鹿児島県立鹿屋農業高等学校は、1895年(明治28年)創立という130年近い歴史と伝統を誇る、農業の専門高校です。 広大な大隅半島の自然に抱かれたキャンパスで、農業の未来を担う人材を育成しています。単に知識や技術を学ぶだけでなく、「命をつなぐ産業」である農業を通して、生命を尊重する心や、仲間と協力する大切さを育むことを教育の柱としています。

鹿屋農業高等学校では、野菜や米作りから、牛や豚などの動物の世話、農業機械の操作、食品加工、さらには森林環境の保全まで、幅広い分野を専門的に学ぶことができます。 実習中心の授業が多く、実際に土に触れ、動物とふれあいながら、生きた知識と技術を身につけられるのが、鹿屋農業高等学校の大きな魅力です。

この記事では、そんな鹿屋農業高等学校の偏差値や気になる口コミ、学校生活の様子などを、進学アドバイザーとして詳しく、そして分かりやすく解説していきます。農業に興味がある人、動物が好きな人、自然の中で何かを創り出す仕事に就きたいと考えている中学生とその保護者の方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

鹿屋農業高等学校の基本情報

鹿屋農業高等学校の基本的な情報を表にまとめました。学校選びの第一歩として、まずはここから確認してみましょう。

項目 内容
正式名称 鹿児島県立鹿屋農業高等学校
公立/私立の別 公立
共学/男子校/女子校の別 男女共学
所在地 〒893-0014 鹿児島県鹿屋市寿二丁目17番5号
代表電話番号 0994-42-5191
公式サイトURL http://www.edu.pref.kagoshima.jp/sh/Kanoya-A/

鹿屋農業高等学校の偏差値・難易度・併願校

鹿屋農業高等学校を目指す上で気になる偏差値や難易度について解説します。自分の学力と照らし合わせながら、目標設定の参考にしてください。

鹿屋農業高等学校に設置されている学科の偏差値は、いずれも「37」程度とされています。 これは、専門的な農業の知識や技術を学びたいという強い意欲があれば、基礎的な学力があれば十分に合格を目指せるレベルと言えるでしょう。

ただし、偏差値はあくまで一つの目安です。鹿児島県の公立高校入試では、内申点(調査書)も重視されます。 特に中学3年生の成績が評価の対象となるため、日々の授業態度や提出物、定期テストに真面目に取り組むことが大切です。

鹿児島県の公立高校入試制度では、原則として他の公立高校を併願することはできません。 そのため、併願校としては私立高校を選択することになります。鹿屋農業高等学校を受験する生徒の併願校としては、尚志館高等学校や鹿児島城西高等学校などが考えられます。

鹿屋農業高等学校に設置されている学科・コース

鹿屋農業高等学校には、農業の幅広い分野をカバーする6つの専門学科が設置されています。 それぞれの学科で学べることや、どんな生徒におすすめかを紹介します。自分の興味や将来の夢に合った学科を見つけてみましょう。

