神奈川県立中央農業高等学校は、100年以上の歴史と伝統を誇る、県内唯一の農業専門高校です。海老名市ののどかな田園風景の中に広がる県立高校でも有数の広大なキャンパスには、最新の設備が整った実習施設が充実しています。ここでは、動物や植物といった「いのち」と向き合いながら、食や環境について深く学ぶことができます。

中央農業高等学校では、野菜や果物、草花の栽培から、牛や豚などの家畜の飼育、さらには食品加工や流通まで、農業の幅広い分野を実践的に学ぶことができます。ただ知識を詰め込むだけでなく、実際に土に触れ、動物の世話をし、自分たちで育てた生産物を販売する経験を通して、生きた知識と技術を身につけることができるのが、中央農業高等学校の大きな魅力です。

この記事では、そんな中央農業高等学校の具体的な学びの内容や学校生活の様子、生徒たちの声などを詳しく紹介していきます。農業に興味がある人、動物が好きな人、将来は食や環境に関わる仕事がしたいと考えている人にとって、きっと魅力的な発見があるはずです。

中央農業高等学校の基本情報

項目 内容
正式名称 神奈川県立中央農業高等学校
公立/私立の別 公立
共学/男子校/女子校の別 男女共学
所在地 〒243-0422 神奈川県海老名市中新田4-12-1
代表電話番号 046-231-5202
公式サイト https://www.pen-kanagawa.ed.jp/chuo-ah/index.html

中央農業高等学校の偏差値・難易度・併願校

中央農業高等学校の偏差値は、学科によって異なりますが、おおむね40から42程度です。畜産科学科が42、農業総合科が41、園芸科学科が40が一つの目安とされています。

同じくらいの偏差値の高校としては、綾瀬西高等学校や厚木商業高等学校、厚木清南高等学校などがあります。合格に必要な内申点の目安は、各学科で差はありますが、50台後半から60台前半あたりが目標となるでしょう。ただし、専門高校という特性上、農業への強い興味や学習意欲が重視される傾向があります。

神奈川県の公立高校入試制度では、原則として公立高校を併願することはできません。そのため、中央農業高等学校を第一志望とする場合、併願校は私立高校から選ぶことになります。主な併願校としては、柏木学園高等学校や旭丘高等学校などが挙げられることが多いようです。

中央農業高等学校に設置されている学科・コース

中央農業高等学校には、農業のスペシャリストを目指すための3つの専門学科が設置されています。

  • 園芸科学科

    野菜や果物、草花の栽培技術から、造園、バイオテクノロジーまで幅広く学びます。植物が好きで、美しい花や美味しい野菜を育てることに興味がある人におすすめです。

  • 畜産科学科

    牛や豚、鶏といった家畜の飼育管理や繁殖技術、畜産物の加工などを実践的に学びます。動物が好きで、畜産業や動物関連の仕事に就きたいと考えている人にぴったりの学科です。

  • 農業総合科

    農作物の生産から加工、販売、経営までを総合的に学びます。2年生からは、より専門性を高めるために以下の2つのコースに分かれます。

    • アグリビジネスコース: 農作物の生産から販売までを経営的な視点で学びます。将来、農業経営者を目指したい人や、食の流通に興味がある人におすすめです。

    • フードサイエンスコース: 食品の加工技術や成分分析、栄養について学びます。食品開発や品質管理など、食の科学に興味がある人に向いています。

中央農業高等学校の特色・校風

中央農業高等学校は、「いのちを尊重する教育」を大切にしており、落ち着いた雰囲気の中で、生徒たちがのびのびと学んでいます。

  • 校風:生徒たちは農業という共通の目標を持っているため、学校全体に一体感があり、真面目で穏やかな生徒が多いと言われています。広大な敷地でのびのびと学校生活を送ることができます。

  • 宿題:レポート提出が課されることがあるなど、専門的な学習内容に応じた課題が出されることがあるようです。

  • 校則:校則は、他の高校と比較して標準的か、やや緩やかという声が見られます。スマートフォンの持ち込みは許可されているようです。服装に関しては、制服があります。

  • 生徒たちの雰囲気:動物好き、植物好きが多く、穏やかで優しい生徒が多いという評判です。同じ目標を持つ仲間と出会いやすい環境と言えるでしょう。

  • アルバイト:アルバイトは許可されています。

  • 制服:制服は男女ともにブレザータイプです。令和8年度入学生からは新制服になる予定です。

  • 土曜授業:土曜授業は基本的にありません。

中央農業高等学校の部活動・イベント

部活動

中央農業高等学校の部活動は、運動部、文化部ともに活発に活動しています。特に農業高校ならではの「農業クラブ専門研究部」があるのが大きな特徴で、科の枠を超えて専門的な活動に取り組むことができます。

  • 農業クラブ専門研究部:酪農部や養豚部などがあり、より専門的な知識や技術を深めることができます。例えば養豚専門研究部では、生徒たちが育てたオリジナルブランド豚「ちゅのとん」の販売会を地域で行うなど、実践的な活動をしています。

  • 運動部:ラグビー部、バレーボール部、バスケットボール部、ライフル射撃部など、多様な運動部が活動しています。ライフル射撃部は高校から始める生徒がほとんどで、誰にでもチャンスがあります。

  • 文化部:吹奏楽部や和太鼓部、フラワーデザイン部など、文化部の活動も盛んです。特にフラワーデザイン部は、入学式や卒業式の壇上を飾る花を制作するなど、学校行事で活躍しています。

