甲府南高等学校は、山梨県内でトップクラスの学力と、生徒の自主性を育む「開拓者精神」で知られる、伝統と革新が共存する学校です。
地元では「南高(なんこう)」の愛称で親しまれ、多くの生徒が勉学と部活動、学校行事に全力で打ち込んでいます。この学校の大きな魅力は、県内最難関と名高い「理数科」と、幅広い進路に対応する「普通科」という二つの柱が、互いに高め合っている点にあります。
この記事では、そんな甲府南高等学校の偏差値や学校生活のリアルな姿、進学実績に至るまで、中学生の皆さんと保護者の方が本当に知りたい情報を、どこよりも詳しく、そして分かりやすく解説していきます。あなたの高校選びの、確かな道しるべとなれば幸いです。
甲府南高等学校の基本情報
まずは、甲府南高等学校の基本的な情報を確認しましょう。
項目 | 内容 |
正式名称 | 山梨県立甲府南高等学校 |
公立/私立の別 | 公立 |
共学/男子校/女子校の別 | 男女共学 |
所在地 | 〒400-0854 山梨県甲府市中小河原町222番地 |
代表電話番号 | 055-241-3191 |
公式サイトURL | https://www.kofuminami-h.ed.jp |
甲府南高等学校の偏差値・難易度・併願校
甲府南高等学校への進学を考える上で、最も気になるのが偏差値と難易度でしょう。ここでは、具体的な数値と併願校の例を挙げて解説します。
学科・コースごとの偏差値は、複数の模擬試験のデータを参考にすると、おおよそ以下のようになります。
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理数科: 70 – 71
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普通科: 59 – 62
理数科は、県内の公立・私立高校の中でも最上位に位置する、非常に難易度の高い学科です。「南理(なんり)」と呼ばれ、科学分野のリーダーを目指すトップレベルの生徒が集まります。一方、普通科も県内トップクラスの進学校であり、甲府西高校(偏差値61-63)や甲府東高校(偏差値58-63)などと並ぶ高い学力が求められます。
合格に必要な内申点の目安については、山梨県の公立高校入試では中学3年間の成績が360点満点で評価されるため、甲府南高等学校のような難関校に合格するには、通知表で4や5の評価を安定して取っておくことが不可欠と言えるでしょう。
山梨県の高校入試では、公立高校を複数併願することはできません。そのため、甲府南高等学校を第一志望にする場合、併願校は私立高校から選ぶことになります。学力レベルに応じて、以下のような私立高校を併願する受験生が多いようです。
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理数科の主な併願校: 駿台甲府高等学校(特に学力の高いコース)、山梨学院高等学校(特進コース)など
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普通科の主な併願校: 山梨学院高等学校、東海大学付属甲府高等学校、山梨英和高等学校、帝京第三高等学校など
甲府南高等学校に設置されている学科・コース
甲府南高等学校には、生徒一人ひとりの目標や興味に合わせた学びの場が用意されています。それぞれの学科・コースの特徴を理解し、自分に合った場所を見つけましょう。
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理数科
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どんなことを学ぶ? 数学や理科の授業時間数が多く、大学レベルの実験や研究活動も行う専門学科。スーパーサイエンスハイスクール(SSH)の中核を担います。
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どんな生徒におすすめ? 科学や数学が心から好きで、将来は研究者や医師、技術者など、理系の専門職を目指したい探究心旺盛な人。
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普通科
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どんなことを学ぶ? 国公立大学や難関私立大学への進学を目指し、主要5教科をバランス良く学ぶ学科。2年次から文系・理系に分かれ、専門性を高めます。
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どんな生徒におすすめ? 文系・理系問わず、幅広い大学進学の可能性を残しながら、高いレベルで学力を伸ばしたい人。
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普通科 理数クラス
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どんなことを学ぶ? 普通科の中に設置された、理数科とほぼ同じカリキュラムで学ぶ特別なクラス。SSH指定に伴い設置され、3年間クラス替えがありません。
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どんな生徒におすすめ? 理数科に匹敵する高いレベルの理数教育を受けたいけれど、普通科として入学したい、あるいは普通科の多様な進路選択の可能性も残しておきたい人。
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甲府南高等学校の特色・校風
甲府南高等学校の空気感を掴むために、学校生活のリアルな側面に迫ります。
学校全体の雰囲気を表すキーワードは、「開拓者精神」「文武両道」「自主自律」、そして「落ち着いた雰囲気」です。
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宿題の量: 口コミでは「多い」という声が多数を占めます。特に週末課題が毎週のように出され、日々の予習・復習をコツコツと続ける習慣が求められます。課題を溜めてしまうと、後で大変な思いをするようです。
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校則: 全体的には、落ち着いた学習環境を維持するために、ある程度厳しいという印象です。
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スマホ: 校内での使用は原則禁止で、電源を切っておく必要があります。これはかなり徹底されているようで、窮屈に感じる生徒もいるかもしれません。
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服装: 標準的な制服の規定があります。特に厳しいという声はありませんが、制服のデザイン自体の評判は、生徒の間ではあまり高くないようです。
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アルバイト: 原則として禁止されている可能性が高いです。これだけ学習や部活動が盛んな環境では、時間的にも両立は難しいと考えるのが現実的でしょう。
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生徒たちの雰囲気: 「真面目」「穏やか」な生徒が多いと評されています。入学前は「ガリ勉ばかりかも」というイメージを持つ人もいますが、実際には明るく気さくな生徒が多く、難しい課題や大変な行事を一緒に乗り越える中で、強い連帯感が生まれるようです。
