高校生活と聞いて、皆さんはどんな3年間を思い浮かべますか?難関大学を目指して仲間と切磋琢磨する日々でしょうか。それとも、一生懸けになれる部活動や、心に刻まれる学校行事でしょうか。もし、そのすべてを、しかも東京のど真ん中で実現できる学校があるとしたら…?それが、今回ご紹介する都立青山高等学校です。

都立青山高等学校は、都内トップクラスの進学実績を誇る「進学指導重点校」でありながら、生徒一人ひとりの個性を尊重する「自由な校風」で知られています。厳しいルールで縛るのではなく、生徒の自主自律を信じ、任せる。そんな環境だからこそ、生徒たちは勉強にも、行事にも、部活動にも、自らの意志で全力で打ち込むことができます。

この記事では、そんな都立青山高等学校の魅力を、データと在校生の声を交えながら、余すところなくお伝えしていきます。自分の可能性を最大限に試したい、自分だけの高校生活を創り上げたい。そう考えるあなたにとって、最高の3年間がここにあるかもしれません。

都立青山高等学校の基本情報

まずは、学校の基本的な情報を確認しておきましょう。青山学院大学とは別の、歴史ある都立高校です。

項目 内容
正式名称 東京都立青山高等学校
公立/私立の別 都立
共学/別学 男女共学
所在地 〒150-0001 東京都渋谷区神宮前2-1-8
代表電話番号 03-3404-7801
公式サイトURL https://www.metro.ed.jp/aoyama-h/

都立青山高等学校の偏差値・難易度・併願校

都立青山高等学校は、都内でも屈指の難関校として知られています。その難易度を、偏差値や内申点の目安、そして併願校の例から具体的に見ていきましょう。

偏差値・難易度

2025年-2026年の最新データによると、都立青山高等学校の偏差値は普通科で「65〜66」前後です。これは東京都内の公立高校の中でトップグループに位置し、日比谷高校や西高校といった最上位校に次ぐ高いレベルを示しています。

この偏差値が示す通り、合格を勝ち取るためには非常に高い学力が求められます。合格の目安となる内申点(調査書点)は、60%の合格可能性ラインで「60」(65点満点換算)、80%の有望圏ラインで「62」程度が必要とされています。これは、主要5教科はもちろん、実技4教科でもほとんど「5」を取る必要があるレベル感です。

さらに、都立青山高等学校の入試が難しいとされる大きな理由の一つに、英語・数学・国語の3教科で「自校作成問題」が出題される点が挙げられます。これは都立高校共通の問題よりも難易度が高く、単なる暗記力だけでなく、思考力や応用力、表現力が問われる問題です。このため、受験生は教科書レベルを超えた、より深い学習と対策が必要になります。この厳しい入試は、入学後に求められる「自ら考えて学ぶ力」を持つ生徒を選抜するための、最初の関門と言えるでしょう。

主な併願校

東京都の公立高校入試では、一般入試で複数の都立高校を併願することはできません。そのため、万が一に備えて、合格レベルの近い私立高校を併願校として受験するのが一般的です。都立青山高等学校の受験生がよく選ぶ併願校には、以下のような学校があります。

  • 大学附属校:中央大学杉並高等学校、中央大学高等学校、法政大学高等学校

  • 進学校(共学):國學院高等学校、朋優学院高等学校(国公立コース)、淑徳巣鴨高等学校(選抜コース)、拓殖大学第一高等学校(特進コース)、宝仙学園高等学校理数インター

  • 進学校(男子校):桐朋高等学校

これらの学校は、青山高校と同様に高い学力レベルが求められる人気の進学校です。自分の学力や校風の好みなどを考慮しながら、慎重に併願校を選ぶことが、安心して第一志望の受験に臨むための重要な戦略となります。

都立青山高等学校に設置されている学科・コース

都立青山高等学校の大きな特徴の一つが、1、2年生の段階では特定のコースに分かれない「全教科型学習」のカリキュラムを採用している点です。

  • 普通科(1・2年次:共通履修)

    • どんなことを学ぶ場所か:芸術などの一部選択科目を除き、全員が同じ科目を幅広く学びます。文系・理系どちらの分野にも対応できる、強固な基礎学力を築くことを目的としています。

    • どんな生徒におすすめか:まだ将来の進路を決めかねている人や、国公立大学受験で必要となる幅広い教養を身につけたい人におすすめです。2年間じっくり自分の興味や適性を見極める時間があります。

  • 普通科(3年次:文系・理系コース)

