横須賀学院高等学校は、ただ勉強をするだけの場所ではありません。キリスト教の精神に基づいた「敬神愛人」(神を敬い、隣人を愛する)を建学の精神とし、生徒一人ひとりが持つ賜物(タラントン)を見つけ、それを社会のために活かす使命(ミッション)を担う人間の育成を目指しています。ここでは、学力だけでなく、豊かな人間性を育むための多彩なプログラムが用意されています。

この学校の大きな特徴は、生徒それぞれの目標に合わせて設計されたコース制度です。最難関大学を目指すための集中した学習環境が整っている一方で、部活動や学校行事に打ち込みながら、自分のペースで進路実現を目指せる環境もあります。横須賀学院高等学校は、多様な生徒たちが互いに刺激し合いながら、自分だけの「答え」を見つけられる場所なのです。

この記事では、横須賀学院高等学校が持つ独自の魅力について、偏差値や進学実績といったデータから、在校生のリアルな声に基づく校風、活気あふれる部活動や学校行事まで、詳しくご紹介していきます。あなたの未来を描くための大切な3年間を、どこで、どのように過ごしたいか。そのヒントが、きっとここに見つかるはずです。

横須賀学院高等学校の基本情報

まずは、学校の基本的な情報を確認しておきましょう。

項目 内容
正式名称 横須賀学院高等学校
種別 私立
男女の別 男女共学
所在地 〒238-8511 神奈川県横須賀市稲岡町82
電話番号 046-822-3218
公式サイト https://hs.yokosukagakuin.ac.jp/

横須賀学院高等学校の偏差値・難易度・併願校

横須賀学院高等学校の大きな特徴は、目標に応じて選べる2つのコースがあり、それぞれで偏差値が大きく異なる点です。このコース制度が、多様な生徒を受け入れ、それぞれの目標達成をサポートする土台となっています。

  • S選抜コース: 64

  • A進学コース: 53

S選抜コースは偏差値64と、県内の上位公立高校に匹敵する難易度です。一方、A進学コースは53となっており、同じ学校内に11ポイントもの差があることが分かります。これは、横須賀学院高等学校が、難関大学への一般受験を勝ち抜く学力を徹底的に鍛えたい生徒と、部活動や課外活動との両立を図りながら指定校推薦なども活用して大学進学を目指したい生徒、その両方のニーズに応えるための明確な教育戦略を持っていることを示しています。

難易度を具体的にイメージするために、合格に必要な内申点の目安も見てみましょう。A進学コースを専願で受験する場合、9教科で34、または5教科で19が一つの基準とされています。S選抜コースの明確な基準は公表されていませんが、併願する公立高校のレベルを考えると、県立横須賀高校などが目安とする120/135前後の高い内申点が求められると考えられます。

このような特徴から、併願校の選び方も多様です。S選抜コースの受験生は、公立高校では横浜市立金沢高校、県立横須賀高校、大船高校などを併願する傾向があります。A進学コースの受験生は、横須賀大津高校や追浜高校などを併願校として選ぶことが多いようです。私立高校では、湘南学院高校、三浦学苑高校、横浜隼人高校などが主な併願先として挙げられます。

横須賀学院高等学校に設置されている学科・コース

横須賀学院高等学校には、普通科の中に大きく分けて2つのコースがあり、さらにS選抜コース内には特別なクラスが設置されています。それぞれのコースが、どんな生徒におすすめなのかを見ていきましょう。

  • SS選抜クラス

    • S選抜コースの中に設けられた、少数精鋭の特別クラスです。国公立大学や最難関私立大学への現役合格を目標に、よりハイレベルで密度の濃い授業が展開されます。単に成績が良いだけでなく、「ここで学びたい」という強い意欲を持つ生徒が集まり、互いに高め合う環境です。

  • S選抜コース

    • 国公立大学や難関私立大学への一般入試での合格を目指すコースです。授業の進度は速く、7時間目授業や長期休暇中の講習、学習合宿などを通じて、受験に対応できる確かな学力を養成します。勉強に集中して、自分の学力を最大限に伸ばしたい人におすすめです。

  • A進学コース

    • 学習と部活動、学校行事などをバランス良く両立させたい生徒のためのコースです。幅広い大学への進学に対応しており、特に青山学院大学をはじめとする豊富な指定校推薦枠を活用した進路選択も視野に入れることができます。高校生活を多角的に楽しみながら、自分に合った進路を見つけたい人に最適です。

