熊本県立人吉高等学校は、人吉球磨地域の中核を担う進学校として、もうすぐ創立100周年を迎える長い歴史と輝かしい伝統を誇ります。この学校が大切にしているのは、勉強と部活動の両方に全力で打ち込む「文武両道」の精神です。先輩たちが築き上げてきた歴史を土台に、生徒一人ひとりが自分の目標に向かって、学習にも部活動にも、そして学校行事にも情熱を注げる環境がここにはあります。
しかし、人吉高等学校の魅力は伝統だけではありません。未来を見据えた新しい学びにも積極的に挑戦しています。「ICT特定推進校」や「熊本スーパーハイスクール」にも指定されており、最新の技術を活用した授業や、地域社会の課題解決に挑む探究活動など、これからの時代を生き抜くために必要な力を育むための革新的な教育が実践されています。歴史ある校舎で、未来の学びを体験できるのです。
この記事では、そんな伝統と革新が共存する人吉高校の魅力を、中学生の皆さんとその保護者の方に分かりやすくお伝えします。偏差値や進学実績といったデータはもちろん、学校生活のリアルな様子や先輩たちの声まで、詳しく紹介していきます。この記事を通して、あなたの未来の選択肢の一つとして、じっくりと考えてみてください。
人吉高等学校の基本情報
まずは、学校の基本的な情報を確認しましょう。問い合わせや学校見学の際に役立ててください。
項目 | 内容 |
正式名称 | 熊本県立人吉高等学校 |
公立/私立の別 | 公立 |
共学/別学の別 | 男女共学 |
所在地 | 〒868-8511 熊本県人吉市北泉田町350 |
代表電話番号 | 0966-22-2261 |
公式サイトURL | https://sh.higo.ed.jp/hitoyoshi-z/ |
人吉高等学校の偏差値・難易度・併願校
高校選びで気になるのが、やはり偏差値や難易度ですよね。人吉高等学校の学力レベルを具体的に見ていきましょう。
偏差値
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普通科:54
この偏差値は、熊本県内の公立高校の中では上位中堅レベルに位置します。基礎学力がしっかりと身についていることが合格の目安となります。人吉高等学校は、入学時の学力からさらに大きく成長できる環境が整っているため、入学後の頑張り次第で、偏差値以上の大学へ進学する先輩も数多くいます。
難易度のイメージ
偏差値54というのは、具体的にどのくらいのレベルなのでしょうか。熊本県内の他の高校と比較してみると、熊本市立千原台高校(情報ビジネス探究科)や鹿本高校(みらい創造科)などが同じくらいの学力レベルの目安となります。
合格に必要な内申点の目安としては、年度によって変動はありますが、過去の合格者のデータを見ると、中学3年間の9教科の評定合計が45段階評価で39〜40程度が一つの目標となりそうです。もちろん、これはあくまで目安です。内申点が少し足りなくても、入試本番の学力試験でしっかりと得点できれば、十分に合格のチャンスはあります。
主な併願校
熊本県の公立高校入試では、一つの高校にしか出願できません。そのため、人吉高等学校を第一志望にする場合、万が一に備えて私立高校を併願校として受験するのが一般的です。人吉高校を受験する生徒がよく併願する私立高校には、以下のような学校があります。
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東海大学付属熊本星翔高等学校
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慶誠高等学校
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尚絅高等学校
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鎮西高等学校
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熊本国府高等学校
人吉高等学校に設置されている学科・コース
人吉高等学校には、生徒一人ひとりの進路希望に対応するためのコースが用意されています。
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全日制課程 普通科
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どんなことを学ぶ場所なのか:大学進学を目指すための主要な学科です。1年生では全員が共通の科目を学び、幅広い知識の土台を築きます。2年生からは、自分の興味や目標に合わせて「文系」と「理系」のコースに分かれ、より専門的な学習を進めていきます。
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どんな生徒におすすめか:国公立大学や私立大学への進学を考えている生徒、また、高校生活を通して自分の将来の夢をじっくりと見つけたい生徒におすすめです。
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習熟度クラス「Sクラス」
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どんなことを学ぶ場所なのか:普通科の中に設置される、成績上位者で構成される特別なクラスです。九州大学をはじめとする難関国公立大学や、医学部・薬学部といった難関学部への進学を目標に、より高度で進度の速い授業が展開されます。学習意欲の高い仲間と切磋琢磨できる環境です。
