埼玉県立芸術総合高等学校は、県内で唯一、芸術系の学科のみで構成されたユニークな専門高校です。「芸総(げいそう)」の愛称で親しまれ、美術、音楽、映像、舞台という4つの専門分野で、将来のアーティストやクリエイターを目指す仲間たちと共に、刺激的な毎日を送ることができます。

普通科の高校とは一味違い、専門的な知識や技術をとことん追求できる環境が整っているのが、芸術総合高等学校の最大の魅力です。同じ夢や目標を持つ仲間と切磋琢磨しながら、感性を磨き、表現力を高めていく3年間は、きっとあなたにとってかけがえのない宝物になるでしょう。

この記事では、そんな芸術総合高等学校の偏差値や気になる口コミ、学校生活の様子などを、進学アドバイザーの視点から分かりやすく解説していきます。芸術の世界に一歩踏み出してみたいと考えている中学生の皆さんとその保護者の方は、ぜひ最後まで読んで、自分の未来を想像してみてください。

埼玉県立芸術総合高等学校の基本情報

埼玉県立芸術総合高等学校の基本的な情報を表にまとめました。

項目 内容
正式名称 埼玉県立芸術総合高等学校
公立/私立の別 公立
共学/男子校/女子校の別 男女共学
所在地 〒359-1164 埼玉県所沢市三ケ島2-695-1
代表電話番号 04-2949-4052
公式サイトURL https://geiso-h.spec.ed.jp/

埼玉県立芸術総合高等学校の偏差値・難易度・併願校

芸術総合高等学校には普通科がなく、専門の4つの学科で入試が行われます。それぞれの学科の偏差値は以下の通りです。

  • 美術科: 51

  • 音楽科: 51

  • 映像芸術科: 51

  • 舞台芸術科: 50

偏差値の数値だけ見ると中堅レベルに感じられるかもしれませんが、芸術総合高等学校の入試では学力検査に加えて、各学科の専門性を問う実技検査が非常に重要になります。デッサンや楽器演奏、自己表現など、それぞれの分野での基礎的な技術や表現力が求められるため、早くから対策を始めることが合格への鍵となります。

合格に必要な内申点の目安としては、30台前半から中盤あたりが一つの基準となりそうですが、こちらも実技検査の結果と合わせて総合的に判断されます。同じくらいの偏差値の高校としては、所沢西高校や入間向陽高校などがありますが、専門学科のため単純な比較は難しいでしょう。

埼玉県内の公立高校を第一志望とする場合、他の公立高校との併願はできません。そのため、芸術総合高等学校を受験する生徒の多くは、私立高校を併願校として選択します。主な併願校としては、芸術系のコースを持つ狭山ヶ丘高等学校や、西武台高等学校、東野高等学校などが挙げられます。

埼玉県立芸術総合高等学校に設置されている学科・コース

芸術総合高等学校には、以下の4つの専門学科が設置されています。それぞれの学科で、専門分野をとことん探究することができます。

  • 美術科 – 絵画や彫刻、デザインなど美術の基礎から専門的な表現まで幅広く学びます。美術大学への進学を目指す人や、とにかく絵を描くことや物を作ることが好きな人におすすめです。

  • 音楽科 – 声楽や器楽の専門的なレッスンを中心に、音楽理論やソルフェージュなど音楽の総合力を高めます。音楽大学への進学を目指す人や、将来音楽家として活躍したい人に最適です。

  • 映像芸術科 – 映画制作や写真、CGなど、映像に関する知識と技術を実践的に学びます。映画監督やカメラマン、デザイナーなど映像業界に興味がある人におすすめの学科です。

  • 舞台芸術科 – 演劇やダンス、舞台技術(照明・音響など)を総合的に学び、一つの舞台を創り上げる力を養います。俳優やダンサー、舞台スタッフを目指す情熱あふれる人にぴったりです。

