都立竹早高等学校と聞いて、あなたはどんな学校を思い浮かべますか?自由な私服通学、生徒が主役の活気ある行事、それとも難関大学への高い進学実績でしょうか。実は、そのすべてが竹早高校の魅力です。

この学校の根底に流れるのは、「自主自律」という創立以来の精神です。これは、生徒一人ひとりが自ら考え、判断し、責任をもって行動することを重んじる文化です。一見すると、自由な校風と高い学力が両立しているように見えますが、その裏には生徒たちの不断の努力と、それを支える学校の確かな教育力があります。

この記事では、そんな都立竹早高等学校の本当の姿を、中学生の皆さんや保護者の方々が具体的にイメージできるよう、詳しく解説していきます。あなたの高校選びの、確かな一助となれば幸いです。

都立竹早高等学校の基本情報

まずは、学校の基本的な情報を確認しておきましょう。

項目 内容
正式名称 東京都立竹早高等学校
公立/私立の別 都立
共学/男女別の別 男女共学
所在地 〒112-0002 東京都文京区小石川4-2-1
代表電話番号 03-3811-6961
公式サイト http://www.takehaya-h.metro.tokyo.jp/

都立竹早高等学校の偏差値・難易度・併願校

都立竹早高等学校への合格を目指す上で、最も気になるのが偏差値や難易度でしょう。ここでは具体的な数値と、合格の目安について解説します。

偏差値・難易度

学科・コースごとの偏差値は以下の通りです。

  • 普通科: 62~65

この数値は、模試の種類や調査機関によって多少変動します。例えば、都立高校受験生が多く利用する進学研究会の「Vもぎ」では、合格可能性60%ラインの偏差値が62とされています。一方で、他の情報サイトでは65や69といった高い数値が示されることもあります。これは、参照する模試の受験者層や算出方法が異なるためです。受験生にとっては、自分が受ける模試の数値を基準に考えるのが最も現実的でしょう。Vもぎの偏差値62は、上位約12%に位置する難易度であり、しっかりとした学力が求められます。

都立高校入試では、学力検査の点数だけでなく、中学校の成績である内申点も非常に重要です。都立竹早高等学校の合格に必要な内申点の目安は、「換算内申54」が一つの基準とされています。これは、主要5教科だけでなく、技能4教科でも高い成績を収めている必要があることを意味します。

同じくらいの偏差値の都立高校としては、都立北園高等学校や都立駒場高等学校などが挙げられます。これらの学校と比較検討することで、竹早高校の立ち位置がより明確になるでしょう。

主な併願校

都立高校が第一志望の場合、併願校として私立高校を受験するのが一般的です。都立竹早高等学校の受験生が併願先として選ぶことが多い私立高校には、以下のような学校があります。これらの学校は、進学実績が豊富で、竹早高校の教育方針や生徒の学力層と近いコースを設置していることが多いのが特徴です。

学校名 学科・コース例 所在地
淑徳巣鴨高等学校 選抜コース / プレミアムコース 豊島区
順天高等学校 特進選抜コース 北区
東洋高等学校 特進選抜コース 千代田区
駒込高等学校 Sコース / 特Sコース 文京区
豊島学院高等学校 スーパー特進類型 豊島区
日本大学第二高等学校 普通科 杉並区
佼成学園高等学校 (男子) 難関国公立コース 杉並区
十文字高等学校 (女子) 特選クラス 豊島区

都立竹早高等学校に設置されている学科・コース

都立竹早高等学校に設置されている学科は「普通科」のみです。しかし、単なる普通科と考えるのは早計です。竹早高校は東京都教育委員会から3つの重要な指定を受けており、これが実質的な専門コースのように機能し、教育の質を大きく高めています。

  • 普通科

    • 幅広い大学進学に対応する、バランスの取れたカリキュラムが組まれています。しかし、その教育内容は以下の3つの指定によって、より深く、専門的になっています。

  • 進学指導推進校としての取り組み

    • 難関国公立大学や私立大学への進学を目指す生徒を手厚くサポートする指定です。質の高い授業はもちろん、放課後や長期休暇中の講習、個別指導など、志望校合格に向けたきめ細やかな指導体制が整っています。大学進学を真剣に考えている生徒に最適です。

  • 英語教育推進校としての取り組み

    • グローバル社会で活躍できる英語力を育成するための指定です。ネイティブスピーカーの教員による授業や、希望者対象の「TAKEHAYA UKサマーキャンプ」といった海外研修プログラムが充実しています。将来、海外で活躍したい、高い英語力を身につけたい生徒におすすめです。

  • 理数研究校としての取り組み

    • 理数分野に興味を持つ生徒の能力を伸ばすための指定です。大学の研究室訪問や、専門家を招いた講演会など、探究心を刺激するプログラムが用意されています。科学や数学の世界を深く探究したい生徒にとって、絶好の環境です。

都立竹早高等学校の特色・校風

竹早高校の最大の特色は、キーワードで表すなら「自主自律」「自由闊達」そして「文武両道」です。生徒の主体性を尊重する文化が根付いています。

  • 宿題の量

    • 口コミでは「多い」という声が圧倒的です。ほぼ毎日小テストがあり、課題も頻繁に出されるため、日々の学習習慣が非常に重要になります。この忙しさに慣れるまでは大変かもしれませんが、着実に学力がつく環境だと言えるでしょう。

