都立国際高等学校は、単に英語を学ぶ場所ではなく、世界へと羽ばたくための「翼」を授けてくれる特別な学び舎です。その合言葉は「Your Wings to the World」。都立高校の中で唯一無二の国際学科として、多様な文化や価値観を持つ仲間たちと切磋琢磨しながら、国内の難関大学はもちろん、世界のトップ大学を目指すことができる環境がここにはあります。
自由で活気あふれる校風の中、高いレベルの学習に挑戦し、一生ものの友人や経験を得たいと考えるあなたにとって、都立国際高等学校での3年間は、間違いなく人生で最も輝く「最高の青春」になるかもしれません。
この記事では、そんな魅力あふれる国際高校のすべてを、進学アドバイザーの視点から詳しく、そして分かりやすく解説していきます。
東京都立国際高等学校の基本情報
まずは、学校の基本的な情報を確認しましょう。学校選びの第一歩として、正確な情報を把握しておくことはとても大切です。
項目 | 内容 |
正式名称 | 東京都立国際高等学校 |
公立/私立の別 | 都立 |
共学/別学 | 共学 |
所在地 | 〒153-0041 東京都目黒区駒場2-19-59 |
代表電話番号 | 03-3468-6811 |
公式サイトURL | https://kokusai-h.metro.ed.jp/ |
東京都立国際高等学校の偏差値・難易度・併願校
都立国際高等学校は、都内でもトップクラスの人気と難易度を誇ります。偏差値だけでなく、合格に必要な内申点の目安や、どのような高校と併願されることが多いのかを具体的に見ていきましょう。
偏差値・難易度
複数の大手学習塾や教育機関のデータによると、都立国際高等学校の偏差値は〜の範囲にあります。これは都立高校全体の中でも上位約10校に入るレベルで、いわゆる「難関校」に位置づけられます。
この学校の難しさは、単に偏差値の高さだけではありません。都立で唯一の国際学科、そして世界的に評価の高い国際バカロレア(IB)コースを持つという強力なブランド力があり、「ここでしか学べないことがある」と考える意欲の高い受験生が都内全域から集まります。その結果、毎年非常に高い応募倍率となり、特にIBコースの入試は倍を超えることもあるほどの狭き門です。つまり、都立国際高等学校の入試は、高い学力に加えて、多くのライバルとの厳しい競争を勝ち抜く必要がある、非常に難易度の高い挑戦と言えるでしょう。
合格に必要な内申点の目安としては、換算内申で〜が一つの基準とされています。これは、通知表の5段階評価で「オール4」に加えて、「5」がいくつか必要になる計算です。特に都立高校の入試では、音楽や美術、体育などの副教科の評点が2倍で計算されるため、主要5教科だけでなく、副教科にもしっかりと取り組むことが合格への鍵となります。
さらに、一般入試の英語は学校が独自に作成する「自校作成問題」が出題され、都立共通問題よりも格段に難易度が高くなっています。学力検査の点数計算では英語の得点が2倍になるため、英語力が合否を大きく左右する最重要科目です。
主な併願校
都立高校が第一志望の場合、他の都立高校を併願することはできません。そのため、都立国際高等学校の受験生は、同じように国際教育に力を入れている私立高校を併願校として選ぶ傾向があります。以下に代表的な併願校を挙げます。
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佼成学園女子高等学校 (国際コース)
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聖学院高等学校 (Global Innovation Class)
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郁文館グローバル高等学校 (Liberal Artsクラス)
これらの学校は、国際的な視野を育むという点で都立国際高等学校と共通の教育理念を持っており、万が一の場合でも、自分の目標に近い環境で高校生活を送ることができる選択肢として人気があります。
東京都立国際高等学校に設置されている学科・コース
都立国際高等学校には、将来の目標に合わせて選べる2つの魅力的なコースが設置されています。どちらのコースを選ぶかによって高校生活のスタイルが大きく変わるため、自分の適性や夢をじっくり考えて選択することが重要です。
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国際学科
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どんなことを学ぶ場所か:学校のメインとなるコースで、高いレベルの外国語能力と国際感覚を養うための専門科目が充実しています。国内の難関大学や海外大学への進学を視野に入れた、質の高いカリキュラムが組まれています。
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どんな生徒におすすめか:将来、国際的な分野で活躍したいと考えており、国内外のレベルの高い大学への進学を目指す人におすすめです。
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国際バカロレア(IB)コース
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どんなことを学ぶ場所か:世界共通の大学入学資格であるIBディプロマの取得を目指す、非常に専門性の高いコースです。授業のほとんどが英語で行われ、探究型・対話型の学習を通して、論理的思考力や表現力を徹底的に鍛えます。
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どんな生徒におすすめか:明確に海外大学への進学を希望し、英語でのハイレベルな学習環境に挑戦する意欲のある人におすすめです。このコースは募集人数が20名と非常に少なく、独立した選抜試験が行われるなど、まさに「学校の中にあるもう一つの学校」と言える特別なプログラムです。
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東京都立国際高等学校の特色・校風
国際高校の最大の魅力の一つが、その独特の校風です。キーワードは「自由闊達」「多様性」「自主自律」「グローバル」。生徒一人ひとりの個性が尊重され、のびのびと学校生活を送れる環境が整っています。
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宿題の量は多いか少ないか
