沖縄県立首里高等学校は、140年以上の輝かしい歴史を誇る、沖縄で最も伝統ある学び舎です。世界遺産である首里城のお膝元という、歴史と文化が息づく特別な環境の中で、生徒たちは日々勉学や部活動に励んでいます。沖縄最古の高校としての品格と、生徒たちの活気が融合した独特の雰囲気が、この学校の大きな魅力と言えるでしょう。
「文武両道」という言葉がこれほど似合う学校はなかなかありません。高いレベルでの学習はもちろんのこと、部活動や学校行事にも全力で打ち込み、忘れられない高校生活を創り上げたいと考える生徒にとって、首里高等学校は最高の舞台となるはずです。勉強も、友情も、情熱も、そのすべてを大切にしたいと願う中学生に、ぜひ知ってほしい学校です。
この記事では、進学アドバイザーである私が、皆さんの先輩として、そして案内役として、首里高等学校のリアルな姿を隅々までお伝えします。偏差値や進学実績といったデータから、在校生の口コミでわかる日々の生活まで、皆さんが本当に知りたい情報を分かりやすくまとめました。この記事を読み終える頃には、この学校が自分にぴったりの場所かどうか、きっと見えてくるはずです。
首里高等学校の基本情報
まずは、学校の基本的な情報を確認しておきましょう。学校選びの第一歩として、正確な情報を把握しておくことはとても大切です。
項目 | 内容 |
正式名称 | 沖縄県立首里高等学校 |
公立/私立の別 | 公立 |
共学/別学の別 | 男女共学 |
所在地 | 〒903-0816 沖縄県那覇市首里真和志町2-43 |
代表電話番号 | 098-885-0028 |
公式サイトURL | http://www.shuri-h.open.ed.jp/ |
首里高等学校の偏差値・難易度・併願校
首里高等学校を目指す上で、まず気になるのが学力レベルですよね。ここでは偏差値や合格に必要な内申点の目安、そして併願校について具体的に見ていきましょう。
偏差値
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普通科: 55
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染織デザイン科: 43
普通科の偏差値55は、沖縄県内の高校の中では上位グループに位置し、しっかりとした学力が求められるレベルです。染織デザイン科は専門学科のため偏差値は異なりますが、こちらも人気の高い学科です。
難易度のイメージと内申点の目安
偏差値55という数字を具体的にイメージしてみましょう。同じくらいの偏差値の高校としては、向陽高等学校(普通科)が55、那覇高等学校や普天間高等学校が54となっており、これらの高校と並ぶ県内有数の進学校であることが分かります。
合格を勝ち取るためには、中学校での成績、つまり内申点が非常に重要になります。具体的な点数は毎年変動しますが、目安としては、主要5教科はもちろん、その他の教科でも「4」以上を安定して取り、全体として高い評価を得ていることが望ましいでしょう。通知表に「3」がいくつかあると、当日の入試でかなりの高得点を取る必要が出てくるため、中学1年生の時からコツコツと授業に取り組み、定期テストで結果を出すことが合格への近道です。
主な併願校
沖縄県の公立高校入試では、他の公立高校を併願することはできません。そのため、首里高等学校を受験する生徒の多くは、万が一の場合に備えて私立高校を併願します。主な併願先としては、同じく学力レベルが高く、大学進学に力を入れている以下の2校が挙げられます。
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興南高等学校
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沖縄尚学高等学校
これらの私立高校は、独自のカリキュラムや手厚い進学サポートで知られており、首里高校を第一志望とする受験生にとって、安心して挑戦するための重要な選択肢となっています。
首里高等学校に設置されている学科・コース
首里高等学校には、それぞれ特色の異なる2つの学科が設置されています。自分の興味や将来の目標に合わせて選ぶことができます。
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普通科
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どんなことを学ぶ場所か:大学進学を目指すための総合的な学力を身につける学科です。3年生になると文系と理系に分かれ、それぞれの志望する学部・学科の受験に特化したカリキュラムで学びを深めます。
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どんな生徒におすすめか:国公立大学や難関私立大学への進学を考えている人、将来の夢のために幅広い知識をしっかりと学びたい人におすすめです。
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染織デザイン科
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どんなことを学ぶ場所か:沖縄の伝統工芸である「紅型」や「織物」の技術と、現代的なデザインを専門的に学ぶ、県内唯一の学科です。専門的な実習と普通科目を両立させます。
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どんな生徒におすすめか:ものづくりが好きな人、アートやデザインに興味がある人、沖縄の文化に触れながら専門的なスキルを身につけたいクリエイティブな人におすすめです。
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首里高等学校の特色・校風
首里高等学校の雰囲気は、「文武両道」「活気あふれる」「仲間意識が強い」といった言葉で表現できます。伝統を重んじながらも、生徒たちが主役となってエネルギッシュな学校生活を創り上げています。