  • 農業科

    • どんなことを学ぶ場所か:野菜やお米、お茶などの栽培技術を中心に、農業の基本を幅広く学びます。 食を支える仕事に興味がある人におすすめです。

    • どんな生徒におすすめか:畑仕事や作物を育てることに興味があり、将来は食料生産に関わりたいと考えている生徒。

  • 畜産科

    • どんなことを学ぶ場所か:肉用牛、酪農、養豚、養鶏といった畜産の主要な分野を全て学べる、県内唯一の学科です。 動物の飼育や命の大切さを学びます。

    • どんな生徒におすすめか:動物が好きで、家畜の飼育や畜産物の生産に携わりたいと考えている生徒。

  • 園芸科

    • どんなことを学ぶ場所か:温室での野菜栽培や、花、果樹の栽培、植物バイオテクノロジーなど、園芸に関する専門知識と技術を学びます。

    • どんな生徒におすすめか:花や植物が好きで、品種改良や美しい景観づくりに興味がある生徒。

  • 農業機械科

    • どんなことを学ぶ場所か:トラクターなどの農業機械の操作や整備、溶接や機械設計といった工業的な分野も学びます。 スマート農業についても学習します。

    • どんな生徒におすすめか:機械いじりが好きで、農業の効率化や最新技術に興味がある生徒。

  • 農林環境科

    • どんなことを学ぶ場所か:森林の育成や管理、木材の活用、測量や土木技術など、森林や環境保全について学びます。 2年次からはコースに分かれて専門性を高めます。

    • どんな生徒におすすめか:自然や環境問題に関心があり、森林を守り育てる仕事に就きたいと考えている生徒。

  • 食と生活科

    • どんなことを学ぶ場所か:農産物の加工から流通、販売までを学ぶ6次産業化や、食品の衛生管理について学びます。

    • どんな生徒におすすめか:食べることが好きで、食品開発や加工、栄養など「食」に関する分野に幅広く興味がある生徒。

鹿屋農業高等学校の特色・校風

鹿屋農業高等学校は、「実践重視」「地域密着」「のびのびとした雰囲気」といったキーワードで表せる校風です。広大な敷地と充実した実習設備を活かし、生徒たちは日々、土や動物と向き合いながら実践的に学んでいます。

口コミを見ると、「実習は大変なこともあるが、その分やりがいがあり、専門的な知識が身につく」という声が多く聞かれます。 生徒たちは活発で、先生方も親身になってサポートしてくれるという評判です。

校則については、他の高校と比較すると特別厳しいわけではないようですが、頭髪や服装に関する検査は定期的に行われるようです。 スマートフォンの使用については、校内でのルールを守ることが求められます。アルバイトは許可制となっている場合が多いようです。制服は、伝統的なデザインで、生徒からの評判は様々です。土曜授業は基本的にないようですが、実習や行事などで登校日となることがあります。

鹿屋農業高等学校の部活動・イベント

部活動

鹿屋農業高等学校は部活動も盛んで、多くの生徒が文武両道を目指して活動に励んでいます。 体育部・文化部ともに充実しており、特に農業高校ならではの特色ある部活動も存在します。

  • 特に実績が豊富な部活動

    • 相撲部・ウェイトリフティング部:全国大会の常連であり、輝かしい実績を誇ります。専門的な指導のもと、心身ともに鍛えることができます。

    • 野球部:近年、県大会で準優勝するなど目覚ましい活躍を見せています。 地域からの応援も熱く、活気のある部活動です。

    • ボート部・カヌー部:豊かな自然環境を活かした部活動で、九州大会や全国大会で活躍する選手を輩出しています。

  • 珍しい部活動

    • 鹿児島黒牛研究部・畜産部:牛や豚の飼育管理を専門的に研究・実践する、まさに農業高校ならではの部活動です。 「和牛甲子園」で最優秀賞に輝くなど、全国レベルで高い評価を受けています。

    • 伴侶動物部:犬などの小動物の飼育や繁殖について学ぶ部活動で、動物好きな生徒に人気です。

イベント

鹿屋農業高等学校では、生徒たちの手で作り上げる学校行事が一年を通して数多く開催されます。仲間との絆を深め、学校生活を彩る大切な思い出となるでしょう。

  • 農高祭(文化祭)

    • 毎年秋に開催される最大のイベントです。生徒たちが丹精込めて育てた野菜や果物、加工品などが販売され、毎年多くの地域住民で賑わいます。 各学科の特色を活かした展示や体験コーナーもあり、日頃の学習成果を発表する貴重な機会となっています。

  • 体育祭

    • 学科対抗で行われるのが大きな特徴で、応援合戦やユニークな競技で大変盛り上がります。 特に、重い荷物を持ち上げる「農高魂」という名物競技は、力自慢の生徒たちの見せ場です。

  • 修学旅行

    • 例年、スキー研修などを目的として県外へ行きます。 日常を離れ、友人たちと過ごす時間は、高校生活の中でも特に心に残るイベントの一つです。

鹿屋農業高等学校の進学実績

鹿屋農業高等学校の生徒たちは、専門的な学びを活かして多様な進路に進んでいます。大学進学から専門学校、そして就職まで、幅広い選択肢の中から自分の未来を切り拓いています。

  • 大学・短期大学

    • 国公立大学では、鹿児島大学や宮崎大学など、地元の農学部や関連学部への進学実績があります。

    • 私立大学では、日本獣医生命科学大学や南九州大学など、農業関連の学部に進学する生徒が多い傾向です。

    • 特に、農業の専門知識をさらに深めるために、鹿児島県立農業大学校への進学者が多いのが特徴です。

  • 専門学校

    • 農業、動物、調理、医療、公務員など、各学科で学んだ専門性を活かせる分野の専門学校へ進学する生徒が多数います。

  • 就職

    • 就職希望者の内定率は非常に高く、多くの生徒が希望の就職先に進んでいます。

    • 地元の農業法人や食品関連企業、JA(農業協同組合)、製造業、さらには公務員(自衛隊、警察など)まで、幅広い業種に就職しています。学校で取得した専門資格や技術が、就職活動において大きな強みとなっています。