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口コミでは「かなり多い」「半端ない量」という声が多数聞かれます。これは、高い学習レベルを維持するための必然とも言え、日々の予習・復習はもちろん、プレゼンテーションの準備など、常に何かしらの課題に追われる忙しい毎日になるようです。自己管理能力と計画性が求められます。
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校則は厳しいか緩やかか
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全体的に「緩やか」です。制服はブレザーとスラックス・スカートが指定されていますが、髪型や髪色、メイク、ピアスなどに関する厳しい規則はなく、生徒の自主性に任されています。この自由な校風が、生徒たちの豊かな個性を育む土壌となっています。スマホの校内での使用も、マナーを守ることを前提に許可されています。
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生徒たちの雰囲気
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「活発で個性的」「自分の意見をしっかり持っている人が多い」という印象が強いようです。いわゆる「陽キャ」と呼ばれる明るく積極的な生徒が多く、学校行事や部活動にも全力で取り組みます。一方で、様々なバックグラウンドを持つ生徒が集まっているため、「お互いの違いを尊重し、干渉しない」という文化も根付いています。そのため、物静かなタイプの生徒でも、自分の居場所を見つけやすいという声もあります。
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アルバイトは可能か
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校則で禁止はされていませんが、前述の通り課題が非常に多いため、学業と両立させるのはかなり難しいようです。実際にアルバイトをしている生徒は少ないという声が多く聞かれます。
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制服の評判はどうか
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ブレザースタイルの制服は、着こなしの自由度も高く、生徒からは「おしゃれで可愛い」と評判が良いようです。
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土曜授業はあるか
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土曜授業は実施されており、豊富な授業時間を確保しています。
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東京都立国際高等学校の部活動・イベント
勉強だけでなく、部活動や学校行事も国際高校の大きな魅力です。仲間と共に何かに打ち込む経験は、高校生活を何倍も豊かにしてくれます。
部活動
都立国際高等学校には体育系・文化系ともに充実したクラブがあり、多くの生徒が熱心に活動しています。中には全国レベルで活躍する部活動もあります。
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特に有名な部活動
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チアリーディング部:全国大会の常連であり、学校の顔とも言える存在です。高い技術力とチームワークで、数々の大会で上位入賞を果たしています。
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ダンス部:80人以上の部員が所属する大人気の部活です。文化祭などでのパフォーマンスは圧巻で、学校全体を盛り上げます。
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女子バスケットボール部:都大会ベスト32を目標に掲げる強豪チーム。チームワークの良さにも定評があります。
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珍しい部活動
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国際高校の文化部は、学校の理念を体現したユニークな活動が特徴です。
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ジャパニーズスタイル部:和太鼓や琴、三味線といった和楽器を演奏するクラブです。日本の伝統文化を学び、留学生との交流イベントなどで披露することもあり、「日本文化を世界に発信する」という国際高校ならではの活動をしています。
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シンポジウム部:社会問題についてディベートや議論を行う部活です。多様な言語能力を持つ生徒たちが、海外の文献を直接読み解きながら議論を深めることができるのは、この学校ならではの強みです。
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国際協力ボランティア同好会:フェアトレードや環境問題など、グローバルな課題に取り組むボランティア活動を行っています。
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イベント
国際高校のイベントは、生徒が主体となって企画・運営され、その規模と熱量は他の高校を圧倒します。
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桜陽祭(おうようさい・文化祭):毎年9月に行われる、学校最大のイベントです。生徒たちは5月頃から準備を始め、夏休みのほとんどを費やしてクラスや部活の出し物を創り上げます。そのクオリティの高さは有名で、毎年多くの来場者で賑わいます。
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体育祭:5月に開催される体育祭は、全校生徒が赤・白・青の3団に分かれて競い合います。特に、各団が趣向を凝らして披露する応援合戦「演団」は、体育祭の大きな見どころです。ただし、グラウンドが広くないため、保護者を含め一般公開はされていない点に注意が必要です。
