木更津高等学校「木高(きだか)」の愛称で地域に親しまれる千葉県立木更津高等学校は、120年を超える輝かしい歴史と伝統を礎に、未来を切り拓く人材を育成し続ける進学校です。

この学校の根幹をなすのは、「質実剛健(しつじつごうけん)」と「自主自律(じしゅじりつ)」という二つの校訓です。これらは単なる言葉ではなく、生徒一人ひとりが自由な校風の中で自らを律し、主体的に学ぶ姿勢を育むための指針として、日々の学校生活に深く根付いています。近年では、文部科学省から「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」の指定を受け、先進的な理数教育にも力を注いでいます。

この記事では、そんな伝統と革新が共存する木更津高等学校の魅力を、偏差値や進学実績といったデータから、在校生の声に基づくリアルな学校生活まで、中学生とその保護者の皆さんに分かりやすく、そして深くお伝えします。

木更津高等学校の基本情報

まずは、学校の基本的な情報を確認しましょう。進路を考える上で最も基礎となる大切な情報です。

項目 内容
正式名称 千葉県立木更津高等学校
公立/私立の別 公立
共学/男子校/女子校の別 男女共学
所在地 〒292-0804 千葉県木更津市文京4-1-1
代表電話番号 0438-22-6131
公式サイトURL https://cms2.chiba-c.ed.jp/kisarazuhs/

木更津高等学校の偏差値・難易度・併願校

木更津高等学校の学力レベルと、受験する上で知っておきたい具体的な目安について解説します。

偏差値

学科・コースごとの最新の偏差値は以下の通りです。複数の情報源がありますが、一つの目安として参考にしてください。

  • 理数科:

  • 普通科:

これらの数値は、千葉県内の公立高校の中でもトップクラスに位置することを示しています。ただし、模試の種類(Vもぎ、Sもぎなど)によって偏差値の算出方法は異なるため、数値にばらつきが見られることがあります。大切なのは、自分が受験する模試の結果を基準に、自分の立ち位置を正確に把握することです。

難易度の目安

偏差値だけでは分かりにくい、合格の具体的なイメージを持つための情報を紹介します。

  • 合格に必要な内申点の目安:普通科で点前後(135点満点中)がひとつの目安とされています。ただし、これはあくまで目安であり、実際の合格者の内申点は点から点と幅広い分布が見られます。内申点が少し足りなくても、当日の学力検査で高い得点を取ることで合格を勝ち取った先輩も多くいます。

  • 学力検査の目標点:入試本番では、500点満点中点以上を目指すことが一つの目標となります。

主な併願校

千葉県の公立高校入試では、原則として他の公立高校を併願することはできません。そのため、木更津高等学校を第一志望とする受験生の多くは、滑り止めとして私立高校を併願します。地域や学力レベルから、以下のような私立高校が併願校として選ばれることが多いようです。

  • 志学館高等部

  • 木更津総合高等学校

  • 暁星国際高等学校

これらの学校は、口コミなどでも木更津高等学校との比較で名前が挙がることがあり、地域の受験生にとって有力な選択肢となっています。

木更津高等学校に設置されている学科・コース

木更津高等学校には、生徒の興味や進路希望に応えるための2つの魅力的な学科が設置されています。

  • 普通科

    • 文系・理系を問わず、幅広い大学進学に対応するコースです。3年次には選択科目が大幅に増え、一人ひとりの志望大学の受験科目に合わせた柔軟な時間割を組むことができます。将来の夢がまだ漠然としている人や、文系・社会科学系・理系など幅広い分野に可能性を残しておきたい人におすすめです。

  • 理数科

    • 科学技術や理数系分野に強い興味・関心を持つ生徒のための専門コースです。文部科学省指定の「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」として、大学や研究機関(かずさDNA研究所など)と連携した高度な授業や実習が数多く用意されています。課題研究や野外実習、つくばサイエンスツアーなど、教室の外での実践的な学びが最大の特長です。将来、研究者や医師、エンジニアなどを目指す人に最適な環境です。

木更津高等学校の特色・校風

「自主自律」を最大のキーワードとする木更津高等学校の校風と、生徒たちのリアルな日常について、口コミを基に詳しく見ていきましょう。

学校全体の雰囲気は、「自由闊達」「文武両道」という言葉がぴったりです。生徒の主体性を尊重する文化が根付いており、校則も比較的緩やかで、生徒たちはのびのびと高校生活を送っている様子がうかがえます。

この「自主自律」の精神は、学校生活のあらゆる側面に影響を与えています。良い面としては、生徒が自ら考えて行動する力が養われ、行事なども生徒主導で大いに盛り上がります。一方で、この自由さは「生徒任せ」と感じられることもあり、学習面で高い成果を出すには、生徒自身の強い意志と自己管理能力が不可欠です。先生のサポートを待つのではなく、自ら積極的に学びに向かう姿勢が求められる環境と言えるでしょう。

  • 宿題の量:進学校ということもあり、「課題や小テストは多め」という声が多く聞かれます。日々の予習・復習が欠かせず、学習習慣がしっかりと身につく一方で、計画的に進めないと大変に感じることもあるようです。