    • どんなことを学ぶ場所か:3年生になると、それぞれの志望進路に合わせて文系・理系に分かれ、より専門的な科目を深く学びます。

    • どんな生徒におすすめか:志望大学や学部が固まり、受験に向けて専門科目の学力を集中的に高めたい人に最適です。

このカリキュラムは、生徒が安易に科目を絞るのではなく、幅広い知識を身につけた上で、本当に自分に合った進路を選択できるようにという学校の教育方針の表れと言えるでしょう。

都立青山高等学校の特色・校風

都立青山高等学校の魅力を語る上で最も重要なキーワードは、「自由と自主自律」です。この言葉が、学校生活のあらゆる場面に浸透しています。

  • 校風キーワード:自由闊達、自主自律、文武両道、都会的、個性の尊重

校則・学校生活のリアル

中学生の皆さんが気になる学校生活の具体的なポイントについて、口コミなどを基に詳しく見ていきましょう。

  • 校則は厳しい?緩やか?

    非常に緩やかです。生徒の自主性を最大限に尊重するという考え方が基本にあり、細かなルールで縛ることはありません。

  • スマホ・服装・髪型など

    スマホの持ち込みや校内での使用は自由です。服装も、式典などで着用が義務付けられる「標準服」(男子は学ラン、女子はブレザー)はありますが、普段は私服での登校が認められています。多くの生徒が、制服風のコーディネート「なんちゃって制服」や、思い思いの私服で通学しています。髪染めやピアス、メイクなども基本的に自由で、個性を表現することが認められている雰囲気です。

  • 生徒たちの雰囲気は?

    「明るく、華やかで、社交的」という声が非常に多いです。中学時代に生徒会長や部長などを経験したリーダーシップのある生徒が多く集まる傾向があり、皆がそれぞれ自分の世界を持ちながらも、互いを尊重し合っています。勉強も遊びも行事も、何事にも全力で取り組む「オールラウンダー」が多く、周りから良い刺激を受けられる環境です。いじめなどはほとんど聞いたことがないという声が多く、安心して過ごせるようです。

  • 宿題の量は多い?

    「宿題」として明確に出される量はそれほど多くないという声もありますが、授業のレベルが高く進度も速いため、日々の予習・復習は必須です。自主的に勉強しなければついていけなくなるため、実質的な学習負担は大きいと言えます。この「やらされる」のではなく「自らやる」というスタイルが、まさに自主自律の精神を育てています。

  • アルバイトは可能?

    校則で明確に禁止されているわけではなく、実際にアルバイトをしている生徒もいます。ただし、高いレベルの学業と両立させるためには、徹底した自己管理が求められます。

  • 制服の評判は?

    標準服は伝統的なデザインですが、普段は私服がOKなため、制服に対するこだわりは少ないようです。むしろ、自由な服装ができることをポジティブに捉えている生徒がほとんどです。

  • 土曜授業はある?

    あります。年間20回の土曜授業が設定されており、十分な授業時間を確保しています。授業のない土曜日も、希望者向けの講習や模試などが実施され、学力向上のために有効活用されています。

この圧倒的な自由は、裏を返せば「すべて自己責任」であることも意味します。学校が手取り足取り指導してくれるわけではありません。自由な環境の中で、自分で目標を立て、計画的に行動し、結果を出す。このプロセスを通じて、大学進学後や社会に出てから本当に必要となる「自律する力」が養われるのです。

都立青山高等学校の部活動・イベント

部活動

都立青山高等学校では、部活動が非常に盛んです。兼部を含めた加入率は約110%にも達し、ほとんどの生徒が何らかの活動に所属しています。勉強だけでなく、部活動にも全力で打ち込む「文武両道」が実践されています。

運動部、文化部ともに充実しており、特に有名な部活動やユニークな部活動をいくつかご紹介します。

  • 青山フィルハーモニー管弦楽団(青フィル)

    この学校の代名詞とも言える、最も有名な部活動です。単なる吹奏楽部ではなく、弦楽器も含む本格的なオーケストラで、部員数は1・2年生だけで80名を超える大編成です。活動は非常に本格的で、毎年春の定期演奏会や文化祭でのコンサートはもちろん、他校との合同オーケストラとして東京都の大会に出場したり、地域連携でプロ野球ヤクルトスワローズの応援演奏に参加したりと、活動の幅は多岐にわたります。高いレベルの演奏を目指して、生徒主体で練習に励んでいます。

  • 演劇部

    後述する文化祭「外苑祭」が全クラス演劇ということもあり、演劇部のレベルも非常に高いことで知られています。外苑祭とは別に、独自の公演も行い、創造力豊かな生徒たちが集まっています。