学校では、進路実現に向けて面接指導や補習など、手厚いサポート体制が整えられています。

鹿屋農業高等学校の特長・アピールポイント

他の高校にはない、鹿屋農業高等学校ならではの魅力的なポイントをまとめました。

  • 広大な敷地と充実した実習施設

    • 東京ドーム約5個分もの広大な農場には、水田、畑、果樹園、温室、牛舎、豚舎、鶏舎などが完備されており、本格的な実習が可能です。

  • 「命」と向き合う教育

    • 植物の栽培や動物の飼育を通して、命の尊さや食への感謝の気持ちを育む教育を大切にしています。

  • 専門的な資格取得に強い

    • 危険物取扱者、フォークリフト運転技能者、溶接技能者、日本農業技術検定など、将来に役立つ多くの専門的な資格取得を学校全体でサポートしています。

  • 地域に愛される「農高祭」

    • 生徒が生産した新鮮な農産物や加工品を販売する文化祭は、毎年多くの来場者で賑わう地域の一大イベントです。

  • 全国レベルで活躍する部活動

    • 相撲部やウェイトリフティング部、野球部などの運動部に加え、「和牛甲子園」で日本一に輝いた鹿児島黒牛研究部など、全国に名を轟かせる部活動があります。

  • 寮生活で深まる絆(責善寮)

    • 一部の学科では寮生活が義務付けられており、仲間との共同生活を通して、規律や協調性を学ぶことができます。

  • 130年近い歴史と伝統

    • 1895年の創立以来、2万6千人以上の卒業生を輩出し、地域社会の様々な分野で活躍しています。

鹿屋農業高等学校の口コミ・評判のまとめ

在校生や卒業生から寄せられた口コミをまとめました。学校生活のリアルな声として、ぜひ参考にしてください。

  • 良い点

    • 「専門的な知識や技術が身につき、将来の夢に直結する学びができる」という声が最も多く聞かれます。

    • 「先生方が親身で、進路相談などにも熱心に対応してくれる」

    • 「実習を通して、クラスの仲間との団結力が強まる」

    • 「動物が好き、自然が好きという同じ興味を持つ友達がたくさんできる」

    • 「農高祭などの行事がとても楽しく、充実感がある」

    • 「就職率が良く、サポートも手厚い」

  • 気になる点

    • 「夏は暑く、冬は寒いなど、屋外での実習が体力的に大変なことがある」

    • 「農場が広いため、虫が多いのは覚悟した方が良い」

    • 「学科によっては、朝早くからの動物の世話などがあり、当番活動が大変」

    • 「最寄りのバス停から少し歩くので、アクセスが少し不便に感じる」

    • 「専門的な学習が中心なので、普通教科の大学進学を目指すには個人の努力が必要」

アクセス・通学

鹿屋農業高等学校への主なアクセス方法は以下の通りです。

  • バスでのアクセス

    • 「農高前」バス停または「緑山」バス停から徒歩約7〜9分

    • 鹿屋バスセンターからは徒歩約15分です。

大隅半島全域から生徒が通学していますが、特に鹿屋市、垂水市、肝付町、東串良町、錦江町、南大隅町など、近隣の市町から通う生徒が多いようです。遠方の生徒のために寮も完備されています。

鹿屋農業高等学校受験生へのワンポイントアドバイス

鹿屋農業高等学校を目指す皆さんへ、進学アドバイザーとして最後に応援メッセージを送ります。

この学校は、「動物が大好き」「自然の中で体を動かすのが好き」「食べ物や植物に興味がある」といった、自分の「好き」を専門的な学びに繋げたいと考えている生徒に特におすすめの学校です。普通科の高校とは違い、1年生の時から専門的な実習がたくさんあります。時には大変なこともあるかもしれませんが、同じ目標を持つ仲間たちと協力し、一つのものを育て、作り上げる達成感は、何物にも代えがたい経験となるでしょう。

受験勉強においては、まずは中学校の基礎的な学力をしっかりと固めることが大切です。特に、理科や社会は農業の学習と関連が深いので、興味を持って取り組むと良いでしょう。そして、面接では「なぜ鹿屋農業高校で学びたいのか」「将来、農業を通してどんなことをしたいのか」という自分の熱意を、自信を持って伝えることが合格への鍵となります。学校説明会や農高祭に足を運んで、ぜひ鹿屋農業高等学校の雰囲気を肌で感じてみてください。皆さんの挑戦を心から応援しています!


※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。