横須賀学院高等学校の特色・校風

横須賀学院高等学校の雰囲気をキーワードで表すなら、「キリスト教精神」「文武両道」「自由な校風」「生徒主体」といった言葉がぴったりです。伝統ある私立のミッションスクールでありながら、生徒の自主性を尊重する、おおらかな空気が流れています。

  • 宿題の量と授業

    • 宿題の量はコースによりますが、全体的には「多すぎる」という声は少ないようです。ただし、授業のペースは速いと感じる生徒もおり、日々の予習・復習が大切になります。特にS選抜コースは、より高いレベルの内容を扱うため、自主的な学習習慣が求められます。

  • 校則(スマホ、服装など)

    • 校則は、この学校の特色を最もよく表す部分かもしれません。公式には頭髪の染色や化粧、ピアスは禁止されています。しかし、在校生の口コミでは「私立なのに公立並みに校則が緩い」という声が圧倒的に多く、特に化粧をしている生徒は多いようです。これは、学校が厳しく取り締まるのではなく、生徒一人ひとりの良識や自主性に任せている部分が大きいことを示しています。スマホの校内での使用についても、授業中は禁止ですが、休み時間などは比較的自由に使えるようです。

  • 生徒たちの雰囲気

    • 生徒数は1学年15クラスにもなる大規模校のため、実に多様な生徒がいます。活発な生徒もいれば、落ち着いた生徒もおり、「どんな人でも自分の居場所を見つけられる」という声が多く聞かれます。全体的には明るく、フレンドリーな雰囲気で、行事などではクラスや学年を超えて団結して盛り上がります。

  • アルバイト

    • アルバイトに関する明確な規定は公表されていませんが、原則として学業に支障が出ない範囲で許可制としている学校が多いです。希望する場合は、学校に確認することをおすすめします。

  • 制服の評判

    • 制服は男女ともにブレザースタイルです。落ち着いたデザインで、生徒からの評判は概ね良好のようです。式典などでは指定の靴下を着用しますが、普段はくるぶしより上で紺か黒の靴下であれば自由など、着こなしにはある程度の柔軟性があるようです。

  • 土曜授業

    • 1・2年生は土曜日に午前3時間の通常授業があります。これにより、平日の授業に余裕を持たせつつ、基礎学力の定着を図っています。3年生になると、土曜日は大学受験対策のための「土曜講習」となり、各自の志望校に合わせた講座を選択して受講する形になります。

横須賀学院高等学校の部活動・イベント

部活動

横須賀学院高等学校のスクールライフの核となるのが、活発な部活動です。運動部16、文化部16と非常に多くのクラブがあり、約8割の生徒が参加しています。全国レベルを目指す強豪部から、和気あいあいと活動を楽しむ同好会まで、選択肢の幅広さが魅力です。

  • 特に実績豊富な部活動

    • 柔道部:全国大会での優勝を目標に掲げる、学校を代表する強豪部です。関東大会優勝者や全国入賞者を数多く輩出し、世界大会で活躍する卒業生もいます。

    • ソフトボール部:県内で常にベスト4に入る実力校で、神奈川県選抜選手も多数輩出しています。インターハイ出場を目指し、日々練習に励んでいます。

    • アメリカンフットボール部:神奈川県内でも設置校が少ない希少な部活です。卒業生には、社会人日本一を決めるライスボウルで優勝した選手や、U-19日本代表に選ばれた選手もいます。

    • この他にも、空手道部、陸上競技部、チアダンス部なども関東大会や全国大会を目指して活発に活動しています。

  • 珍しい部活動・文化部

    • 文化部も非常に盛んです。特に軽音楽部は145名以上が所属する大所帯で、文化祭ではメインステージを大いに盛り上げます。

    • キリスト教学校ならではの「キリスト教青年会」や「聖歌隊」は、礼拝やクリスマス行事などで中心的な役割を果たします。特に聖歌隊がプロのオーケストラと共演する「メサイア公演」は圧巻です。

