津山工業高等専門学校、通称「津山高専」は、中学を卒業した時点から5年間、専門的な技術者教育を受けられるユニークな国立の学校です。一般的な高校とは異なり、大学の工学部に近い高度な内容を早期から学べるのが大きな魅力。中学3年生の皆さんの中には、「将来はものづくりやITの世界で活躍したい」「早く専門知識を身につけて社会に出たい」と考えている人もいるのではないでしょうか。

そんな皆さんにぜひ知ってほしいのが、この津山高専です。5年間の一貫教育を通じて、即戦力となる技術者を目指せるだけでなく、卒業後の進路も就職から大学編入まで幅広く開かれています。特に、岡山県北部の自然豊かな環境の中で、充実した設備を使って専門分野に没頭できるのは、津山高専ならではの特権と言えるでしょう。

この記事では、津山高専がどんな学校なのか、偏差値や難易度、学校生活の様子、そして卒業後の未来まで、受験生と保護者の皆さんが本当に知りたい情報を、進学アドバイザーとして分かりやすく解説していきます。あなたの未来の選択肢の一つとして、じっくり読んでみてください。

津山工業高等専門学校の基本情報

津山工業高等専門学校の基本的な情報を表にまとめました。

項目 内容
正式名称 独立行政法人国立高等専門学校機構 津山工業高等専門学校
公立/私立の別 国立
共学/男子校/女子校の別 男女共学
所在地 〒708-8509 岡山県津山市沼624-1
代表電話番号 0868-24-8200
公式サイト https://www.tsuyama-ct.ac.jp/

津山工業高等専門学校の偏差値・難易度・併願校

津山工業高等専門学校を目指す上で気になる偏差値や難易度について見ていきましょう。

偏差値・難易度

津山高専の偏差値は「59」とされており、岡山県内の高校の中では上位に位置します。 同じくらいの偏差値の高校としては、岡山学芸館高校のスーパーV科や関西高校の国立進学科などが挙げられます。 高専の入試は、一般的な高校とは異なり、特に数学と理科の配点を高く設定しているのが特徴です。 そのため、これらの科目が得意な生徒にとっては、実力を発揮しやすいと言えるでしょう。

合格に必要な内申点の明確な基準は公表されていませんが、推薦選抜では中学校での成績が重視されます。 学力選抜においても調査書が点数化されるため、中学時代の学習成績もしっかりと評価されると考えておきましょう。

主な併願校

岡山県の入試制度上、国立である津山高専と公立高校の併願は可能です。しかし、多くの受験生は、専門分野の学習という共通点や、学力レベルの観点から私立高校を併願する傾向があります。

主な併願校としては、以下のような高校が挙げられます。

  • 岡山理科大学附属高等学校

  • 作陽学園高等学校

  • 美作高等学校

これらの高校は、それぞれ特色あるコースを設置しており、津山高専の受験生の選択肢として考えられることが多いようです。

津山工業高等専門学校に設置されている学科・コース

津山工業高等専門学校は、1年生のうちは全員が共通の基礎科目を学び、2年生に進級する際に希望や成績に応じて以下の4つの系に分かれます。

  • 先進科学系

    • どんなことを学ぶ?:数学、物理、化学、生物といった理学の基礎から、バイオテクノロジーなどの応用科学まで幅広く探求します。

    • どんな生徒におすすめ?:自然科学の謎を解き明かしたい、新しい技術の種を見つけたいという探究心旺盛な人におすすめです。

  • 機械システム系

    • どんなことを学ぶ?:身の回りの機械製品から自動車、ロボットまで、様々な機械を設計・製作するための技術や知識を学びます。

    • どんな生徒におすすめ?:ものづくりが好き、自分で考えたものを形にして動かしてみたいという創造力豊かな人に向いています。

  • 電気電子システム系

    • どんなことを学ぶ?:電気エネルギー、電子回路、通信技術など、現代社会に不可欠な電気電子工学の基礎から応用までを学びます。

    • どんな生徒におすすめ?:電気の仕組みに興味がある、ロボットやコンピュータの制御に関わってみたい人におすすめです。

  • 情報システム系

    • どんなことを学ぶ?:プログラミング、ソフトウェア開発、ネットワーク技術、AIなど、情報化社会を支える最先端のITスキルを身につけます。

    • どんな生徒におすすめ?:パソコンやスマートフォンが好き、新しいアプリやサービスを創り出してみたいという人におすすめです。

津山工業高等専門学校の特色・校風

津山工業高等専門学校は、専門知識を学ぶ場であると同時に、5年間という長い時間を過ごす生活の場でもあります。その特色や校風について、口コミなどを基に詳しく見ていきましょう。