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ESCA (English Summer Camp):1年生の夏に参加が必須の、2泊3日の英語合宿です。ネイティブの先生たちと、ディスカッションやプレゼンテーションなど、全ての活動を英語で行います。英語力を飛躍的に向上させると同時に、クラスの絆を深める重要な行事と位置づけられています。
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国際交流:アメリカやオーストラリアなどの姉妹校との交流が盛んで、留学生の受け入れや短期留学の機会が豊富に用意されています。
東京都立国際高等学校の進学実績
都立国際高等学校の進学実績は、この学校の教育レベルの高さを明確に示しています。国内の難関大学への進学と、海外のトップ大学への進学という、2つの大きな流れがあるのが最大の特徴です。
進路カテゴリ | 主な合格大学(2024年・2025年実績より) |
国公立大学 | 東京外国語大学、一橋大学、東京大学、北海道大学、お茶の水女子大学、筑波大学、東京都立大学など |
難関私立大学 | 早稲田大学、慶應義塾大学、上智大学、明治大学、青山学院大学、立教大学、中央大学、法政大学など |
海外大学 | オックスフォード大学、プリンストン大学、ペンシルベニア大学、トロント大学、UCL(ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン)など |
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国公立大学
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語学と国際関係に強いという学校の特性を反映し、毎年、東京外国語大学へ多くの合格者(7〜9名)を輩出しています。また、一橋大学や東京大学、さらには国公立大学医学部といった最難関への合格者も出ており、学力の高さがうかがえます。
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難関私立大学
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私立大学、特に早慶上智への進学実績は圧倒的です。中でも上智大学への合格者数は全国トップクラスとも言われ、毎年40〜60名以上の合格者を出しています。早稲田大学(30〜40名)、慶應義塾大学(15〜30名)にも安定して多数の合格者を輩出しており、GMARCHを含めると非常に多くの生徒が難関私立大学へ進学しています。
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海外大学
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海外大学への進学実績は、日本の公立高校としてはまさに「異次元」と言えるレベルです。これは、世界的な大学入学資格である国際バカロレア(IB)ディプロマを取得できるIBコースの存在が大きく影響しています。IBコースの生徒はほぼ全員が海外大学の合格を勝ち取り、そのうち6〜7割が実際海外へ進学します。
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近年では年間70〜110名以上が海外大学に合格しており、その中にはイギリスのオックスフォード大学やアメリカのプリンストン大学といった、世界最高峰の大学も含まれています。これは、学校が制度として海外進学への道を確立していることの証です。
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進学実績を支える取り組み
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これらの高い進学実績は、英語や国語、数学などで実施されている「習熟度別授業」によって支えられています。帰国生から国内中学の出身者まで、多様な学力層の生徒一人ひとりが、自分に合ったレベルで着実に力を伸ばせるように配慮されています。
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東京都立国際高等学校の特長・アピールポイント
他の高校にはない、都立国際高等学校ならではの強みやユニークな取り組みをまとめました。
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都立高校で唯一の国際バカロレア(IB)コース
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公立高校でありながら、世界トップレベルの大学への扉を開くIBディプロマを取得できる、極めて希少な環境です。
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圧倒的な多様性を持つ生徒構成
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全校生徒の約3割が海外からの帰国生や在京外国人生徒で、その出身国は40カ国以上に及びます。教室がそのまま「小さな地球」のような環境で、日常的に異文化に触れることができます。
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ずば抜けた海外大学合格実績
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日本の公立高校の常識を覆すほどの、質・量ともに卓越した海外大学への進学実績を誇ります。
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自由と自主性を尊重する校風
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緩やかな校則と生徒主体の学校運営を通して、自ら考え行動する「自主自律」の精神が育まれます。
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語学力を徹底的に鍛える習熟度別授業
