岡山朝日高等学校は、岡山県内でトップクラスの学力と長い歴史を誇る、誰もが知る進学校です。しかし、その本当の魅力は、偏差値の高さだけに留まりません。150年近い伝統の中で培われてきた「自主自律」の精神こそが、この学校の核となる価値観であり、生徒一人ひとりを未来のリーダーへと育む土壌となっています。
ここで学ぶ3年間は、単に大学合格を目指すだけの期間ではありません。「自重互敬」(自分を重んじ、互いに敬う)や「のびのびときまりよく」といった言葉に象徴されるように、生徒に大きな自由と信頼が与えられます。その自由の中で自らを律し、仲間と切磋琢磨しながら、学問だけでなく人間的にも大きく成長することが求められるのです。
この記事では、そんな岡山朝日高等学校の偏差値や進学実績といったデータはもちろん、校風や部活動、在校生のリアルな声まで、中学生とその保護者の皆さんが本当に知りたい情報を、進学アドバイザーの視点から詳しく、そして分かりやすく解説していきます。岡山朝日高等学校が、あなたにとって最高の学び舎となるのか、一緒に探っていきましょう。
岡山朝日高等学校の基本情報
まずは、学校の基本的な情報を確認しましょう。
項目 | 内容 |
正式名称 | 岡山県立岡山朝日高等学校 |
公立/私立の別 | 公立 |
共学/別学の別 | 男女共学 |
所在地 | 〒703-8278 岡山県岡山市中区古京町2丁目2-21 |
代表電話番号 | 086-272-1271 |
公式サイトURL | https://www.asahi.okayama-c.ed.jp/ |
岡山朝日高等学校の偏差値・難易度・併願校
岡山朝日高等学校の学力レベルと、合格に向けてどのような準備が必要かを見ていきましょう。
偏差値・難易度
岡山朝日高等学校の偏差値は、岡山県内の高校で最も高い水準にあります。
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普通科: 偏差値 69
この偏差値は、岡山県内のトップであり、全国的に見ても非常に高いレベルです。同じくらいの偏差値を持つ高校としては、岡山操山高等学校(普通科/偏差値68)、岡山城東高等学校(普通科国際教養分野/偏差値68)、倉敷青陵高等学校(普通科/偏差値67)などが挙げられます。これらの高校と共に、岡山朝日高等学校は県内の最難関校グループを形成しています。
合格に必要な内申点の目安
岡山朝日高等学校の入試では、当日の学力検査の得点だけでなく、中学校3年間の成績を点数化した「内申点」も非常に重要です。合格者の内申点には一定の傾向が見られます。
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安全圏: 189点以上 (200点満点)
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中学3年間、ほぼ全ての教科で評定「5」を獲得しているレベルです。この層の受験生は、当日の学力検査で多少のミスがあっても合格の可能性が非常に高いと言えます。
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合格圏内: 180点〜188点
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多くの合格者がこの範囲にいます。評定「5」を中心に、「4」がいくつかあるイメージです。当日の学力検査で7割以上の得点を目指すことで、合格を確実なものにできます。
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チャンスあり: 170点〜179点
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合格の可能性は十分にありますが、学力検査での高得点が必須となります。特に、岡山朝日高等学校が独自に作成する国語・数学・英語で高得点を取ることが、逆転合格の鍵となります。
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厳しい戦い: 169点以下
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この内申点で合格する生徒もいますが、学力検査で他の受験生を圧倒するほどの高得点を取る必要があります。理科・社会で9割以上、独自問題の3教科で8割以上を目指すような学力が求められます。
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このように、岡山朝日高等学校の合格を勝ち取るためには、中学1年生の時からコツコツと全教科で高い成績を維持することが不可欠です。これは、入学後に求められる「自主自律」の学習姿勢を、中学時代から実践できているかどうかが問われているとも言えるでしょう。
主な併願校
岡山県の公立高校入試では、他の公立高校を併願することはできません。そのため、岡山朝日高等学校を第一志望とする受験生の多くは、滑り止めとして難易度の高い私立高校を受験します。主な併願先は以下の通りです。
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就実高等学校(特別進学ハイグレードクラス、特別進学アドバンスクラス)
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明誠学院高等学校(特別進学コースⅢ類、特別進学コースⅡ類)
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岡山学芸館高等学校(スーパーVコース)
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岡山白陵高等学校(普通科)
これらの私立高校の特進コースは、岡山朝日高等学校に合格する学力を持つ生徒たちが集まるため、万が一の場合でも高いレベルの学習環境を確保できる選択肢として人気があります。中には、より高い目標として広島大学附属福山高等学校を受験し、岡山朝日高等学校を併願する生徒もいます。
岡山朝日高等学校に設置されている学科・コース
岡山朝日高等学校に設置されている学科は「普通科」のみですが、生徒の進路希望や興味関心に合わせて、2年生から専門的なコース(系)に分かれて学びを深めていきます。
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普通科
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1年生では、文系・理系を問わず全員が同じカリキュラムで基礎学力を徹底的に固めます。
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2年生からは、以下のコース(系)に分かれます。
