鹿児島実業高等学校は、鹿児島県内で非常に有名な私立高校の一つで、全国レベルで活躍する部活動と、多様な進路希望に応える幅広い教育内容を両立させているのが大きな特徴です。単に勉強やスポーツを頑張るだけでなく、礼儀や規律を重んじる伝統的な校風の中で、心身ともに大きく成長できる環境が整っています。

この学校を理解する上で大切なのは、最難関大学を目指す学科から、専門的な知識や技術を身につけて社会で即戦力となることを目指す学科まで、一つの学校の中に多様な目標を持つ生徒たちが集まっているという点です。そのため、鹿児島実業高等学校での3年間は、あなたがどんな目標を持ち、どんな高校生活を送りたいかによって、その姿を大きく変えることでしょう。

この記事では、そんな奥深い魅力を持つ鹿児島実業高等学校について、偏差値や学科ごとの特色、在校生たちのリアルな声などを交えながら、中学生の皆さんや保護者の方々にとって分かりやすく、そして学校の魅力が具体的に伝わるように、詳しく解説していきます。自分にぴったりの高校かどうか、じっくり考えてみるきっかけにしてください。

鹿児島実業高等学校の基本情報

まずは、学校の基本的な情報を確認しておきましょう。

項目 内容
正式名称 鹿児島実業高等学校
公立/私立の別 私立
共学/男子校/女子校の別 男女共学
所在地 鹿児島県鹿児島市五ヶ別府町3591番地3
代表電話番号 099-281-7111
公式サイトURL https://www.kajitsu.ac.jp/

鹿児島実業高等学校の偏差値・難易度・併願校

鹿児島実業高等学校の大きな特徴は、学科・コースによって偏差値が大きく異なる点です。まるで一つの学校の中に、学力レベルや目標が異なる複数の学校が入っているようなイメージを持つと分かりやすいかもしれません。

学科・コースごとの最新の偏差値の目安は以下の通りです。

  • 文理科:

  • 普通科:

  • 総合学科:

文理科は県内トップクラスの難易度を誇り、非常に高い学力が求められます。一方、普通科や総合学科は、より幅広い学力層の生徒を受け入れています。この学力差の大きい生徒たちが「鹿実生」として一体感を持ち、同じ校風のもとで学校生活を送るために、学校全体で規律や礼儀を重んじる指導が徹底されている、と考えることもできます。

難易度を具体的にイメージするために、同じくらいの偏差値の高校や併願校を見てみましょう。

  • 文理科(偏差値72〜73)を目指す場合

    • 同じくらいの偏差値の高校:鶴丸高校、甲南高校、樟南高校(文理コース)、ラ・サール高校など。

    • 合格に必要な内申点の目安:公立トップ校に合格できるレベルの内申点と、当日点で高得点を取ることが求められます。5教科の評定はオール5に近いレベルが望ましいでしょう。

    • 主な併願校:公立高校のトップ校である鶴丸高校や甲南高校を受験する生徒が、併願校として鹿児島実業高等学校の文理科を選ぶケースが非常に多いです。

  • 普通科・総合学科(偏差値42〜51)を目指す場合

    • 同じくらいの偏差値の高校:松陽高校、鹿児島南高校、錦江湾高校、鹿児島情報高校、鹿児島高校など。

    • 合格に必要な内申点の目安:中学校の基礎・基本をしっかりと身につけていることが重要です。まずは通知表の評定で「3」を安定して取り、苦手科目をなくすことを目標にしましょう。

    • 主な併願校:武岡台高校、松陽高校、伊集院高校などの公立高校や、樟南高校、鹿児島高校、鹿児島情報高校などの私立高校と併願する生徒が多いようです。

鹿児島実業高等学校に設置されている学科・コース

鹿児島実業高等学校には、大きく分けて3つの学科があり、さらにその中に細かなコースや系列が設置されています。自分の興味や将来の夢に合わせて、最適な学びの場を選ぶことができます。

  • 文理科

    • 最難関の国公立大学や私立大学への現役合格を目指す学科です。少数精鋭のクラスで、ハイレベルな授業が展開されます。高い目標を持つ仲間と切磋琢磨したい人におすすめです。

