東京都立晴海総合高等学校は、都内で初めて設立された全日制の総合学科高校です。 「晴総(はるそう)」の愛称で親しまれ、その最大の魅力は、生徒一人ひとりが自分の興味や進路希望に合わせて、自分だけのオリジナルの時間割を作成できる点にあります。 まるで大学のように、豊富な選択科目の中から学びたい授業を自分で選べるシステムは、将来の夢がまだ漠然としている人にとっても、明確な目標がある人にとっても、大きな可能性を広げてくれるでしょう。

晴海総合高等学校では、1年次で基礎学力を固めながら「産業社会と人間」という授業を通して自分の将来についてじっくり考えます。 2年次からは6つの「系列」と呼ばれる専門分野に分かれ、より専門的な学びを深めていきます。 このユニークなカリキュラムと、都心にありながら落ち着いた学習環境が、多くの受験生を惹きつけています。

この記事では、そんな東京都立晴海総合高等学校の偏差値や難易度、気になる学校生活の様子、部活動、進学実績などを、進学アドバイザーの視点から分かりやすく解説していきます。あなたの高校選びの参考に、ぜひ最後まで読み進めてみてください。

晴海総合高等学校の基本情報

項目 内容
正式名称 東京都立晴海総合高等学校
公立/私立の別 公立
共学/男子校/女子校の別 共学
所在地 〒104-0053 東京都中央区晴海1-2-1
代表電話番号 03-3531-5021
公式サイト https://www.metro.ed.jp/harumisogo-h/

晴海総合高等学校の偏差値・難易度・併願校

東京都立晴海総合高等学校の偏差値は56前後とされています。 これは東京都内の都立高校の中では中堅レベルに位置します。合格に必要な内申点の目安は、換算内申で43/65程度です。 オール3では少し足りず、副教科などで4を取っておくと、より合格に近づけるでしょう。

同じくらいの偏差値の都立高校としては、向丘高校、江北高校、芦花高校などが挙げられます。自分の興味や通学のしやすさなども考慮して、比較検討してみると良いでしょう。

晴海総合高等学校を第一志望とする受験生が併願する私立高校としては、以下のような学校が挙げられます。これらの高校は、晴海総合高校の校風や教育内容と近い部分があったり、難易度的に併願しやすかったりするようです。

  • 正則高等学校

  • 上野学園高等学校

  • 日本大学豊山高等学校

  • 佼成学園高等学校

  • 宝仙学園高等学校(理数インター)

  • 豊南高等学校

晴海総合高等学校に設置されている学科・コース

晴海総合高等学校は「総合学科」のみを設置する高校です。 1年次では芸術以外の科目は全員が同じ授業を受け、基礎学力を固めます。2年次から、生徒は以下の6つの系列の中から1つを選択し、自分の興味関心や進路希望に合わせた専門的な科目を履修していきます。

  • 情報システム系列: プログラミングやネットワークなど、情報技術の基礎から応用までを学びます。IT社会で活躍したい、コンピュータに興味がある人におすすめです。

  • 国際ビジネス系列: 経済やマーケティングの仕組み、簿記などを学びます。将来、企業で活躍したい、ビジネスの世界に興味がある人に向いています。

  • 語学コミュニケーション系列: 英語はもちろん、第二外国語(フランス語、ドイツ語、中国語など)も選択できます。 言葉を通じて世界中の人と交流したい、グローバルな視野を身につけたい人におすすめです。

  • 芸術・文化系列: 美術、工芸、書道、音楽、演劇など、芸術に関する多様な科目を専門的に学びます。 自分の表現力を高めたい、芸術系の大学進学を目指す人にぴったりです。

  • 自然科学系列: 理科の実験や演習科目が充実しており、科学的な探究心を深めることができます。理系の大学に進みたい、自然現象の仕組みに興味がある人におすすめです。

