岩手県立種市高等学校は、岩手県の最北端、洋野町に広大な太平洋を臨む場所にあります。 この学校の最大の魅力は、なんといっても全国で唯一、潜水と土木の専門知識・技術を学べる「海洋開発科」が設置されていることです。 伝統的な「南部もぐり」の技術を継承し、未来の海洋開発を担う人材を育成する種市高等学校は、まさにオンリーワンの存在と言えるでしょう。

普通科では、一人ひとりの進路希望に合わせたきめ細やかな指導が行われており、進学から就職まで幅広い夢の実現をサポートしています。 生徒数は全校で70名(2025年5月時点)と少人数ですが、その分、先生と生徒の距離が近く、アットホームな雰囲気の中で充実した学校生活を送ることができます。

この記事では、そんな魅力あふれる岩手県立種市高等学校について、偏差値や学科の特色、部活動、進路実績、そして在校生や卒業生からのリアルな口コミまで、受験生や保護者の皆さんが知りたい情報を詳しく、そして分かりやすくご紹介していきます。

岩手県立種市高等学校の基本情報

岩手県立種市高等学校の基本的な情報を表にまとめました。

項目 内容
正式名称 岩手県立種市高等学校
公立/私立の別 公立
共学/男子校/女子校の別 男女共学
所在地 〒028-7912 岩手県九戸郡洋野町種市38-94-110
代表電話番号 0194-65-2147(職員室)
公式サイト http://www2.iwate-ed.jp/tan-h/

岩手県立種市高等学校の偏差値・難易度・併願校

岩手県立種市高等学校の偏差値は、学科によって異なりますが、おおむね38〜40程度とされています。これは岩手県内の高校の中では、比較的入学しやすいレベルと言えるでしょう。しかし、偏差値だけで判断するのは早計です。特に海洋開発科は全国から生徒を募集する特色ある学科のため、明確な目的意識を持った生徒が集まる傾向があります。

合格に必要な内申点の目安としては、5段階評価で平均2.5〜3程度が考えられますが、これはあくまで一般的な目安です。実際の選考では、当日の学力検査の点数や面接、そして学習意欲などが総合的に評価されます。

岩手県の公立高校入試制度では、基本的に他の公立高校を併願することはできません。そのため、種市高等学校を第一志望とする場合、併願校は私立高校から選ぶことになります。主な併願校としては、近隣の八戸市にある私立高校などが考えられます。

岩手県立種市高等学校に設置されている学科・コース

岩手県立種市高等学校には、それぞれに特色のある2つの学科が設置されています。

  • 普通科

    • どんなことを学ぶ場所か:1年生では共通の科目を学び、2年生から進学に適した「Bコース」と就職に適した「Aコース」に分かれます。 Aコースでは商業科目なども学び、資格取得にも力を入れています。 Bコースでは国公立大学進学にも対応できる学力を養います。

    • どんな生徒におすすめか:少人数教育の中で、自分の進路目標に合わせてじっくりと学びたい人や、きめ細やかな指導を受けたい人におすすめです。

  • 海洋開発科

    • どんなことを学ぶ場所か:潜水と土木の基礎知識・技術を学ぶことができる、全国で唯一の学科です。 伝統的なヘルメット式潜水「南部もぐり」から最新の潜水技術、測量、溶接まで、海洋工事に関わる専門的なスキルを実践的に学びます。

    • どんな生徒におすすめか:海が好きで、将来は潜水士や海洋土木の技術者として国内外で活躍したいという強い意志を持つ人におすすめです。 全国から同じ志を持つ仲間が集まります。

岩手県立種市高等学校の特色・校風

岩手県立種市高等学校は、「自愛・自立・自彊」を校是に掲げ、生徒一人ひとりの目標達成と夢の実現をサポートする学校です。 全校生徒が少ないため、学校全体が家族のようなアットホームな雰囲気に包まれています。