  • 校風:自律・創造・自由

  • 宿題の量:レポートや課題は多く、特に専門科目が多くなる高学年では大変だという声が多いようです。 計画的に学習を進める自己管理能力が求められます。

  • 校則:他の高校と比較して、校則は緩やかであるという意見が多く見られます。 私服での通学が可能で、髪型や髪色、化粧についても比較的自由なようです。 この自由さは、学生の自主性を尊重する高専ならではの校風と言えるでしょう。

  • 生徒たちの雰囲気:専門分野への関心が高い生徒が集まっているため、共通の趣味や話題で盛り上がることが多いようです。 テスト前には学生同士で教え合うなど、協力的な雰囲気も見られます。 真面目に学習に取り組む一方で、アニメやゲーム、バイクなどが好きな生徒も多く、多様性があるようです。

  • アルバイト:アルバイトは原則として禁止されていませんが、学業との両立が前提となります。多くの課題をこなしながらになるため、実際にアルバイトをしている学生は限られるかもしれません。

  • 制服の評判:制服はなく、私服での通学となります。

  • 土曜授業:基本的に土曜授業はありません。

津山工業高等専門学校の部活動・イベント

部活動

津山高専では、多くの学生が部活動に熱心に取り組んでいます。運動部、文化部ともに充実しており、高専ならではの特色ある部活も活発に活動しています。

特に有名なのが、NHKの番組でもおなじみの「高専ロボコン」に出場する部活動です。津山高専は全国大会の常連校の一つであり、毎年独創的なアイデアと高い技術力で好成績を収めています。 ものづくりが好きな生徒にとっては、最高の環境と言えるでしょう。その他にも、プログラミングコンテストなどで活躍するシステム研究部など、専門知識を活かせる文化部が人気です。

運動部も盛んで、多くの部が中国地区高専体育大会で優秀な成績を収め、全国大会に出場しています。

イベント

津山高専の最大のイベントは、秋に開催される「弥生祭」と呼ばれる学校祭です。クラスや部活動ごとの展示、模擬店、ステージ企画などが行われ、学生たちが日頃の学習や活動の成果を発表する場となっています。地域の人々も多く訪れ、大変な盛り上がりを見せるようです。

その他にも、クラス対抗で競い合うスポーツ大会や、寮生向けのイベントなども企画されており、学生生活を彩る行事が充実しています。

津山工業高等専門学校の進学実績

津山工業高等専門学校の卒業後の進路は、就職と進学が大きな柱となります。5年間の学びを活かした多様な選択肢があるのが高専の強みです。

就職

津山高専の就職率は非常に高く、毎年多くの企業から求人が寄せられます。 令和4年度の求人倍率は29.8倍にものぼり、就職希望者の就職率は100%を誇ります。 卒業生は、製造業、情報通信業、建設業など、幅広い分野の技術系総合職として活躍しています。

進学

卒業生の約3割から4割は、さらに高度な学問を追求するために進学の道を選びます。 主な進学先は以下の通りです。

  • 津山高専専攻科:本科5年間の教育の上に、さらに2年間の高度な専門教育を受ける課程です。修了すると、大学卒業と同等の「学士」の学位が取得できます。

  • 国公立大学への編入学:多くの国公立大学(特に工学部)には、高専卒業生を対象とした3年次編入制度があります。津山高専からは、岡山大学、豊橋技術科学大学、長岡技術科学大学などをはじめ、名古屋大学や九州大学といった難関大学への編入実績もあります。

高専からの大学編入は、一般入試に比べて試験科目が少ないなど、有利な点が多いと言われています。

津山工業高等専門学校の特長・アピールポイント

他の高校にはない、津山工業高等専門学校ならではの強みやユニークな取り組みを7つのポイントにまとめました。

  • 5年間の一貫した専門教育:中学卒業後すぐに、大学工学部に相当するレベルの専門教育をスタートできます。 じっくりと腰を据えて、得意な分野の知識と技術を深めることが可能です。