  • 普通科

    • 選抜コース:国公立大学や短期大学への進学を目指します。文理科に近い学習環境で、特に英語と数学に力を入れて学力を伸ばしたい生徒におすすめです。

    • キャリアデザインコース:部活動と勉強を両立させながら、大学進学から就職まで幅広い進路に対応します。自分の可能性をじっくり探りたい人におすすめです。

  • 総合学科

    • 学校の創立精神である「実業(実学)」を最も体現している学科です。2年生から以下の9つの専門系列に分かれ、夢の実現に向けた専門知識と技術を学びます。

      • 公務員系列:警察官や市役所職員など、公務員試験の現役合格を目指します。安定した職業に就きたい人におすすめです。

      • 進学系列:文系・理系に分かれ、大学や専門学校への進学を目指します。総合学科から進学を目指したい人に最適です。

      • こども学系列:保育士や幼稚園教諭を目指し、ピアノや読み聞かせなど実践的に学びます。子どもと関わる仕事がしたい人におすすめです。

      • スポーツ科学系列:体の仕組みやトレーニング方法を科学的に探究します。将来、スポーツトレーナーなどを目指す人にぴったりです。

      • マルチメディア系列:デザインや映像制作のスキルを学びます。クリエイティブな仕事に興味がある人におすすめです。

      • 情報ビジネス系列:簿記や情報処理など、ビジネスに必須の資格取得を目指します。事務職や販売職を目指す人に向いています。

      • 機械系列:機械の設計や製造、自動車の整備など、ものづくりの基礎を学びます。機械いじりが好きな人におすすめです。

      • 電気系列:電気工事や電子技術を学び、国家資格の取得を目指します。社会を支える技術者になりたい人に最適です。

      • 環境土木系列:測量やCADなどを学び、快適な街づくりに貢献する技術を身につけます。インフラに関わる仕事がしたい人におすすめです。

鹿児島実業高等学校の特色・校風

鹿児島実業高等学校の学校生活を理解する上で、その独特の校風は欠かせません。キーワードで表すなら、「伝統重視」「規律と礼儀」「文武両道」「団結力」といった言葉が当てはまるでしょう。

在校生や卒業生の口コミを基に、中学生が気になるポイントをまとめました。

  • 校則は厳しいか緩やかか

    • 「県内で一番厳しい」という声が多く聞かれるほど、校則は厳しい傾向にあります。特に服装や頭髪、挨拶に関しては厳しく指導されるようです。スマホの校内での使用も厳しく制限されていると考えた方が良いでしょう。在学中は窮屈に感じるかもしれませんが、「社会に出てから役立つ礼儀が身についた」と感謝する卒業生も少なくありません。

  • 宿題の量は多いか少ないか

    • 学科やコースによって大きく異なります。文理科や普通科選抜コースは、大学受験に向けて授業の進度も速く、宿題や課題の量も多い傾向があります。一方で、総合学科は資格取得の勉強や実習が中心となるため、日々の宿題はほとんどないようです。

  • 生徒たちの雰囲気

    • 全体的に真面目で落ち着いた雰囲気です。厳しい校則があるため、いわゆる「チャラチャラした」生徒は少なく、何事にも一生懸命取り組む生徒が多いようです。また、多くの学科で「3年間クラス替えがない」という特徴があります。これにより、クラスの絆が非常に深まるという良い面がある一方で、もし人間関係でつまずいてしまうと3年間辛い思いをする可能性もあるため、自分に合うかどうか慎重に考える必要があります。

  • アルバイトは可能か

    • 学校の雰囲気や規律を重んじる姿勢から、原則としてアルバイトは許可されていない可能性が高いです。学校生活や部活動に集中することが求められます。

  • 制服の評判はどうか

    • 伝統的なデザインの制服です。着こなしについては厳しく指導されるため、きちんと着用することが求められます。

  • 土曜授業はあるか

    • 文理科と普通科選抜コースでは、学力向上のため土曜補習(授業)が実施されています。

鹿児島実業高等学校の部活動・イベント

部活動

鹿児島実業高等学校といえば、全国にその名を轟かせる部活動の活躍が最大の魅力の一つです。部活動加入率も86.4%と非常に高く、多くの生徒が文武両道に励んでいます。

  • 運動部

    • サッカー部:元日本代表の遠藤保仁選手をはじめ、数多くのJリーガーを輩出している全国屈指の名門です。専用の人工芝グラウンドで、日々厳しい練習に励んでいます。

    • 硬式野球部:甲子園の常連校であり、春の選抜大会で全国優勝を果たした実績もあります。多くのプロ野球選手を輩出しています。

    • 陸上部:全国高校駅伝の出場回数は全国でもトップクラスを誇り、優勝経験もあります。オリンピック選手も誕生しています。

    • その他:男子新体操部、ラグビー部、剣道部、柔道部なども全国レベルの強豪として知られています。学校の「不屈不撓」という校訓は、こうした部活動の厳しい練習の中でこそ、最も色濃く体現されていると言えるでしょう。