    • 「インターアクト部」は、環境問題や国際協力をテーマにボランティア活動を行うユニークな部活です。

イベント

横須賀学院の学校行事は、生徒が主体となって創り上げる、エネルギーに満ちたものばかりです。

  • 文化祭「楠木祭(くすのきさい)」

    • 毎年9月に行われる、小・中・高、PTAや同窓会も参加する「オール横須賀学院」の一大イベントです。名前は学院のシンボルツリーである楠木に由来します。4年ぶりに一般公開が再開された際には、約4500名もの来場者で賑わいました。クラスごとにジェットコースターやお化け屋敷といった凝った企画を出し合い、文化部は日頃の成果を発表します。特に軽音楽部や吹奏楽部のステージは、毎年大きな盛り上がりを見せます。

  • 体育祭

    • 6月に市内の陸上競技場を借り切って行われます。全校生徒が学年の垣根を越えて複数の色のチームに分かれ、総合優勝を目指します。応援合戦や、3メートルの棒を倒し合う「棒倒し」、女子生徒による「タイヤ引き」など、迫力満点の競技が目白押しです。先生はあえて指示を出しすぎず、企画・運営の多くを生徒に任せることで、自主性やリーダーシップを育む機会にもなっています。

横須賀学院高等学校の進学実績

横須賀学院高等学校は、その多様なコース設定を反映した、優れた大学進学実績を誇ります。難関国公立大学から、GMARCHをはじめとする人気の私立大学まで、幅広い進路を実現しています。

以下は2025年春の主な大学合格実績です。(既卒生を含まない現役合格者数を中心としたデータ)

  • 国公立大学:34名

    • 主な合格大学:一橋大学 1名、名古屋大学 1名、北海道大学 1名、筑波大学 1名、横浜国立大学 3名、横浜市立大学 6名、東京都立大学 3名など。

  • 難関私立大学

    • 早慶上理ICU(早稲田、慶應義塾、上智、東京理科、国際基督教):合計 33名

    • GMARCH(学習院、明治、青山学院、立教、中央、法政):合計 185名

      • 特に青山学院大学には38名が合格しており、強いつながりがうかがえます。

  • その他の進路

    • 上記の大学以外にも、多くの生徒が日本大学、東洋大学、駒澤大学、専修大学といった大学群に進学しています。また、短期大学や専門学校への進学、就職など、一人ひとりの希望に応じた多様な進路選択がなされています。

この高い進学実績を支えているのが、手厚い進学サポート体制です。S選抜コースでは夏期学習合宿や長期休暇中の講習が充実しており、一般受験で難関大学を突破する学力を徹底的に鍛えます。一方、A進学コースの生徒も、3年次の土曜講習や小論文講座などを通じて実力を伸ばします。

そして、横須賀学院の大きな強みの一つが「指定校推薦」の豊富さです。特に提携校である青山学院大学には35名という非常に大きな推薦枠があり、多くの生徒がこの制度を利用して進学しています。他にも横浜市立大学、立教大学、明治大学など、数多くの大学からの推薦枠があります。一般受験だけでなく、多様な入試形態に対応できるサポート体制が、生徒一人ひとりの進路実現を力強く後押ししています。

横須賀学院高等学校の特長・アピールポイント

他の高校にはない、横須賀学院高等学校ならではの強みやユニークな取り組みをまとめました。

  • 青山学院大学との強力な連携

    • 35名という豊富な指定校推薦枠に加え、高校生が青山学院大学のキャンパスで講義を受けられる「高大連携講座」も実施。大学での学びを肌で感じる貴重な機会を通じて、早期から学習意欲を高めることができます。

  • キリスト教精神に基づく人間教育

    • 毎日の礼拝や「花の日礼拝」、クリスマスの「燭火礼拝」といった行事を通じて、感謝の心や他者を思いやる心を育みます。知識だけでなく、人としての土台を築くことを大切にしています。

  • 充実した施設と美しい学習環境

    • 1100名を収容できる荘厳な大チャペル、4階建ての体育館、2020年に完成したモダンなカフェテリアなど、施設が非常に充実しています。2022年には創立70周年を記念してチャペルにパイプオルガンが設置され、豊かな音色が日々の礼拝に彩りを添えています。

  • 生徒一人ひとりに合わせた手厚い学習支援

    • S選抜コースの学習合宿から、放課後に大学生アシスタントが常駐する学習室、3年生向けの土曜講習まで、学力レベルや目標に応じたきめ細やかなサポート体制が整っています。

