群馬県が誇る伝統校、高崎女子高等学校。その名前を聞いて、皆さんはどんなイメージを抱くでしょうか。県内トップクラスの偏差値、難関大学への輝かしい進学実績…もちろん、それらも高崎女子高等学校の大きな魅力です。
しかし、この学校の本当の価値は、数字だけでは測ることができません。120年以上の歴史の中で受け継がれてきたのは、生徒一人ひとりの自主性を尊重する「高女自治」の精神です。ここでは、勉強も、部活動も、学校行事も、すべてに全力で打ち込む仲間たちと出会い、一生ものの高校生活を自らの手で創り上げていくことができます。
この記事では、そんな「高女(たかじょ)」の奥深い魅力について、受験生や保護者の皆さんと一緒に、詳しく見ていきたいと思います。
高崎女子高等学校の基本情報
まずは、学校の基本的な情報を確認しておきましょう。
項目 | 内容 |
正式名称 | 群馬県立高崎女子高等学校 |
公立/私立の別 | 公立 |
共学/女子校の別 | 女子校 |
所在地 | 〒370-0062 群馬県高崎市稲荷町20番地 |
代表電話番号 | 027-362-2585 |
公式サイトのURL | https://takajo-hs.gsn.ed.jp/ |
高崎女子高等学校の偏差値・難易度・併願校
高崎女子高等学校を目指す上で、最も気になるのが学力レベルでしょう。ここでは、具体的な数字を交えながら難易度を解説します。
偏差値・難易度
高崎女子高等学校の偏差値は、普通科で「68」前後とされています。これは群馬県内の女子校では最上位に位置し、共学校を含めてもトップクラスの難易度です。同じくらいの偏差値の高校としては、前橋女子高等学校(普通科68)、太田高等学校(普通科68)などが挙げられます。男子校では高崎高等学校(71)や前橋高等学校(72)がさらに高いレベルにあります。
偏差値だけでなく、合格の目安となる内申点も重要です。資料によっては、5段階評価で平均「39/45」程度が必要というデータもあります。これは、主要5教科だけでなく、技能教科も含めてほとんどの科目で「5」または「4」を取る必要があることを意味します。つまり、高崎女子高等学校の合格を勝ち取るためには、受験勉強だけでなく、中学1年生からの日々の授業態度や定期テストでの継続的な努力が不可欠と言えるでしょう。
主な併願校
群馬県の公立高校入試では、原則として他の公立高校を併願することはできません。そのため、高崎女子高等学校を受験する生徒の多くは、実力に見合った私立高校を併願します。
主な併願先として挙げられるのは、県内の有力私立高校です。具体的には、高崎健康福祉大学高崎高等学校(健大高崎)、東京農業大学第二高等学校(農大二高)、前橋育英高等学校、高崎商科大学附属高等学校(商大附)などが多く選ばれています。これらの高校の中でも、特に大学進学に力を入れている「特別進学コース」などを併願する傾向が見られます。また、隣県である埼玉県の人気進学校、本庄東高等学校を併願する受験生も少なくありません。これらの併願校の選択は、万が一の場合の進学先を確保するというだけでなく、本番の公立入試に向けた予行演習としての意味合いも持っています。
高崎女子高等学校に設置されている学科・コース
高崎女子高等学校に設置されている学科は「普通科」のみです。理数科や国際科といった専門コースは設けられていません。
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普通科 – 文系・理系を問わず、幅広い学問を深く学び、高い学力を身につけることを目指します。将来、国公立大学や難関私立大学への進学を考えている人におすすめです。
一見すると、コースが分かれていないことを物足りなく感じるかもしれません。しかし、これは学校の教育方針の表れでもあります。高校入学の早い段階で進路を限定するのではなく、まずは全生徒が同じカリキュラムで幅広い教養と学力の土台を築きます。その上で、学年が進むにつれて文系・理系の選択を行い、それぞれの志望に合わせて深く学んでいくスタイルです。この柔軟な教育システムが、実際に国公立大学から私立大学、文系、理系、医歯薬系まで、多岐にわたる分野への高い進学実績を生み出す原動力となっているのです。
高崎女子高等学校の特色・校風
高崎女子高等学校の最大の特色は、その校風にあります。キーワードは「高女自治」「文武両道」「自由闊達」です。
校訓として「向学叡智(がくをむねとしえいちをみがく)」「清楚品位(せいそひんいをたもつ)」「明朗闊達(めいろうかったつであれ)」を掲げており、知性、品格、そして明るく前向きな人間性を育むことを教育の柱としています。
この理念を象徴するのが「高女自治」という言葉です。これは、学校生活の様々な場面で生徒の自主性や主体性が尊重される文化を意味します。先生から細かく指示されるのではなく、生徒自身が考え、判断し、行動することが求められます。この校風が、自立心旺盛で個性豊かな生徒たちを惹きつけ、育てています。
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宿題の量:県内トップの進学校であり、授業のレベルも高いため、日々の予習・復習や課題の量は決して少なくはないようです。しかし、多くの生徒が部活動と両立させており、計画的に学習する習慣が身につく環境と言えます。
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校則:口コミでは「厳しくない」「自由」という声が多く聞かれます。スマートフォンの校内での使用は原則禁止とされていますが、実際には常識の範囲内であれば黙認されているという意見もあります。服装に関しても、制服の着こなしで個性を出す生徒がいるようです。この自由さは、「高女自治」の精神に基づき、生徒一人ひとりの良識と責任感が信頼されていることの証です。