  • 文化部

    • 運動部のイメージが強いですが、文化部も活発です。吹奏楽部や書道部は学園祭などで素晴らしいパフォーマンスを披露します。また、写真部や文芸同好会は全国大会への出場実績もあります。体育部21、文化部15と、多種多様なクラブがあり、自分に合った活動を見つけることができます。

イベント

厳しい学校生活の中にも、仲間との絆を深める楽しいイベントがたくさん用意されています。

  • 学園祭(6月)

    • クラスごとに展示やステージ発表、模擬店などを行い、学校中が活気に満ち溢れます。軽音楽部のライブや文化部のパフォーマンスもあり、生徒が主体となって作り上げる一大イベントです。

  • 体育大会(10月)

    • 「大迫力」と表現されるように、非常に盛り上がるイベントです。クラスや学科の垣根を越えて、気迫とパワーがぶつかり合います。

  • 修学旅行(2年次12月)

    • 4泊5日の日程で、北海道でのスキー体験や東京観光、テーマパークなどを満喫します。普段の鹿児島での生活では味わえない体験を通して、クラスメイトとの一生の思い出を作ることができます。

  • 全校応援

    • 野球部やサッカー部などが大きな大会に出場する際に、全校生徒で応援に駆けつけます。学校全体が一つになる瞬間は、鹿実ならではの熱い体験です。

鹿児島実業高等学校の進学実績

鹿児島実業高等学校は、多様な学科編成を反映し、進学から就職まで幅広い進路実績を誇ります。特に学力上位層を対象とした手厚いサポート体制が、難関大学への合格実績に繋がっています。

  • 国公立大学

    • 地元の鹿児島大学をはじめ、九州大学、宮崎大学など、毎年安定して国公立大学への合格者を出しています。

  • 難関私立大学

    • 関東では法政大学、日本大学など、関西では関西学院大学、近畿大学、龍谷大学など、九州では西南学院大学、福岡大学など、全国の有名私立大学に多数の合格実績があります。

  • その他の進路

    • 総合学科を中心に、公務員試験での現役合格や、県内外の優良企業への就職実績も豊富です。また、看護・医療系の専門学校や、工業・商業系の専門学校へ進学し、専門技術を身につける生徒も多くいます。

  • 実績を支える取り組み

    • これらの進学実績は、特に文理科と普通科選抜コースで行われる手厚い学習サポートによって支えられています。具体的には、平日7限授業に加え、希望者対象の8限目の受験対策講座、そして全員参加の土曜補習などが挙げられます。このように、目標達成のために集中的に学習時間を確保する体制が整えられています。

鹿児島実業高等学校の特長・アピールポイント

他の高校にはない、鹿児島実業高等学校ならではの強みやユニークな取り組みをまとめました。

  • 圧倒的な文武両道の実績

    • 最難関大学を目指す文理科と、全国制覇を成し遂げた複数の部活動が共存しており、学問とスポーツの両方で頂点を目指せる環境があります。

  • 多様な進路を実現する9系列の総合学科

    • 公務員、保育、スポーツ、工業、商業など、非常に幅広い専門分野を高校から学べるユニークな学科です。明確な夢を持つ生徒にとって、最短距離で目標に近づける道が用意されています。