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文系:国語、地理歴史、公民、英語などを中心に学び、法学、経済学、文学、国際関係学など人文・社会科学系の大学進学を目指します。
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理系:数学、理科(物理・化学・生物)を中心に学び、理学、工学、医学、薬学、農学など自然科学系の大学進学を目指します。
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学術探究系:これは岡山朝日高等学校の大きな特長の一つです。国際科学オリンピックへの挑戦、長期海外留学、芸術・スポーツ分野での高度な活動など、特定の分野で非常に高い目標を持つ生徒のためのコースです。通常の授業と並行して、個別のテーマに基づいた探究活動に多くの時間を割くことができ、学校の「自主自律」の精神を最も体現したコースと言えるでしょう。
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岡山朝日高等学校の特色・校風
岡山朝日高等学校の最も大きな特色は、その校風にあります。キーワードは「自主自律」「自由闊達」「文武両道」です。
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宿題の量と学習スタイル
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「宿題」という形で出される課題は、他校と比べて特別多いわけではないかもしれません。しかし、授業のレベルが非常に高く、進むスピードも速いため、毎日の「予習」が必須です。55分間の授業を最大限に活用するためには、生徒が自ら準備して授業に臨むことが前提となっています。予習を怠ると、あっという間についていけなくなるという声が多く、自己管理能力が強く求められます。また、週末には模試が組まれることも多く、常に学力を試される環境です。
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校則(スマホ、服装など)
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校則は「のびのびときまりよく」という標語の通り、比較的緩やかです。服装検査などもほとんどなく、生徒の自主性に任されています。制服は男子が伝統的な学ラン、女子がセーラー服ですが、着こなしについても厳しく指導されることは少ないようです。スマホの校内での使用についても、常識の範囲内での利用が認められていると考えられます。これは、ルールで縛るのではなく、生徒一人ひとりがTPOをわきまえて行動することを信頼している、という学校の姿勢の表れです。
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生徒たちの雰囲気
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「いい意味で変わった人が多い」「奇人変人がいて面白い」といった口コミが多数見られます。知的好奇心が旺盛で、自分の好きなことをとことん追求するタイプの生徒が多く集まるため、互いに知的な刺激を受けながら高め合える「切磋琢磨」できる環境です。友人との会話のレベルも高く、学校生活は非常に楽しいという声が目立ちます。
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アルバイト
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校則で明確に禁止されているわけではありませんが、膨大な学習量を考えると、学業と両立してアルバイトをすることは現実的に非常に難しいでしょう。ほとんどの生徒が勉強と部活動に集中しているようです。
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制服の評判
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伝統的なデザインの制服です。特に女子のセーラー服は、歴史ある進学校の象徴として好意的に受け止められているようです。前述の通り、着こなしの自由度が高いことも特徴です。
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土曜授業
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正規の授業として土曜授業が毎週あるわけではありません。しかし、模試や補習、進路行事などが土曜日に行われることが多く、多くの生徒にとって土曜日も学校で過ごす日となっています。
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岡山朝日高等学校の部活動・イベント
「文武両道」を掲げる岡山朝日高等学校は、勉強だけでなく、部活動や学校行事も非常に盛んです。
部活動
運動部15、文化部22、同好会4と、県内でも屈指の部活動数を誇り、1年生の部活動加入率は90%近くに達します。多くの部が全国大会や中国大会で活躍しています。
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特に実績豊富な部活動
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ダンス部:全国大会の常連で、アメリカで行われる国際大会でも総合2位に入るなど、世界レベルで活躍しています。
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文学部:俳句の全国大会である「俳句甲子園」で個人の部で最優秀賞(文部科学大臣賞)を受賞するなど、輝かしい実績を誇ります。
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管弦楽部:全国高等学校選抜オーケストラフェスタに18年連続で出場している伝統ある部です。
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囲碁将棋部:囲碁、将棋ともに全国大会に出場する強豪です。
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科学系部活動(物理、化学、生物):国際科学オリンピックに日本代表として参加し、金メダルや銀メダルを獲得する生徒を輩出しています。
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珍しい部活動
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山岳部:操山をフィールドに活動し、中国大会にも出場しています。
