熊本県立済々黌高等学校は、140年以上の輝かしい歴史を誇る、熊本県を代表する伝統校の一つです。ただ古いだけでなく、そこには常に生徒たちの活気とエネルギーが満ち溢れています。勉強、部活動、そして学校行事、そのすべてに全力で打ち込む「済々黌生」たちの姿は、まさに圧巻の一言です。
この学校には、「済春(せいしゅん)」という特別な言葉があります。これは、学校名である「済々黌」と「青春」をかけた言葉で、ここでしか味わえない、熱く、濃密で、充実した高校生活を象徴しています。仲間たちと切磋琢磨しながら学問に励み、時には泥だらけになりながら部活動に汗を流し、学校中が一体となって行事に熱狂する。そんなかけがえのない3年間が、ここ済々黌高等学校にはあります。
伝統と革新が共存し、生徒一人ひとりの「全力」が輝くこの場所は、あなたにとって最高の学び舎となるでしょうか。この記事が、あなたの高校選びの羅針盤となり、済々黌高等学校が持つ本当の魅力を知るきっかけになれば幸いです。さあ、一緒に「済春」の世界を覗いてみましょう。
済々黌高等学校の基本情報
まずは、学校の基本的な情報を確認しておきましょう。
項目 | 内容 |
正式名称 | 熊本県立済々黌高等学校 |
公立/私立の別 | 公立 |
共学/男子校/女子校の別 | 男女共学 |
所在地 | 〒860-0862 熊本県熊本市中央区黒髪2丁目22番1号 |
代表電話番号 | 096-343-6195 |
公式サイトURL | https://seiseiko-hs.ed.jp/ |
済々黌高等学校の偏差値・難易度・併願校
済々黌高等学校は、熊本県内でもトップクラスの学力を誇る、非常に人気の高い進学校です。その難易度を具体的に見ていきましょう。
偏差値
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普通科:75
この偏差値75という数字は、熊本県内の公立高校で熊本高校(偏差値76)に次ぐ第2位であり、合格するためには非常に高い学力が求められることを示しています。
難易度について
偏差値だけでなく、具体的な合格ラインの目安を知ることで、より現実的な目標設定ができます。
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合格に必要な学力検査の点数目安:熊本県の公立高校入試は250点満点ですが、済々黌高校の合格ボーダーラインは例年164点〜171点前後で推移しているようです。これは、各教科で8割以上の得点を目指す必要がある高いレベルです。安心して合格するためには、180点以上を目標に学習を進めると良いでしょう。
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合格に必要な内申点の目安:明確な基準は公表されていませんが、合格者の傾向を見ると、5段階評価で44以上(9教科の合計)が一つの目安とされています。もちろん、当日の学力検査の点数が最も重要ですが、高い内申点を確保しておくことも大切です。
済々黌高校の授業は非常に進度が速く、課題の量も多いことで知られています。この高い入学時のハードルは、入学後の厳しい学習環境についていくために必要な学力を備えているかを確認するためのものとも言えるでしょう。
主な併願校
熊本県の公立高校入試では、他の公立高校との併願は認められていません。そのため、済々黌高校を受験する生徒は、万が一の場合に備えて私立高校を併願するのが一般的です。
主な併願先としては、以下のような高校が挙げられます。
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真和高等学校
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マリスト学園高等学校
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九州学院高等学校
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熊本学園大学付属高等学校
これらの私立高校は、それぞれ独自の特色を持つ進学校であり、奨学生制度などを利用して進学する生徒も多くいます。
済々黌高等学校に設置されている学科・コース
済々黌高等学校が提供する学びの場は、一見シンプルですが、その中身は非常に深く、専門的です。
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普通科
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どんなことを学ぶ場所か:「普通科」という名称ですが、その実態は難関大学進学に特化したハイレベルなカリキュラムです。学校の使命として「高い見地から社会をけん引し、貢献できるグローバルリーダーを育成する」ことを掲げており、そのための探究活動や高度な授業が展開されます。
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どんな生徒におすすめか:将来、国公立大学や難関私立大学への進学を強く希望し、高いレベルの仲間と切磋琢磨しながら、知的好奇心をとことん追求したい生徒におすすめです。
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済々黌高等学校の特色・校風
済々黌高校の魅力は、偏差値や進学実績だけでは語れません。生徒たちが主体となって創り上げる、独特で熱い校風こそが最大の特色です。