  • 社会・経済系列: 法律や経済、現代社会が抱える問題などについて深く学びます。社会の仕組みに関心がある、文系の大学進学を目指す人に向いています。

晴海総合高等学校の特色・校風

晴海総合高等学校は「自由」な校風で知られていますが、それは「何でもあり」という意味ではなく、「自主・自律」を重んじる自由です。 自分で時間割を組むという大きな裁量が与えられている分、生徒一人ひとりが自分の行動に責任を持つことが求められます。

  • 校則: 他の都立高校と比較すると、校則は標準的か、少し厳しいと感じる部分もあるようです。 特に髪染めやピアスは厳しく指導される傾向があります。 一方で、アルバイトは許可されており、先生によっては相談に乗ってくれることもあるようです。 スマートフォンは校内での使用は可能ですが、授業中は電源を切るなどのルールがあります。

  • 制服: 爽やかな青を基調とした制服で、「大海原に進んでいく生徒を後押しする」という意味が込められています。 モダンにアレンジされたセーラー服風のデザインは、生徒からの評判も良いようです。

  • 生徒の雰囲気: 自分の興味や目標に向かって主体的に学ぶ生徒が多い印象です。様々な系列があるため、多様な個性を持つ生徒が集まっています。学年を超えて仲が良いのも特徴です。

  • 宿題・課題: 選択する科目によって量は異なりますが、3年間を通じて「探究」の授業があり、自分でテーマを設定して研究し、発表する課題があります。 これには主体的に取り組む姿勢が求められます。

  • 土曜授業: 土曜授業の有無に関する明確な情報は見当たりませんでしたが、都立高校の多くが土曜授業を導入している傾向にあります。

晴海総合高等学校の部活動・イベント

部活動

晴海総合高等学校では、1年次は全員がいずれかの部活動に加入することになっています。 運動部、文化部ともに活発に活動しており、充実した学校施設も魅力の一つです。

  • 運動部: 特に女子サッカー部は全国大会への出場経験もある強豪として知られています。 その他、剣道部、ダンス部、弓道部、バドミントン部なども積極的に活動し、実績をあげています。

  • 文化部: 吹奏楽部は各種コンクールで金賞を多数受賞しています。 また、美術・工芸部、演劇部、放送部なども活発です。 珍しい部活としては、日本の伝統文化を学べる筝曲部や茶道部、百人一首部などがあります。 都立高校でも有数の設備を誇る日本文化実習室や茶室で本格的な活動ができます。

イベント

晴海総合高等学校では、生徒が主体となって盛り上がる多彩な学校行事が一年を通して開催されます。

  • 晴海祭(文化祭): 毎年9月に行われる文化祭は、学校最大のイベントの一つです。 クラスや部活動ごとの企画はもちろん、総合学科ならではの授業の成果発表なども行われ、日々の学びの集大成を披露する場ともなっています。

  • 体育祭: 5月に行われ、クラス対抗で様々な競技に熱中します。生徒が一体となって盛り上がる行事です。

  • 修学旅行: 2年次の2月に長崎を訪れます。平和学習などを通して、見聞を広める貴重な機会となっています。

  • その他の行事: 1年生を対象としたフレッシュマンセミナーや、キャリア教育の一環である職場訪問、職業講演会、課題研究発表会など、総合学科ならではの独自の行事が多くあります。

晴海総合高等学校の進学実績

晴海総合高等学校は、総合学科の特色を生かし、多様な進路実現をサポートしています。大学進学を目指す生徒が多く、指定校推薦の枠も多いことが特徴です。

  • 国公立大学: 首都大学東京(現:東京都立大学)などの国公立大学への進学実績があります。

  • 難関私立大学: GMARCH(学習院、明治、青山学院、立教、中央、法政)や、成成明学獨國武(成蹊、成城、明治学院、獨協、國學院、武蔵)といった難関・準難関私立大学へ、毎年多くの合格者を出しています。

  • その他: 自分の興味や専門性を活かして、芸術系の大学や体育系の大学、専門学校へ進学する生徒もいます。

  • 進路サポート: 1年次から外部模試や英語技能検定を実施するほか、進路ガイダンスや説明会をきめ細かく行い、生徒の進路意識を高めています。 自分で時間割を組むことを通して、早期から自分の将来と向き合う機会が多いことも、高い進学実績につながっていると言えるでしょう。

