香川県立高松高等学校は、130年以上の輝かしい歴史を誇る、県内屈指の伝統校です。地元では「高高(たかこう)」の愛称で親しまれ、その名は学業における卓越性の代名詞ともなっています。毎年、高い志を持つ多くの生徒がこの門をくぐり、切磋琢磨しながら未来への扉を開いています。卒業生は5万4千名を超え、国内外の様々な分野で社会をリードする存在として活躍しています。
この学校には、実は明確な「校訓」が存在しません。その代わりに、生徒たちの心に深く根付いているのが、校歌の一節にも謳われる「独立自主」という言葉です。これは、誰かに指示されるのを待つのではなく、自らの意志で考え、学び、行動することを尊ぶ精神です。この「独立自主」の精神こそが、自由闊達な校風を生み出し、生徒一人ひとりの無限の可能性を引き出す源泉となっています。これからご紹介する高松高校の姿は、この言葉を抜きにしては語れません。
高校選びは、皆さんの人生にとって非常に大きな一歩です。この記事では、進学アドバイザーとして、香川県立高松高等学校がどのような場所なのか、偏差値や進学実績といったデータはもちろん、学校生活のリアルな雰囲気、先輩たちの本音の口コミまで、多角的に、そして深く掘り下げてお伝えします。この記事が、皆さんと保護者の皆様にとって、最高の3年間を選ぶための確かな道しるべとなることを心から願っています。
香川県立高松高等学校の基本情報
まずは、学校の基本的な情報を確認しましょう。進路を考える上で最も基礎となる大切なデータです。
項目 | 内容 |
正式名称 | 香川県立高松高等学校 |
公立/私立の別 | 公立 |
共学/別学 | 男女共学 |
所在地 | 〒760-0017 香川県高松市番町3丁目1番1号 |
代表電話番号 | 087-831-7251 |
公式サイトURL | https://www.kagawa-edu.jp/takah02/ |
香川県立高松高等学校の偏差値・難易度・併願校
高松高校の学力レベルと、合格に向けてどのような準備が必要かを見ていきましょう。
偏差値・難易度
高松高校の偏差値は「73」とされており、香川県内のすべての高校の中で最も高い数値です。これは、入学するためには県内トップクラスの学力が求められることを意味します。
偏差値だけで難易度を測るのは難しいかもしれません。そこで、より具体的に合格の目安を考えてみましょう。香川県の公立高校入試では、中学時代の成績を点数化した「内申点」と、入試当日の「学力検査」の合計点で合否が判断されます。高松高校を目指す上で、この内申点が非常に重要になります。
一部で「高松高校は内申点より当日の点数重視」という噂を聞くことがあるかもしれませんが、それは誤解です。実際には内申点は合否に大きく影響します。合格者の平均内申点は220点満点中200点前後と言われています。これは、通知表の9教科のほとんどで「5」を取る必要があるレベルです。
以下に、内申点の目安をまとめました。自分の目標設定の参考にしてください。
評価 | 内申点(220点満点) | 目安 |
安全圏 | 210点以上 | 合格の可能性が非常に高いライン。 |
標準圏 | 200点前後 | 合格者の平均的なライン。まずはここを目指しましょう。 |
合格可能圏 | 190点前後 | ボーダーライン。当日の学力検査で高得点が必要です。 |
危険域 | 190点未満 | 合格は厳しい状況。内申点を上げる努力が不可欠です。 |
一般的に、合格の目安は「内申点+当日点」の合計が400点以上とされています。例えば、内申点が200点の場合、当日の学力検査(250点満点)で200点(各教科平均40点)以上を取ることが目標になります。自分の内申点から、当日何点取る必要があるのかを逆算して、学習計画を立てることが合格への鍵となります。
主な併願校
香川県の公立高校入試では、原則として公立高校を複数併願することはできません。そのため、高松高校を受験する生徒の多くは、万が一の場合に備えて私立高校を併願します。学力レベルや進学実績から、主に以下の2校が併願先として選ばれることが多いです。
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大手前高松高等学校(栄冠進学SSコース・Sコース)
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香川誠陵高等学校
ここで大切なのは、併願校選びを単なる「滑り止め」として考えないことです。この2校と高松高校の教育方針を比較することは、自分がどのような環境で学びたいのかを考える絶好の機会になります。
高松高校の校風が「独立自主」であり、生徒の自主性に任せる部分が大きい自由な環境であるのに対し、併願校はより手厚いサポートや管理体制を特色としています。例えば、大手前高松高校は「生徒一人ひとりの面倒をよく見てくれる」と評され、夜遅くまで自習できるサポート体制などが充実しています。一方、香川誠陵高等学校は土曜授業や寮生活を通じて学習習慣を徹底的に「鍛える」という、より管理された環境を提供しています。
もしあなたが「手厚いサポートがあった方が安心できる」「厳しい環境で自分を追い込みたい」と感じるなら、高松高校の「自由」が合わない可能性もあります。併願校の学校説明会にも参加し、「自分はどの学校の教育方針に一番共感できるか」をじっくり考えてみてください。それは、高松高校が本当に自分に合った場所なのかを見極めるための、重要な自己分析にも繋がるはずです。
香川県立高松高等学校に設置されている学科・コース
