熊本県立熊本商業高等学校、通称「熊商(くましょう)」は、125年以上の長い歴史を誇る伝統校です。ただ古いだけでなく、変化の激しい現代社会で活躍できるビジネスのプロを育てるための、最先端で実践的な学びがここにはあります。長い年月をかけて築き上げてきた地域社会からの厚い信頼と、未来を見据えた新しい教育が融合した、熊本県内でも屈指の人気を誇る専門高校です。
しかし、熊本商業高等学校の魅力は、専門的な授業だけではありません。勉強はもちろん、部活動や学校行事にも全力で取り組む「文武両道」の精神が学校全体に満ちあふれています。特に、毎年冬に開催される名物イベント「熊商デパート」は、生徒たちが主体となって運営する大規模な販売実習で、他では決して味わえない達成感と実践的なスキルを身につけることができる絶好の機会です。
「将来、社会で本当に役立つ力を身につけたい」「勉強も部活も、仲間と一緒に全力で楽しみたい」。もし君がそんな風に考えているなら、この学校はぴったりの場所かもしれません。これから、熊商がどんな学校なのか、偏差値や難易度、学校生活の様子から進路実績まで、皆さんが本当に知りたい情報を一つひとつ丁寧に解説していきます。自分に合った最高の高校を見つけるための、大切な旅を一緒に始めましょう。
熊本商業高等学校の基本情報
まずは、学校の基本的な情報を確認しましょう。
項目 | 内容 |
正式名称 | 熊本県立熊本商業高等学校 |
公立/私立の別 | 公立 |
共学/男子校/女子校の別 | 男女共学 |
所在地 | 〒862-0954 熊本県熊本市中央区神水1-1-2 |
代表電話番号 | 096-384-1551 |
公式サイトURL | https://sh.higo.ed.jp/kumamoto-ch/ |
熊本商業高等学校の偏差値・難易度・併願校
熊本商業高等学校を目指す上で気になる偏差値や難易度について、詳しく見ていきましょう。
偏差値と合格の目安
熊本商業高等学校に設置されている4つの学科は、いずれも偏差値「59」が目安とされています。
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商業科:59
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情報処理科:59
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国際経済科:59
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会計科:59
ただし、模試によっては「45〜49」や「55前後」といった数値が出ることもあります。これは、模試を実施する会社によって評価の基準が異なるためです。熊本県内の受験生が多く受ける模試では「59」が一つの基準と考えておくと良いでしょう。同じくらいの偏差値の高校としては、熊本市立必由館高等学校(偏差値58〜59)などが挙げられます。
偏差値だけでなく、中学校での成績、つまり「内申点」も非常に重要です。合格者のデータを見ると、45点満点中「32〜40点」あたりが目安となるようです。これは、9教科の成績がおおむね「4」中心で、そこに「3」や「5」がいくつか混ざっているイメージです。日々の授業態度や提出物、定期テストにしっかり取り組むことが、合格への大きな一歩となります。
主な併願校
熊本県の公立高校入試では、他の公立高校を併願することはできません。そのため、熊本商業高等学校を第一志望にする受験生の多くは、万が一の場合に備えて私立高校を併願します。これは、進学の道を確保しておくための一般的な受験戦略です。
主な併願先としては、以下のような私立高校がよく選ばれています。
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熊本国府高等学校
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九州学院高等学校
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文徳高等学校
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ルーテル学院高等学校
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熊本信愛女学院高等学校
これらの高校の普通科などを併願し、安心して第一志望の受験に臨む生徒が多い傾向にあります。
熊本商業高等学校に設置されている学科・コース
熊本商業高等学校には、ビジネスの世界で活躍するための専門知識を深く学べる4つの魅力的な学科があります。それぞれの学科がどんな場所で、どんな人におすすめなのかを見ていきましょう。
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商業科 – ビジネスの基本を幅広く学びたい君へ。マーケティングや簿記など、会社がどう動いているかの全体像を掴める、熊商で最も人数の多い学科です。
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情報処理科 – ITスキルで未来を切り拓きたい君へ。プログラミングやネットワーク技術を学び、ITパスポートなどの国家資格取得も目指せる、テクノロジーの専門家を育成する学科です。
