青森県立五所川原農林高等学校は、1902年(明治35年)創立の「北津軽郡立農学校」を前身とする、120年以上の歴史と伝統を誇る専門高校です。 広大な敷地と充実した実習設備の中で、農業や環境、食品について深く学ぶことができます。通称「五農(ごのう)」として地域に親しまれ、多くの卒業生が地域の産業を支える人材として活躍しています。

この記事では、そんな五所川原農林高等学校の魅力や特色を、進学アドバイザーの視点から詳しく解説していきます。偏差値や学科の紹介はもちろん、在校生や卒業生の声をもとにしたリアルな学校生活の様子、部活動やイベント、卒業後の進路まで、受験生や保護者の皆さんが本当に知りたい情報をぎゅっと詰め込みました。

「専門的な知識や技術を身につけたい」「自然や食べ物に関わる仕事がしたい」そんな夢を持つあなたにとって、五所川原農林高等学校がどのような場所なのか、この記事を通して具体的なイメージを掴んでいただければ幸いです。あなたの未来の選択肢を広げるきっかけになるかもしれません。

五所川原農林高等学校の基本情報

五所川原農林高等学校の基本的な情報を表にまとめました。

項目 内容
正式名称 青森県立五所川原農林高等学校
公立/私立の別 公立
共学/男子校/女子校の別 男女共学
所在地 〒037-0093 青森県五所川原市一野坪朝日田12-37
代表電話番号 0173-37-2121
公式サイトURL https://www.asn.ed.jp/gonorin-h/

五所川原農林高等学校の偏差値・難易度・併願校

五所川原農林高等学校の偏差値は、学科によって異なりますが、おおむね36〜38程度とされています。これは青森県内の高校の中では、比較的入学しやすい難易度と言えるでしょう。

ただし、専門的な学科で構成されているため、偏差値だけで判断するのではなく、自分が何を学びたいかを明確にしておくことが非常に重要です。五所川原農林高等学校では、農業や環境、食品に関する強い興味・関心と、学習意欲を持った生徒を求めています。

合格に必要な内申点の目安としては、青森県の公立高校入試では中学3年間の内申点が評価されるため、1年生のうちから定期テストにしっかりと取り組み、基礎学力を定着させておくことが大切です。

青森県の公立高校入試制度では、原則として公立高校同士の併願はできません。 そのため、併願校としては私立高校を選択することになります。五所川原市やその周辺地域から通学しやすい私立高校としては、五所川原商業高等学校や弘前学院聖愛高等学校などが挙げられることが多いようです。

五所川原農林高等学校に設置されている学科・コース

五所川原農林高等学校には、専門分野に特化した魅力的な4つの学科が設置されています。 2025年度(令和7年度)からは、森林科学科と環境土木科が統合され、「環境科学科」として新しくスタートする予定です。

  • 生物生産科

    • どんなことを学ぶ?:米や野菜、果物、草花などの栽培技術や、家畜の飼育について学びます。スマート農業など最新の農業技術にも触れることができます。

    • どんな生徒におすすめ?:植物を育てたり、動物の世話をしたりするのが好きな人。将来、農業の分野で活躍したい人におすすめです。

  • 環境科学科(2025年度〜)

    • どんなことを学ぶ?:森林の育成・管理や木材の利用、環境保全、土木技術などを幅広く学びます。自然環境を守り、豊かな生活基盤を築くための知識と技術を習得します。

    • どんな生徒におすすめ?:自然や環境問題に関心がある人。測量や設計、ものづくりに興味がある人におすすめです。

  • 食品科学科

    • どんなことを学ぶ?:パンやジャム、ジュースなどの食品加工技術や、食品の成分分析、品質管理、衛生管理について学びます。自分たちで育てた農産物を使った加工品開発も行います。

    • どんな生徒におすすめ?:料理やお菓子作りが好きな人。食の安全や栄養に関心がある人、新商品の開発に興味がある人におすすめです。

  • (旧:森林科学科)

    • どんなことを学ぶ?:森林の働きや環境保全、林産物の有効活用について学びます。測量やチェーンソーの扱いなど、実践的な技術も習得します。

    • どんな生徒におすすめ?:森林や自然が好きで、アウトドア活動に興味がある人。環境を守る仕事や林業に関心がある人におすすめでした。

  • (旧:環境土木科)

    • どんなことを学ぶ?:道路や橋などの社会基盤整備や、環境保全に関する測量・設計・施工の技術を学びます。

    • どんな生徒におすすめ?:地図を見たり、ものづくりをしたりするのが好きな人。地域の安全な暮らしを支える仕事に就きたい人におすすめでした。

五所川原農林高等学校の特色・校風

五所川原農林高等学校は、「正剛明朗」を校訓に掲げ、地域社会に貢献できる心豊かな人材の育成を目指しています。 校風としては「実践重視」「地域密着」「アットホーム」といったキーワードが挙げられます。