高松高校の全日制課程に設置されている学科は「普通科」のみです。1年生は全員が同じカリキュラムで、幅広い教科の基礎を固めます。
高校生活に慣れ、自分の興味や将来の進路が具体的になってくる2年生からは、希望に応じてコースが分かれます。
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普通科 文系コース
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どんなことを学ぶ?:国語、地理歴史、公民、英語といった人文・社会科学系の科目を重点的に学びます。
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どんな生徒におすすめ?:将来、法学部、経済学部、文学部、教育学部などへの進学を考えている生徒や、文系科目が得意な生徒におすすめです。
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普通科 理系コース
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どんなことを学ぶ?:数学、理科(物理・化学・生物)といった自然科学系の科目を深く掘り下げて学びます。
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どんな生徒におすすめ?:将来、医学部、薬学部、理学部、工学部などへの進学を目指している生徒や、理数系科目に強い関心を持つ生徒におすすめです。
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このコース分けにより、生徒はそれぞれの進路希望に合わせた専門的な学習に集中することができ、効率的に大学受験への準備を進めることができます。
香川県立高松高等学校の特色・校風
高松高校の雰囲気を一言で表すなら、以下のキーワードがぴったりです。
キーワード:独立自主、自由闊達、文武両道
ここでは、中学生の皆さんが特に気になる学校生活のリアルな部分を、口コミなどを基に詳しく解説します。
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校則は厳しい?緩やか?
口コミで最も多く言及されるのが「校則の緩やかさ」です。これは、学校が「独立自主」の精神のもと、生徒を信頼し、その自主性に委ねていることの表れです。
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スマホの扱い:校内での使用は基本的に許可されています。ただし、授業中の使用はもちろん禁止で、先生によっては休み時間の使用にも厳しい場合があるなど、教員ごとの裁量に差があるようです。TPOをわきまえた使用が求められます。
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服装・頭髪:スカートの丈や髪型、アクセサリーなどについて、細かく注意されることは少ないようです。生徒たちは常識の範囲内で、自由におしゃれを楽しんでいる様子がうかがえます。ただし、あまりに華美な場合は指導されることもあります。
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宿題の量や勉強の進め方は?
高松高校の大きな特徴の一つに「65分授業」があります。一般的な高校の50分授業より15分長く、一つの単元をじっくり深く学べるメリットがあります。しかし、その分、一回の授業で進む内容も多くなるため、日々の予習・復習が非常に重要になります。授業についていくためには、家庭での自学自習の習慣が不可欠です。宿題の量は先生によりますが、全体的には「自主的な学習」に重きが置かれていると言えるでしょう。この65分授業は、まさに「独立自主」の精神を試されるシステムであり、自己管理能力が高い生徒にとっては学びを深める絶好の機会となります。
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生徒たちの雰囲気は?
県内トップクラスの学力を持つ生徒が集まっているため、学習意欲が非常に高いのが特徴です。周りの友人たちが熱心に勉強している姿に刺激を受け、「自分も頑張ろう」と自然に思える環境があります。生徒たちは知的で落ち着いた雰囲気を持っており、いじめなどの話はほとんど聞かれません。自分の目標に向かって真摯に取り組む、成熟した生徒が多いようです。
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アルバイトは可能?
多くの進学校と同様に、学業に専念することが推奨されているため、アルバイトは原則として禁止されている可能性が高いです。特別な事情がある場合は、学校に許可を申請する必要があるか、事前に確認することをおすすめします。
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制服の評判は?
制服は、男子は伝統的な詰襟(学ラン)、女子はブレザーにスカートという、シンプルで落ち着いたデザインです。評判については、特に女子生徒から「あまり可愛くない」「地味」といった声が正直なところ多く聞かれます。しかし、セーターやカーディガンの色などで個性を出して着こなしている生徒も多いようです。
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土曜授業はある?