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生徒たちの雰囲気:在校生からは「尊敬できる人しかいない」「個性的で面白い友達がたくさんできる」といった声が多数寄せられています。お互いを尊重し、高め合える人間関係が築きやすいようです。勉強するときは真剣に、楽しむときは全力で楽しむ、メリハリのある生徒が多い印象です。
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アルバイト:原則として禁止されている可能性が高いです。進学校という特性上、学業に専念することが推奨されています。
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制服の評判:制服については意見が分かれるポイントです。「レトロで可愛い」「清楚に見える」という肯定的な意見がある一方で、「正直、可愛くはない」という声も多く見られます。伝統的なセーラー服で、靴下は黒も可能で長さも自由なため、そこで個性を出す生徒が多いようです。
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土曜授業:土曜授業の有無に関する明確な情報はありませんが、進学実績を支えるための補習や模試などが土曜日に行われることは十分に考えられます。
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施設:体育館が新しくきれいであることや、トイレが清潔で「音姫」が設置されている点が在校生から高く評価されています。自習室も完備されており、学習環境は整っています。
高崎女子高等学校の部活動・イベント
部活動
高崎女子高等学校は「文武両道」を掲げており、学業だけでなく部活動も非常に盛んです。運動部、文化部ともに多種多様なクラブがあり、多くの生徒が加入して活発に活動しています。関東大会や全国大会に出場する部も少なくありません。
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運動部:新体操部、山岳部、バレーボール部などが全国レベルでの実績を持っています。特に山岳部は2011年に全国優勝、新体操部は1983年に国体で優勝するなど、輝かしい歴史があります。バレーボール部も春高バレーへの出場経験があります。その他、ソフトテニス部、バスケットボール部、陸上競技部など、多くの部が県大会上位の常連です。
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文化部:文化部も全国レベルで活躍しています。特に音楽部は、1984年にNHK全国学校音楽コンクールで最優秀賞にあたる金賞を受賞した実績があります。また、マンドリン部や百人一首部、美術部内に漫画研究があるなど、ユニークな部活動も存在します。
イベント
高崎女子高等学校の学校行事は、生徒たちが主体となって企画・運営され、非常に盛り上がることで知られています。「高女自治」の精神が最も発揮される場と言えるでしょう。
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椎樹祭(文化祭):毎年開催される文化祭は「椎樹祭(しいきさい)」と名付けられ、学校の大きな伝統行事の一つです。クラスごとの展示や発表、文化部の公演など、そのクオリティの高さには定評があります。
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体育祭:高女の体育祭は、その熱気と迫力で有名です。口コミでは「女子校の体育祭は激しい」「みんな本気になりすぎて怪我人が出る」といった声があるほど、全校生徒が本気で競技に挑みます。特に、生徒たちが自ら振り付けや構成を考える応援合戦は圧巻で、クラスの団結力が一気に高まる瞬間です。
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修学旅行:行き先は年度によって異なりますが、生徒にとっては高校生活の大きな思い出となるイベントです。
これらの行事は、単なる息抜きではなく、仲間との協調性やリーダーシップ、創造性を育む重要な学びの機会となっています。
高崎女子高等学校の進学実績
高崎女子高等学校は、県内屈指の進学校として、毎年非常に高い大学進学実績を誇ります。特に国公立大学への進学率の高さが際立っています。
最新の大学進学実績(2024年度)
2024年度入試では、卒業生272名に対し、国公立大学に現役で63.6%が合格するという過去最高の合格実績を記録しました。
大学群 | 2024年度 合格者数(浪人含む) | 主な大学と人数 |
国公立大学 | 180名以上 | 東北大学(9), 筑波大学(6), お茶の水女子大学(3), 金沢大学(12), 群馬大学など |
国公立大学医学部医学科 | 4名 | 群馬大学(3), 新潟大学(1) |
早慶上理ICU | 59名 | 早稲田大学(15), 慶應義塾大学(5), 上智大学(14), 東京理科大学(24), 国際基督教大学(1) |
GMARCH | 105名 | 明治大学、青山学院大学、立教大学、中央大学、法政大学 |
この他にも、多くの生徒が全国の様々な大学に進学しています。
進学実績を支える取り組み
この輝かしい実績は、単に優秀な生徒が集まっているからというだけではありません。学校独自のきめ細やかな進路指導体制が、生徒一人ひとりの進路実現を力強く後押ししています。
その中心となるのが、3年間を見通したキャリア教育プログラム「椎樹プラン」です。これは、1年生で将来の夢や目標の「根」を張り、2年生で具体的な進路選択に向けて「枝」を伸ばし、3年生で志望校合格という「実」を結ぶ、というコンセプトに基づいています。
具体的には、学年別の進路講演会、大学の先生を招いての模擬授業、卒業生の体験談を聞く会などが計画的に実施されます。また、学習面では、早朝や放課後、夏休みや冬休みなどを利用した補習・講習が非常に充実しており、生徒は自分のレベルや目標に合わせて受講することができます。定期的な校内模試や個別面談を通じて、常に自分の立ち位置を確認しながら、きめ細やかな指導を受けられるのも大きな強みです。