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宿題の量:
多くの在校生が「多い」と口を揃えます。特に数学などは授業の進むスピードが速いという声もあり、日々の予習・復習が欠かせません。しかし、この課題をきちんとこなすことが、自然と受験勉強につながっていると感じる生徒も多いようです。楽な高校生活ではありませんが、その分、確かな学力が身につく環境です。
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校則(スマホ、服装など):
校則は、他の進学校と比較して特別厳しいというわけではないようです。「常識の範囲内」で自由が認められているという印象です。
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スマホ:校内への持ち込みは許可されていますが、朝のホームルームから帰りのホームルームまでは電源を切り、カバンにしまっておくのがルールです。授業中に使用したり、通知音が鳴ったりすると指導の対象となるため、メリハリのある使い方が求められます。
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服装:制服は伝統的なセーラー服で、着こなしに関する指導はありますが、厳しすぎると感じる生徒は少ないようです。スカート丈は膝が隠れる程度が基本です。
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生徒たちの雰囲気:
「明るく元気な生徒が多い」というのが共通した評判です。行事などでは一致団結して盛り上がり、勉強になると一転して真剣に取り組む、切り替えの上手な生徒が多いようです。互いに刺激し合い、高め合える「切磋琢磨できる環境」が自然に生まれています。
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アルバイト:
原則として禁止されています。ただし、家庭の経済的な事情など、やむを得ない理由がある場合は、学校に申請し許可を得ることで可能になります。基本的には学業と部活動に専念してほしいという学校の方針がうかがえます。
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制服の評判:
女子のセーラー服、男子の学ランともに、伝統校らしい品のあるデザインで評判は非常に良いです。特に女子のセーラー服は、襟に入った一本の太い紺色のラインが特徴的で、「一中(第一中学校)」の歴史を受け継ぐ誇りの象徴とされています。クラシックで可愛いと、在校生だけでなく地域の人々からも親しまれています。
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土曜授業:
平常時の土曜授業は基本的にありません。ただし、生徒の学力向上のため、「早朝講座」や長期休暇中の「夏期講座」などが希望制で開かれており、意欲のある生徒をサポートする体制が整っています。
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施設について:
2020年に新校舎が完成したため、非常に新しく快適な環境です。「校舎がピカピカでトイレも綺麗」という口コミが多く、学習にも部活動にも集中できる恵まれた施設が整っています。
首里高等学校の部活動・イベント
「文武両道」を掲げる首里高校では、部活動も学校行事も学校生活の非常に重要な柱です。
部活動
首里高校には体育系・文化系合わせて50を超える部・同好会があり、多くの生徒が加入して活発に活動しています。まさに「震天動地」を合言葉に、全国レベルで活躍する部も少なくありません。
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なぎなた部:
全国大会の常連であり、何度も日本一に輝いている、首里高校を象徴する部活動です。個人・団体ともに全国トップレベルの実力を誇り、その活躍は学校全体の誇りとなっています。
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バレーボール部:
女子は「春の高校バレー」全国大会への出場経験もあり、男子も県内トップクラスの実力を持つ強豪です。限られた練習時間の中で、高い目標に向かって日々練習に励んでいます。
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ダンス部:
キレのあるハイレベルなパフォーマンスで知られ、全国大会でも活躍しています。文化祭などでの発表は、常に大きな盛り上がりを見せます。
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文化部:
運動部だけでなく、文化部の活躍も目覚ましいです。吹奏楽部、書道部、美術部、放送部、競技かるた部などが全国高等学校総合文化祭へ県代表として派遣されています。また、軽音楽部は全国大会でグランプリを受賞するなど、輝かしい実績を誇ります。
イベント
首里高校の学校行事は、生徒たちが主体となって創り上げる、熱気と感動に満ちたものばかりです。
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首里高祭(しゅりこうさい):
7月に行われる学校最大のイベントで、体育祭と文化祭(首里フェス)が一体となって開催されます。クラスや部活動、有志の団体が一体となって準備を進め、学校全体が最高潮の盛り上がりを見せます。
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後夜祭:
首里高祭のフィナーレを飾る後夜祭は、まさに伝説的な盛り上がりを見せます。「体育館が揺れるほどの熱気」と表現されるほど、生徒たちのエネルギーが爆発する瞬間です。有志によるダンスやバンド演奏などが行われ、一生の思い出になること間違いありません。
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修学旅行:
2年生の12月に行われます。仲間との絆を深め、高校生活の中でも特に心に残るイベントの一つです。
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球技大会・首里那覇スポーツ大会:
新入生歓迎や進路応援などを目的とした球技大会が年に数回開催されるほか、伝統の「首里那覇スポーツ大会(那覇高戦)」もあり、学校のプライドをかけた熱い戦いが繰り広げられます。
首里高等学校の進学実績
首里高等学校は、県内でもトップクラスの進学実績を誇ります。卒業生の98%以上が進学の道を選んでおり、大学進学を強く意識した教育が行われています。
国公立大学
毎年安定して多くの合格者を輩出しており、特に地元の最難関である琉球大学には圧倒的な強さを見せます。
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近年の国公立大学合格者数:
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2024年:146名
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2023年:155名
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2022年:136名
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主な合格大学(2024年実績):
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琉球大学:82名
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沖縄県立看護大学:5名
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沖縄県立芸術大学:4名
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名桜大学:9名
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県外国公立大学:44名(九州大学、神戸大学、横浜市立大学など)
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難関私立大学
県外の難関私立大学にも多くの合格者を出しています。早稲田大学、明治大学、立命館大学、関西学院大学といった全国的に有名な大学への進学者もいます。
その他の進路
県内の私立大学では沖縄国際大学や沖縄大学への進学者が多くなっています。また、専門学校へ進学する生徒もおり、特に看護・医療系が人気です。
進学実績を支える取り組み
高い進学実績は、手厚いサポート体制によって支えられています。
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早朝講座・放課後講座・夏期講座:希望者を対象に、通常授業を補う講座が開かれ、受験に向けた実戦力を養います。
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合格者体験講話:卒業したばかりの先輩たちが、自らの合格体験や勉強法を後輩に直接伝える貴重な機会です。リアルな話を聞くことで、受験へのモチベーションが大きく高まります。
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各種講演会や模擬試験:大学関係者を招いた説明会や、定期的な全国模試の実施により、生徒たちが早い段階から進路を意識し、自分の実力を客観的に把握できる環境を整えています。
首里高等学校の特長・アピールポイント
数ある高校の中で、首里高等学校が持つ独自の強みや魅力を5つのポイントに絞って紹介します。
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沖縄一の歴史と伝統、そして強力な同窓会組織
琉球王国時代の最高学府「国学」をルーツに持つ、沖縄で最も古い歴史を誇る学校です。卒業生のネットワークである「養秀同窓会」は県内外、さらには国外にも広がり、社会の様々な分野で活躍する先輩たちが後輩を力強く支えてくれます。この繋がりは一生の財産になります。
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県内唯一無二の「染織デザイン科」
沖縄の伝統工芸と現代デザインを本格的に学べる、公立高校では県内唯一の専門学科です。ものづくりを通して感性を磨き、豊かな創造性を育むユニークな教育は、他の高校では決して味わえない貴重な経験となります。
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圧倒的な実績が証明する「文武両道」
全国制覇を成し遂げる部活動がある一方で、卒業生の約4割が国公立大学に現役で進学するという、まさに「文武両道」を高いレベルで実践しています。勉強にも部活にも本気で打ち込める環境が、ここにはあります。
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学校生活を彩る、熱狂的な学校行事
「体育館が揺れる」とまで言われる首里高祭の後夜祭をはじめ、生徒が主役となって創り上げる学校行事は、一生忘れられない思い出になります。「よく学び、よく遊べ」の精神が学校全体に根付いています。