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宿題の量:在校生からは「めちゃくちゃ多い」という声が多数聞かれます。平日の課題はもちろん、週末課題や長期休暇中の課題も相当な量があり、計画的に進めないと部活動との両立は難しいようです。しかし、その分、着実に学力が身につく環境とも言えます。
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校則:「真面目な生徒が多いので理不尽な校則はない」という意見が目立ちます。頭髪の染色やピアスは禁止ですが、髪型は比較的自由。制服の着こなしも、基本に忠実であることが求められます。一方で、スマホは校内での使用が禁止されており、この点は厳しいと感じる生徒もいるようです。
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生徒たちの雰囲気:とにかく「明るく、面白く、エネルギッシュ」。勉強にも行事にも部活にも、何事にも「全力投球」する生徒が多く、学校全体が常に活気に満ちています。互いに助け合い、高め合う文化が根付いており、最高の仲間に出会える場所です。
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アルバイト:原則として禁止されています。学業と学校活動に専念することが求められます。
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制服の評判:男子は伝統的な黒の学生服(学ラン)、女子はセーラー服です。男子の制服には、襟のカラーを外すことが公認されている「バンカラ(無骨で飾らない気風)」の精神を表す面白い伝統があります。女子の制服はスカーフの結び方が自由で、ささやかな個性を表現できると好評のようです。
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土曜授業:毎週土曜に授業があるわけではありませんが、模擬試験や保護者会、特別なプログラムなどが土曜日によく実施されています。
済々黌高校は、厳しい規則の中で生徒の自主性を重んじるという、一見矛盾した特徴を持っています。スマホ禁止などの厳しいルールがある一方で、学校行事の企画・運営は生徒会を中心に生徒たち自身に大きく委ねられています。この「規律の中の自由」を最大限に活かし、自ら考えて行動できる生徒にとって、これ以上ないほど成長できる環境と言えるでしょう。
済々黌高等学校の部活動・イベント
「済春」を語る上で欠かせないのが、学校生活の核となる部活動と学校行事です。ここでは、勉強と同じくらい、あるいはそれ以上に情熱が注がれています。
部活動
済々黌高校には40を超える部活動・同好会があり、多くの生徒が加入して文武両道に励んでいます。運動部、文化部ともに全国レベルで活躍する部が多数存在します。
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運動部
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水球部:過去に何度もインターハイで優勝し、オリンピック選手も多数輩出している、全国屈指の名門です。
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ラグビー部:人気お笑いコンビ「くりぃむしちゅー」の二人も在籍していたことで有名。花園(全国大会)への出場経験もあり、県内では常にトップを争う強豪です。
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野球部:1958年の選抜高校野球大会で優勝した輝かしい歴史を持ちます(熊本県勢唯一の選抜優勝)。今も甲子園を目指して厳しい練習に励んでいます。
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漕艇(ボート)部:江津湖を拠点に活動し、全国大会の常連です。インターハイで優勝するなど、輝かしい実績を誇ります。
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陸上競技部:多くの選手が九州大会や全国大会へ進出しており、特に中長距離や女子の種目で高い実績を残しています。
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文化部
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放送部:各種コンテストで全国レベルの賞を総なめにしており、映像化コンテストでグランプリを受賞した実績もあります。学校行事の記録や運営でも中心的な役割を担っています。
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吹奏楽部:レベルの高い熊本県大会で常に代表選考会に残る実力校。コンクールだけでなく、観客を楽しませるための演奏会にも力を入れており、元気なパフォーマンスが人気です。
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應援團(応援団):試合の応援はもちろん、体育祭での演舞など、済々黌の「熱さ」を象徴する存在です。厳しい練習を通して、精神力と仲間との絆を育みます。
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イベント
済々黌の学校行事は、生徒たちが企画段階から主体的に関わり、その熱量と一体感は他の高校の追随を許しません。