  • 校則(スマホ、服装など):全体的に「校則は緩やか」という評判です。スマートフォンの校内での使用についても、基本的には生徒の良識に委ねられている部分が大きいようです。服装は、男子が伝統的な詰襟の学生服、女子がセーラー服です。スカート丈など細かい規定はありますが、厳しく指導されるというよりは、生徒としての品位を保つことが求められます。2019年度からは、気候に合わせて夏服と冬服を柔軟に選択できるようになりました。

  • アルバイト:原則として長期休業期間以外は認められていません。長期休業中に行う場合も、学校への届け出と許可が必要であり、時間や業種にも制限があります。自由な校風の中でも、学業優先の姿勢が明確に示されています。

  • 生徒たちの雰囲気:口コミでは「真面目な生徒と面白い生徒がバランス良くいて楽しい」「常識的で節度を持った人が多い」といった声が目立ちます。互いに高め合える知的な雰囲気と、高校生らしい活気が共存しているようです。

  • 制服の評判:伝統的なデザインであり、特に目立った評判はありませんが、地域の進学校としての品格を感じさせる制服として受け入れられています。

  • 土曜授業:正規の授業はありませんが、希望者は千葉大学と連携した高大連携講座を土曜日に受講することができます。これは高校の単位としても認定される、貴重な学びの機会です。

木更津高等学校の部活動・イベント

部活動

木更津高等学校の「文武両道」を象徴するのが、非常に活発な部活動です。生徒の加入率は95%以上と極めて高く、ほとんどの生徒が学業と両立しながら部活動に打ち込んでいます。

運動部・文化部ともに種類が豊富で、40を超える部活動・同好会があります。関東大会や全国大会で活躍する部もあれば、ユニークな活動で高校生活を彩る部もあり、多様な選択肢の中から自分に合った場所を見つけることができます。

  • 特に実績豊富な部活動

    • 地学部:全国総合文化祭の研究発表で奨励賞を受賞するなど、全国レベルでの実績があります。

    • 囲碁部:全国大会の常連です。

    • 陸上競技部、水泳部、弓道部:いずれも関東大会に出場する実力を持っています。

  • 珍しい部活動

    • ジャグリング部:高い技術でパフォーマンスを披露する、ユニークで人気の部活動です。

    • 和楽部、マンドリン部、クイズ研究会:他の高校ではあまり見られない、個性的な文化部も充実しています。

イベント

木更津高等学校の学校行事は、生徒が主体となって企画・運営する「自主自律」の実践の場です。

  • 木高祭(きだかさい):文化祭と合唱コンクールからなる、学校最大のイベントです。「木高祭を経験して木高生になる」と言われるほど、学校を象徴する行事となっています。生徒たちの独創的な企画や展示は地域でも評判で、学校全体が一体となって作り上げる熱気は圧巻です。

  • 体育祭:以前は木高祭と同時に行われていましたが、現在は9月に単独で開催される一大イベントです。学年の垣根を越えて色別にチームを組み、優勝を目指して競い合います。「台風の目」や「UFO」といったユニークな競技もあり、部活動を引退した3年生がリーダーシップを発揮する姿も見られます。

  • 修学旅行:例年、3泊4日の日程で沖縄を訪れます。この修学旅行は単なる観光旅行ではありません。平和学習(ひめゆりの塔やガマの見学)、文化・自然体験(エイサー体験やマングローブ観察)、そして探究学習(タクシー班別研修で各自の研究テーマに沿った場所を訪問)という3つの柱で構成されており、学びと楽しさが融合した充実したプログラムとなっています。

木更津高等学校の進学実績

千葉県内有数の進学校である木更津高等学校は、国公立大学や難関私立大学へ多数の合格者を輩出しています。

最新の大学合格実績(2025年入試)

以下は、主な大学の合格者数です(浪人生含む)。

分類 合格者数 主な大学名(人数)
国公立大学 88名 千葉大学(28)、筑波大学(5)、東京都立大学(3)、横浜国立大学(2)など
難関私立大学(早慶上理) 31名 早稲田大学(9)、慶應義塾大学(4)、上智大学(1)、東京理科大学(17)
難関私立大学(GMARCH) 165名 法政大学(53)、明治大学(38)、立教大学(24)、青山学院大学(15)、中央大学(18)、学習院大学(17)

その他、日本大学(110名)や東洋大学(87名)、千葉工業大学(104名)などにも多くの生徒が進学しており、幅広い進路選択を実現しています。

進学実績を支える取り組み

高い進学実績の背景には、生徒の「自主自律」を促しつつ、必要なサポートを提供する体制があります。一見「放任主義」にも見える校風ですが、実は生徒のやる気に応えるための仕組みが整っています。

  • 放課後補習・長期休暇中の講習:希望者を対象に、放課後の補習や、夏休みなどには約40もの講座が開かれる夏期講習が実施されます。これらは強制ではなく、自分の意志で参加するものです。主体的に学ぶ生徒を力強く後押しする体制が整っていると言えます。