  • 校則(スマホ、服装など)

    • 校則は非常に緩やかです。明確に文章化された校則はほとんどなく、生徒の自主的な判断に委ねられています。

    • 服装:制服(標準服)はありますが、購入・着用は任意で、ほとんどの生徒が私服で登校しています。自分の個性を表現できる自由さがありますが、同時に「学習の場にふさわしい服装」を自分で考える力が求められます。

    • スマホ:校内での使用は基本的に認められていますが、授業中は先生の指示に従うなど、マナーを守ることが前提です。

    • 髪染め・ピアスなど:明確な禁止規定はありませんが、あまりに華美な場合は先生から指導が入ることもあるようです。これは「ルールがないから何でもOK」ではなく、「自由には責任が伴う」という竹早の文化の表れと言えます。

  • 生徒たちの雰囲気

    • 「明るい子、おとなしい子、いろんな子がいるが、みんな協力しあっている」という口コミに象徴されるように、多様性を受け入れ、互いを尊重する穏やかな雰囲気があります。勉強熱心な生徒が多いですが、ギスギスした競争はなく、落ち着いた環境で学校生活を送りたい人には非常に過ごしやすいようです。

  • アルバイト

    • アルバイトに関する明確な規定は見当たりませんが、多くの生徒が学業と部活動で非常に多忙なため、両立はかなり難しいと考えられます。

  • 制服の評判

    • 標準服は、男子がスラックスとカーディガン、女子はスカートとスラックスから選べるスタイルです。しかし、ほとんどの生徒が私服であるため、制服そのものへの関心はあまり高くないようです。

  • 土曜授業

    • 土曜日にも授業があります。週6日制の授業で、しっかりとした学習時間を確保しています。

都立竹早高等学校の部活動・イベント

部活動

都立竹早高等学校の部活動は非常に活発で、生徒の高校生活において中心的な役割を担っています。兼部をする生徒も多いため、部活動加入率は100%を超えています(118%というデータもあります)。これは、ほとんどの生徒が何らかの部活動に所属し、学業と両立しながら熱心に活動していることを示しています。

  • 特に有名な部活動

    • ダンス部:全国大会に何度も出場する強豪として知られています。そのパフォーマンスは文化祭などでも大きな見どころとなっており、高い評価を得ています。

    • 吹奏楽部:東京都高等学校吹奏楽コンクールで金賞を受賞するなど、高い実績を誇ります。地域のイベントなどでも演奏を披露しています。

  • 全体の様子

    • 運動部ではバスケットボール部やバレーボール部、サッカー部などが、文化部では音楽系や科学部などが活発に活動しています。全体的に、楽しみながら活動する部活が多い一方で、ダンス部のように全国レベルを目指す部活もあり、自分の目標に合わせて選ぶことができます。

イベント

竹早高校では「三大行事」と呼ばれる体育祭、竹早祭(文化祭)、合唱祭を中心に、生徒が主体となって作り上げるイベントが盛りだくさんです。

  • 竹早祭(文化祭):毎年多くの来場者で賑わう、学校最大のイベントです。クラスごとの演劇や展示、部活動の発表、有志によるパフォーマンスなど、多彩な企画で盛り上がります。生徒たちの創造性や企画力が存分に発揮される場で、地域との交流の場ともなっています。

  • 体育祭:学年縦割りの団を結成し、優勝を目指して競い合います。リレーや綱引きといった定番競技はもちろん、ユニークな種目もあり、クラスや団の絆が深まる一日です。

  • 合唱祭:ホールを借りて行われる本格的なイベントです。各クラスが練習の成果を披露し、美しいハーモニーを響かせます。練習を通じてクラスが一つになる、感動的な行事です。

  • 修学旅行:行き先は沖縄です。平和学習や自然体験などを通じて、多くのことを学びます。

都立竹早高等学校の進学実績

都立竹早高等学校は、進学指導推進校として、難関大学への高い進学実績を誇ります。近年その実績はさらに向上しており、国公立大学への現役進学率は30%を超えるなど、着実な成果を上げています。

主な国公立大学合格実績

最難関大学から地域の主要大学まで、幅広い国公立大学に合格者を輩出しています。

大学名 近年の合格者輩出実績
東京大学・京都大学 継続的に合格者を輩出
一橋大学 2-3名規模で安定して合格
東京科学大学 (旧東工大等) 毎年合格者を輩出する得意分野 (2024年度は6名)
北海道大学など旧帝国大学 継続的に挑戦し、成果を上げている (2024年度は北海道大7名)
その他国公立大学合計 卒業生の約3分の1が進学

主な難関私立大学合格者数

GMARCHや早慶上理といった難関私立大学にも、毎年多数の合格者を出しています。

大学グループ 2023年度合格者数
早慶上理 (早稲田, 慶應, 上智, 東京理科) 92名
GMARCH (学習院, 明治, 青山学院, 立教, 中央, 法政) 241名
日東駒専 (日本, 東洋, 駒澤, 専修) 148名

