福岡県立小倉工業高等学校は、125年以上の歴史と伝統を誇る、日本を代表する工業高校の一つです。これまでに2万4千人以上の卒業生を社会に送り出し、その多くが日本のものづくりを支える技術者として、地元北九州市はもちろん、国内外の様々な分野で活躍しています。長い歴史の中で培われた「質実剛健」の校風のもと、社会の変化に対応できる知識や技術、そして豊かな人間性を育む教育が行われています。

ものづくりに興味がある人、専門的なスキルを身につけて将来社会で活躍したいと考えている人にとって、小倉工業高等学校は非常に魅力的な選択肢と言えるでしょう。充実した設備と経験豊富な先生方の指導のもと、仲間たちと切磋琢磨しながら夢を実現できる環境がここにはあります。

この記事では、そんな小倉工業高等学校の偏差値や学科の特色、学校生活の様子などを、進学アドバイザーの視点から分かりやすく解説していきます。この記事を読んで、あなたの高校選びの参考にしてください。

小倉工業高等学校の基本情報

項目 内容
正式名称 福岡県立小倉工業高等学校
公立/私立の別 公立
共学/男子校/女子校の別 男女共学
所在地 〒803-0825 福岡県北九州市小倉北区白萩町6-1
代表電話番号 093-571-1738
公式サイト https://kokura-th.fku.ed.jp/

小倉工業高等学校の偏差値・難易度・併願校

小倉工業高等学校の偏差値は、系(学科)によって異なりますが、おおむね53〜54の範囲です。これは福岡県内の公立高校の中では中堅レベルに位置し、工業高校としては高い水準にあります。

  • 電気系: 54

  • 機械系: 53

  • 化学系: 53

合格に必要な内申点の目安としては、30点台前半から中盤あたりが一つの基準となりそうです。ただし、これはあくまで目安であり、当日の学力試験の得点も重要になります。日々の授業に真剣に取り組み、基礎学力をしっかりと固めておくことが大切です。

福岡県の公立高校入試では、原則として他の公立高校を併願することはできません。そのため、小倉工業高等学校を第一志望とする受験生の多くは、私立高校を併願校として選択します。主な併願校としては、同じ北九州市内にある真颯館高等学校、九州国際大学付属高等学校、高稜高等学校などが挙げられます。

小倉工業高等学校に設置されている学科・コース

小倉工業高等学校では、入学時は「機械系」「電気系」「化学系」の3つの系に分かれて募集が行われます。1年生ではそれぞれの系の基礎を幅広く学び、2年生に進級する際に、本人の希望や適性に応じてより専門的な5つの学科、さらに10のコースへと分かれていきます。