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ジャグリング部やクッキング同好会、生徒同士の支え合い活動を行うピアサポート同好会など、ユニークな活動も盛んです。
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イベント
生徒が主体となって作り上げる行事は、岡山朝日高校での学校生活を彩る大きな魅力です。
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朝日祭(文化祭・体育祭)
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3日間にわたって開催される学校最大のイベントです。文化祭では、部活動や有志によるステージ発表、クラスごとの展示、3年生による模擬店などで大変な盛り上がりを見せます。体育祭は、クラスを縦割りにしたブロック対抗戦で、2年生が中心となる「応援合戦」や、3年生の「仮装行列」は圧巻の一言。企画から運営まで生徒が中心となって行い、全校生徒が一体となって燃え上がります。
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富士登山
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1950年から続く1年生希望者対象の伝統行事です。夏休みに100名以上の生徒が参加し、日本一の頂を目指します。厳しい自然に挑戦する経験は、大きな自信と仲間との強い絆を育みます。
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修学旅行
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2年生で行く修学旅行は、単なる観光旅行ではありません。進路学習の一環として、東京大学などの大学や最先端の企業を訪問する研修が組み込まれており、将来のキャリアを考える貴重な機会となっています。
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岡山朝日高等学校の進学実績
岡山朝日高等学校は、全国でもトップクラスの大学進学実績を誇ります。生徒の高い志を現実のものにするための、手厚いサポート体制が整っています。
最新の大学進学実績
2025年度(令和7年度)入試では、「神レベル」と評されるほどの素晴らしい結果を残しました。
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国公立大学
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東京大学:21名(うち現役12名)
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京都大学:14名(うち現役12名)
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大阪大学:33名
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旧帝国大学(東大、京大、阪大、九大、北大、東北大、名大)合計:91名
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国公立大学医学部医学科:33名
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国公立大学全体では、令和6年度に277名の合格者を出しています。
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難関私立大学
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早稲田大学、慶應義塾大学、MARCH(明治、青山学院、立教、中央、法政)、関関同立(関西、関西学院、同志社、立命館)といった難関私立大学にも、毎年多数の合格者を輩出しています。私立大学全体の合格者数は、令和6年度で574名にのぼります。
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進学実績を支える取り組み
高い進学実績は、生徒自身の努力はもちろん、学校のきめ細やかな進路指導によって支えられています。
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志望校別ガイダンス:東京大学・京都大学ガイダンス、難関大学ガイダンス、医学部ガイダンスなど、志望校や分野に特化したガイダンスが頻繁に開催されます。
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卒業生との連携:各ガイダンスには、実際にその大学に通っている卒業生が招かれ、座談会形式で大学での研究や生活、リアルな受験体験談などを直接聞くことができます。これは、生徒にとって具体的な目標設定とモチベーション向上に繋がっています。
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「入れる大学」より「入るべき大学」へ:学校の進路指導の基本方針は、単に合格できそうな大学を探すのではなく、生徒一人ひとりの将来を見据え、「その生徒が入るべき大学」に合格できる学力をつけることにあります。このため、生徒は安易に志望校のレベルを下げず、高い目標に挑戦し続けます。この文化が、浪人してでも第一志望を目指す「浪人文化」にも繋がっており、浪人後の難関大合格者数が多いのも岡山朝日高等学校の特長です。
岡山朝日高等学校の特長・アピールポイント
他の高校にはない、岡山朝日高等学校ならではの強みや魅力をまとめました。
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「自主自律」を育む圧倒的な自由な校風
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厳しい校則で縛るのではなく、生徒一人ひとりの良識と主体性を信頼する文化が根付いています。この自由な環境が、社会で通用する自己管理能力と責任感を育みます。
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全国屈指の進学実績と高い目標を目指す文化
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東京大学・京都大学をはじめとする最難関大学や医学部へ、毎年安定して多数の合格者を輩出しています。安易に妥協せず、浪人してでも第一志望を目指す生徒が多く、校内には常に高い目標に挑戦する雰囲気が満ちています。
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切磋琢磨できる優秀で個性的な仲間たち