埼玉県立芸術総合高等学校の特色・校風

芸術総合高等学校の校風は、「自由と創造」「個性尊重」といった言葉で表現できます。専門分野を学ぶ生徒たちが集まっているため、お互いの個性を認め合い、高め合っていく雰囲気が自然と生まれています。

  • 宿題の量:専門学科の課題や制作に時間がかかることが多く、一般的な高校に比べて「多い」と感じる生徒が多いようです。特に、作品の締め切り前は忙しくなる傾向があります。

  • 校則:他の高校と比較すると、比較的緩やかだという声が多いですが、学科によって少し雰囲気が異なるようです。制服の着こなしや頭髪については、ある程度の指導が入ることもあります。スマホの使用については、授業中以外は基本的に許可されているようです。

  • 生徒たちの雰囲気:同じ目標を持つ生徒が集まっているため、全体的に真面目で、自分の好きなことに熱中する生徒が多いです。お互いに刺激し合える環境で、活気にあふれています。

  • アルバイト:アルバイトは原則として禁止されていませんが、学業や制作活動に支障が出ない範囲で行うことが求められます。

  • 制服:制服は男女ともにブレザータイプで、落ち着いたデザインが好評です。スカート着用時は指定のリボン、スラックス着用時は指定のネクタイを着用します。

  • 土曜授業:土曜授業は基本的にありません。

埼玉県立芸術総合高等学校の部活動・イベント

部活動

芸術総合高等学校では、文化部の活動が特に盛んです。 各学科の専門性を活かした部活動が数多くあり、多くの生徒が熱心に取り組んでいます。

  • 美術部:全国高等学校総合文化祭に6年連続で出品するなど、高い実績を誇ります。 平面、立体ともに活発に制作活動を行っています。

  • 吹奏楽部:西関東吹奏楽コンクールで銀賞を受賞するなど、実力のある部活動です。 音楽科の生徒だけでなく、他の学科の生徒も所属し、高いレベルで演奏を楽しんでいます。

  • ダンス部:全日本高校・大学ダンスフェスティバルに県代表として出場経験があり、全国レベルで活躍しています。 舞台芸術科の生徒を中心に、表現力豊かなパフォーマンスを追求しています。

  • 写真部:写真甲-子園のブロック審査会に出場するなど、映像芸術科の生徒を中心に本格的な活動を行っています。

運動部も活動しており、バドミントン部や陸上部などがあります。

イベント

芸術総合高等学校の学校行事は、各学科の特色が存分に発揮され、非常に盛り上がります。

  • 四つ葉祭(文化祭):9月に行われる最大のイベントです。美術科や映像芸術科の作品展示、音楽科のコンサート、舞台芸術科の公演など、学校全体がアートに染まります。そのクオリティの高さは圧巻です。

  • 体育祭:5月に行われ、学科対抗で競い合います。一番の見どころは、各学科が趣向を凝らした応援合戦で、それぞれの個性が爆発します。

  • 修学旅行:2年次の後期に関西方面へ行きます。美術科は文化財見学、音楽科は雅楽の体験、映像芸術科は撮影所見学、舞台芸術科はテーマパークでの研修など、各学科の専門性に合わせたユニークなプログラムが組まれています。