月に2回程度、「土曜講座」が開かれています。これは希望者向けの講座で、国語・数学・英語を中心に、普段の授業の復習や、より発展的な内容を学ぶことができます。参加は任意なので、自分の学習ペースに合わせて活用することが可能です。
香川県立高松高等学校の部活動・イベント
「文武両道」を掲げる高松高校では、勉強だけでなく部活動や学校行事にも全力で打ち込む文化が根付いています。
部活動
高松高校では部活動を「校友会活動」と呼びます。驚くべきはその加入率で、兼部する生徒も多いため100%を超えています。これは、ほとんどの生徒が何らかの活動に所属し、学業と両立させながら高校生活を謳歌している証です。運動部18、文化部24と、非常に多くの選択肢があります。
特に実績が豊富で有名な部活動や、珍しい部活動をいくつかご紹介します。
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ヨット部:全国レベルの強豪として知られ、インターハイで6位入賞を果たすなど、輝かしい成績を収めています。瀬戸内海という地の利を活かした、高松高校ならではの部活動です。
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放送局委員会:NHK杯全国高校放送コンテストの常連で、朗読部門やラジオドラマ部門で全国大会に出場し、高い評価を得ています。アナウンスや番組制作に興味がある人には最高の環境です。
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吹奏楽委員会(TBB):その実力は非常に高く、過去には部員の作曲したマーチが全日本吹奏楽コンクールの課題曲に採用されたこともあります。
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野球部:甲子園への出場経験も豊富な伝統ある部です。全校生徒が一体となる応援は圧巻で、応援委員会も名物の一つです。
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珍しい部活動:上記以外にも、フェンシング部、オーケストラ部、競技かるた部、クイズ研究会など、他の高校ではなかなか見られないユニークな部活動が数多く存在し、生徒の多様な興味に応えています。
イベント
生徒が主体となって企画・運営する学校行事は、高松高校の大きな魅力の一つです。クラスや学年の垣根を越えて団結し、一生の思い出を作ります。
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文化祭・体育祭:高高生活のハイライトとも言える二大イベントです。文化祭では各クラスや文化部が趣向を凝らした展示や発表を行い、体育祭ではクラス対抗で熱い戦いが繰り広げられます。生徒たちのエネルギーが爆発する、非常に盛り上がる行事です。
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クラスマッチ:年に2回開催されるクラス対抗の球技大会です。バレーボールやバスケットボールなどの種目で競い合い、クラスの団結力を高めます。
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百人一首クラスマッチ:新春に行われる、高松高校ならではの伝統行事です。文化的な活動を通じて、クラスの親睦を深めます。
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修学旅行:行き先は年によって異なりますが、仲間との絆を深める貴重な機会です。詳細は学校の年間行事予定で確認してください。
香川県立高松高等学校の進学実績
高松高校が県内トップの進学校と言われる最大の理由は、その圧倒的な大学進学実績にあります。毎年、東京大学や京都大学をはじめとする最難関国公立大学や、難関私立大学に多数の合格者を輩出しています。
最新の大学進学実績(令和6年/2024年春 主な実績)
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国公立大学
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東京大学:2名
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京都大学:9名
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大阪大学:13名
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北海道大学:1名
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東北大学:1名
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九州大学:2名
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一橋大学:1名
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その他、岡山大学、神戸大学、広島大学などの難関国公立大学や、地元の香川大学にも多数合格しています。国公立大学の医学部医学科への進学者も多いのが特徴です。
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難関私立大学
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関西の「関関同立」(関西大学、関西学院大学、同志社大学、立命館大学)や、関東の「早慶上理」(早稲田大学、慶應義塾大学、上智大学、東京理科大学)にも、毎年非常に多くの合格者を出しています。過去には同志社大学に100名以上、立命館大学に120名以上が合格した年もありました。
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進学実績を支えるもの
この輝かしい実績は、単に授業だけで生まれるものではありません。口コミを見ると、多くの生徒が学校の授業に加えて、塾や予備校に通ったり、熱心に自学自習に励んだりしていることが分かります。
この事実は、高松高校の役割を別の角度から示しています。この学校の最大の強みは、(1)県内で最も学力と意欲の高い生徒を選抜し、(2)彼らが互いに刺激し合う最高の環境を提供することにあります。つまり、高松高校は「魔法の杖」を授けてくれる場所ではなく、最高の「発射台」を提供してくれる場所なのです。生徒たちは、学校の授業、土曜講座のようなサポート、充実した自習施設といったリソースを最大限に活用し、さらに自分自身の「独立自主」の精神で学習を深めることで、難関大学合格という目標を達成しています。
香川県立高松高等学校の特長・アピールポイント
他の高校にはない、高松高校ならではの強みや魅力をまとめました。
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圧倒的な学力レベルと進学実績
県内トップの偏差値を誇り、常にハイレベルな仲間と切磋琢磨できる環境があります。東京大学・京都大学をはじめとする最難関大学への進学も夢ではありません。
