東京学芸大学附属高等学校――その名前は、日本のトップレベルの学びを志す皆さんにとって、特別な響きを持つのではないでしょうか。単なる知識の暗記に留まらず、自ら問いを立て、仲間と議論し、深く探究する。もしあなたがそんな高校生活を求めているなら、まさに探し求めていた場所がここにあるのかもしれません。

この学校を特別な存在にしているのは、高い偏差値だけではありません。東京学芸大学附属高等学校が掲げる「本物教育」という理念こそが、その真髄です。ここでは生徒一人ひとりの自主性が最大限に尊重され、まるで若き研究者のように扱われます。レポート課題や活発な議論、そして忘れられない学校行事に満ちた毎日は、自立を求める厳しい道であると同時に、他では得られない成長を約束してくれるでしょう。

このページでは、そんな魅力あふれる学校生活のすべてを、進学アドバイザーの視点から詳しく紐解いていきます。厳しい入試の現実から、活気あふれる生徒たちの日常、名物行事「辛夷祭」、そして輝かしい進学実績まで。東京学芸大学附属高等学校が、あなたの未来にとって最高の舞台となるか、一緒に見ていきましょう。

東京学芸大学附属高等学校の基本情報

まずは、学校の基本的な情報を確認しましょう。国立大学の附属高校という点が、他の多くの高校とは異なる大きな特徴です。

項目 内容
正式名称 東京学芸大学附属高等学校
国公私立の別 国立
共学/別学 男女共学
所在地 〒154-0002 東京都世田谷区下馬4-1-5
代表電話番号 03-3421-5151
公式サイトURL https://www.gakugei-hs.setagaya.tokyo.jp/

東京学芸大学附属高等学校の偏差値・難易度・併願校

東京学芸大学附属高等学校は、全国でもトップクラスの難関校として知られています。合格を勝ち取るためには、偏差値の数字だけでなく、入試の仕組みを正しく理解することが不可欠です。

偏差値・難易度

学科は普通科のみで、偏差値は74前後と言われ、最難関レベルに位置します。ただし、この学校の入試で最も注意すべきは、内申点(調査書点)と学力検査(当日のテスト)のバランスです。

合格には5教科の学力検査で500点満点、内申点が135点満点(9教科×5段階×3年間)を換算した合計点で判断されますが、学力検査の比重が非常に高いのが特徴です。例えば、中学3年間の成績がオール5で内申点が満点の受験生でも、当日の学力検査で5教科合計350点(平均70点)程度を取らなければ、合格ラインに届かない計算になります。もし内申点がオール4(合計108点)の場合、当日は約370点(平均74点)が必要となり、内申点の差を埋めるには、さらに高い学力検査の得点が求められます。

このことから、東京学芸大学附属高等学校の入試は、内申点のアドバンテージだけでは決して安心できず、5教科すべてで高いレベルの学力を身につけ、入試本番で確実に得点する力が合格の絶対条件であると言えるでしょう。

主な併願校

国立高校であるため、東京都の「公立高校は1校のみ」というルールに縛られず、公立トップ校や難関私立高校との併願が可能です。そのため、非常に高いレベルの受験生が集まります。

  • 私立高校の併願例:早稲田大学高等学院、早稲田大学系属早稲田実業学校、慶應義塾女子高等学校、朋優学院高等学校(国公立TG)、市川高等学校、中央大学附属横浜高等学校

  • 比較・検討される主な国公立高校:日比谷高等学校、横浜翠嵐高等学校、湘南高等学校

東京学芸大学附属高等学校に設置されている学科・コース

東京学芸大学附属高等学校のカリキュラムは、他の多くの進学校とは一線を画す、ユニークな特徴を持っています。

  • 普通科

    • どんなことを学ぶ場所か:この学校には、理数科や国際科といった専門コースは存在しません。すべての生徒が同じ「普通科」に所属し、文系・理系といった枠にとらわれず、幅広い教養を身につけることを目指します。2年生までは文理を分けず、地歴公民や理科の多くの科目を全員が履修するのが大きな特徴です。3年生で初めて進路に応じた科目選択を行いますが、理系志望者が文系科目を選択するなど、柔軟な学びが可能です。