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恩賜記念大運動会(体育祭):済々黌で最も盛り上がる行事と言っても過言ではありません。各団が作り上げる応援団やチアのパフォーマンスは圧巻の一言。名物の「部活対抗リレー」では、本気で速さを競う部と、ボートを担いで走るボート部など、笑いを誘うパフォーマンスを繰り広げる部があり、大いに盛り上がります。フィナーレの全校生徒が肩を組んで校歌を熱唱(絶叫に近い)する「黌歌斉唱」は、鳥肌が立つほどの一体感です。
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文化祭:毎年、趣向を凝らしたテーマ(例:「金碧輝煌」「気韻済動」)を掲げ、2日間にわたって開催されます。クラスごとの展示やステージ発表、文化部の発表など内容は多彩で、爪楊枝で作った巨大なアート作品など、クオリティの高い展示も名物となっています。一般公開もされており、多くの人で賑わいます。
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修学旅行:近年は関西方面(大阪、京都、USJ)や関東方面(東京、横浜)などを訪れています。班別自主研修やクラス別研修が中心で、仲間との絆を深める貴重な機会となっています。以前は海外研修(台湾など)も行われていました。
済々黌高等学校の進学実績
熊本県トップクラスの進学校として、済々黌高等学校は毎年、国公立大学や難関私立大学へ多くの合格者を輩出しています。
最新の大学進学実績(2024年〜2025年判明分)
分類 | 主な合格大学と人数 |
国公立大学 | 東京大学 2名、京都大学 2名、一橋大学 1名、大阪大学、九州大学、広島大学 9名、熊本大学 (文16名、教育23名など多数) など |
難関私立大学 | 早稲田大学 11名、慶應義塾大学 3-7名、明治大学 4名、立教大学 3名、中央大学 3名、法政大学 3名、同志社大学 7-28名、立命館大学 30-68名 など |
医学部医学科 | 合計 13名(うち国公立大学 8名:熊本大学 3名、長崎大学 1名、大分大学 1名、佐賀大学 1名 など) |
その他、地元の西南学院大学(40名)や福岡大学(27名)にも多くの合格者を出しており、幅広い進路選択が実現されています。
進学実績を支える取り組み
高い進学実績の背景には、学校独自の手厚いサポート体制があります。
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早朝課外・放課後課外:平日の始業前と放課後に行われる補習授業で、多くの生徒が参加し、受験に向けた応用力を養います。
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卒業生運営の自習棟:学校のすぐ隣に、卒業生が運営する自習スペースがあり、夜10時まで利用可能です。部活動で帰りが遅くなっても、集中して勉強できる環境が整っているのは大きな魅力です。
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充実した進路指導:大学のオープンキャンパスへの参加推奨や、卒業生を招いての懇談会など、生徒が早期から進路について考える機会を豊富に提供しています。
一方で、在校生や卒業生からは「四年生高校」という声も聞かれます。これは、部活動や行事に全力で打ち込む校風から、現役での合格を目指しつつも、一年間浪人してじっくり受験勉強に取り組む生徒も少なくない、という実態を表しています。これもまた、済々黌の文化の一側面と言えるかもしれません。
済々黌高等学校の特長・アピールポイント
他の高校にはない、済々黌高等学校ならではの強みやユニークな取り組みをまとめました。
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140年を超える「生きた伝統」と三綱領
140年以上の歴史の中で培われた「正倫理 明大義」「重廉恥 振元気」「磨知識 進文明」という三つの教え(三綱領)が、今も校訓として生徒たちの行動指針となっています。これは単なる飾りではなく、学校生活のあらゆる場面に息づいています。
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熱狂的な「済春」を体験できる学校文化
勉強も部活も行事も、すべてに100%の力で取り組むのが済々黌スタイル。この「全力投球」の文化が、他では味わえない一体感と達成感を生み出し、一生の思い出となる「済春」を創り上げます。
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強力な同窓会(卒業生ネットワーク)
4万人を超える卒業生のネットワークは非常に強力です。社会の様々な分野で活躍する先輩たちが、部活動の指導(OB・OG会)や進路相談などで後輩を力強くサポートしてくれます。
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卒業生が運営する無料の自習棟
学校のすぐ前に、卒業生が後輩のために運営している自習棟があります。夜遅くまで開いており、静かな環境で集中して勉強できる、最高の学習環境です。
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生徒が主役の圧巻の学校行事
特に体育祭は、企画から運営まで生徒が中心となって行われます。その規模と熱気、完成度の高さは、まさに「生徒主体の学校運営」を象徴するイベントです。
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全国レベルの部活動
水球、ラグビー、漕艇部などの運動部から、放送部、吹奏楽部といった文化部まで、全国大会で輝かしい実績を残す部活動が数多く存在します。高いレベルで挑戦したい生徒にとって、最高の環境が用意されています。