  • 柔軟なカリキュラム:3年次には必修科目が少なくなり、自分の進路希望に合わせて多くの選択科目を履修できます。これにより、国公立二次試験や私立大学の個別試験に的を絞った効率的な学習が可能になります。

  • 進路指導・卒業生との連携:卒業生を招いての進路講演会などが開催され、先輩たちのリアルな受験体験談を聞く機会があります。身近なロールモデルから学ぶことで、受験へのモチベーションを高めることができます。

木更津高等学校の特長・アピールポイント

他の高校にはない、木更津高等学校ならではの強みや魅力をまとめました。

  • 先進的な理数教育を実践する「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」

    • 理数科を中心に、大学や企業と連携した本格的な研究活動や実習を体験できます。未来の科学者を育む、国内でも数少ない指定校の一つです。

  • 生徒の成長を促す「自主自律」の校風

    • 自由な雰囲気の中で生徒の主体性を尊重し、自己管理能力や責任感を育みます。自ら考えて行動したい生徒にとって、最高の環境です。

  • 生徒が主役の伝説的な学校行事

    • 名物の「木高祭」をはじめ、体育祭や修学旅行など、多くの行事が生徒主体で運営されます。企画力や協調性など、社会で役立つ実践的な力が身につきます。

  • 95%以上の加入率を誇る活発な部活動

    • 勉強だけでなく部活動にも全力で打ち込む「文武両道」の精神が息づいています。全国レベルで活躍する部からユニークな同好会まで、選択肢が非常に豊富です。

  • 120年を超える歴史と伝統

    • 地域からの厚い信頼と、社会の様々な分野で活躍する卒業生の強力なネットワークが、生徒たちの大きな支えとなっています。

  • やる気に応える充実した進学サポート

    • 希望制の補習や講習が豊富に用意されており、主体的に学ぼうとする生徒を全力でバックアップする体制が整っています。

  • 歴史を物語るユニークな学術資料

    • 校内で発見された絶滅種ニホンアシカの剥製(はくせい)の可能性がある資料など、長い歴史を持つ学校ならではの貴重な財産を保有しています。

木更津高等学校の口コミ・評判のまとめ

在校生や卒業生から寄せられた、リアルな声を見ていきましょう。良い点と気になる点の両方を公平に紹介します。

良い点

  • 「自由で楽しい高校生活が送れる」という声が圧倒的に多いです。「勉強も部活も行事も、全てが最高の青春だった」と振り返る卒業生もいます。

  • 「周りの生徒のレベルが高く、刺激になる」という意見も目立ちます。知的好奇心が旺盛で、面白い友人にたくさん出会える環境のようです。

  • 「行事がとにかく盛り上がる」という点は、多くの生徒が挙げる魅力です。特に生徒が主体となって作り上げる木高祭は、大きな達成感と一体感を味わえるようです。

  • 「自主性を重んじる校風が自分に合っていた」という声も多数あります。自分で計画を立てて行動するのが好きな生徒にとっては、非常に居心地の良い場所です。

気になる点

  • 「校舎や施設が古い」という点は、多くの口コミで指摘されています。120年以上の歴史を持つ伝統校ならではの側面と言えるでしょう。

  • 「先生のサポートは当たり外れがある」という意見も見られます。これは「自主自律」の裏返しでもあり、手厚いサポートを期待する生徒には物足りなく感じられる可能性があります。自分から質問に行くなどの積極性が求められます。

  • 「本人のやる気次第で学力差が大きく開く」という厳しい指摘もあります。自由な環境だからこそ、流されずに自己管理できるかどうかが、進路を大きく左右するようです。

  • 「駅から少し歩く」という点も、人によっては気になるかもしれません。

アクセス・通学

木更津高等学校への主なアクセス方法と、通学エリアについてです。

  • 最寄り駅からのアクセス

    • JR内房線・久留里線「木更津駅」東口から徒歩約10分~15分。

  • 主な通学エリア

    • 生徒の多くは、千葉県の「第9学区」と呼ばれるエリアから通学しています。この学区には、木更津市、君津市、富津市、袖ケ浦市、市原市が含まれます。これらの市に住む生徒が、主な通学圏となります。

木更津高等学校受験生へのワンポイントアドバイス

ここまで読んでくれてありがとうございます。最後に、進学アドバイザーとして、木更津高等学校を目指す皆さんへメッセージを送ります。

木更津高等学校は、「自分の高校生活は、自分で創り上げる」という強い意志を持った生徒に、最高の舞台を提供してくれる学校です。もしあなたが、やらされる勉強ではなく、自ら探究する学びを求め、仲間と共に学校行事や部活動を全力で楽しみ、自由な環境の中で自分を成長させたいと願うなら、ここはまさに理想の場所でしょう。高いレベルの学問と、かけがえのない青春の両方を手に入れることができます。

受験勉強においては、まず基礎・基本を徹底的に固めることが合格への近道です。そして、その過程でこそ、木更津高等学校が求める「自主自律」の精神を発揮してください。自分で計画を立て、粘り強く実行する力は、入試本番だけでなく、入学後の学校生活を充実させる上で最も大切な力になります。皆さんの挑戦を心から応援しています。

※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。