    • どんな生徒におすすめか:特定の分野に早くから絞るのではなく、様々な学問分野に触れながら自分の興味や適性を見極めたい、知的好奇心が旺盛な生徒に最適な環境です。また、全員が取り組む「SSH探究」という独自の探究学習があり、自ら課題を見つけて研究する力を養いたい生徒にも強くおすすめできます。

東京学芸大学附属高等学校の特色・校風

「自由」と「知性」が共存する、非常に個性的な校風がこの学校の最大の魅力です。

  • 校風を表すキーワード:自由闊達、自主自律、知的探究心、個性の尊重

  • 宿題の量:一般的な「宿題」は少ないですが、その代わりに大量の「レポート」が課されます。「レポートに溺れる」という在校生の声があるほどで、授業で学んだことを基に、自ら調べて考察し、論理的に文章を構成する力が徹底的に鍛えられます。これは、大学での研究や社会に出てからも役立つ「本物教育」の実践そのものです。

  • 校則:校則は非常に緩やかで、生徒の自主性が重んじられています。スマートフォンの使用は基本的に自由で、制服をきちんと着用していれば、髪染めやピアスも黙認される傾向にあるようです。服装の着こなしもある程度自由で、生徒一人ひとりがTPOをわきまえて行動することが求められます。

  • 生徒たちの雰囲気:個性的で知的好奇心が強く、活発な生徒が多いと評判です。「変人」という言葉が良い意味で使われるほど、自分の「好き」を追求する生徒が尊重される文化があります。中学時代は物静かだった生徒も、ここでは自分の興味を共有できる仲間を見つけ、生き生きと過ごせるようです。

  • アルバイト:可能です。学業との両立は大前提ですが、社会経験を積むことも生徒の自主性に任されています。

  • 制服の評判:伝統的なセーラー服(女子)と詰襟(男子)の制服は、生徒たちの誇りであり、学校への愛着の象徴とされています。特に女子の制服は人気が高く、青いスカーフを独特の結び方(附高結び)で締めるのが正装ですが、普段は指定の成形済みリボンを付ける生徒が多数派です。女子にはスラックスの選択肢も用意されています。

  • 土曜授業:月に1回程度、土曜授業が実施されます。主に、全生徒必修の探究活動「SSH探究」の時間に充てられることが多いようです。

東京学芸大学附属高等学校の部活動・イベント

勉強だけでなく、部活動や学校行事にも全力で打ち込むのが附高生のスタイルです。

部活動

運動部・文化部ともに多種多様なクラブがあり、多くの生徒が活動に参加しています。学業で高いレベルを求められる中でも、部活動に打ち込める環境が整っています。

  • 全体の様子:運動部では、硬式野球、サッカー、テニス、バスケットボール、バレーボールといった人気の球技部に加え、ホッケー部や山岳部、弓道部など多彩な選択肢があります。文化部もオーケストラ部や軽音楽部、演劇部といった定番から、囲碁部、かるた部、モダンジャズ研究部など、個性的な部が活動しています。

  • 特に有名な部活動:

    • ホッケー部:特に女子は都大会で優勝し、関東大会に出場するなど輝かしい実績を誇ります。部員のほとんどが高校からホッケーを始める初心者ですが、熱心なコーチの指導のもとで大きく成長できるのが魅力です。

    • 山岳部:こちらも女子が東京都の大会で準優勝するなど、高いレベルで活動しています。自然の中で心身を鍛える活動は、附高の校風にも合っているのかもしれません。

    • オーケストラ部:小規模ながらも、音楽への情熱と仲間との強い絆で結ばれた部活として知られています。定期演奏会に向けて、一丸となって練習に励んでいます。

イベント

附高の学校行事は、生徒たちが主体となって創り上げる一大プロジェクトです。その熱気とクオリティの高さは、学校の大きな魅力となっています。

  • 辛夷祭(こぶしさい・文化祭):9月に行われる文化祭は、附高の代名詞とも言える最大のイベントです。多くの生徒が夏休みの大部分を準備に捧げ、クラス演劇や展示、研究発表など、高校生のレベルを遥かに超えたクオリティの出し物が繰り広げられます。その熱気と一体感は、多くの生徒にとって最高の思い出となるようです。