生徒たちは広大な農場や演習林での実習が多く、のびのびと学校生活を送っている印象です。専門的な学習が中心となるため、同じ目標を持つ仲間と協力しながら学ぶ場面が多く、生徒同士の絆が深まりやすい環境と言えるでしょう。

  • 宿題の量:専門教科の実習レポートなどが出されることがあるようですが、毎日大量の宿題に追われるというよりは、予習復習や資格取得に向けた自主的な学習が求められる傾向にあります。

  • 校則:他の高校と比較して、特に厳しいという声は少ないようです。ただし、実習などでは安全確保のため、服装や頭髪に関する指導が徹底されています。スマートフォンの使用については、校内でのルールを守って使用することが求められます。

  • 生徒たちの雰囲気:農業や食品、環境といった分野に興味を持つ生徒が集まっているため、真面目で探究心旺盛な生徒が多いようです。実習などを通して、活発で協調性のある雰囲気が育まれています。

  • アルバイト:長期休業中などに許可制で行うことができる場合が多いようですが、学業との両立が前提となります。事前に学校への確認が必要です。

  • 制服:男子は黒の学ラン、女子は紺のブレザーとスカートで、伝統的で落ち着いたデザインです。制服については、特に目立った評判はありませんが、着こなしやすいという声が聞かれます。

  • 土曜授業:基本的に土曜授業はありません。

五所川原農林高等学校の部活動・イベント

部活動

五所川原農林高等学校では、農業高校ならではの部活動から人気の運動部まで、多種多様な部活動が活発に活動しています。

  • 運動部

    • 野球部は、過去に甲子園出場経験もある伝統ある部です。 近年では部員数が少ないながらも、その分一人ひとりが活躍できるチャンスが多く、チーム一丸となって練習に励んでいます。

    • 相撲部や柔道部、陸上競技部なども、各種大会で上位入賞を目指して熱心に活動しています。

    • その他、ソフトテニス、バレーボール、バスケットボール、バドミントン、卓球、サッカーなど、多くの運動部が設置されています。

  • 文化部

    • 農業クラブは、五所川原農林高等学校の生徒全員が加入する組織で、日頃の学習成果を発表する大会(意見発表、プロジェクト発表など)に向けて活動します。全国大会でも優秀な成績を収めるなど、活発な活動が特徴です。

    • 立佞武多倶楽部は、五所川原の夏を彩る「立佞武多(たちねぷた)」の制作に関わる、地域色豊かな珍しい部活動です。

    • その他、音楽、自然科学、茶華道、家庭、美術・イラスト、ボランティア、パソコンなど、文化部も充実しています。

イベント

五所川原農林高等学校では、生徒たちの学校生活を豊かにする様々なイベントが年間を通して開催されています。

  • 五農祭(文化祭):毎年秋に開催される最大のイベントです。各学科が日頃の学習の成果を活かし、農産物や加工品の販売、研究発表、模擬店などを行います。特に、生徒たちが丹精込めて育てた新鮮な野菜や果物、パンやジャムなどの加工品は、毎年地域の方々にも大人気で、長蛇の列ができるほどです。

  • 体育祭:クラス対抗で様々な競技に熱戦を繰り広げます。生徒たちの団結力が高まる一日です。

  • 農業鑑定競技会・農業情報処理競技会:日頃の学習で得た知識や技術を競う校内大会です。優秀な成績を収めた生徒は、県大会や全国大会へと進みます。

  • 修学旅行:関西方面などを訪れ、歴史や文化に触れるとともに、仲間との思い出を深めます。

五所川原農林高等学校の進学実績

五所川原農林高等学校の卒業生は、専門的な知識と技術を活かして、多様な進路に進んでいます。大学進学から専門学校、就職まで、幅広い選択肢があるのが大きな特徴です。

  • 大学・短期大学への進学

    • 国公立大学では、弘前大学や秋田県立大学など、地域の農学系・生命科学系の学部への進学実績があります。

    • 私立大学では、東京農業大学や日本大学、酪農学園大学など、全国の農業系大学への進学者が多い傾向にあります。

    • 学校での学習を活かして、指定校推薦やAO入試などを利用して進学する生徒も多いようです。

  • 専門学校への進学

    • 農業大学校や、看護、調理、美容、ITなど、各自の興味や関心に応じた分野の専門学校へ進学しています。

  • 就職

    • 就職希望者の内定率は非常に高く、多くの生徒が希望する進路を実現しています。

    • 公務員(国家公務員林野庁、県庁・市役所の林業職・農業職など)になる卒業生が毎年多数いるのが大きな強みです。

    • その他、地域の森林組合、JA、食品関連企業、建設会社、測量会社など、学校で学んだ専門知識を直接活かせる企業への就職が目立ちます。

五所川原農林高等学校の特長・アピールポイント

他の高校にはない、五所川原農林高等学校ならではの強みやユニークな取り組みをご紹介します。

  • 広大な実習地と充実した施設:校地面積は約52haあり、そのうち約36haが農業実験実習地です。 この広大なフィールドで、のびのびと実践的な学習に取り組むことができます。

