神奈川県立横須賀高等学校、通称「県横(けんよこ)」は、横須賀・三浦地区を代表するトップクラスの進学校でありながら、驚くほど自由な校風を持つ、非常にユニークな高校です。

「自主自律・自学自習・文武両道」を教育の柱に掲げ、生徒一人ひとりの個性を尊重し、その可能性を最大限に引き出す教育を実践しています。高いレベルの学業と、生徒主体で作り上げる活気ある学校生活、その両方を手に入れたいと考える君にとって、神奈川県立横須賀高等学校は最高の舞台となるかもしれません。

ここでは、そんな県横の魅力を、進学アドバイザーの視点から余すところなくお伝えします。この記事を読めば、きっと県横での3年間が具体的にイメージできるはずです。

神奈川県立横須賀高等学校の基本情報

まずは、学校の基本的な情報を確認しましょう。

項目 内容
正式名称 神奈川県立横須賀高等学校
公立/私立の別 公立
共学/別学の別 男女共学
所在地 〒238-0022 神奈川県横須賀市公郷町3-109
代表電話番号 046-851-0120
公式サイトURL https://www.pen-kanagawa.ed.jp/yokosuka-h/zennichi/

神奈川県立横須賀高等学校の偏差値・難易度・併願校

「県横」がどれくらいの難易度なのか、具体的な数字で見ていきましょう。

最新の偏差値は「67」とされており、神奈川県内の公立高校ではトップ10に入る難関校です。同じくらいの偏差値の高校としては、横浜緑ヶ丘高校や川和高校、多摩高校などが挙げられますが、横須賀・三浦地区においては、神奈川県立横須賀高等学校が地域トップ校としての地位を確立しています。

合格を勝ち取るためには、内申点と当日の学力検査、そして特色検査の合計点で高いレベルが求められます。

  • 合格に必要な内申点の目安:135点満点中、120点〜125点あたりが目標となります。これは、通知表の9教科の成績に「5」が多く、いくつか「4」があるくらいのレベル感です。

  • 学力検査の得点目安:500点満点中、380点〜400点が一つの目安とされています。5教科すべてで高い得点力が求められる、厳しい戦いになります。

  • 選考の比率:神奈川県の公立高校入試では、第1次選考において「内申点:学力検査:特色検査」が「3:7:1」の比率で評価されます。学力検査の比重が非常に高いため、入試当日の得点力が合否を大きく左右します。

神奈川県立横須賀高等学校は公立高校のため、同じ公立高校を併願することはできません。そのため、受験生の多くは、万が一に備えて私立高校を併願します。主な併願校は以下の通りです。

併願校名 コース例
横須賀学院高等学校 S選抜、A進学
山手学院高等学校 進学
鎌倉学園高等学校 普通
日本大学藤沢高等学校 総合進学
桐蔭学園高等学校 アドバンス

これらの併願校も高いレベルの学校ばかりで、県横の受験がいかにハイレベルなものであるかが分かります。

神奈川県立横須賀高等学校に設置されている学科・コース

神奈川県立横須賀高等学校に設置されているのは「普通科」のみです。しかし、そのカリキュラムは生徒の進路希望に合わせて、柔軟に組まれているのが大きな特長です。

  • 普通科(1・2年次):国公立大学受験にも対応できる強固な基礎学力を築く期間です。英語・数学・国語などの主要教科では、生徒自身の希望によって「標準クラス」と「発展クラス」を選択する習熟度別授業が展開されます。これにより、自分のペースで学びを深めたり、得意科目をさらに伸ばしたりと、主体的な学習が可能になります。将来の選択肢を広げながら、じっくりと自分の興味・関心を探求したい人におすすめです。

  • 普通科(3年次):生徒一人ひとりの進路希望を叶えるための、専門的な学びの期間です。文系・理系という大まかな括りだけでなく、「国公立文系」「私立文系」「国公立理系」「私立理系」など、志望大学の入試形態に合わせた複数のコースに分かれて授業を受けます。これにより、志望校合格に向けて、無駄なく効率的に応用力を高めることができます。大学進学への明確な目標を持つ人にとって、これ以上ない環境と言えるでしょう。

神奈川県立横須賀高等学校の特色・校風

県横の最大の魅力は、その独特の校風にあります。キーワードで表すなら「自由闊達」「自主自律」「生徒主体」です。

  • 校則は厳しい?緩やか?:口コミでは「校則はほとんどないに等しい」という声が多数聞かれます。

    • 服装:制服はなく、私服での通学が基本です。ジャージで登校する生徒もいるなど、服装は完全に自由です。

    • 髪型・アクセサリー:髪を染めること(金髪や青髪の生徒もいるとのこと)、ピアスを開けること、アクセサリーを身につけることも基本的に自由です。

    • スマホ:校内への持ち込みはもちろん、休み時間などに使用することも許可されています。校内Wi-Fiも開放されており、生徒は自分のデバイスを学習に活用できます。

  • 宿題の量は?:課題は出るものの、「こなせる量」「それほど多くない」という意見が見られます。強制的な課題で縛るのではなく、生徒の「自学自習」の精神を重んじていることがうかがえます。