晴海総合高等学校の特長・アピールポイント

他の高校にはない、晴海総合高等学校ならではの魅力的なポイントをまとめました。

  • 都立初の全日制総合学科: 最大の特長は、約150もの多様な科目から自分の興味や進路に合わせて時間割を作れることです。

  • 自分だけの時間割: 2・3年次には、選択科目を中心に自分だけのオリジナルの時間割で学びます。 このプロセスを通じて、主体性や自己管理能力が育まれます。

  • 充実したキャリア教育: 1年次の「産業社会と人間」や3年間続く「探究」の授業を通じて、自分の生き方や在り方を深く考え、将来を設計する力を養います。

  • 大学レベルの充実した施設: CALL室、総合実践室、福祉実習室、茶室、弓道場など、専門的な学びをサポートする施設が整っています。 図書館や講堂も大学に引けを取らない広さです。

  • STEAM教育の推進: 科学・技術・工学・芸術・数学を統合的に学ぶSTEAM教育に力を入れており、IT社会に対応できる人材の育成を目指しています。

  • 活発な部活動: 全国レベルの女子サッカー部をはじめ、多くの部活動が熱心に活動しており、文武両道を実現できる環境です。

  • 都心に位置する便利なアクセス: 月島駅から徒歩圏内という通いやすい立地も魅力の一つです。

晴海総合高等学校の口コミ・評判のまとめ

在校生や卒業生からは、晴海総合高等学校のどのような点が評価され、またどのような点に注意が必要だと考えられているのでしょうか。

  • 良い点:

    • 「大学のように自分で授業を選べるのが楽しい」という声が最も多く聞かれます。

    • 「自分の好きなことや得意なことをとことん追求できる」と、総合学科のシステムを肯定的に捉える意見が多数あります。

    • 「指定校推薦の枠が多く、進学に有利だと感じた」という声も多いです。

    • 「施設が綺麗で充実している」「部活動が盛んで楽しい」といった学校生活の満足度の高さも伺えます。

    • 「行事が盛り上がり、クラスや学年を超えて仲良くなれる」という意見も目立ちます。

  • 気になる点:

    • 「自由な分、自分でしっかりしないと流されてしまう」という、自主性が求められることへの指摘があります。

    • 「選択科目によっては、クラスの友達と授業がバラバラになることがある」点を寂しいと感じる人もいるようです。

    • 「都立高校としては校則が少し厳しいと感じる部分がある」という口コミも見られます。

    • 「駅から少し歩く」「自転車通学が禁止されているのが不便」といった通学に関する意見もあります。

アクセス・通学

晴海総合高等学校へのアクセスは以下の通りです。

  • 東京メトロ有楽町線「月島駅」10番出口より徒歩8分

  • 都営地下鉄大江戸線「月島駅」10番出口より徒歩8分

  • 都営バス「晴海一丁目」バス停より徒歩0〜1分

  • 都営バス「月島三丁目」バス停より徒歩6分

中央区にありますが、江東区、港区、江戸川区など、比較的広いエリアから生徒が通学しているようです。

晴海総合高等学校受験生へのワンポイントアドバイス

東京都立晴海総合高等学校は、「将来やりたいことが決まっている人」にも、「これから自分の好きなことを見つけたい人」にも、どちらにもおすすめできるユニークな高校です。高校生活を通して、自分の可能性をとことん探究したいという強い意欲を持つ生徒に、晴海総合高等学校は最高の環境を提供してくれるでしょう。

受験勉強においては、まずは5教科の基礎を固め、苦手科目をなくすことが大切です。特に換算内申が重要になるため、中学の定期テストにしっかりと取り組み、副教科にも力を抜かないようにしましょう。また、総合学科の入試では、面接や小論文(作文)が課されることがあります。なぜ晴海総合高等学校で学びたいのか、入学してどんなことに挑戦したいのかを、自分の言葉でしっかりと伝えられるように準備しておくことが合格への鍵となります。応援しています!

※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。