  • 社会で通用する礼儀・規律の徹底指導

    • 厳しい指導を通して、挨拶や時間厳守、礼儀作法といった社会人としての基礎が自然と身につきます。卒業後にその価値を実感するという声が多数あります。

  • 早期からの手厚い進路指導体制

    • 1年生のうちからインターンシップや大学の出張講義などに参加する機会があり、自分の将来についてじっくり考えることができます。

  • ICTを活用した参加型の授業

    • プロジェクターやタブレットを積極的に活用し、生徒同士が話し合ったり意見を発表したりする「みんなで作る授業」が展開されており、主体的に学ぶ姿勢が育まれます。

  • 充実したスクールバス網

    • 鹿児島中央駅をはじめ、市内各方面へスクールバスが運行されており、広範囲からの通学を可能にしています。多くの生徒がこのバスを利用して通学しています。

  • 学校全体が一つになる熱い学校行事

    • 特に「全校応援」は、学科や学年の壁を越えて全校生徒の心が一つになる鹿実ならではの伝統行事で、強烈な一体感と母校への誇りを育みます。

鹿児島実業高等学校の口コミ・評判のまとめ

在校生や卒業生からのリアルな声は、学校選びの重要な参考になります。鹿児島実業高等学校は、その校風から評価がはっきりと分かれる傾向があるため、良い点と気になる点の両方をしっかりと把握しておきましょう。

  • 良い点

    • 「礼儀作法や挨拶が徹底されているので、人として成長できたし、社会に出てから本当に役立っている」という感謝の声が非常に多いです。

    • 「部活動に本気で打ち込みたい人にとっては、これ以上ない最高の環境。高いレベルで挑戦できる」。

    • 「3年間クラス替えがないので、クラスの団結力が強く、一生付き合える親友ができた」。

    • 「先生方は厳しくも熱心で、進路について親身に相談に乗ってくれる」。

    • 「総合学科は専門的なことが学べて、就職や資格取得にとても強い」。

  • 気になる点

    • 「とにかく校則が厳しすぎる。スマホは使えないし、服装や頭髪も細かくチェックされ、自由がないと感じる」という不満の声が最も多く見られます。

    • 「先生の指導が感情的だったり、理不尽だと感じることがあった」という意見もあります。

    • 「『伝統』という言葉のもと、時代に合わない考え方を押し付けられているように感じることがある」。

    • 「いわゆる『キラキラした高校生活』を送りたい人には向いていないかもしれない。楽しむことよりも規律が優先される」。

    • 「クラス替えがないため、もし人間関係で合わない人がいると3年間ずっと辛い思いをすることになる」というリスクを指摘する声もあります。

アクセス・通学

鹿児島実業高等学校への主なアクセス方法は以下の通りです。多くの生徒がバスを利用して通学しています。

  • 最寄り駅

    • JR「広木駅」から徒歩約22分。駅からは少し距離があるため、電車通学の場合は駅からバスに乗り換えるか、体力に自信がある人向けです。

  • 路線バス

    • 鹿児島中央駅東口のバス乗り場(東22番)から、南国交通バスの「鹿実高校行き」に乗車し、終点の「鹿実高校」で下車するのが最も便利です。「大峯団地線」や「文化工芸村線」に乗車し、「鹿実高校前」で下車(徒歩2分)する方法もあります。

  • スクールバス

    • 鹿児島中央駅のターミナルや西口をはじめ、田上、西陵、大峯団地方面など、市内各地の住宅地を結ぶスクールバスが多数運行されています。これが多くの生徒にとって主要な通学手段となっており、広範囲のエリアから生徒が集まっていることがわかります。

鹿児島実業高等学校受験生へのワンポイントアドバイス

ここまで読んでくれてありがとう。鹿児島実業高等学校が、いかに個性的で、はっきりとした教育方針を持つ学校か伝わったでしょうか。この学校は、ただ偏差値だけで選ぶのではなく、「自分がこの環境で成長したいか」という強い意志が何よりも大切になります。

鹿児島実業高等学校は、目標に向かって脇目も振らずに努力できる人、厳しい環境に身を置いて自分を鍛えたいと考える人、そして礼儀や規律を学ぶことに価値を感じられる人に、特におすすめです。逆に、自由な校風の中で、自分のペースで高校生活を楽しみたいという人には、少し窮屈に感じられるかもしれません。

受験勉強では、まず自分がどの学科・コースを目指すのかを明確にしましょう。鹿児島実業高等学校の文理科を目指すなら、鶴丸・甲南といった公立トップ校の受験生と競う覚悟で、応用問題まで含めた高い学力を身につける必要があります。普通科や総合学科を目指す場合は、中学校の教科書レベルの基礎・基本を完璧に固めることが合格への一番の近道です。ぜひ一度、オープンスクールに参加して、鹿実の持つ独特の緊張感と熱気を肌で感じてみてください。応援しています!

※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。