  • 専門的な資格取得に強い:在学中に、危険物取扱者、測量士補、小型車両系建設機械運転、ボイラー技士、フォークリフト運転技能者、日本農業技術検定など、将来に役立つ多くの専門的な資格取得を目指せます。

  • 企業や大学との連携(高大連携):弘前大学などと連携し、大学の先生から直接指導を受ける機会があります。 また、地域の企業と連携した商品開発や栽培実習なども積極的に行われています。

  • 世界が認めた実習林:森林科学科が管理する実習林は、高校生の実習林としては世界で初めてFSC国際森林認証を取得しました。 持続可能な森林管理を世界基準で学べる貴重な環境です。

  • 地域に根差した実践的な学び:田植え交流会や地域のイベントへの参加、立佞武多の制作など、地域とのつながりを大切にした活動が豊富です。

  • 高い就職内定率と公務員への強さ:専門性を活かした就職に非常に強く、特に林業・農業系の公務員を多数輩出している実績は、大きな魅力です。

  • 「命」と向き合う教育:農業教育を通して、作物の生育や動物の飼育に触れ、「命」の大切さを学び、豊かな人間性を育むことを教育の柱としています。

五所川原農林高等学校の口コミ・評判のまとめ

在校生や卒業生から寄せられる五所川原農林高等学校の口コミや評判をまとめました。

  • 良い点:

    • 「専門的な知識や技術が身につき、将来の夢に直結する学習ができる」という声が最も多く聞かれます。

    • 「実習が多く、座学だけでは学べないことを体験できるのが楽しい」といった、実践的な学びに対する満足度が高いようです。

    • 「先生方が専門分野に詳しく、質問にも熱心に答えてくれる」「資格取得のサポートが手厚い」など、教員のサポート体制を評価する声も多くあります。

    • 「同じ目標を持つ仲間と出会え、充実した高校生活を送れた」という意見も目立ちます。

    • 「就職率が良く、特に公務員や専門職を目指す人には最適な環境」という、進路に関するポジティブな評判も多いです。

  • 気になる点:

    • 「専門的な内容が多いため、興味がないと授業についていくのが大変かもしれない」という意見があります。入学前に自分の興味・関心をしっかり見極めることが大切です。

    • 「最寄り駅から少し歩く」「バスの本数が少ない」など、交通の便に関する指摘が一部で見られます。

    • 「施設によっては少し古い部分もある」という声もありますが、実習に必要な設備は整っています。

    • 「虫が苦手な人は、農場での実習に慣れるまで少し大変かもしれない」といった、農業高校ならではの意見も見られます。

アクセス・通学

五所川原農林高等学校への主なアクセス方法は以下の通りです。

  • 鉄道を利用する場合

    • 津軽鉄道「五農校前駅」から徒歩約12分

      • 駅名に学校名が入っていることからも、多くの生徒が利用していることがわかります。

  • バスを利用する場合

    • 弘南バス 飯詰線「一の坪」バス停から徒歩約19分

五所川原市内からの通学はもちろん、つがる市、中泊町、鶴田町、板柳町など、西北地域を中心に広いエリアから生徒が通学しています。

五所川原農林高等学校受験生へのワンポイントアドバイス

五所川原農林高等学校を目指す皆さんへ、進学アドバイザーとして最後に応援メッセージを送ります。

この高校は、「自然が好き」「動物や植物が好き」「食べ物に関心がある」「ものづくりが得意」といった、あなたの「好き」を専門的な学びに変え、将来の夢へとつなげることができる素晴らしい場所です。もしあなたが、教室で教科書に向かうだけでなく、実際に土に触れ、機械を操作し、自分の手で何かを創り出すことにワクワクするタイプなら、五所川原農林高等学校は最高の環境になるでしょう。

受験勉強においては、まず中学校の5教科の基礎を固めることが何よりも大切です。特に、理科や数学の知識は、入学後の専門的な学習の土台となります。また、面接では「なぜ五農で学びたいのか」「将来どんなことに挑戦したいのか」を自分の言葉でしっかりと伝えられるように、自己分析をしておくことをお勧めします。学校説明会や五農祭に足を運び、学校の雰囲気を肌で感じてみるのも良いでしょう。あなたの挑戦を心から応援しています!

※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。