  • 機械系

    • 機械科: ものづくりの基本となる機械の設計や製作、制御について学びます。

      • 生産技術コース: 最新の工作機械を使いこなし、効率的な生産技術を追求したい人におすすめ。

      • 自動車工業コース: 自動車の構造や整備技術に興味があり、将来は自動車業界で活躍したい人におすすめ。

    • 電子機械科: 機械工学と電子工学を融合させ、ロボットやメカトロニクス製品の開発・制御を学びます。

      • 設計開発コース: 新しい機械やシステムのアイデアを形にする、設計・開発のプロを目指す人におすすめ。

      • 機械制御コース: コンピュータを使って機械を思い通りに動かす、プログラミングや制御技術を究めたい人におすすめ。

  • 電気系

    • 電気科: 私たちの生活に欠かせない電気エネルギーの発電・送電から、家庭で使われる電気製品まで幅広く学びます。

      • 電力管理コース: 大規模な電気設備やエネルギーマネジメントに興味がある人におすすめ。

      • 電気制御コース: 工場の自動化システム(ファクトリーオートメーション)など、電気で機械を動かす仕組みを学びたい人におすすめ。

    • 電子科: スマートフォンやコンピュータなど、電子機器の仕組みや情報通信技術の基礎を学びます。

      • ネットワーク技術コース: インターネットや情報セキュリティなど、ネットワーク社会を支える技術者になりたい人におすすめ。

      • コンピュータ技術コース: プログラミングやAI、IoTなど、最先端のコンピュータ技術を学びたい人におすすめ。

  • 化学系

    • 工業化学科: 新素材の開発や環境分析、食品や医薬品の製造など、化学の知識をものづくりに活かす方法を学びます。

      • 環境分析コース: 環境問題に関心があり、化学の力で社会に貢献したい人におすすめ。

      • 化学プラントコース: 化学製品が作られる工場(プラント)の運転や管理に携わりたい人におすすめ。

小倉工業高等学校の特色・校風

小倉工業高等学校の校風は、校訓である「真理探究」「質実剛健」「勤労努力」という言葉に象徴されています。挨拶や礼儀、時間厳守といった社会人としての基礎が厳しく指導される一方で、ものづくりにかける情熱を全力でサポートしてくれる面倒見の良さも持ち合わせています。

  • 校風キーワード: 質実剛健、文武両道、伝統重視、面倒見が良い

  • 宿題の量: 学科や時期にもよりますが、専門的な課題やレポートが多く、決して少なくはないようです。計画的に学習を進める習慣が身につきます。

  • 校則: 他の高校と比較すると厳しいという声が多く聞かれます。特に頭髪や服装に関する指導は厳しいようです。スマートフォンの校内での使用は原則禁止で、朝のHRで預け、帰りのHRで返却されるというルールのようです。

  • 生徒たちの雰囲気: ものづくりが好きで、真面目で実直な生徒が多い印象です。専門分野の学習に熱心に取り組む一方で、部活動や学校行事にも全力で打ち込む活気があります。

  • アルバイト: 原則として禁止されていますが、家庭の事情など特別な理由がある場合は許可されることもあるようです。

  • 制服: 伝統的な黒の詰襟学生服(男子)とセーラー服(女子)です。

  • 土曜授業: 基本的に土曜授業はありません。

小倉工業高等学校の部活動・イベント

部活動

小倉工業高等学校は部活動が非常に盛んで、部活動加入率は90%を超えています。運動部・文化部ともに多くの部が県大会や九州大会、全国大会で活躍しています。

  • 運動部: 特に有名なのが野球部で、春9回、夏8回の甲子園出場経験を誇る古豪です。近年では、空手道部や水泳部が九州大会や全国大会に出場するなどの活躍を見せています。ラグビー部も伝統的に強豪として知られています。

  • 文化部: ものづくり系の部活動が充実しているのが工業高校ならではの特色です。特にエレクトロニクス技術部は、マイコンカーラリーやものづくりコンテストの全国大会で優勝・入賞を果たすなど、全国トップレベルの実績を誇ります。ロボット研究部も様々な大会で活躍しています。その他、吹奏楽部や書道部も県大会に出場するなど活発に活動しています。

イベント

倉工生が一体となって盛り上がる学校行事も大きな魅力です。

  • 倉工祭(文化祭): 毎年秋に開催される文化祭は、各クラスや文化部が日頃の学習や活動の成果を発表する場です。特に工業高校ならではの専門的な展示や実演は、中学生にとっても興味深いものばかりです。

  • 体育大会: 倉工の体育大会は「体育祭」ではなく「体育大会」と呼ぶのが伝統です。応援団による迫力ある演舞や、各科のプライドをかけた競技は大変な盛り上がりを見せます。

  • 修学旅行: 近年では、関東方面や関西方面へ行くことが多いようです。仲間との絆を深める貴重な機会となっています。

小倉工業高等学校の進学実績

小倉工業高等学校の卒業生の進路は、就職が約8割、進学が約2割となっています。特筆すべきは、その圧倒的な就職率の高さと、就職先の質の高さです。

  • 就職: 就職率は毎年100%を達成しており、求人倍率も非常に高い水準で推移しています。地元の北九州市を代表する大手製造業(鉄鋼、化学、自動車関連など)をはじめ、大学卒業者でも就職が難しいとされる優良企業からの求人が数多く寄せられています。これは、125年以上の歴史の中で卒業生たちが築き上げてきた社会からの厚い信頼の証と言えるでしょう。

  • 進学: 進学希望者へのサポートも手厚く、国公立大学や難関私立大学への進学者もいます。主な進学先としては、九州工業大学、福岡大学、九州産業大学、福岡工業大学、西日本工業大学といった地元の工業系・理工系大学が中心です。また、専門知識をさらに深めるために、専門学校へ進学する生徒もいます。

