佐賀県立有田工業高等学校は、日本磁器発祥の地、有田町にキャンパスを構える、120年以上の歴史と伝統を誇る工業高校です。「勉脩(べんしゅう)」という校訓のもと、ものづくりを通して生涯学び続け、新しい価値を生み出す技術者の育成を目指しています。全国でも珍しいセラミック科やデザイン科を有することから、県内はもちろん「地域みらい留学」制度を利用して全国から生徒が集まる、活気あふれる学校です。

この記事では、そんな有田工業高等学校の偏差値や気になる口コミ、学校生活の様子などを、進学アドバイザーの視点から、中学生とその保護者の方に分かりやすく解説していきます。学科ごとの専門的な学びはもちろん、甲子園出場で知られる野球部をはじめとした部活動や、学校行事の盛り上がりまで、有田工業高等学校の魅力を余すところなくお伝えします。

この記事を読めば、きっとあなたの知らない有田工業高等学校の新たな一面が見つかるはずです。専門的な知識や技術を身につけたい、歴史と文化が息づく町で充実した高校生活を送りたいと考えている受験生は、ぜひ最後まで読み進めてみてください。

有田工業高等学校の基本情報

有田工業高等学校の基本的な情報を表にまとめました。

項目 内容
正式名称 佐賀県立有田工業高等学校
公立/私立の別 公立
共学/男子校/女子校の別 男女共学
所在地 〒844-0012 佐賀県西松浦郡有田町桑古場乙2902
代表電話番号 0955-42-3136
公式サイトURL https://www.education.saga.jp/hp/aritakougyoukoukou/

有田工業高等学校の偏差値・難易度・併願校

有田工業高等学校の偏差値は、学科によって異なりますが、おおむね41〜45程度とされています。専門的な知識や技術を学べるユニークな学科が設置されているため、偏差値だけで難易度を測ることは難しいですが、自分の興味や将来の目標に合った学科を選ぶことが大切です。

  • セラミック科: 41

  • デザイン科: 45

  • 電気科: 41

  • 機械科: 41

同じくらいの偏差値の他の高校としては、佐賀県内では佐賀農業高等学校や鳥栖工業高等学校などが挙げられます。合格に必要な内申点の目安としては、中学時代の成績が5段階評価で平均3程度あると安心できるでしょう。ただし、これはあくまで目安であり、実際の選抜では当日の試験の得点や面接なども総合的に評価されます。

佐賀県の公立高校入試では、原則として他の公立高校を併願することはできません。そのため、有田工業高等学校を第一志望とする受験生の多くは、私立高校を併願校として選択する傾向があります。主な併願校としては、敬徳高等学校や龍谷高等学校などが考えられます。

有田工業高等学校に設置されている学科・コース

有田工業高等学校(全日制)には、それぞれに特色のある4つの専門学科が設置されています。 どの学科も「ものづくり」を軸に、社会で活躍できる実践的な技術者を育成することを目指しています。

  • セラミック科

    九州で唯一の学科で、有田焼の伝統技術からファインセラミックスなどの先端材料まで幅広く学びます。 陶芸家や窯業界で活躍したい人、新素材開発に興味がある人におすすめです。

  • デザイン科

    ポスターなどのグラフィックデザインから、Webデザイン、プロダクトデザインまで、デザインに関する総合的な知識と技術を学びます。 クリエイティブな仕事に就きたい、アイデアを形にするのが好きな人におすすめです。

  • 電気科

    電気の基礎知識はもちろん、ICT関連技術まで幅広く学習します。 第二種電気工事士などの資格取得にも力を入れており、インフラを支える技術者やIT技術者を目指す人におすすめです。

  • 機械科

    「ものづくり」の基本となる機械加工の技術を学び、情報化や自動化に対応できる実践的な知識を身につけます。 機械の仕組みに興味がある、自分の手で何かを作り上げたい人におすすめです。