これらの高い進学実績は、日々の質の高い授業に加え、放課後や長期休暇中の補習・講習、経験豊富な教員による進路指導、充実した進路資料室など、学校全体の手厚いサポート体制によって支えられています。

都立竹早高等学校の特長・アピールポイント

他の高校にはない、都立竹早高等学校ならではの強みやユニークな取り組みをまとめました。

  • 「3つの指定」による高度な教育環境

    • 「進学指導推進校」「英語教育推進校」「理数研究校」という3つの指定を受けることで、大学受験対策、グローバル教育、理数探究のすべてにおいて質の高い教育が提供されています。

  • 生徒の主体性を育む「自主自律」の校風

    • 服装自由、生徒主体の行事運営など、校則で縛るのではなく生徒の自主性を尊重する文化が、責任感と自己管理能力を育みます。

  • 本格的な国際理解教育と英語プログラム

    • 海外帰国生徒の受け入れや、ネイティブ教員と過ごす「UKサマーキャンプ」など、実践的な英語力と異文化理解を深める機会が豊富です。

  • 第二外国語の履修が可能

    • 2年次にフランス語またはドイツ語を選択して学べる、都立高校では珍しい機会があります。言語や文化への視野を広げることができます。

  • 活発な部活動と全国レベルの実績

    • 加入率100%超という活気ある部活動は、学校生活を豊かにします。特にダンス部は全国レベルで活躍しており、学校の誇りとなっています。

  • 文京区の好立地と抜群のアクセス

    • 複数の路線・駅から徒歩圏内という便利な立地は、通学の負担を減らし、勉強や部活動に打ち込む時間を生み出します。

  • 伸び続ける難関大学進学実績

    • 国公立大学への進学率が3年連続で30%を超えるなど、進学実績が年々向上しており、生徒の努力が結果に結びつく指導力があります。

都立竹早高等学校の口コミ・評判のまとめ

在校生や卒業生からの声をまとめると、竹早高校のリアルな姿が見えてきます。

良い点

  • 「最高の青春が送れる」「めちゃ楽しかった」といった声が多く、充実した学校生活への満足度が非常に高いことがうかがえます。

  • 行事や部活動が生徒主体で非常に盛り上がり、クラスや学年全体の団結力が強いという評判です。

  • 「生徒の質が高く、お互いを尊重しあえる雰囲気」があり、いじめなどもなく安心して過ごせるという意見が多数見られます。

  • 自由な校風が自分に合っていると感じる生徒が多く、「勉強を頑張る人を伸ばす環境がある」と、主体的に学ぶ生徒へのサポートを評価する声もあります。

気になる点

  • 最も多く聞かれるのが「課題の量がとても多く、毎日忙しい」という点です。自己管理能力が求められます。

  • 「自主自律」の校風は、裏を返せば「生徒に任せっぱなし」と感じることもあるようです。積極的に行動しないと、自由な環境を活かせない可能性があります。

  • 「先生の当たり外れがある」という口コミも見られます。これはどの学校にも言えることですが、授業の面白さやサポートの手厚さが先生によって異なると感じる生徒もいるようです。

  • 都心にあるため「校庭が狭い」という物理的な制約を指摘する声もあります。

アクセス・通学

都立竹早高等学校は、都心にありながら緑の多い文教地区に位置し、複数の駅からアクセス可能です。

最寄り駅 路線 出口 徒歩
茗荷谷駅 東京メトロ丸ノ内線 1番出口 約10分
後楽園駅 東京メトロ丸ノ内線・南北線 4b出口 約12分
春日駅 都営三田線・大江戸線 6番出口 約13分

通学している生徒は、文京区内だけでなく、板橋区、練馬区、足立区、北区をはじめ、23区全域や市部からも集まっており、非常に広範囲にわたります。様々な地域から生徒が集まることも、学校の多様性につながっています。

都立竹早高等学校受験生へのワンポイントアドバイス

ここまで読んでいただき、都立竹早高等学校の魅力と、そこで求められる生徒像が少し見えてきたのではないでしょうか。最後に、進学アドバイザーとして、この学校を目指す皆さんへメッセージを送ります。

都立竹早高等学校は、自由な環境の中で自らを律し、高い目標に向かって努力できる生徒に特におすすめです。勉強も、部活も、行事も、すべてに全力で取り組みたいという意欲のある人にとって、最高の3年間が待っているでしょう。逆に、誰かに指示されないと動けない、流されやすいタイプの人は、その自由さゆえに戸惑うことがあるかもしれません。

受験勉強では、まず「内申点」を確実に取ることが重要です。特に換算内申54という目安を意識し、苦手科目を作らず、全教科で安定した成績を収めることを目指してください。その上で、学力検査では5教科すべてで高得点を取るための応用力が求められます。過去問を繰り返し解き、都立高校の入試形式に慣れておくことが合格への近道です。

都立竹早高等学校での生活は、忙しくも、非常に充実したものになるはずです。ぜひ一度、学校説明会や文化祭に足を運んで、その活気ある雰囲気を肌で感じてみてください。

※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。