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どんな生徒におすすめか:高い目標を持ち、難関大学への現役合格を目指す強い意志のある生徒、ハイレベルな環境で自分の学力を最大限に伸ばしたい生徒に最適です。
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定時制課程 普通科
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どんなことを学ぶ場所なのか:働きながら高校卒業資格の取得を目指す生徒のための課程です。全日制と同じく普通科のカリキュラムを学びます。地域と連携した独自の探究学習「人定MyRevoプロジェクト」など、特色ある学びも行われています。
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どんな生徒におすすめか:仕事や家庭の事情と学業を両立させたい生徒におすすめです。
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人吉高等学校の特色・校風
学校選びでは、勉強や部活動だけでなく、学校全体の雰囲気も大切なポイントです。
校風を表すキーワード
文武両道、地域との連携、伝統と革新、落ち着いた学習環境
中学生が本当に知りたいポイント
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学校全体の雰囲気:創立100年近い歴史を持つ学校ですが、校舎は新しく、空調も完備されていて快適な学習環境が整っています。生徒たちは真面目に学習に取り組む一方、学校行事などでは非常に活発で、何事にも全力で楽しむ雰囲気があるようです。
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宿題の量は多いか少ないか:進学校ということもあり、日々の予習・復習が前提となるため、宿題や課題はコンスタントに出される傾向があります。特にSクラスでは、授業のスピードが速いため、家庭学習の習慣が不可欠です。
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校則は厳しいか緩やかか:校則は、進学校として常識的な範囲で定められており、特に厳しすぎるということはないようです。
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スマホ:持ち込みは許可されていますが、校内での使用は原則禁止です。授業中は電源を切り、カバンにしまっておくルールになっています。
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服装:定期的に服装検査があります。制服の着こなしについては指導がありますが、靴やカバン、マフラー、手袋などは比較的自由に選べるようです。
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生徒たちの雰囲気:真面目で落ち着いた生徒が多い一方で、文化祭や体育祭では全校生徒が一体となって盛り上がるなど、オンとオフの切り替えが上手な生徒が多い印象です。
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アルバイトは可能か:原則として禁止されていることが多いようです。家庭の事情などで必要な場合は、学校に申請し、許可を得る必要があります。
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制服の評判はどうか:男子は伝統的な黒の学生服、女子は紺のブレザーとスカートです。清楚で落ち着いたデザインが特徴です。
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土曜授業はあるか:進学補習などで土曜日に授業が行われることがあるようです。詳しい日程は学校の年間計画を確認することをおすすめします。
人吉高等学校の部活動・イベント
充実した高校生活を送る上で欠かせない部活動と学校行事。人吉高校の「文武両道」を象徴する活動を見てみましょう。
部活動
人吉高校には19の運動部と14の文化部があり、多くの生徒が部活動に加入し、活気にあふれています。
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全体の様子:学業と両立させながら、高いレベルで部活動に打ち込めるのが人吉高校の大きな魅力です。県大会上位や全国大会出場を果たす部も少なくありません。
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特に実績が豊富な部活動:
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山岳部:県内屈指の強豪として知られ、熊本県大会で3連覇を達成するなど、輝かしい実績を誇ります。精神力と体力が鍛えられる、伝統ある部です。
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カヌー部:日本三大急流の一つである球磨川をホームに活動する、地域色豊かな部活動です。県高校総体で優勝し、インターハイ(全国大会)にも出場経験があります。