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国際経済科 – 世界を舞台に活躍したい君へ。貿易や国際金融について学び、実践的な英語力やコミュニケーション能力を磨く、グローバルなビジネスシーンを目指す人のための学科です。
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会計科 – 数字のプロフェッショナルを目指す君へ。高度な簿記や財務分析を学び、企業の経営を支える会計のスペシャリストを育成する、専門性を極めたい人におすすめの学科です。
熊本商業高等学校の特色・校風
熊商での3年間は、どんな毎日が待っているのでしょうか。学校の雰囲気やリアルな生活について、詳しくご紹介します。
学校全体の雰囲気を表すキーワードは、「礼儀礼節を重んじる」「文武両道」「活気がある」といった言葉がぴったりです。120年以上の伝統校らしく、礼儀やマナーを大切にする文化が根付いています。
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宿題の量:資格取得に向けた勉強が中心となるため、日々の宿題の量が極端に多いという声は少ないようです。ただし、検定試験前などは自主的な学習が求められます。
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校則:他の高校と比較して、校則はやや厳しいという評判が多いです。特に服装や頭髪に関する指導はしっかり行われるようです。
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スマホ:熊本地震をきっかけに、緊急連絡用として校内への持ち込みは許可されていますが、敷地内での使用は原則禁止です。もし使用が見つかると、一定期間預かり指導となる場合があります。
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服装:制服のスカートを短く折るなどの着崩しは厳しく指導されます。定期的に服装検査も実施されるようです。
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頭髪:染髪やパーマ、ツーブロックなどの加工は認められていない傾向があります。
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生徒たちの雰囲気:生徒たちは明るく元気で、挨拶が活発なのが大きな特徴です。登下校の際に校門で一礼する「校門一礼」という伝統があり、礼儀正しい生徒が多いと評判です。勉強や部活動に真面目に取り組みつつも、行事などでは大いに盛り上がる、メリハリのある生徒が多いようです。
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アルバイト:学業や資格取得に専念するため、原則として禁止されています。
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制服の評判:伝統的なブレザースタイルです。落ち着いたデザインで、TPOに合わせた着こなしを学ぶ上でも評価されています。
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土曜授業:基本的に土曜授業はありませんが、検定試験対策の補習などが行われることがあります。
この一見厳しいと感じるかもしれない校風は、実は社会に出てから即戦力として活躍するための「職業教育」の一環です。礼儀やマナー、時間厳守といった社会人としての基礎を高校生活の中で自然と身につけられることが、多くの企業から高い評価を得ている理由の一つと言えるでしょう。
熊本商業高等学校の部活動・イベント
熊商の高校生活を彩る、活気あふれる部活動とユニークなイベントを紹介します。
部活動
熊商には約35もの部活動があり、多くの生徒が加入して文武両道の日々を送っています。
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全体の様子:体育系、文化系、そして商業高校ならではの商業系部活動がバランス良く揃っています。特に体育系部活動は強豪として知られ、学校全体が活気に満ちています。
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注目の部活動:
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硬式野球部:過去に何度も甲子園出場経験のある伝統ある強豪部です。県大会でも常に上位に進出しており、学校の象徴的な存在です。
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女子ソフトボール部・女子バレーボール部:これらの部活動も県内トップレベルの実力を誇り、多くの大会で活躍しています。
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簿記部・珠算部:商業高校の特色を最も表しているのがこれらの部活動です。全国大会の常連であり、簿記部からは大学生でも合格が難しい日商簿記1級の合格者も多数輩出するなど、全国でもトップクラスの実績を誇ります。
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マーケティング部:地域と連携して商品開発を行うなど、授業で学んだ知識を実践的に活用するユニークな活動をしています。
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イベント