  • 生徒たちの雰囲気は?:「真面目な人からチャラ目な人までいる」と表現されるように、非常に多様な個性を持つ生徒が集まっています。しかし、根底には互いの個性を尊重し合う文化があり、全体的には「明るく優しい」雰囲気だと言われています。

  • アルバイトは可能?:学校に届け出をすれば、アルバイトは可能です。学業に支障が出ない範囲で、社会経験を積むこともできます。

  • 土曜授業はある?:年間行事予定を見る限り、毎週の土曜授業は設定されていません。模試や特別な行事が土曜日に行われることはあります。

  • 施設の評判は?:自由な校風の一方で、多くの生徒が指摘するのが施設の古さです。「校舎は信じられないぐらいボロい」「体育館のトイレが汚い」といった厳しい意見も正直に挙がっています。最新の設備よりも、何物にも代えがたい「自由」という環境に価値を見出せるかどうかが、この学校に合うかどうかの分かれ目になるかもしれません。

神奈川県立横須賀高等学校の部活動・イベント

部活動

「文武両道」を掲げる神奈川県立横須賀高等学校では、部活動が非常に盛んで、生徒の加入率は9割を超えています。学業との両立を図るため、週2日程度の休養日が設けられているのも特徴です。

運動部、文化部ともに充実しており、特に以下の部活動は実績も豊富で有名です。

  • クイズ研究部:全国高校生クイズ選手権で準優勝した実績を持つ、全国レベルの強豪です。テレビに出演したOBもいるなど、学校の知的な側面を象徴する存在です。

  • ラグビー部:県内でも強豪として知られ、活気にあふれています。

  • 陸上競技部:全国大会に出場する選手を輩出するなど、高いレベルで活動しています。

  • 室内楽部・ダンス部:文化部の中でも特に人気が高く、文化祭などでの発表は大変な盛り上がりを見せます。

  • eスポーツ部:時代の流れに合わせて設立された比較的新しい部活動です。生徒の興味関心に柔軟に対応する学校の姿勢が表れています。

この他にも、伝統的な空手道部や弓道部から、数学研究同好会まで、多種多様な17の運動部と17の文化部・同好会があり、きっと君が打ち込める場所が見つかるはずです。

イベント

県横の学校生活を最も彩るのは、生徒が主体となって運営する学校行事です。中でも文化祭と体育祭は、学校の二大イベントとして知られています。

  • 文化祭・体育祭:以前は隔年開催でしたが、2024年度からは毎年6月に開催されるようになりました。企画から運営まで、すべてが生徒たちの手で行われます。

    • 文化祭:3年生はクラスごとに本格的な演劇を発表し、1・2年生はお化け屋敷やカジノといったアトラクション、模擬店などを出店し、学校中が熱気に包まれます。

    • 体育祭:全校生徒が7色の「軍」に分かれ、競技・ダンス・デコレーション(巨大な背景画)の3部門で総合優勝を目指します。各軍が一体となって作り上げる応援合戦やダンスパフォーマンスは圧巻の一言です。

  • 校内スポーツ大会:7月と3月の年2回、クラス対抗で球技大会が行われます。サッカーやバスケットボールなどの種目で、クラスの団結を深めます。

これらの行事は、単なるお楽しみではありません。生徒たちが自ら計画し、問題を解決し、一つの目標に向かって協力する、まさに「自主自律」を実践する最高の学びの場なのです。

神奈川県立横須賀高等学校の進学実績

自由な校風でありながら、神奈川県立横須賀高等学校は、難関大学へ多数の合格者を輩出する県内有数の進学校です。特に、首都圏の難関私立大学への進学実績には目を見張るものがあります。

最新の2025年度の大学合格実績を見てみましょう。

大学群 合格者数 主な内訳
国公立大学 66名 横浜国立大学 6名、筑波大学 2名、東北大学 1名、大阪大学 1名など
早慶上智 49名 早稲田大学 22名、慶應義塾大学 21名、上智大学 6名
GMARCH 188名 明治大学 52名、法政大学 45名、青山学院大学 25名、立教大学 25名、中央大学 25名、学習院大学 16名

これらの輝かしい実績は、学校独自の充実した進学サポート体制によって支えられています。

  • SSH(スーパーサイエンスハイスクール):文部科学省から指定を受けており、全生徒が3年間を通じて「Principia(プリンキピア)」という学校設定科目で課題研究に取り組みます。大学との連携研究や、留学生への英語での研究発表などを通じて、論理的思考力や探究心を養います。これは、大学入試はもちろん、その先の社会で求められる力を育むプログラムです。

  • 横高アカデミア:大学教授や社会で活躍する卒業生を招いて講演会などを実施するキャリア教育プログラムです。生徒が目先の受験だけでなく、将来の自分の姿を具体的に描く手助けをしています。