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ネイティブレベルから初学者まで、全ての生徒が最適な環境で語学力を伸ばせるよう、きめ細かなクラス編成が行われています。
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学校全体が一つになる大規模な学校行事
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生徒が全力で創り上げる「桜陽祭」や、1年生全員で参加する「ESCA」など、一生の思い出になるような体験が待っています。
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充実した第二外国語の選択肢
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英語だけでなく、フランス語、ドイツ語、スペイン語、中国語など、多様な言語を学ぶ機会が提供されており、真の国際人を育成します。
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東京都立国際高等学校の口コミ・評判のまとめ
在校生や卒業生の声から、学校のリアルな姿を探ってみましょう。良い点と、少し気になる点を公平に紹介します。
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良い点
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「とにかく自由。髪を染めてもメイクをしても何も言われず、個性を表現できるのが最高」
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「色々な国から来た友達ができて、毎日が刺激的。世界が広がった」
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「桜陽祭や体育祭は本気で盛り上がる。クラスの団結力がすごく強くなる」
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「英語の授業が面白くて、本当に力がついた。先生たちのサポートも手厚い」
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「自分の意見をしっかり持った尊敬できる仲間がたくさんいる」
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気になる点
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この学校の「気になる点」は、実はその長所の裏返しであることが多いです。例えば、「高い学力レベル」は「大量の課題」に、「自由で活発な校風」は「大人しい生徒には少し馴染みにくい雰囲気」に繋がることがあります。これらを理解した上で、自分に合うかどうかを判断することが大切です。
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「課題の量が本当に多くて、自分の時間がなかなか取れないのが辛い」
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「都立なので仕方ないが、校舎や施設が古く、私立に比べると見劣りする」
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「明るくて積極的な生徒が多いので、人見知りな性格だと最初は圧倒されるかもしれない」
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「先生の異動があるので、先生によって授業の質にばらつきがあると感じることもあった」
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アクセス・通学
都心にありながら緑豊かな環境に恵まれた、通学しやすい立地です。
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最寄り駅からのアクセス
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京王井の頭線 「駒場東大前」駅 西口より徒歩5分
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京王井の頭線 「池ノ上」駅 より徒歩7分
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通学ワンポイント
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朝のラッシュ時(8:00〜8:30頃)、駒場東大前駅近くの踏切は長時間開かないことがあります。その時間帯は、駅を出て踏切を渡らずに駒場野公園の中を通るルートがおすすめです。
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通学エリア
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渋谷へのアクセスが非常に良いため、都内全域から生徒が通学しています。特に、目黒区、世田谷区、渋谷区、新宿区などから通う生徒が多いようです。
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東京都立国際高等学校受験生へのワンポイントアドバイス
最後に、進学アドバイザーとして、この学校を目指す皆さんへ応援メッセージを送ります。
都立国際高等学校は、ただ英語が好きというだけでなく、多様な文化や価値観に触れることに心からワクワクできる、知的好奇心にあふれた生徒にぴったりの場所です。忙しい毎日の中でも、高い目標に向かって仲間と努力することを楽しめる、自立した生徒が求められています。
受験勉強では、何よりも英語に力を入れてください。都立国際高等学校の英語は難関ですが、それだけに最も差がつく科目でもあります。過去問を徹底的に分析し、長文読解力と英作文の力を磨き上げましょう。そして、面接や推薦入試では、「なぜ自分は国際高校で学びたいのか」を、自分の言葉で、自分の夢と結びつけて熱く語れるように準備しておくことが大切です。あなたの挑戦を心から応援しています!
※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。