熊商には、生徒たちの手で作り上げる、忘れられない思い出となるイベントがたくさんあります。
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熊商デパート:熊商を語る上で欠かせない、学校最大のイベントです。毎年12月の2日間にわたって校内で開催される大規模な販売実習で、熊本の冬の風物詩としても地域に親しまれています。生徒たちは半年前から準備を始め、地元企業と協力して商品の仕入れ、販売計画、宣伝、当日の接客、そして決算まで、ビジネスの全ての流れを自分たちの手で運営します。約40もの店舗が体育館や校庭に並び、食品から衣類、雑貨まで様々な商品が販売され、毎年数千人もの地域住民が訪れる一大イベントです。これは単なる文化祭ではなく、3年間で学んだ知識とスキルを総動員して行う、最高の「実践学習」の場です。
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体育大会:5月に行われる体育大会は、全校生徒が一体となって盛り上がります。学科やクラス対抗で競い合い、熊商生のエネルギーが爆発する一日です。
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修学旅行:1・2年生の12月に実施されます。仲間との絆を深める、高校生活の中でも特に思い出深い行事の一つです。
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文化発表会:10月には、文化系の部活動や授業での学習成果を発表する文化発表会が開催されます。日頃の活動の集大成を披露する貴重な機会です。
熊本商業高等学校の進学実績
熊商は「就職に強い」というイメージがありますが、実は大学進学においても非常に優れた実績を誇っています。卒業生の進路は、まさに「進学」と「就職」の二刀流です。
多様な進路選択
卒業生の約6割が進学し、約4割が就職するというバランスの取れた進路状況が特徴です。就職希望者の内定率は100%を誇り、特に事務職に強いことで知られています。
主な大学進学実績(2025年3月卒業生実績)
熊商の進学の強みは、日商簿記検定などの高度な資格取得を活かした「学校推薦型選抜(旧指定校推薦)」にあります。難関大学からも多くの推薦枠が寄せられており、一般入試とは異なるルートで合格を掴む生徒が多数います。
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国公立大学:熊本県立大学 13名、長崎大学 2名、北九州市立大学 1名、下関市立大学 1名など、計18名が合格しています。
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難関私立大学(GMARCHなど):明治大学 1名、立教大学 1名、中央大学 2名、日本大学 4名といった、首都圏の有名私立大学にも合格者を出しています。
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その他の主な進学先:県内では熊本学園大学への進学者が60名以上と最も多く、その他にも福岡大学や久留米大学など、九州の主要な私立大学へ多くの生徒が進学しています。また、専門知識をさらに深めるために、看護系やリハビリ系、公務員専門学校などへ進む生徒も多数います。
このように、専門高校でありながら国公立大学や難関私立大学への道も開かれているのが、熊商の大きな魅力です。日々の授業や検定取得に向けた努力が、多様な未来の選択肢に直結しています。
熊本商業高等学校の特長・アピールポイント
他の高校にはない、熊商ならではの強みやユニークな取り組みをまとめました。
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日本最大級の実践学習「熊商デパート」がある
学校全体が一つの会社のように機能し、企画から販売、決算までを生徒主体で運営するこのイベントは、教科書だけでは学べないリアルなビジネススキルとチームワークを養う最高の機会です。
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全国トップレベルの資格取得実績
日商簿記1級や基本情報技術者試験など、大学生や社会人も目指すような高度な資格に高校生のうちから挑戦できる環境と、それを支える手厚いサポート体制が整っています。
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「進学」と「就職」どちらの夢も叶える強力なサポート
高度な資格を武器にした有名私立大学への推薦進学や、地元優良企業への就職など、生徒一人ひとりの希望進路を実現するための確かな実績とノウハウがあります。
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礼節を重んじる「校門一礼」の伝統
毎朝の校門での一礼に象徴されるように、社会人として不可欠な礼儀やマナーが自然と身につく校風は、卒業生が社会で高く評価される大きな理由の一つです。
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全国レベルで活躍する活気あふれる部活動
野球部や簿記部をはじめ、多くの部活動が全国を舞台に活躍しており、勉強と両立しながら高い目標に挑戦できる環境があります。
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抜群のアクセスを誇る便利な立地