  • アルペン部

    都心の高校には珍しい山岳スキーの部活動です。夏には槍ヶ岳に登るなど、本格的な登山やトレーニングを行っており、冒険心あふれる生徒に人気です。

  • クイズ研究同好会

    近年、TBSのテレビ番組「東大王」に出場するなど、メディアでも活躍を見せている注目の同好会です。

この他にも、サッカー部、ラグビー部、テニス部、ダンス部といった運動部から、生物部、美術部、漫画研究部などの文化部まで、多種多様な部活動が活発に活動しています。

イベント

都立青山高等学校の学校生活を彩るイベントは、どれも生徒が主体となって創り上げる、熱気あふれるものばかりです。

  • 外苑祭(文化祭)

    「伝説的」とまで言われる、青山高校最大のイベントです。最大の特徴は、1年生から3年生までの全21クラスが、それぞれ80分から90分にも及ぶ本格的な演劇またはミュージカルを上演すること。他の学校のような模擬店などは一切なく、学校全体が巨大な劇場と化します。生徒たちは夏休みの多くを準備に捧げ、脚本選びや脚色、大道具・小道具の製作、衣装デザイン、そしてもちろん演技練習まで、すべてを自分たちの手で創り上げます。特に3年生の劇は、3年間の集大成として圧巻のクオリティを誇り、多くの感動を呼びます。この外苑祭を経験することで得られる達成感やクラスの団結力は、青高生にとって何物にも代えがたい宝物となっています。

  • 体育祭

    外苑祭と並ぶ大きなイベントで、こちらも大変な盛り上がりを見せます。クラス対抗で様々な競技に臨み、応援にも熱が入ります。名物競技の一つに「部活対抗リレー」があり、各部がユニフォームや道具を身につけて走るなど、ユーモアとプライドがぶつかり合う人気の種目です。

  • 修学旅行

    2年生の時に実施され、クラスメイトとの絆を深める貴重な機会となっています。

都立青山高等学校の進学実績

「進学指導重点校」に指定されている都立青山高等学校は、その名にふさわしく、毎年非常に高い大学進学実績を誇ります。2025年度入試では、卒業生の約75%がGMARCH以上の難関大学に合格するなど、圧倒的な成果を上げています。

2025年度 主要大学合格実績(抜粋・既卒生含む)

最新の合格実績を以下にまとめます。

大学分類 合格者数 主な内訳
国公立大学 合計 127名 東京大学: 4名、京都大学: 5名、一橋大学: 8名、東京科学大学: 7名、北海道大学: 15名、東北大学: 9名、筑波大学: 13名、千葉大学: 13名、横浜国立大学: 12名
国公立大学 医学部医学科 8名 筑波大学、東京科学大学、三重大学など
早慶上智 203名 早稲田大学: 102名、慶應義塾大学: 43名、上智大学: 58名
GMARCH 400名 明治大学: 154名、立教大学: 75名、中央大学: 58名、法政大学: 56名、青山学院大学: 51名、学習院大学: 6名

高い実績を支える進学指導体制

これらの輝かしい実績は、生徒の自主性に任せるだけでなく、学校側の手厚いサポート体制によって支えられています。

  • 豊富な補習・講習

    年間を通じて、放課後や夏休みなどの長期休暇中に、非常に多くの補習・講習が開かれています。中には部活動後に参加できる時間設定のものもあり、生徒のニーズにきめ細かく応えています。3年生になると、夏期講習だけで一人あたり平均9講座も受講するなど、多くの生徒が活用しています。

  • 質の高い校内学力テスト

    通常の定期考査とは別に、青山高校の教員が独自に作成する「校内学力テスト」を実施しています。これにより、生徒の学習状況を正確に把握し、全教員で情報を共有して一人ひとりの指導計画を詳細に検討しています。

  • 記述力・思考力の育成

    大学入学共通テストなどで重視される「思考力・判断力・表現力」を養うため、授業やテストでは記述式の問題が積極的に取り入れられ、教員による個別添削指導も充実しています。

  • 計画的な進路指導

    1年生の段階から、大学訪問や卒業生との交流会など、キャリア教育を計画的に実施しています。生徒が早い段階から将来を意識し、高い目標を持てるように意欲を喚起し続けています。

都立青山高等学校の特長・アピールポイント

他の高校にはない、都立青山高等学校ならではの強みや魅力をまとめました。

  • 進学指導重点校としての手厚いサポート

    自由な雰囲気でありながら、難関大学合格を強力に後押しする体制が整っています。豊富な講習や個別指導など、質の高い学習環境が提供されており、高い目標を達成するためのサポートが万全です。

  • 圧倒的な「自由と自主自律」の校風

    校則が非常に緩やかで、生徒一人ひとりの個性が尊重されます。この環境は、生徒に自己管理能力と責任感を求め、大学や社会で必要となる「自ら考えて行動する力」を自然と育みます。