  • 校風・生徒の雰囲気

    • キーワード:地域密着、アットホーム、実践重視、オンリーワン

    • 生徒たちは、地元洋野町出身者を中心に、盛岡市や宮古市など県内各地、さらには青森県や北海道、兵庫県など全国から集まっています。 特に海洋開発科には、明確な目標を持った意欲的な生徒が多いようです。全体的に落ち着いた雰囲気で、真面目に学習や実習に取り組む生徒が多いという声が聞かれます。

  • 校則・学校生活

    • 校則は、携帯電話の校内での使用を制限するなど、基本的なルールはありますが、特別厳しいというわけではないようです。

    • 制服は、男子が詰襟、女子がブレザーで、落ち着いたデザインです。

    • アルバイトについては、特別な規定は見当たりませんでしたが、学校生活に支障のない範囲で行うことが望ましいでしょう。

    • 土曜授業は基本的に実施されていないようです。

    • 遠方からの生徒のために「白鷗寮」という学生寮が完備されており、完全個室でWi-Fiも利用可能です。 寮母さんが作るボリューム満点の食事も評判です。

岩手県立種市高等学校の部活動・イベント

部活動

種市高等学校では、7つの運動部と2つの文化部が活動しており、多くの生徒が部活動に励んでいます。

  • 運動部

    • 特にレスリング部は全国レベルの実績を誇り、全日本ジュニアレスリング選手権大会や国民体育大会で入賞する選手を輩出しています。

    • その他、硬式野球部、陸上競技部、バスケットボール部、バレーボール部、卓球部、ソフトテニス部、バドミントン部などがあり、それぞれの目標に向かって活発に活動しています。

  • 文化部

    • 吹奏楽部と総合文化部があります。 総合文化部では、フリーペーパー「カリンの種」の発行など、地域活性化をテーマにした探究活動にも取り組んでいます。

イベント

種市高等学校では、生徒たちの心に残る多彩な学校行事が開催されています。

  • 種高祭(文化祭)

    • 例年10月中旬に開催される文化祭は、地域住民も楽しみにしている一大イベントです。 特に海洋開発科の実習プールで行われる「南部もぐり」の体験は、他では決して味わえない貴重な機会として人気を集めています。

  • 修学旅行

    • 2年生の冬に関西方面へ3泊4日の修学旅行を実施しています。 京都や大阪を巡る共通の日程に加え、3日目には普通科が奈良、海洋開発科が和歌山でダイビング体験と、学科の特色を生かしたプログラムが組まれているのがユニークです。

岩手県立種市高等学校の進学実績

種市高等学校の卒業後の進路は、約4割が進学、約6割が就職となっています。 少人数ながらも、生徒一人ひとりの希望に合わせた手厚い進路指導に定評があります。

  • 大学進学

    • 国公立大学では、北海道教育大学、弘前大学、岩手県立大学、青森公立大学などへの進学実績があります。 その他、多くの大学から指定校推薦枠を得ています。

    • 進学希望者に対しては、習熟度別授業や添削指導、小論文・面接指導など、志望校に合わせたきめ細やかなサポートが行われています。

  • 就職・その他

    • 就職希望者の決定率は100%を誇ります。

    • 特に海洋開発科の卒業生は、潜水と土木の専門技術を身につけた即戦力として、海洋工事、港湾土木、サルベージ(沈没船の引き上げ)など、国内外の様々な現場で活躍しています。 レインボーブリッジや関西国際空港の建設など、日本のビッグプロジェクトにも多くの卒業生が関わってきました。

    • 求人件数も豊富で、業種や職種の選択肢が広いのも特長です。

岩手県立種市高等学校の特長・アピールポイント

他の高校にはない、種市高等学校ならではの強みやユニークな取り組みをご紹介します。

  • 全国唯一の「海洋開発科」

    潜水と土木の専門技術を高校で学べるのは、日本でここだけです。 伝統の「南部もぐり」を継承し、未来の海洋国家を支える技術者を育成しています。

  • 充実した実習設備と実践的な学び

    水深10mまである階段式の潜水実習プールや、実習船「種市丸」を完備。 実際の海での潜水実習や、溶接、測量など、現場で役立つスキルを徹底的に学びます。

  • ドラマ「あまちゃん」の舞台

    2013年に放送されたNHK連続テレビ小説「あまちゃん」で、主人公たちが通う高校のモデルとなりました。 ドラマで歌われた「南部ダイバーの歌」は、実際にこの学校で歌い継がれている愛唱歌です。