有田工業高等学校の特色・校風

有田工業高等学校は、「伝統と革新」「地域との連携」「文武両道」といったキーワードで表現できる校風を持つ学校です。120年以上の歴史を大切にしながらも、常に新しい技術や価値の創造に挑戦しています。

  • 宿題の量: 専門学科のため、レポートや作品制作などの課題はありますが、量は標準的という声が多いようです。計画的に取り組む姿勢が求められます。

  • 校則: 全体的に見て、標準的な校則のようです。頭髪検査などが定期的に行われるという口コミがありますが、スマートフォンの持ち込みは許可されているなど、時代に合わせた対応も見られます。

  • 生徒たちの雰囲気: ものづくりが好きな生徒が多く、真面目で落ち着いた雰囲気がある一方で、学校行事や部活動には一丸となって熱く盛り上がる活発さも持ち合わせています。

  • アルバイト: 原則として許可されていませんが、長期休暇中など、特別な事情がある場合は学校の許可を得て行うことが可能なようです。

  • 制服の評判: 女子はダブルボタンのブレザーにリボン、チェック柄のスカートが特徴的で、男子は一般的な学ランです。 可愛らしい、格好良いと評判は良いようです。

  • 土曜授業: 基本的に土曜授業はありません。

有田工業高等学校の部活動・イベント

部活動

有田工業高等学校は部活動が非常に盛んで、多くの生徒が文武両道を目指して活動に励んでいます。

特に有名なのが硬式野球部で、春夏合わせて複数回の甲子園出場経験を誇る強豪です。 近年では2022年に春夏連続、2024年夏にも甲子園に出場しており、その活躍は地域全体を盛り上げています。 また、ウエイトリフティング部も全国大会の常連として知られています。

文化部では、吹奏楽部が定期演奏会や地域のイベントでの依頼演奏など、幅広く活動しています。 コンクールでの実績もあり、熱心に練習に打ち込んでいます。その他にも、セラミック科やデザイン科の特色を生かした部活動があり、専門性をさらに深めることができます。

イベント

有田工業高等学校の学校生活は、生徒が主体となって作り上げるイベントで彩られています。

  • 有工祭(文化祭・体育祭):

    最大のイベントは、文化祭と体育祭を合わせて開催される「有工祭」です。 文化祭では各学科の特色を生かした作品展示や研究発表が行われ、日頃の学習の成果を披露する貴重な機会となっています。体育祭は学科対抗で行われ、応援合戦やパネルの制作など、準備段階から非常に盛り上がります。 生徒会を中心に生徒たちが企画・運営を行い、学校全体が一体となる一大イベントです。

  • 修学旅行:

    例年、スキー研修などを目的とした修学旅行が実施されており、生徒たちにとって忘れられない思い出となっています。

  • クラスマッチ:

    学期末にはクラスマッチが開催され、クラスの団結力を高める良い機会となっています。

有田工業高等学校の進学実績

有田工業高等学校は、工業高校ならではの専門性を生かし、就職と進学の両方で高い実績を誇ります。生徒一人ひとりの希望進路実現に向けて、手厚いサポート体制が整っています。

  • 就職:

    県内および全国の大手企業から多くの求人が寄せられ、就職率は非常に高い水準を維持しています。特に、各学科で学んだ専門知識や取得した資格を生かして、製造業や建設業、情報通信業など、幅広い分野で卒業生が活躍しています。

  • 進学:

    進学を希望する生徒も多く、国公立大学や私立大学、専門学校などへ進んでいます。特に、工業系の学部に進学する生徒が多い傾向にあります。

    • 国公立大学: 佐賀大学など

    • 主な私立大学: 九州産業大学、九州国際大学、長崎国際大学、崇城大学など

    • 専門学校等: 有田窯業大学校、看護学校など

進学実績向上のため、放課後や長期休暇中には補習や講習が実施され、基礎学力の定着から応用力の育成まで、個々のレベルに合わせた指導が行われています。また、資格取得に向けたサポートも充実しており、進学・就職いずれの進路選択においても有利に働いています。