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SGHから続く探究学習プログラム
スーパーグローバルハイスクール(SGH)の指定校だった経験を活かし、課題発見・解決能力を養うための探究学習に力を入れています。修学旅行でのスタディツアーや成果発表会など、実践的な学びの機会が豊富です。
済々黌高等学校の口コミ・評判のまとめ
在校生や卒業生からのリアルな声は、学校選びの重要な参考になります。良い点と気になる点を公平に見ていきましょう。
良い点
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「行事が最高に楽しい!クラスや学年の一体感がすごい」という声が圧倒的に多いです。特に体育祭は一生の思い出になると評判です。
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「最高の友達に出会えた」「先輩・後輩の仲が良い」など、人間関係の良さを挙げる声が多数あります。何事にも全力で取り組む仲間と過ごす3年間は、かけがえのない財産になるようです。
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「先生方が熱心で、質問にも親身になって答えてくれる」といった、教師のサポート体制を評価する意見も多く見られます。
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「文武両道を実践できる環境が整っている」「勉強も部活も本気でやりたい人には最高の学校」という声も、済々黌の大きな魅力です。
気になる点
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「とにかく忙しい。体力がないとついていけない」という意見は、多くの生徒が感じることのようです。朝課外、授業、部活、大量の宿題と、一日のスケジュールは非常にタイトです。
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「校舎や施設が少し古い」という声もあります。ただし、現在は校舎の建て替え工事が進められているため、今後は改善されていく見込みです。
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「進学実績は良いが、浪人生も多い(四年生高校)」という指摘です。部活や行事に熱中するあまり、現役での受験準備が間に合わないケースもあることを示唆しています。
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「校則が厳しいと感じる部分もある」特に、校内でのスマホ使用が一切禁止されている点については、不便に感じる生徒がいるようです。
これらの口コミから浮かび上がるのは、済々黌の「熱さ」や「伝統」といった長所が、人によっては「忙しさ」や「古さ」という短所にもなり得るということです。この学校が自分に合うかどうかは、この独特のカルチャーを楽しめるかどうかにかかっていると言えるでしょう。
アクセス・通学
済々黌高等学校への通学方法と、通学エリアについてです。
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最寄り駅からのアクセス
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熊本電鉄バス:「済々黌前」バス停下車、徒歩約1分〜4分。学校の目の前なので非常に便利です。
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熊本電鉄(電車):「坪井川公園」駅または「黒髪町」駅下車、それぞれ徒歩約10分。
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主な通学エリア
熊本市中央区という立地と、公共交通機関の利便性の高さから、熊本市内全域から多くの生徒が通学しています。また、JRやバスを乗り継いで、市外から通う生徒も少なくありません。
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通学に関する注意点
保護者が車で送迎する場合、朝の時間は学校周辺の道路が大変混雑し、「済々黌渋滞」と呼ばれる現象が起きることもあるようです。時間に余裕を持った行動が大切です。
済々黌高等学校受験生へのワンポイントアドバイス
ここまで読んでくれてありがとうございます。最後に、進学アドバイザーとして、済々黌高等学校を目指す君にエールを送ります。
済々黌高等学校は、「ただ勉強だけを頑張りたい」という人よりも、「勉強も、部活も、行事も、友情も、全部に全力で打ち込みたい!」というエネルギーに満ちた君にこそ、心からおすすめしたい学校です。高い目標に向かって仲間と切磋琢磨する毎日、学校中が一つになる熱狂的なイベント、そして卒業後も続く強い絆。ここでしか味わえない、最高に濃い3年間、最高の「済春」が君を待っています。
受験勉強においては、合格ラインの点数をギリギリで目指すのではなく、その少し上、できれば180点以上を目標にしてください。なぜなら、済々黌高校の授業は入学直後からハイスピードで進むからです。入学後に余裕を持ってスタートを切るためにも、中学内容の盤石な基礎を築いておくことが、未来の「済春」を充実させる鍵になります。君の挑戦を、心から応援しています!
※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。