  • 体育祭:6月に開催される体育祭も、クラス対抗で大いに盛り上がります。学年を超えた応援合戦など、学校全体が一つになるイベントです。

  • 学習旅行(修学旅行):2年生の11月には、学習旅行が実施されます。行き先は学年によって異なりますが、仲間との絆を深める貴重な機会です。

  • その他の行事:1年生の林間学校や地理実習、スキー教室、マラソン記録会など、年間を通して体験的な学びの機会が豊富に用意されています。これらの行事も、附高の「本物教育」を体現する重要な要素です。

東京学芸大学附属高等学校の進学実績

「受験勉強のための学校ではない」という教育方針を掲げながらも、その進学実績は全国トップクラスです。これは、日々の授業や探究活動で培われた思考力や表現力が、結果的に大学入試でも圧倒的な強みとなっていることを示しています。

最新の大学進学実績(2025年判明分)

以下は、2025年度入試における主要大学の合格者数です(既卒生を含む)。

分類 主な大学名と合格者数
国公立大学 東京大学 22人、京都大学 5人、一橋大学 11人、東京科学大学 8人、東北大学 4人、北海道大学 3人、大阪大学 3人、横浜国立大学 10人、筑波大学 6人、千葉大学 4人など、合計128人
国公立大学医学部 合計 25人
難関私立大学 早稲田大学 97人、慶應義塾大学 78人、上智大学 38人、東京理科大学 82人、明治大学 82人、中央大学 50人、立教大学 33人、法政大学 36人、青山学院大学 23人など
私立大学医学部 合計 53人

進学サポート

特定の大学への合格を目標とする詰め込み教育は行いませんが、生徒一人ひとりの進路実現に向けたサポートは非常に手厚いです。

各界で活躍する卒業生や現役大学生を招いての進路講演会、医学部や海外大学進学希望者向けのガイダンスなどが頻繁に開催されます。また、伝統の校内実力テストや外部模試の結果を多角的に分析し、生徒が自らの「夢を実現する力」を客観的に把握できるよう、きめ細かく力強いサポート体制が整えられています。東京学芸大学への内部進学の道もありますが、利用者は少数で、ほとんどの生徒がより高い目標を掲げて外部の難関大学に挑戦します。

東京学芸大学附属高等学校の特長・アピールポイント

他の高校にはない、この学校ならではの強みやユニークな取り組みをまとめました。

  • 「本物教育」の徹底

    暗記偏重ではなく、レポート作成や議論を通じて物事の本質を深く考える力を養います。大学での学問や研究に直結する、本質的な学力を身につけることができます。

  • 生徒の自主性を最大限に尊重する校風

    校則が緩やかで、服装やアルバイトなども含め、多くのことが生徒の自己管理能力に委ねられています。この自由な環境が、責任感と自律心を育みます。

  • SSH指定校としての高度な探究活動

    スーパーサイエンスハイスクール(SSH)として、全生徒が3年間かけて取り組む「SSH探究」が必修です。自ら課題を設定し、研究を進め、論文にまとめる経験は、他では得られない財産となります。

  • 文理の壁を越えた柔軟なカリキュラム

    高校2年生までは文系・理系を分けず、幅広い科目を履修します。これにより、広い視野と教養を身につけた上で、3年生で自分の進路に合わせた専門性を深めることができます。