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陸上競技部:個人種目を中心に、毎年インターハイに出場する選手を輩出しています。個々の能力を最大限に伸ばす指導に定評があります。
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その他の部活動:野球部、サッカー部、バスケットボール部といった人気の運動部から、文化部では全国レベルの吹奏楽部、書道部、美術部、そして学校の特色を反映した情報技術研究部など、多種多様なクラブがあり、自分に合った活動を見つけることができます。
イベント
人吉高校の学校生活は、勉強や部活動だけでなく、心に残るイベントで彩られています。
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体育祭(5月):全校生徒が赤・青・黄の3つの団に分かれて競い合います。応援合戦や団対抗リレーなど、各団のプライドをかけた熱い戦いが繰り広げられ、学校中が一体感に包まれる一日です。
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文化祭(10月):クラスごとの展示やステージ発表、文化部によるパフォーマンスなど、生徒たちの個性と創造性が発揮される最大のイベントです。特に、フィナーレを飾る吹奏楽部の演奏会は、全校生徒がペンライトを振って盛り上がる、圧巻のステージとして有名です。
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修学旅行(12月):2年生の冬に実施されます。仲間との絆を深め、忘れられない思い出を作る貴重な機会です。
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鍛錬遠足(澪行)(11月):心身を鍛えることを目的に、長い距離を歩き通す人吉高校の伝統行事です。苦しいながらも、ゴールした時の達成感は格別です。
人吉高等学校の進学実績
人吉球磨地域のトップ進学校として、人吉高等学校は毎年優れた大学進学実績を誇っています。
最新の大学進学実績(2024年3月卒業生)
卒業生の多くが大学進学の夢を叶えています。大学進学者は147名、短期大学へは9名、専門学校等へは28名が進学しました。また、公務員や地元企業への就職者も15名おり、多様な進路に対応しています。
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国公立大学:
近年、毎年75名前後の生徒が国公立大学に合格しています。特に九州内の大学に強く、地元の熊本大学(11名)をはじめ、鹿児島大学(10名)、宮崎大学(9名)などに多数の合格者を出しています。さらに、東京大学、大阪大学、九州大学といった旧帝国大学や、東京芸術大学などの最難関大学への合格者も輩出しており、高い教育水準を証明しています。
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難関私立大学:
九州の西南学院大学(26名)や福岡大学(35名)といった人気私立大学に多くの合格者を出すほか、関東の青山学院大学や慶應義塾大学、関西の関西大学や立命館大学など、全国の有名私立大学にも合格実績があります。
進学実績を支える取り組み
こうした高い進学実績は、学校の手厚いサポート体制によって支えられています。特に、成績上位者で編成される「Sクラス」では、難関大学の入試に特化したハイレベルな授業が行われ、生徒たちの学力を大きく引き上げています。また、英語検定や漢字検定の取得も奨励しており、大学入試で有利になる資格取得にも力を入れています。
人吉高等学校の特長・アピールポイント
他の高校にはない、人吉高等学校ならではの強みやユニークな取り組みを紹介します。
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地域課題を探究する独自の学び「BYH」がある
「Broaden Your Horizons(視野を広げよう)」をテーマにした探究学習プログラムです。生徒たちは、自分たちが暮らす人吉球磨地域の魅力や課題について深く調査し、解決策を考えて発表します。社会で役立つ思考力や表現力が身につきます。
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最先端の学びを推進する「ICT特定推進校」である
熊本県から指定を受け、すべての授業でタブレット端末などのICT機器を積極的に活用しています。デジタル社会に対応できるスキルを、日々の学習の中で自然と習得できます。
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地域と共に未来を創る「地域連携」が盛ん
地元の大学や企業、自治体と連携した授業やイベントが数多くあります。地域社会の「今」を肌で感じながら、将来、地域に貢献できる人材を目指します。
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質の高い教育を保証する「熊本スーパーハイスクール」に指定されている
これは、熊本県が特に先進的で質の高い教育を実践している高校を指定する制度です。人吉高校が、県内でもトップクラスの教育を行っている証と言えます。