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琉球大学への確かな進学ルート
毎年80名から90名もの合格者を輩出しており、「琉大に行くなら首里高」というイメージが定着しています。長年のデータに基づいた効果的な進路指導と、切磋琢磨しあえる仲間たちの存在が、高い合格実績に繋がっています。
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2020年完成の新校舎で送る快適なスクールライフ
歴史と伝統を誇る一方で、学びの舞台は最新です。新しく清潔な校舎、充実した設備が整っており、生徒たちは快適な環境で3年間の学校生活を送ることができます。
首里高等学校の口コミ・評判のまとめ
ここでは、在校生や卒業生から寄せられるリアルな声を、良い点と気になる点に分けて公平にご紹介します。
良い点
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「とにかく高校生活が楽しい!」
最も多く聞かれるのがこの声です。活気あふれる学校行事、明るく面白い仲間たち、そして何かに打ち込める部活動。勉強は大変でも、それを上回る楽しさがあると多くの生徒が感じています。
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「勉強も部活も本気でできる環境がある」
文武両道を掲げる通り、どちらか一方ではなく、両方に全力で取り組む生徒を応援する雰囲気があります。高い目標を持つ仲間たちに囲まれているため、自然と自分も頑張ろうという気持ちになれるようです。
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「先生たちが親身で熱心」
やる気のある生徒に対しては、先生方が時間を惜しまず相談に乗ってくれるなど、手厚いサポートが受けられるという声が多いです。生徒との距離が近く、信頼関係を築きやすいようです。
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「周りの生徒の意識が高く、刺激になる」
「周りが勉強するから自分もやる」という好循環が生まれています。クラスメイトと教え合ったり、競い合ったりしながら、集団で学力を高めていける環境は大きな魅力です。
気になる点
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「課題の量がとにかく多くて大変」
これは覚悟しておくべき点かもしれません。特に部活動との両立には、高い自己管理能力が求められます。日々の課題を計画的にこなしていく習慣を身につける必要があります。
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「部活中心の生活になると、勉強時間の確保が難しい」
全国レベルの強豪部活になると、練習時間も長く、帰宅が遅くなることもあります。「文武両道は自分の努力次第」という声もあり、強い意志がないと両立は厳しいと感じる生徒もいるようです。
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「進路指導は大学進学が前提という雰囲気がある」
ほとんどの生徒が大学進学を目指すため、専門学校への進学や就職を考えている生徒にとっては、少し情報が少ないと感じる場面があるかもしれません。
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「坂の上にあるので、毎日の通学がトレーニング」
最寄り駅から学校までは、急な坂道を上る必要があります。自転車通学の生徒も多くいますが、夏場などは特に大変に感じるようです。体力に自信がない人は少し覚悟が必要かもしれません。
アクセス・通学
首里城近くの丘の上にある首里高等学校への主な通学方法です。
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モノレール(ゆいレール):
最寄り駅は「儀保駅」で、駅から学校までは徒歩で約12分です。ただし、この道のりは上り坂になっているため、実際にはもう少し時間がかかると考えておくと良いでしょう。
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バス:
学校周辺には複数のバス路線が通っています。「鳥堀公民館前」などのバス停が最寄りとなります。那覇市内だけでなく、市外からの路線バスも利用できるため、浦添市や西原町など、広い範囲から生徒が通学しています。
那覇市内の生徒が最も多いですが、公共交通機関の利便性が良いため、近隣の市町村から通う生徒も数多く在籍しています。
首里高等学校受験生へのワンポイントアドバイス
これまで首里高等学校の様々な魅力や特徴をお伝えしてきましたが、最後に、この学校を目指す皆さんへの応援メッセージを送ります。
首里高等学校は、「勉強も部活も行事も、全部本気でやりたい!」というエネルギッシュな人に特におすすめの学校です。高いレベルで文武両道を実践するには、忙しさや大変さも伴います。しかし、それを乗り越えた先には、大きな達成感と、一生涯の仲間との固い絆が待っています。もしあなたが、挑戦することを楽しめる人、そして仲間と高め合いながら成長したいと願う人なら、首里高等学校での3年間は、間違いなくあなたを大きく成長させてくれるはずです。
受験勉強においては、苦手科目を作らず、全教科の基礎を徹底的に固めることが合格の鍵となります。沖縄県の入試では内申点も非常に重視されるため、日々の授業を大切にし、定期テストで着実に点数を取ることが何よりも重要です。過去問にもしっかり取り組み、出題傾向に慣れておきましょう。皆さんが持てる力を最大限に発揮し、桜咲く春に、首里高等学校の制服に袖を通せることを心から応援しています!
※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。