  • 実践を重視したカリキュラム:実験や実習の時間が豊富に用意されており、「ものづくり」の現場で通用する実践的な技術力が身につきます。

  • 高い就職率と優良企業からの求人:卒業生は産業界から高く評価されており、就職希望者の就職率は毎年ほぼ100%を達成しています。

  • 国公立大学への編入に有利:多くの国公立大学に、高専生向けの3年次編入制度が設けられています。 一般入試よりも少ない科目で受験できる場合が多く、進学の選択肢も豊富です。

  • 自由で自主性を重んじる校風:私服通学が可能で、校則も比較的緩やかです。 学生の自主性を尊重し、のびのびと学習・研究に打ち込める環境が整っています。

  • 充実した施設・設備:広大なキャンパスには、各専門分野の最新の実験・研究設備が整っています。図書館には専門書が豊富に揃い、学習環境は非常に恵まれています。

  • 国際交流への積極的な取り組み:中国・四国地区高専の国際交流拠点校として、海外の大学との連携や、学生の海外派遣・受け入れを積極的に行っています。 グローバルな視野を持った技術者を目指せます。

津山工業高等専門学校の口コミ・評判のまとめ

津山工業高等専門学校について、在校生や卒業生からは様々な声が寄せられています。良い点と気になる点を公平に見ていきましょう。

良い点

  • 専門的な知識が深く学べる:「将来やりたいことが決まっている人には最高の環境」「大学レベルの実験が早くからできるのが魅力」といった、専門教育の質の高さを評価する声が多数あります。

  • 就職に非常に強い:「就職率が100%なのは安心」「有名な企業からの求人がたくさん来る」など、将来の安定性を魅力に感じる意見が多いです。

  • 自由な校風でのびのび過ごせる:「校則が緩やかで自分らしいスタイルでいられる」「先生との距離が近く、質問しやすい」といった、自主性を尊重する雰囲気が良いという声が見られます。

  • 共通の趣味を持つ仲間と出会える:「アニメや機械いじりなど、同じ趣味の友達が見つかりやすい」「専門的な話ができる仲間がいるのが楽しい」という意見も多いです。

気になる点

  • 課題やレポートが多くて大変:「とにかくレポートが多い」「テスト前は寝る時間がないこともある」など、学業の負担が大きいという声は少なくありません。

  • 留年のリスクがある:進級の基準が厳しく、単位を落とすと留年する可能性があるという点は、高専ならではの厳しさと言えるでしょう。

  • 立地・交通の便:「最寄り駅から遠い」「バスの本数が少ない」など、通学の便に関する指摘が見られます。

  • 寮生活の厳しさ:寮生活、特に1年生のうちは上下関係や指導が厳しいと感じる学生もいるようです。

アクセス・通学

津山工業高等専門学校への主なアクセス方法は以下の通りです。

  • 最寄り駅からのアクセス:

    • JR「津山駅」から中鉄北部バス(スポーツセンター行き)で約15〜20分、「沼住居跡入口(津山高専入口)」バス停下車、徒歩約3〜7分。

    • JR「津山駅」からタクシーで約15分。

    • JR「津山駅」「東津山駅」から徒歩の場合は約44分かかります。

津山市内や美作市、真庭市など岡山県北部から通学している生徒が多いですが、県南や県外からの生徒のために「北辰寮」という学生寮も完備されています。

津山工業高等専門学校受験生へのワンポイントアドバイス

ここまで読んでくれてありがとう。津山工業高等専門学校という学校の魅力と、少し大変な部分の両方が見えてきたのではないでしょうか。

最後に、進学アドバイザーとして、津山高専を目指す君にメッセージを送ります。この学校は、「ものづくりが好き」「プログラミングに夢中」「科学のナゼ?を突き詰めたい」そんな探究心と情熱を持った君にこそ、ぴったりの場所です。5年間という長い時間、同じ目標を持つ仲間と切磋琢磨しながら専門性を磨ける環境は、他では得られない貴重な経験になるはずです。

津山高専の入試、特に学力検査では数学と理科が重視されます。この2教科は、得意な人にとっては大きな武器になります。まずは中学校の範囲を完璧に理解し、応用問題にもチャレンジする習慣をつけましょう。そして、なぜそうなるのか、本質を理解することを大切にしてください。それが高専での学びの礎となります。君の挑戦を心から応援しています!

※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。