小倉工業高等学校の特長・アピールポイント

他の高校にはない、小倉工業高等学校ならではの強みや魅力をまとめました。

  • 125年以上の歴史と伝統: 日本の近代化を支えてきた工業高校としての誇りと、2万4千人を超える卒業生のネットワークが大きな財産です。

  • 圧倒的な就職実績: 毎年100%の就職率を誇り、大手・優良企業への就職に非常に強いです。卒業生の多くが、産業界の第一線で活躍しています。

  • 全国レベルの「ものづくり」教育: エレクトロニクス技術部やロボット研究部などが全国大会で輝かしい成績を収めており、高い技術力を身につけることができます。

  • 豊富な資格取得サポート: 危険物取扱者や電気工事士、技能士など、将来に役立つ国家資格や各種検定の取得を学校全体で強力にバックアップしています。

  • 充実した実習設備: 各学科に専門的な知識と技術を実践的に学べる最新の設備や機械が整っています。

  • 段階的なキャリア教育: 1年生からの工場見学やインターンシップ(就業体験)などを通じて、将来の目標を明確にし、社会人としての意識を高めるプログラムが充実しています。

  • 活気あふれる部活動: 90%以上の生徒が部活動に加入し、文武両道を実現しています。

小倉工業高等学校の口コミ・評判のまとめ

在校生や卒業生からは、様々な声が寄せられています。学校選びの参考として、良い点と気になる点の両方を紹介します。

  • 良い点:

    • 「就職に非常に強く、先生方のサポートも手厚い」という声が最も多く聞かれます。

    • 「専門的な知識や技術が身につき、資格もたくさん取れるので将来に役立つ」

    • 「部活動が盛んで、同じ目標を持つ仲間と充実した3年間を過ごせる」

    • 「挨拶や礼儀など、社会に出てから通用する厳しさを教えてもらえる」

    • 「体育大会や文化祭などの行事がとても盛り上がり、クラスの団結力が強い」

  • 気になる点:

    • 「校則が他の高校に比べて厳しい。特に頭髪検査は厳しい」という意見が多く見られます。

    • 「スマホが校内で使えないのが不便」

    • 「工業高校なので、男子生徒の割合が圧倒的に多く、女子生徒が少ない」

    • 「専門科目の勉強は難しく、課題も多いので楽ではない」

    • 「最寄り駅から少し距離がある」

アクセス・通学

  • 最寄り駅・バス停からのアクセス:

    • JR「南小倉駅」から徒歩約20〜25分

    • 西鉄バス「小倉工業高校前」バス停から徒歩約3分

    • 西鉄バス「下到津」バス停から徒歩約10分

  • 通学エリア:

    北九州市内全域から多くの生徒が通学していますが、特に小倉北区、小倉南区、戸畑区、八幡東区など、近隣の区からの通学者が多い傾向があります。また、京築地域など、市外から通学している生徒もいます。

小倉工業高等学校受験生へのワンポイントアドバイス

小倉工業高等学校は、「ものづくりが好き」という気持ちを、将来に繋がる確かな「技術」へと育ててくれる学校です。もしあなたが、何かを創り出すことに喜びを感じたり、機械やコンピュータの仕組みに興味があったり、専門的なスキルを身につけて社会の役に立ちたいと考えているなら、小倉工業高等学校は最高の環境を提供してくれるでしょう。

受験勉強においては、まず中学校の5教科の基礎を徹底的に固めることが重要です。特に、数学や理科は、入学後の専門科目の学習に直結しますので、苦手分野を残さないようにしましょう。また、面接では「なぜ小倉工業高校で学びたいのか」「将来どんな技術者になりたいのか」といった、あなたの熱意や目的意識が問われます。オープンキャンパスや学校説明会に積極的に参加し、学校の雰囲気を肌で感じ、自分の言葉で志望動機を語れるように準備しておくことをお勧めします。

厳しい面もありますが、それを乗り越えた先には、社会で通用する本物の力が身につき、一生の仲間と出会えるはずです。あなたの挑戦を心から応援しています!

※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。