  • 生徒が主役となって創り上げる学校行事

    • 文化祭「楠木祭」や体育祭は、企画から運営までその多くを生徒会や実行委員会が担います。仲間と協力して一つのものを創り上げる経験は、リーダーシップや協調性を育み、一生の思い出になります。

  • 世界に目を向けるグローバル教育

    • オーストラリアへの研修プログラムなど、海外の文化に触れる機会が用意されています。異文化理解を深め、国際的な視野を養うことを目指しています。

  • 自主性を育む「自由な校風」

    • 私立高校ならではの充実した設備や教育プログラムと、公立高校のようなおおらかで自由な雰囲気を両立しています。生徒を信頼し、自主性を尊重する校風が、のびのびとした高校生活を可能にしています。

横須賀学院高等学校の口コミ・評判のまとめ

在校生や卒業生からは、学校生活の様々な側面について多くの声が寄せられています。ここでは、ポジティブな口コミと、少し気になる点を公平に紹介します。

  • 良い点

    • 「先生との距離が近く、親身に相談に乗ってくれる」という声が非常に多いです。フレンドリーで熱心な先生が多く、質問や進路相談がしやすい雰囲気があるようです。

    • 「自由な校風で、のびのびと高校生活を送れる」という点も高く評価されています。校則が厳しすぎず、生徒の自主性が尊重されるため、自分らしく過ごせる環境のようです。

    • 「行事が本当に楽しくて盛り上がる」という意見も目立ちます。特に文化祭や体育祭は、クラスやチームで団結して取り組むため、強い一体感が生まれるようです。

    • 「生徒数が多いので、必ず気の合う友達が見つかる」という声もあります。多様な個性を持つ生徒が集まる大規模校ならではの魅力と言えるでしょう。

    • 「施設が綺麗で広い」という点も、満足度の高いポイントです。チャペルや体育館、グラウンドなど、恵まれた環境で学校生活を送ることができます。

  • 気になる点

    • 「駅から少し歩くのが大変」という意見があります。最寄り駅から徒歩10分〜18分程度かかるため、特に雨の日などは少し不便に感じるかもしれません。

    • 「自由な分、自分から勉強しないと置いていかれる」という声も。特にA進学コースでは、自主的に学習する姿勢がないと、学力維持が難しいと感じる生徒もいるようです。

    • 「食堂が混雑する」といった、大規模校ならではの悩みも聞かれます。昼休みは多くの生徒が利用するため、早めに行くなどの工夫が必要かもしれません。

    • 「一部の施設は少し古い」という口コミも散見されます。全体的には綺麗ですが、校舎によっては年季を感じる部分もあるようです。

アクセス・通学

横須賀学院高等学校は、横須賀市の中心部に位置し、交通の便が良い場所にあります。

  • 京浜急行線「横須賀中央」駅より徒歩10分

  • JR横須賀線「横須賀」駅より徒歩18分、またはバス5分+徒歩5分

横須賀市内からはもちろん、三浦市、逗子市、葉山町、そして横浜市南部など、広いエリアから多くの生徒が通学しています。最寄り駅が2路線利用できるため、様々な地域からのアクセスが可能です。

横須賀学院高等学校受験生へのワンポイントアドバイス

ここまで読んでくれてありがとうございます。最後に、進学アドバイザーとして、横須賀学院高等学校を目指す君たちにメッセージを送ります。

横須賀学院高等学校は、「自分の高校生活を、自分でデザインしたい」と考える君に、特におすすめしたい学校です。最難関大学を目指してとことん勉強に打ち込みたいなら「S選抜コース」、大好きな部活動や生徒会活動で輝きながら、自分に合った進路を見つけたいなら「A進学コース」というように、君の「やりたい」を全力で応援してくれる場所がここにはあります。この学校が大切にしているのは、ルールで縛ることではなく、生徒一人ひとりを信じ、その自主性を育むことです。

受験勉強では、まず自分がどちらのコースで学びたいかを真剣に考えてみてください。S選抜コースを目指すなら、中学の基礎を完璧にした上で、応用問題にもチャレンジする粘り強さが必要です。A進学コースを考えているなら、まずは学校の成績、つまり内申点をしっかり取ることが合格への近道になります。どちらのコースを目指すにしても、横須賀学院高等学校がどんな学校なのかをよく理解し、「ここで高校生活を送りたい」という熱意を伝えることが大切です。君の挑戦を心から応援しています!

※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。