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「独立自主」を育む自由な校風
校則が緩やかで、生徒の自主性が尊重されます。この自由な環境が、自分で考えて行動する力、つまり社会で本当に役立つ自己管理能力を育てます。
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学習に集中できる独自の65分授業
1コマの授業時間が長く、一つのテーマを深く掘り下げて学ぶことができます。集中力と、予習・復習を基本とする学習習慣が身につきます。
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全国レベルの部活動と100%超の加入率
勉強だけでなく、部活動にも本気で打ち込める環境です。ヨット部や放送局委員会のように全国で活躍する部も多く、「文武両道」を体現できます。
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生徒が主役の活気ある学校行事
文化祭や体育祭、クラスマッチなど、生徒が主体となって作り上げるイベントが盛りだくさんです。勉強漬けではない、充実した高校生活が送れます。
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充実した自習環境
静かで広々とした図書館はもちろん、校舎の各階には「メディアセンター」と呼ばれる自習スペースが完備されています。いつでも集中して勉強できる場所が確保されています。
香川県立高松高等学校の口コミ・評判のまとめ
在校生や卒業生の「本音」を知ることは、学校選びで非常に大切です。ここでは、様々な口コミを公平にまとめました。
良い点
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「周りのレベルが高く、自然と勉強する気になる」
「友達がみんな勉強しているので、自分も頑張らないと、という気持ちになる」という声が非常に多いです。最高の学習環境と言えるでしょう。
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「自由な校風が最高。学校に信頼されていると感じる」
校則の緩やかさをポジティブに捉える声が多数あります。自分で自分を律する力が身につくと評価されています。
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「行事が本当に楽しい。クラスの団結力が強まる」
文化祭や体育祭などのイベントは、一生の思い出になると多くの生徒が感じています。
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「いじめがほとんどない。みんな大人で、自分の目標に集中している」
落ち着いた雰囲気で、安心して学校生活が送れるという意見が多いです。
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「自習室などの施設が整っていて勉強しやすい」
メディアセンターや図書館など、学習環境の良さを評価する声も目立ちます。
気になる点
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「先生の質に差がある」
「熱心で素晴らしい先生もいるが、そうでない先生もいる」という意見は、残念ながら一定数見られます。
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「学校の授業だけで難関大は厳しい。塾は必須」
「トップレベルの大学を目指すなら、塾や予備校のサポートは欠かせない」というのが多くの先輩たちの正直な感想のようです。
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「勉強と部活の両立が想像以上に大変」
高いレベルで文武両道を目指すには、相当な努力と自己管理能力が必要だと感じる生徒もいます。
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「女子の制服が可愛くない」
これは多くの女子生徒が挙げる、定番の不満点のようです。
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「国公立大学志望者へのサポートが手厚いように感じる」
私立大学を第一志望とする生徒からは、サポートが国公立志望者に比べて手薄だと感じることがある、という声も聞かれます。
アクセス・通学
高松高校は高松市の中心部に位置しており、公共交通機関でのアクセスが非常に便利です。
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最寄り駅
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JR高徳線「栗林公園北口駅」から徒歩 約12分
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ことでん(高松琴平電気鉄道)「瓦町駅」から徒歩 約14分
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最寄りバス停
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ことでんバス「県庁・日赤前」バス停から徒歩 約2分
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ことでんバス「高松赤十字病院」バス停から徒歩 約1分
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その立地と名声から、高松市内全域はもちろん、ことでんやJR沿線の市外からも多くの生徒が通学しています。
香川県立高松高等学校受験生へのワンポイントアドバイス
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。最後に、進学アドバイザーとして、高松高校を目指す皆さんへメッセージを送ります。
香川県立高松高等学校は、「高いレベルの環境に身を置き、自らを高めたい」「自由な雰囲気の中で、勉強も部活も行事も、自分の力で全力で楽しみたい」と考える、意欲的なあなたにぴったりの場所です。誰かに指示されるのを待つのではなく、自らチャンスを探し、知識を求めにいく。そんな「独立自主」の精神を持つ生徒が、この学校では輝きます。
そして、その高松高校への挑戦は、中学3年生の冬に始まるのではありません。今、この瞬間から始まっています。中学1・2年生の通知表もすべてが内申点に関わります。まずは内申点200点という基準をしっかりと意識し、日々の授業、一つひとつの定期テストに真剣に取り組んでください。入試本番では、知識だけでなく、プレッシャーの中で冷静に思考する力も試されます。その土台となるのが、毎日の地道な努力です。
高みを目指す道は、決して楽ではありません。しかし、それは皆さんの大きな志にふさわしい、挑戦しがいのある道です。今から「独立自主」の精神で、自分の学びの主役になってください。そうすれば、あなたはもう、高松高校の生徒としての第一歩を踏み出しているはずです。心から応援しています!
※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。