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県内トップレベルの学力を持つ生徒が集まるだけでなく、様々な分野に強い興味や才能を持つ「面白い」生徒が多いのが特長です。互いに刺激し合い、高め合える友人関係は一生の財産になります。
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生徒が主役となって燃え上がる伝統行事
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全校生徒が企画・運営から参加する「朝日祭」や、60年以上の歴史を持つ「富士登山」など、勉強だけでは得られない達成感や一体感を味わえる大規模な伝統行事が数多くあります。
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才能を最大限に伸ばす「学術探究系」コース
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国際科学オリンピックや海外トップ大学のプログラムへの参加など、特に秀でた才能を持つ生徒が、自分の興味をとことん追求できる特別なコースが用意されています。学校全体で生徒の挑戦を後押しする体制が整っています。
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文武両道を本気で実践できる環境
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非常に多くの部活動が存在し、加入率も高いです。ダンス部や文学部、科学系の部活のように全国・世界レベルで活躍する部も多く、勉強と部活動を高いレベルで両立させたい生徒にとって最高の環境です。
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岡山朝日高等学校の口コミ・評判のまとめ
在校生や卒業生からは、学校の特色を反映した様々な声が寄せられています。公平を期すために、ポジティブな意見とネガティブな意見の両方を紹介します。
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良い点
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「周りのレベルが高く、友人と切磋琢磨できる環境が最高。毎日が楽しい」
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「先生方は質問に行けば丁寧に教えてくれるし、進路相談にも親身に乗ってくれる」
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「自主自律の校風なので、自分で考えて行動する力が身についた」
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「行事が本当に楽しくて、クラスの団結力が強まる。一生の思い出になる」
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「いわゆる『変人』が多くて面白い。自分の好きなことを隠さずにいられる雰囲気がある」
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「勉強だけでなく部活動も本気でできる。文武両道を実践したい人には最高の学校」
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気になる点
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「授業の進度が速く、予習が大変。自分で勉強を管理できないとすぐにおいていかれる」
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「一部の先生の東大・京大へのこだわりが強く、それ以外の進路を考えていると少し窮屈に感じることがある」
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「自主自律は聞こえがいいが、結局は自己責任。勉強でつまずいた時に、手厚いサポートがあるわけではない」
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「校舎や施設が少し古いと感じる部分がある」
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「『朝日ブランド』に惹かれて入ると、周りのレベルの高さと勉強の大変さに圧倒されて後悔する可能性がある」
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アクセス・通学
岡山朝日高等学校への主な通学方法です。JR岡山駅周辺から自転車で通学する生徒も多いようです。
アクセス方法 | 最寄り駅・バス停 | 所要時間 |
路面電車 | 岡電東山線「東山・おかでんミュージアム駅」 | 徒歩 約6分 |
路面電車 | 岡電東山線「中納言駅」 | 徒歩 約9分 |
バス | 岡電バス・宇野バス「朝日高前」 | 徒歩 約3分 |
バス | 両備バス「古京」 | 徒歩 約3分 |
自転車 | JR岡山駅から | 約15分 |
自転車 | JR西川原駅から | 約10分 |
通学エリアは岡山市内全域はもちろん、倉敷市や玉野市、赤磐市など、県内の広範囲に及びます。遠方からJRを利用し、岡山駅からバスや自転車に乗り換えて通学する生徒も少なくありません。
岡山朝日高等学校受験生へのワンポイントアドバイス
ここまで読んでいただき、岡山朝日高等学校の魅力と厳しさの両面が見えてきたかと思います。最後に、進学アドバイザーとして、この学校を目指す皆さんへ応援メッセージを送ります。
岡山朝日高等学校は、「自分で自分の道を切り拓きたい」という強い意志を持つ生徒に特におすすめです。誰かに指示されるのを待つのではなく、知的好奇心に突き動かされて自ら学び、高い目標に向かって努力を続けられる人にとって、これ以上ない成長の舞台となるでしょう。また、勉強だけでなく、学校行事や部活動にも全力で打ち込み、充実した3年間を送りたいと考える人にも最適な環境です。岡山朝日高等学校が求めるのは、まさにそんな「自律した学習者」なのです。
受験勉強においては、内申点対策と学力検査対策の両輪が不可欠です。特に学力検査では、県立高校共通問題の理科・社会で満点近くを取ることを目指しつつ、学校独自に作成される国語・数学・英語でいかに得点できるかが合否を分けます。過去問を徹底的に分析し、応用力や思考力を問う問題に慣れておくことが重要です。大変な道のりですが、岡山朝日高等学校での学びは、あなたの人生を間違いなく豊かにしてくれます。高い志を持って、挑戦してください。応援しています。
※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。