の比重が大きいため、大学進学を目指す場合は自分でしっかり勉強する必要がある」という意見も見られます。

アクセス・通学

新潟県立高田農業高等学校へのアクセス方法は以下の通りです。

  • 鉄道:

    • えちごトキめき鉄道 妙高はねうまライン「南高田駅」から徒歩約25分

    • えちごトキめき鉄道 妙高はねうまライン「高田駅」から徒歩約41分

  • バス:

    • 頸城自動車「東城町一丁目」バス停から徒歩約2分

上越市内を中心に、妙高市や糸魚川市など、広いエリアから生徒が通学しています。多くの生徒が自転車や公共交通機関を利用していますが、一部の生徒にはバイク通学も許可されています。

新潟県立高田農業高等学校受験生へのワンポイントアドバイス

新潟県立高田農業高等学校を目指す皆さんへ。この学校は、ただ勉強するだけでなく、「生きる力」そのものを学べる場所です。動物や植物、食べ物、そして私たちの暮らしを支える環境。そういった身近なテーマに少しでも興味があるなら、高田農業高等学校での3年間は、きっと皆さんにとってかけがえのない財産になるはずです。

この学校が特に向いているのは、「体を動かすのが好き」「何かを育てることに喜びを感じる」「専門的なスキルを身につけて、早く社会で活躍したい」と考えている生徒さんです。受験勉強では、基礎学力を固めることはもちろん大切ですが、それ以上に「なぜ高田農業高校で学びたいのか」という自分の気持ちを明確にしておくことが重要です。学校説明会や文化祭に足を運び、学校の雰囲気を肌で感じてみてください。

面接では、あなたの熱意や農業への関心が必ず評価されます。高田農業高等学校で夢中になれることを見つけ、自分だけの未来を耕していってください。応援しています!

※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。