  • 地域と連携した探究学習

    東日本大震災の教訓を伝える「津波防災出前授業」を地元の小中学校で行うなど、地域に根ざした学びを実践しています。

  • 全国から仲間が集まる学生寮

    県外からの生徒を受け入れるための「白鷗寮」が整備されています。 親元を離れ、同じ志を持つ仲間たちと共同生活を送る経験は、人間的に大きく成長させてくれます。

  • 手厚い少人数教育

    全校生徒70名という規模だからこそできる、一人ひとりに寄り添った丁寧な指導が魅力です。 先生との距離が近く、学習や進路について気軽に相談できる環境が整っています。

  • 高い就職実績と卒業生の活躍

    特に海洋開発科は、業界からの信頼が厚く、多くの求人が寄せられます。 卒業生は、日本のインフラを支える重要なプロジェクトで活躍しており、そのネットワークは大きな財産です。

岩手県立種市高等学校の口コミ・評判のまとめ

在校生や卒業生からは、種市高等学校のユニークな学びやアットホームな環境を評価する声が多く聞かれます。

  • 良い点

    • 「海洋開発科でしか学べない専門的な知識や技術を身につけられるのが最大の魅力」

    • 「先生方が親身になって進路相談に乗ってくれるので心強い」

    • 「少人数なので、クラスの団結力が強く、すぐにみんなと仲良くなれる」

    • 「寮生活を通して、自立心や協調性が身についた」

    • 「『南部ダイバー』としての誇りを持ち、厳しい実習を仲間と乗り越えた経験は一生の宝物」

  • 気になる点

    • 「専門的な学科なので、明確な目標がないと授業についていくのが大変かもしれない」

    • 「学校周辺は自然が豊かだが、お店などが少なく、少し不便に感じることもある」

    • 「冬は『やませ』という冷たい風が吹くため、寒さが厳しい」

    • 「学科によっては、定員割れが続いているのが少し心配」

アクセス・通学

岩手県立種市高等学校へのアクセス情報です。

  • 最寄り駅

    • JR八戸線「平内駅」より徒歩約10〜12分

  • 通学エリア

    • 地元の洋野町をはじめ、久慈市、二戸市、盛岡市など岩手県内各地から生徒が通っています。

    • 海洋開発科には、青森県や北海道、さらには関東や関西など、全国から生徒が集まっており、多くは学生寮「白鷗寮」から通学しています。 寮と学校の間は無料のスクールバスが運行されています。

岩手県立種市高等学校受験生へのワンポイントアドバイス

岩手県立種市高等学校を目指す皆さんへ、進学アドバイザーとして応援メッセージを送ります。

この学校は、「何か一つのことを専門的に学びたい」「スケールの大きな仕事で社会に貢献したい」という強い想いを持つ君にこそ、ぴったりの場所です。特に海洋開発科は、日本で唯一無二の学び舎。潜水士という夢に向かって、全国から集まる仲間たちと切磋琢磨する3年間は、何物にも代えがたい経験となるでしょう。普通科を希望する君も、少人数ならではの温かい環境の中で、先生方の手厚いサポートを受けながら、自分のペースで着実に夢に近づくことができます。

受験勉強では、まずは中学校の基礎・基本を徹底的に固めることが大切です。特に海洋開発科を目指すなら、理数系の科目に力を入れておくと、入学後の専門的な学習にスムーズに入っていけるはずです。そして何より、「種市高校で何を学び、将来どうなりたいのか」という自分のビジョンを明確に持つこと。その熱い想いが、合格への一番の近道になるはずです。頑張ってください!

※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。