  • 学科ごとの発表会・公演:音楽科の定期演奏会や卒業演奏会、舞台芸術科の学科公演やダンス発表会など、1年間の学びの成果を発表する機会が数多く設けられています。

埼玉県立芸術総合高等学校の進学実績

芸術総合高等学校の卒業生の多くは、その専門性を活かして芸術系の大学や専門学校へ進学します。 8割から9割の生徒が現役で進路を決定しており、高い進学率を誇ります。

主な進学先としては、以下のような大学が挙げられます。

  • 国公立大学:東京藝術大学、筑波大学、東京学芸大学、埼玉大学、沖縄県立芸術大学など

  • 難関私立大学(美術・音楽系):武蔵野美術大学、多摩美術大学、東京造形大学、女子美術大学、武蔵野音楽大学、国立音楽大学、東京音楽大学など

  • その他:日本大学芸術学部、東京工芸大学、大阪芸術大学などへも多数進学しています。 また、桑沢デザイン研究所や東洋美術学校といった専門学校へ進む生徒もいます。

1年次から計画的な進路指導やガイダンスが行われ、生徒一人ひとりの進路実現をサポートする体制が整っています。

埼玉県立芸術総合高等学校の特長・アピールポイント

芸術総合高等学校ならではの魅力的なポイントをまとめました。

  • 県内唯一の芸術専門高校:普通科がなく、4つの芸術系学科のみで構成されている、全国的にも珍しい学校です。

  • 充実した専門設備:各学科の専門的な学習に対応したアトリエやレッスン室、スタジオ、ホールなど、大学レベルの施設が整っています。

  • 第一線で活躍する外部講師:各業界のプロフェッショナルを講師として招き、専門性の高い授業を展開しています。

  • 単位制ならではの柔軟な学び:自分の進路や興味に合わせて、所属学科以外の科目を履修することも可能です。

  • 刺激し合える仲間との出会い:同じ夢を持つ仲間たちと毎日を過ごすことで、互いに感性を磨き、高め合うことができます。

  • 表現力を試す豊富な発表の場:文化祭や各学科の公演・展示会など、日々の学びの成果を発表する機会が数多く用意されています。

  • 専門分野に特化した修学旅行:一般的な修学旅行とは異なり、各学科の学びに直結するユニークな研修が行われます。

埼玉県立芸術総合高等学校の口コミ・評判のまとめ

在校生や卒業生からの声をまとめました。学校選びの参考にしてください。

  • 良い点:

    • 「専門分野を深く学びたい人にとっては最高の環境」という声が圧倒的に多いです。

    • 「同じ目標を持つ仲間がいるので、モチベーションを高く保てる」

    • 「先生方が熱心で、専門的な指導を受けられる」

    • 「行事、特に文化祭はクオリティが高く、とても楽しい」

    • 「個性を尊重してくれるので、自分らしくいられる」

    • 「施設や設備が充実している」

  • 気になる点:

    • 「最寄り駅からバスに乗る必要があり、通学が少し大変」という意見があります。

    • 「専門の課題や制作に追われ、かなり忙しい」

    • 「普通科の勉強と専門分野の両立が大変だと感じることもある」

    • 「学科によっては人間関係で悩むこともある」

アクセス・通学

芸術総合高等学校への主なアクセス方法は以下の通りです。

  • 西武池袋線「小手指駅」南口から西武バス「早稲田大学」行きまたは「宮寺西」行きに乗車し、「芸術総合高校」バス停下車、徒歩約5分。 駅からのバス乗車時間は約15分です。

  • 西武池袋線「狭山ケ丘駅」からタクシーで約10分。

多くの生徒が小手指駅からバスを利用して通学しています。 朝のバスは混み合うことが多いようです。 所沢市内をはじめ、さいたま市や川越市、東京都内など、比較的広いエリアから生徒が通学しています。

埼玉県立芸術総合高等学校受験生へのワンポイントアドバイス

芸術総合高等学校は、「好き」をとことん追求したい君にぴったりの学校です。もしあなたが、絵を描くこと、音楽を奏でること、物語を映像にすること、舞台で自分を表現することに夢中なら、芸術総合高等学校での3年間は、夢への大きな一歩となるでしょう。この学校は、ただ技術を学ぶだけの場所ではありません。同じ情熱を持つ仲間と出会い、時にはぶつかり合い、励まし合いながら、人としても大きく成長できる場所です。

受験に向けては、国語・数学・英語などの主要科目の基礎学力をしっかり固めることはもちろんですが、それ以上に実技検査の対策が重要になります。自分が目指す学科で求められるスキル(デッサン力、演奏技術、表現力など)を、日頃から意識して磨いていきましょう。なぜ芸術総合高等学校で学びたいのか、将来どんな表現者になりたいのか、自分の想いをしっかりと持つことが、合格への一番の近道です。あなたの才能が花開く日を楽しみにしています!

※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。