イベント

中央農業高等学校では、農業高校ならではの体験ができるユニークなものから、一般的な高校生活を彩る楽しいものまで、多彩な学校行事が年間を通じて行われています。

  • 秋輝祭(しゅうきさい):毎年11月に行われる文化祭で、中央農業高校の一大イベントです。生徒たちが育てた野菜や果物、加工品などの販売会は毎年大盛況で、地域住民も楽しみにしている行事です。

  • 体育祭:クラス対抗で様々な競技に熱中し、生徒たちの団結力が高まります。

  • 修学旅行:行き先は年度によって異なりますが、仲間との絆を深める貴重な機会です。

  • 生産物販売会:日頃の実習で生徒たちが生産した、新鮮な野菜や卵、加工品などを地域の方々へ販売します。実践的な学びの場であると同時に、地域との大切な交流の機会となっています。

中央農業高等学校の進学実績

中央農業高等学校では、専門性を活かした多様な進路選択が可能です。大学進学から専門学校、就職まで、生徒一人ひとりの希望に応じたサポートが行われています。

近年の進学実績を見ると、国公立大学では帯広畜産大学や東京農工大学など、農業系の難関大学への合格者も出ています。私立大学では、麻布大学、神奈川大学、関東学院大学、国士舘大学などへの進学者が多いようです。

もちろん、農業系の専門学校へ進学し、より実践的な技術を磨く生徒や、学んだ知識を活かして農業法人や食品関連企業へ就職する生徒も多くいます。このように、中央農業高等学校での学びは、幅広い分野で活躍するための確かな土台となっています。

中央農業高等学校の特長・アピールポイント

中央農業高等学校には、他の高校では決して味わうことのできない、ユニークで魅力的な学びの機会がたくさんあります。

  • 県内唯一の農業専門高校:100年以上の歴史の中で培われた、質の高い農業教育を受けることができます。

  • 広大なキャンパスと充実した施設:県立高校でトップクラスの広大な敷地に、牛舎や豚舎、温室、水田など、本格的な実習施設が揃っています。

  • 「いのち」と向き合う実践的な学び:動物の飼育や植物の栽培を通して、命の尊さや食の大切さを肌で感じながら学ぶことができます。

  • スマート農業の導入:搾乳ロボットや餌寄せロボットなど、最新の先端技術を導入しており、これからの農業を担う人材を育成しています。

  • 地域との連携:生徒が育てた農産物の販売会や、地域のイベントへの参加など、地域社会とのつながりを大切にした活動が盛んです。

  • 専門性を深める「農業クラブ」:科の枠を超えて、自分の興味関心をとことん追求できる「農業クラブ専門研究部」があります。

  • 独自のブランド豚「ちゅのとん」:生徒たちが愛情を込めて育てたオリジナルブランド豚は、販売会でも人気の商品です。

中央農業高等学校の口コミ・評判のまとめ

中央農業高等学校には、実際に通っている生徒や卒業生から多くの声が寄せられています。

  • 良い点:

    • 「動物や植物が好きなら最高の環境」という声が非常に多いです。

    • 「専門的な知識を持った先生が多く、何でも質問できる」と、先生のサポートを手厚く評価する意見が見られます。

    • 「実習が多く、体を動かしながら学べるので楽しい」という、実践的な授業内容に対する満足度の高い口コミが目立ちます。

    • 「同じ目標を持った友達と出会えるので、学校生活が充実する」といった、友人関係に関するポジティブな評判もあります。

  • 気になる点:

    • 「専門的な勉強が中心になるため、大学進学を考える場合は普通教科の勉強を自分でしっかりやる必要がある」という意見があります。

    • 「実習では体力を使うことも多い」という声や、「当番実習などで帰りが遅くなることがある」という、農業高校ならではの側面についての口コミも見られます。

    • 「駅から少し歩く」というアクセスに関する指摘も一部で見られます。

    • 施設の広さゆえに「移動教室が大変」と感じる生徒もいるようです。

アクセス・通学

中央農業高等学校へのアクセスは、複数の駅やバス路線が利用できます。

  • 小田急線・JR相模線「厚木駅」から徒歩約20分

  • 小田急線・相鉄線・JR相模線「海老名駅」東口から徒歩約25〜30分

  • 海老名駅東口から神奈川中央交通バス「長後駅西口」行きに乗車し、「農業高校前」バス停下車すぐ

海老名市や厚木市、綾瀬市、座間市など、県央地域から通学している生徒が多い傾向にありますが、農業を学びたいという強い意志を持って、県内の広い範囲から生徒が集まっています。

中央農業高等学校受験生へのワンポイントアドバイス

中央農業高等学校は、「動物が大好き」「植物を育ててみたい」「将来は食や環境に関わる仕事がしたい」といった、はっきりとした目標や興味を持っている君にこそ、ぴったりの学校です。普通科の高校では経験できない、土や動物と直接ふれあう毎日は、きっと君の知的好奇心を満たし、大きな成長へと繋げてくれるでしょう。中央農業高等学校への入学を考えているなら、まずは学校説明会や体験見学会に積極的に参加してみてください。広大なキャンパスや充実した施設、そして何より、いきいきと活動する先輩たちの姿に、きっと魅力を感じるはずです。

受験勉強においては、主要5教科の基礎を固めることはもちろん大切ですが、面接では「なぜこの学校で農業を学びたいのか」という強い意志を自分の言葉で伝えることが何よりも重要になります。中央農業高等学校で何を学び、将来どんな自分になりたいのか、じっくり考えてみてください。君の「好き」という気持ちが、合格への一番の近道になるはずです。応援しています!

※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。