熊本市電「商業高校前」電停の目の前という最高のロケーションで、熊本市内のどこからでも、また市外からも非常に通学しやすいのが魅力です。
熊本商業高等学校の口コミ・評判のまとめ
実際に熊商に通う生徒や卒業生からは、どのような声が寄せられているのでしょうか。良い点と気になる点を公平にまとめました。
良い点
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「将来に直結する実践的なスキルが身につく」という声が非常に多いです。特に簿記や情報処理の知識は、進学後も就職後も役立つと高く評価されています。
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「資格取得へのサポートが手厚い」点も多くの生徒が挙げる魅力です。先生方が熱心に指導してくれるため、難しい資格にも挑戦しやすい環境だと言われています。
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「熊商デパートがとにかく楽しい」という意見は、ほぼ全ての生徒・卒業生に共通しています。準備は大変でも、仲間と協力して成功させた時の達成感は格別なようです。
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「挨拶が活発で、学校全体に活気がある」という声も多く、明るくエネルギッシュな学校生活を送りたい人には最適な環境です。
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「交通の便が非常に良い」点は、通学のしやすさから生徒・保護者ともに高く評価されています。
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「就職にも進学にも強く、選択肢が広い」ことが、入学の決め手になったという声も多数あります。
気になる点
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「校則が他の高校に比べて厳しい」と感じる生徒は少なくないようです。特に、服装やスマートフォンの使用に関するルールは厳格に運用されています。
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「校内でのスマホ使用禁止は少し不便」という声もあります。休み時間などに自由に使えないことを、あらかじめ理解しておく必要があります。
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「学校周辺は坂道が多く、自転車通学は少し大変かもしれない」という意見もあります。特に雨の日は苦労するという声が聞かれます。
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「専門科目の授業は進むのが速い」と感じることもあるようです。特に簿記などは、日々の予習・復習が欠かせません。
アクセス・通学
熊本商業高等学校は、熊本市内でも特に交通の便が良い場所にあります。
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最寄り駅からのアクセス
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熊本市電:「商業高校前」電停下車、目の前(徒歩約2分)。熊本駅からでも新水前寺駅からでも、市電一本でアクセス可能です。
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バス:「熊商前」バス停下車、徒歩約2分。交通センター(桜町バスターミナル)からも多数のバスが運行しています。
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JR:豊肥本線「新水前寺」駅が最寄りです。駅から市電に乗り換えれば約10分で学校に到着します。
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通学エリアの傾向
この優れたアクセス性のため、熊本市中央区、東区、南区などの市内中心部はもちろん、合志市や菊陽町、さらにはJRやバスを乗り継いで市外の遠方から通学している生徒もたくさんいます。
熊本商業高等学校受験生へのワンポイントアドバイス
熊本商業高等学校を目指す君へ、最後に応援メッセージを送ります。
この学校は、「高校生活を通して、将来の夢に繋がる具体的な武器を手に入れたい」と考える君に特におすすめです。もし君が、ビジネスの世界に興味があったり、専門的な資格を取って大学進学や就職を有利に進めたいと思っていたり、あるいは仲間と一つの目標に向かって全力で取り組むことに喜びを感じるタイプなら、熊本商業高等学校は最高の舞台になるはずです。
受験勉強では、まず「基礎の徹底」を心がけてください。入試問題は基本的な知識を問う問題から、それを応用する問題まで幅広く出題されます。苦手科目を作らず、どの教科も教科書の基本を完璧に理解しておくことが合格への一番の近道です。特に、過去の先輩たちも「基礎の見直しが最も重要だった」と語っています。熊商での充実した3年間は、君の未来を大きく拓く力になります。自分の可能性を信じて、最後まで頑張り抜いてください!
※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。