高崎女子高等学校の特長・アピールポイント
高崎女子高等学校の魅力をまとめると、以下のポイントが挙げられます。
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「高女自治」の伝統が育む、本物の自主性と責任感
生徒が主役となって学校生活を創り上げる校風は、社会に出てからも役立つ主体性や問題解決能力を自然と身につけさせてくれます。
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圧倒的な大学進学実績を支える独自の「椎樹プラン」
3年間一貫した手厚い進路指導と充実した講習体制が、生徒一人ひとりの「行きたい大学」への進学を強力にサポートします。
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互いに高め合える、知的で個性豊かな仲間との出会い
高い志と多様な個性を持つ仲間たちに囲まれる環境は、毎日が刺激的で、一生涯の友人を得る機会に満ちています。
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すべてに全力投球!「文武両道」を体現する熱い学校生活
勉強はもちろん、部活動や学校行事にも本気で取り組む文化があり、充実感あふれる3年間を送ることができます。
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世界を舞台に活躍する女性を目指すグローバル教育
グローバル講演会や希望者制の海外研修などを通じて、国際的な視野を養う機会が提供されています。
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120年以上の歴史が紡ぐ、強い絆と伝統
県下初の女子高等教育機関として始まった歴史と伝統は、卒業生の強い愛校心とネットワークにつながっています。
高崎女子高等学校の口コミ・評判のまとめ
在校生や卒業生からの声をまとめると、学校のリアルな姿が見えてきます。
良い点
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「とにかく毎日が楽しい」「友達が最高」といった声が圧倒的に多く、人間関係の良さや学校生活の充実度がうかがえます。
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「高女自治」に代表される自由な校風を評価する声も多数あります。校則が厳しくなく、のびのびと過ごせる環境が魅力のようです。
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先生方のサポートや、整った学習環境(自習室、きれいなトイレなど)を評価する意見も見られます。
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行事や部活動が非常に盛り上がり、クラスや学校全体の一体感が強いという口コミも特徴的です。
気になる点
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最も多く指摘されるのが「制服が可愛くない」という点です。伝統的なデザインであるため、好みが分かれるようです。
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「勉強が大変」「課題が多い」という声もあります。高いレベルの学習についていくには、相応の努力が必要なことは覚悟しておくべきでしょう。
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「進学校でもいじめはある」という口コミも少数ながら存在します。どの学校にも言えることですが、人間関係のトラブルが全くないわけではないようです。ただし、学校側もいじめ防止の基本方針を策定するなど、対策に取り組んでいます。
アクセス・通学
高崎女子高等学校への通学方法も確認しておきましょう。
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最寄り駅はJR上越線・両毛線の「高崎問屋町駅」で、駅から徒歩約10分です。
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高崎駅などからバスを利用して通学することも可能です。
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高崎市内だけでなく、前橋市、安中市、藤岡市、富岡市など、県内の広範囲から生徒が通学しているようです。JRの駅が近いことから、電車を利用して通う生徒が多いと考えられます。
高崎女子高等学校受験生へのワンポイントアドバイス
ここまで読んでくれて、高崎女子高等学校の魅力が少しでも伝わっていたら嬉しいです。最後に、進学アドバイザーとして、皆さんへの応援メッセージを送ります。
もしあなたが、知的好奇心が旺盛で、自分のことは自分で決めたいという自立心があり、そして何より最高の仲間たちと何事にも全力でエネルギーを注ぎたいと願うなら、高崎女子高等学校はあなたにとって最高の場所になるはずです。入学後の自分を想像してワクワクする気持ち、それが一番の志望動機になります。
受験勉強については、高崎女子高等学校の入試は、奇をてらった難問よりも、中学校3年間で学ぶ基礎・基本がしっかりと身についているかを問われます。苦手科目をなくし、どの科目でも安定して高得点を取れる総合力を養うことを目指してください。そして、合格した先輩たちが口を揃えて言うのは「諦めなかった人が最後に勝つ」ということです。模試の結果に一喜一憂せず、日々の学習をコツコツと続ける粘り強さが、合格への一番の近道です。皆さんの挑戦を心から応援しています!
※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。