  • 圧倒的な大学進学実績

    自由な校風の中、生徒たちが自律的に学んだ成果として、東京大学をはじめとする最難関大学へ毎年多数の合格者を輩出しています。

  • 生徒が主役の熱狂的な学校行事

    特に文化祭である「辛夷祭」は、そのクオリティの高さで有名です。生徒たちが企画から運営まですべてを担い、学校全体が一体となる経験は、一生の思い出になります。

  • 多様な個性を持つ仲間との出会い

    全国から集まる知的好奇心旺盛な生徒たちと共に過ごす3年間は、何物にも代えがたい刺激に満ちています。互いの個性を尊重し合える環境で、生涯の友人が見つかるでしょう。

東京学芸大学附属高等学校の口コミ・評判のまとめ

在校生や卒業生からのリアルな声を集めました。良い点だけでなく、注意すべき点も知ることで、より深く学校を理解できるはずです。

良い点

  • 「周りの生徒のレベルが非常に高く、知的な刺激に満ちている。自分の好きなことを深く語り合える仲間がいるのが嬉しい」という声が多数あります。

  • 「学校が生徒を信頼してくれているのが伝わる。自由な分、自分で考えて行動する力が身についた」と、自主性を重んじる校風を評価する意見が多いです。

  • 「行事、特に辛夷祭は本当に楽しい。クラスや部活の仲間と一つの目標に向かって全力で取り組む経験は、最高の青春だった」という声が象徴的です。

  • 「レポート課題は大変だったが、そのおかげで論理的思考力や文章力が格段に上がった。大学に入ってからその価値がよく分かった」と、独自の教育内容を肯定的に捉える卒業生は多いです。

気になる点

  • 「校舎や設備は正直言って古い。最新のきれいなキャンパスを期待するとがっかりするかもしれない」という意見は、多くの口コミで見られます。

  • 「駅から少し歩くので、特に雨の日は大変」と、アクセスの不便さを挙げる声もあります。

  • 「学校側が手取り足取り受験対策をしてくれるわけではない。大学受験を意識するなら、自分で計画を立てて勉強を進める強い意志が必要」という注意点も聞かれます。

  • 「附属中学からの内部進学者と、高校から厳しい入試を突破してきた外部生との間で、入学当初は学力や意識に差を感じることがある」という声も一部にはあるようです。

アクセス・通学

東京学芸大学附属高等学校は、複数の駅やバス路線からアクセス可能で、様々なエリアから生徒が通学しています。

  • 最寄り駅からのアクセス

    • 東急東横線「学芸大学」駅より徒歩約15分

    • 東急田園都市線「三軒茶屋」駅より徒歩約20分

    • 東急東横線「祐天寺」駅より徒歩約17分

  • バスでのアクセス

    • 渋谷駅から:東急バス(渋32 野沢龍雲寺循環)に乗車、「学芸大学附属高校」バス停下車

    • 目黒駅から:東急バス(黒06 三軒茶屋駅行き)に乗車、「学芸大学附属高校」バス停下車

  • 通学エリアの傾向

    東急東横線や田園都市線沿線からの通学者が多いですが、渋谷駅や目黒駅からのバス便も便利なため、都内広域や神奈川県(横浜市、川崎市など)からも多くの生徒が通っています。

東京学芸大学附属高等学校受験生へのワンポイントアドバイス

ここまで読んでくれて、ありがとうございます。最後に、進学アドバイザーとして、皆さんへの応援メッセージを贈ります。

この学校は、知的好奇心の探求者、情熱的な議論家、そして自立した思考者を求めています。学ぶこと自体を愛し、自分の興味を深く追求したいと願い、自らの手で教育を創り上げていく覚悟があるなら、東京学芸大学附属高等学校はあなたという才能を大きく開花させる最高の環境になるはずです。あなたのユニークな声を大切にし、自分だけの道を見つける自由を与えてくれる場所、それが附高です。

その舞台に立つためには、厳しい学力検査という関門を突破しなければなりません。何よりも、5教科の筆記試験で高得点を取る力が不可欠です。公式をただ覚えるのではなく、「なぜそうなるのか」という本質を理解することに重点を置いてください。その深い思考力こそ、東京学芸大学附属高等学校が最も価値を置き、入試で試している力なのです。挑戦の道のりは長いですが、知的好奇心を忘れず、自分の可能性を信じてください。応援しています!

※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。