有田工業高等学校の特長・アピールポイント

有田工業高等学校には、他の高校にはないユニークな魅力がたくさんあります。

  • 九州唯一のセラミック科: 有田焼400年の伝統を受け継ぎ、陶磁器の基礎から最先端のファインセラミックスまで学べる、全国でも数少ない貴重な学科です。

  • プロから直接学ぶ機会: 伝統工芸士を講師として招き、ろくろ成形や絵付けなどの専門技術を直接指導してもらう授業があります。

  • 地域と連携した実践的な学び: 地元の小学校で陶芸を教えたり、企業と連携して商品開発に取り組んだりと、地域社会と深く関わりながら実践的に学ぶ機会が豊富です。

  • 全国から生徒が集まる「地域みらい留学」: 特色ある学科に魅力を感じ、北海道から沖縄まで全国各地から生徒が入学しています。 多様なバックグラウンドを持つ仲間と出会える環境です。

  • 甲子園常連の野球部: 近年も甲子園出場を果たすなど、全国レベルで活躍する野球部の応援は、学校全体の一大イベントであり、生徒に一体感と誇りをもたらしています。

  • 著名な卒業生を多数輩出: 東京2020オリンピックの聖火トーチをデザインした吉岡徳仁さんをはじめ、人間国宝や世界的なデザイナーなど、各界で活躍する多くの卒業生を輩出しています。

  • 充実した施設・設備: 陶芸用の窯やろくろ、最新のコンピュータや工作機械など、専門的な学習を支えるための充実した施設・設備が整っています。

有田工業高等学校の口コミ・評判のまとめ

有田工業高等学校に関する在校生や卒業生からの口コミをまとめました。

  • 良い点:

    • 「専門的な知識や技術が身につくので、将来の夢が明確な人には最高の環境」

    • 「資格取得に力を入れていて、先生方のサポートが手厚い」

    • 「野球部の活躍で学校全体が盛り上がる。全校応援は一体感があって楽しい」

    • 「有工祭(文化祭・体育祭)は学科対抗で本気で取り組むので、とても楽しい」

    • 「就職率が非常に高く、大手企業への就職実績も多いので安心できる」

    • 「ものづくりが好きな仲間がたくさんいるので、話が合って楽しい」

    • 「地域との交流イベントが多く、普通の高校ではできない経験ができる」

  • 気になる点:

    • 「駅から少し歩くので、雨の日は少し大変」

    • 「専門科目の勉強は予習・復習が欠かせないので、楽ではない」

    • 「工業高校なので、普通科の高校に比べて女子生徒の割合が少ない学科もある」

    • 「校舎や施設が少し古い部分もある」

アクセス・通学

有田工業高等学校へのアクセス情報です。

  • 最寄り駅:

    • JR佐世保線・松浦鉄道「有田駅」から徒歩約15分

JR有田駅には特急列車も停車するため、佐賀市方面や佐世保市方面からのアクセスも良好です。 通学している生徒は、地元の有田町や伊万里市のほか、武雄市、佐賀市、長崎県の一部など、比較的広いエリアから集まっています。

有田工業高等学校受験生へのワンポイントアドバイス

有田工業高等学校は、「ものづくりが好き」という気持ちを、将来につながる確かな「技術」へと育ててくれる学校です。もしあなたが、何かを創り出すことに夢中になれる人、専門的なスキルを身につけて社会で活躍したいと強く願う人であるなら、有田工業高等学校は最高の学び舎となるでしょう。特に、セラミックやデザインといった分野に少しでも興味があるなら、他では得られない貴重な経験があなたを待っています。

受験勉強においては、まずは中学校での基礎・基本を大切にしてください。特に、数学や理科、技術・家庭科といった科目は、入学後の専門的な学習の土台となります。また、面接では「なぜ有田工業で学びたいのか」「将来どんな技術者になりたいのか」といった、あなたの熱意や目的意識が問われます。オープンキャンパスや学校説明会に積極的に参加し、自分の言葉で志望動機を語れるように準備しておくことをお勧めします。あなたの挑戦を心から応援しています!

※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。