  • 補習・講習:放課後や長期休暇中には、生徒のニーズに応じた補習や講習、個別指導が行われ、学習を強力にバックアップしています。

神奈川県立横須賀高等学校の特長・アピールポイント

他の高校にはない、県横ならではの強みや魅力をまとめました。

  • 圧倒的な「自由」と生徒への「信頼」:服装や髪型、スマートフォンの使用に至るまで、校則は最小限。生徒の自主性を信じ、大人として扱う校風が根付いています。

  • 生徒が創り上げる学校行事:文化祭や体育祭は、企画から運営まで全て生徒の手で行われます。これは、日本でも類を見ない、実践的なリーダーシップ教育の場です。

  • 全生徒が取り組むSSH課題研究「Principia」:一部の生徒だけでなく、全員が3年間かけて一つのテーマを探究します。これにより、文理を問わず、科学的な思考力と問題解決能力が育まれます。

  • 「文武両道」が息づく活発な部活動:9割以上の生徒が部活動に所属し、全国レベルで活躍する部もあれば、和気あいあいと楽しむ部もあり、多様な形で高校生活を充実させることができます。

  • 難関私立大学への確かな進学実績:早稲田、慶應、GMARCHといった首都圏の最難関私立大学へ、毎年多くの合格者を輩出しています。

  • 未来を見据えたキャリア教育「横高アカデミア」:大学のその先、社会でどう生きるかを考える機会を豊富に提供し、生徒の長期的な視野を養います。

神奈川県立横須賀高等学校の口コミ・評判のまとめ

在校生や卒業生からは、県横の自由な校風を絶賛する声と、いくつかの注意点を指摘する声の両方が聞かれます。

良い点

  • 「とにかく自由でのびのびとした高校です。行事がたくさんあり充実した生活を送れます」

  • 「校則がほぼないようなものなので、思う存分高校生活を楽しめます」

  • 「3年間クラス替えがないため、絆が強くとても楽しい高校生活でした。論文などの提出もあり課題が多く大変だったけど、みんなでわいわい言いながら制作するのが楽しかったです」

  • 「市内の優秀な人が集まるので高いレベルの環境の中で勉強したりできます」

  • 「先生のサポートが手厚い」「行事が楽しく、クラスの団結力が強い」といった声が多いようです。

気になる点

  • 「校舎などの設備は信じられないぐらいボロいですが、校則がゆるいのがやはり凄く大きいと思います」

  • 「体育館のトイレがとにかく汚い」

  • 「自由な時間が多いので、部活に打ち込むか、遊びに走るか、勉強をするかは自由ですが、あまり怠けすぎると痛い目をみてしまうので注意が必要」

  • 「真面目に勉強したくて来る学校ではない気がする。勉強も部活も行事も程よく楽しみたいって人には向いてる」

  • 「文化祭・体育祭は隔年開催」という口コミもありますが、これは古い情報で、2024年度からは毎年開催されるようになっています。

アクセス・通学

神奈川県立横須賀高等学校への主なアクセス方法は以下の通りです。

  • JR横須賀線:「衣笠駅」で下車し、徒歩約12分です。多くの生徒がこのルートを利用しています。

  • 京浜急行線+バス:

    • 「横須賀中央駅」から衣笠駅行きのバスに乗り、「佐野六丁目」バス停で下車、徒歩約6分。

    • 「堀ノ内駅」から衣笠駅行きのバスに乗り、「公郷二丁目」バス停で下車、徒歩約5分。

  • 京浜急行線+徒歩:

    • 「北久里浜駅」から徒歩約25分です。

通学エリアは横須賀市内や三浦半島が中心ですが、横浜方面(JR衣笠駅まで約50分)や藤沢方面(同約37分)からも十分にアクセス可能で、広い地域から意欲の高い生徒が集まっています。

神奈川県立横須賀高等学校受験生へのワンポイントアドバイス

ここまで読んでくれて、ありがとうございます。最後に、進学アドバイザーとして、神奈川県立横須賀高等学校を目指す君へメッセージを送ります。

もし君が、誰かにやらされるのではなく、自分で考えて行動するのが好きな「自立した学習者」であるなら、神奈川県立横須賀高等学校は最高の環境です。高い目標を持ちつつ、自分らしいスタイルで、勉強も部活も行事も、全部本気で楽しみたい。そんな君のエネルギーを、この学校は真正面から受け止めてくれます。県横は、君を「高校生」としてだけでなく、一人の「若き大人」として扱い、その信頼に応えることを期待する場所なのです。

県横の合格を掴むためには、学力検査はもちろん、「特色検査」の対策が鍵となります。この検査は、単なる知識量ではなく、君の思考力や問題解決能力を測るものです。それはまさに、自由な校風の中で自分を律し、成長していくために必要な力そのもの。日々の勉強で「なぜそうなるのか?」を常に考え、自分の言葉で説明する練習を重ねてください。君が、未知の課題に挑む準備のできた、自立した思考の持ち主であることを示しましょう。心から応援しています!

※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。