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土曜授業: 理数科では「土曜課外」と呼ばれる授業が設定されています。また、SSH関連の講座や講演会が土曜日に開催されることもあり、特に理系進学を目指す生徒は、週末も学校へ足を運ぶ機会が多くなります。
甲府南高等学校の部活動・イベント
勉強だけでなく、部活動や学校行事も高校生活を彩る大切な要素です。甲府南高等学校の「文武両道」の精神は、ここに色濃く表れています。
部活動
甲府南高等学校は部活動が非常に盛んで、加入率も高いことで知られています。運動部が約20、文化部が約19あり、多くの生徒が学業と両立させながら熱心に活動しています。
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特に有名な部活動(運動部)
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陸上競技部: 県内屈指の強豪校です。特に女子は県高校総体で5連覇を達成するなど圧倒的な実績を誇り、男女ともに大会新記録を樹立する選手や、全国大会で活躍する選手を数多く輩出しています。
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剣道部: 男女ともに高いレベルにあり、関東大会や全国大会の常連です。厳しい稽古を通じて、心身ともに鍛えられています。
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特に有名な部活動(文化部)
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SSH関連の科学部(物理宇宙部、生命科学部など): SSH指定校ならではの強みで、大学の研究室のような高度な活動を行っています。「科学の甲子園」などの全国大会に出場したり、研究発表を行ったりと、活動は本格的です。
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放送部: NHK杯全国高校放送コンテストの全国大会に複数の部門で進出するなど、輝かしい実績があります。
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競技かるた部: 文武両道を体現する部活として知られ、大会で好成績を収めています。
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イベント
甲府南高等学校の生徒たちは、行事にも全力で取り組みます。中でも「緑陽祭」は、学校全体が一年で最も熱くなるイベントです。
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緑陽祭(りょくようさい): 毎年6月下旬に開催される文化祭で、地域でも有名です。各クラスが制作する巨大な段ボールアート「造形」や、趣向を凝らしたクラス企画、レベルの高いステージ発表など、見どころが満載。特に演劇部は「シアター南天」として知られ、本格的な照明や音響を駆使した公演は圧巻です。「南が好きだと叫びたい」といった情熱的なテーマが掲げられることもあり、準備期間から当日まで、クラスの団結力が一気に高まります。
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その他の行事: 緑陽祭のほかにも、体育祭、クラス対抗で美しいハーモニーを競う合唱コンクール、球技大会など、一年を通じて生徒が主役となるイベントが数多く用意されています。3年次には「春の旅」があり、受験を控えた仲間との大切な思い出となっているようです。
甲府南高等学校の進学実績
甲府南高等学校は、県内トップクラスの進学校として、国公立大学や難関私立大学へ多数の合格者を輩出しています。
最新の進学実績を見ると、そのレベルの高さがうかがえます。
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国公立大学:
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東京大学、京都大学をはじめとする旧帝国大学や、一橋大学、筑波大学といった最難関大学への合格者が出ています。
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特に、理数科は国公立大学医学部医学科へ毎年10名前後の合格者を出すなど、県内の医療人材育成にも大きく貢献しています。
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地元の山梨大学、山梨県立大学、都留文科大学へは毎年非常に多くの生徒が進学しており、地域の中核を担う人材の育成にも力を入れていることがわかります。
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難関私立大学:
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早稲田大学、慶應義塾大学、上智大学、東京理科大学といった「早慶上理」に、合計で30名近い合格者を出しています。
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GMARCH(学習院、明治、青山学院、立教、中央、法政)などの有名私立大学にも、安定して多くの合格者を送り出しています。
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この高い進学実績を支えているのが、手厚い進学サポート体制です。夏季休業中の講座や各種学習会、理数科を中心とした放課後・週末の課外授業などが充実しており、生徒の学力向上を力強く後押ししています。また、全校で取り組む探究学習「フロンティア探究」で培われる論理的思考力や表現力は、推薦入試や総合型選抜といった新しい形の大学入試においても、大きな武器となっています。
甲府南高等学校の特長・アピールポイント
他の高校にはない、甲府南高等学校ならではの強みや魅力をまとめました。
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スーパーサイエンスハイスクール(SSH)としての長年の実績
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平成16年から継続してSSHの指定を受けており、理数教育における豊富な経験と実績があります。大学や研究機関と連携した本物の科学に触れる機会は、他校では得られない貴重な体験です。
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独自の探究学習「フロンティア探究」
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全生徒が1年間かけて自分の興味あるテーマを深く掘り下げる探究活動です。自ら問いを立て、調べ、まとめ、発表するプロセスは、これからの社会で必須となる思考力や表現力を育みます。
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県内屈指の難易度を誇る「理数科」の存在
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「南理」の愛称で知られる理数科は、全国のトップレベルの大学を目指す生徒が集まる、まさにエリート養成コースです。その存在が学校全体の学術的なレベルを牽引しています。