  • 伝説的な文化祭「外苑祭」

    学校生活のハイライトであり、青高魂の象徴です。全クラスが本格的な演劇を創り上げるという他に類を見ない文化祭は、創造力、協調性、問題解決能力を養う最高の学びの場となっています。

  • 都心ならではの最高のロケーション

    東京メトロ外苑前駅から徒歩3分という抜群のアクセス。周辺には神宮球場や美術館、おしゃれな街並みが広がり、学校外での学びや探究活動の機会にも恵まれています。

  • 活発な部活動と文武両道

    加入率110%が示す通り、部活動は学校生活の中心です。全国レベルで活躍する青山フィルハーモニー管弦楽団から、ユニークなアルペン部まで、誰もが情熱を注げる場所を見つけられます。

  • 思考力を鍛える独自の教育

    自校作成問題の入試に始まり、普段の授業から記述力や表現力を重視した教育が行われています。単なる知識の詰め込みではなく、真の学力を伸ばすことに主眼が置かれています。

都立青山高等学校の口コミ・評判のまとめ

在校生や卒業生の声から、学校のリアルな姿を探ってみましょう。良い点と、入学前に知っておきたい注意点を公平に紹介します。

良い点

  • 「とにかく自由。髪型も服装も自分で決められるので、自分らしくいられるのが最高でした。その分、自分で自分を律する力もつきました」。

  • 「外苑祭は本当にすごい。クラス全員で一つの目標に向かって頑張った経験は一生の宝物です。あの達成感と団結力は他では味わえない」。

  • 「周りの友達のレベルが高くて、常に刺激をもらえました。勉強もできるし、面白い特技を持っている人も多くて、人間的に成長できたと思います」。

  • 「先生方は普段は放任主義に見えるけど、相談に行くと本当に親身になってくれます。特に進路指導や受験対策の講習はとても手厚く、塾に行かなくても大丈夫なくらいでした」。

  • 「立地が最高。放課後に友達と渋谷や表参道にすぐ行けるし、美術館なども近くて便利。都会的な高校生活を満喫できます」。

気になる点(注意点)

  • 「自由は諸刃の剣。自分で計画を立てて勉強できない人は、あっという間に置いていかれます。強い意志と自己管理能力がないと厳しいかもしれません」。

  • 「校舎は正直古いです。特にトイレはきれいとは言えず、改善してほしいという声はよく聞きます。ただ、勉強するのに支障があるわけではありません」。

  • 「生徒主体なので、手取り足取り教えてもらうことは期待できません。『自分で調べて』『自分で考えて』が基本。積極的に動けないと、チャンスを逃してしまうかも」。

  • 「人気校なので、とにかく入試の競争が激しいです。内申点も高いレベルが求められるし、自校作成問題の対策も大変でした」。

アクセス・通学

都心に位置するため、交通の便は非常に良いです。様々な路線が利用できるため、都内各地はもちろん、近隣の県からも多くの生徒が通学しています。

  • 東京メトロ銀座線:「外苑前」駅(3番出口)より 徒歩3分

  • 都営大江戸線:「国立競技場」駅 より 徒歩15分

  • JR中央・総武線:「信濃町」駅 または 「千駄ヶ谷」駅 より 徒歩15分

最も利用者が多いのは外苑前駅で、駅から学校までは銀杏並木にも近く、落ち着いた環境です。複数の駅からアクセスできるため、自分の住んでいる場所から最も通いやすいルートを選ぶことができます。

都立青山高等学校受験生へのワンポイントアドバイス

ここまで読んでくれてありがとうございます。最後に、進学アドバイザーとして、都立青山高等学校を目指す皆さんへ応援メッセージを送ります。

この学校は、自立心旺盛で、好奇心が強く、高い目標を持つ生徒にこそ、最高の環境を提供してくれます。「誰かにやらされる勉強」ではなく「自分で掴み取る学び」をしたい人、勉強も行事も部活も、全部に本気で挑戦してみたい人、そして、自分だけの高校生活という物語を監督・主演したい人。そんなあなたにとって、都立青山高等学校は最高の舞台になるはずです。

受験勉強では、基礎力の定着はもちろんのこと、その知識をどう使うかを意識してください。特に都立青山高等学校の自校作成問題は、思考のプロセスを重視します。なぜその答えになるのかを自分の言葉で説明できるまで、一つの問題を深く掘り下げてみましょう。その粘り強い探究心こそが、合格への、そして青高での充実した3年間への扉を開く鍵となります。挑戦の先には、他では決して得られない、かけがえのない経験が待っています。心から応援しています!

※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。