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圧倒的な蔵書数と学習環境を誇る「図書館」がある
在校生からも特に評判が高いのが、広くて美しい図書館です。蔵書数は地域でもトップクラスで、静かに集中できる自習スペースも充実しており、「第二の勉強部屋」として多くの生徒に活用されています。
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遠方からの生徒も安心の学生寮「凜然寮」がある
人吉球磨地域は広いため、自宅からの通学が難しい生徒のために「凜然寮」という学生寮が完備されています。これにより、通学距離を気にすることなく、誰もが人吉高校で学ぶチャンスを得ることができます。
人吉高等学校の口コミ・評判のまとめ
実際に通っている先輩や卒業生たちは、人吉高校をどのように感じているのでしょうか。良い点と気になる点を公平にまとめました。
良い点
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「文武両道が本当に実現できる学校」という声が非常に多いです。勉強も部活も本気でやりたい生徒にとって、最高の環境が整っているようです。
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「先生方のサポートが手厚い」という評判も目立ちます。特に大学進学に関しては、親身な進路指導を受けられる点が高く評価されています。
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「図書館が素晴らしく、勉強にとても集中できる」という口コミは多数あります。施設の充実度は、生徒の学習意欲に直結しているようです。
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「学校行事がとにかく楽しくて盛り上がる」という意見も多く、クラスや学年を超えた強い一体感が生まれることが魅力のようです。
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「校舎が新しくて綺麗。空調も完備で快適に過ごせる」といった、学習環境の良さを挙げる声も多く聞かれます。
気になる点
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「遠方の地域からバスで通う場合、朝が早く、帰りの便も限られるのが少し大変」という声があります。ただし、この点は学生寮があることでカバーされています。
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「学校周辺の道路が狭く、交通量も多いので、自転車通学などは注意が必要」という意見もあります。安全には十分に気をつけて通学する必要がありそうです。
アクセス・通学
人吉高等学校への通学方法と、どのエリアから生徒が通っているかについて説明します。
最寄り駅からのアクセス
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くま川鉄道 「相良藩願成寺駅」から徒歩約2分
学校のすぐ目の前に駅があり、鉄道を利用する生徒にとっては非常に便利な立地です。
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JR肥薩線 「人吉駅」からタクシーで約5分
人吉市の中心駅からは少し距離がありますが、バスや自転車を利用して通学する生徒もいます。
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高速バス 「人吉IC」バス停から徒歩約3分
高速バスの停留所も近く、遠方からのアクセスも良好です。
通学エリア
生徒の多くは、学校が位置する「県南学区」、特に人吉市と球磨郡の出身者です。人吉球磨地域全域から、地域の未来を担う志を持った生徒たちが集まっています。また、学校には「凜然寮」という学生寮が整備されているため、五木村や水上村、芦北町といった遠方の生徒や、学区外の熊本市内や天草、さらには県外からの入学者も受け入れています。
人吉高等学校受験生へのワンポイントアドバイス
最後に、進学アドバイザーとして、人吉高等学校を目指す君たちにメッセージを送ります。
人吉高等学校は、ただ大学に合格するためだけの3年間を過ごす場所ではありません。「文武両道」の精神のもと、勉強も部活動も、そして仲間との学校行事も、すべてに全力で打ち込みたいと願う君にこそ、ぴったりの学校です。また、地域が抱える課題に目を向け、自分たちの力で未来をより良くしていきたいという熱い想いを持つ生徒を心から歓迎しています。人吉高校での探究活動は、君の知的好奇心を大いに刺激してくれるはずです。
受験勉強においては、まず中学校で学ぶ5教科の基礎を徹底的に固め、苦手分野を作らないことが合格への一番の近道です。その上で、日々のニュースや身の回りの出来事に興味を持ち、「なぜだろう?」「自分ならどうする?」と考える習慣をつけてみてください。その探究心こそが、人吉高等学校が求める力であり、入学後に君を大きく成長させる原動力となります。皆さんの挑戦を心から応援しています!
※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。