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「開拓者精神」を育む自由で伸び伸びとした校風
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校訓である「開拓者精神」のもと、生徒の自主性や主体性が尊重されます。困難な課題に挑戦し、自らの力で道を切り拓く経験は、生徒を大きく成長させます。
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地域で有名な、全校生徒が熱狂する「緑陽祭」
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学校の一大イベントである文化祭は、生徒たちの創造性とエネルギーが爆発する場です。クラス一丸となって取り組む経験は、一生の思い出と固い友情を育みます。
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文武両道を体現する活発な部活動
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全国レベルで活躍する陸上競技部をはじめ、多くの部活動が盛んです。高い目標に向かって学業と部活動を両立させる経験は、人間的な強さを養います。
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甲府南高等学校の口コミ・評判のまとめ
在校生や卒業生の「生の声」は、学校選びの重要な参考になります。ここでは、様々な口コミを公平にまとめました。
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良い点:
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「自主性のある生徒には最高の環境」 という声が非常に多いです。自ら学びたい、挑戦したいという意欲があれば、先生方も学校も全力で応えてくれるという評価です。
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「勉強も部活も本気でできる」 と、文武両道を実感している生徒がたくさんいます。高いレベルで両立できる環境が整っているようです。
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「一生ものの仲間ができる」 という意見も目立ちます。大変な学校生活を共に乗り越えることで、他では得られない深い絆が生まれるようです。
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「行事が本当に楽しい」 特に緑陽祭は、準備期間も含めて最高の思い出になると多くの生徒が語っています。
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「熱心な先生が多い」 積極的に質問に行けば、親身になって教えてくれる、進路相談にも手厚く乗ってくれるという声があります。
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気になる点:
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「課題が多くてとにかく忙しい」 これは最も多く聞かれる意見の一つです。ゆったりとした高校生活を送りたい人には向かないかもしれません。
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「自主性がないと置いていかれる」 学校が手取り足取り教えてくれるというよりは、自ら動くことが求められます。受け身の姿勢だと、サポートが薄いと感じてしまう可能性があります。
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「先生との相性がある」 熱心な先生がいる一方で、一部には「成績の良い生徒を贔屓する」「相談しにくい」と感じさせる先生もいる、という厳しい意見も見られます。
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「校則が厳しい(特にスマホ)」 校内でのスマホ使用禁止は、自由を求める生徒にとっては大きな不満点となっているようです。
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「施設が少し古い」 校舎や設備の一部に古さを感じるという声も挙がっています。
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アクセス・通学
甲府南高等学校は全県一学区制のため、甲府市内に限らず、山梨県内全域から生徒が通学しています。
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電車でのアクセス:
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JR身延線「甲斐住吉駅」から徒歩約10分~15分です。
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バスでのアクセス:
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JR甲府駅のバスターミナルから、山梨交通バスの「アイメッセ行き」「小瀬スポーツ公園行き」「山梨大学付属病院行き」のいずれかに乗車し、「甲府南高校」バス停で下車すると目の前です。
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通学エリアの傾向:
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甲府市や甲斐市、昭和町など国中地域からの通学者が多いですが、JR中央線や身延線を利用して、遠方から時間をかけて通う生徒も少なくありません。多様な地域から生徒が集まることも、甲府南高等学校の特色の一つです。
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甲府南高等学校受験生へのワンポイントアドバイス
ここまで読んでくれてありがとうございます。最後に、進学アドバイザーとして、甲府南高等学校を目指す皆さんへエールを送ります。
甲府南高等学校は、「自分で自分の道を切り拓きたい」と考える、探究心あふれる生徒に特におすすめの学校です。もしあなたが、ただ答えを教わるだけでなく「なぜそうなるんだろう?」と考えるのが好きだったり、高い目標に向かって仲間と切磋琢磨したいと願っていたりするなら、ここは最高の場所になるでしょう。SSHプログラムで科学の最先端に触れたい人、文武両道を極めたい人、そんなあなたの挑戦を甲府南高等学校は待っています。
受験勉強では、普通科を目指すなら5教科を穴なく、バランス良く得点する力が求められます。最難関の理数科を目指すなら、入試で傾斜配点のある数学と理科で、他の受験生を圧倒するくらいの得意意識と得点力が必要です。どちらの学科を目指すにせよ、知識の暗記だけでなく、「なぜ?」を考える論理的思考力を日頃から鍛えておきましょう。それが「開拓者精神」の第一歩です。頑張ってください!
※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。