札幌第一高等学校は、札幌市内で高校進学を考える中学生と保護者の皆さんなら、一度は名前を耳にしたことがあるのではないでしょうか。高いレベルでの「文武両道」を掲げ、大学進学でも部活動でも、毎年素晴らしい実績を上げている、まさに北海道を代表する私立高校の一つです。その名前が持つ響きから、勉強がとても大変な進学校というイメージが強いかもしれません。

しかし、実際の札幌第一高等学校は、最難関大学を目指す生徒から、全国レベルの部活動で活躍する生徒まで、多様な目標を持つ仲間たちが集まる活気あふれる場所です。2015年に完成した美しい新校舎は、充実した高校生活を送るための最高の舞台と言えるでしょう。この学校が持つ独特のエネルギーと可能性に、多くの受験生が惹きつけられています。

高校選びは、これからの3年間、そしてその先の未来を左右する大切な決断です。だからこそ、偏差値や進学実績といった数字だけでなく、学校の雰囲気、校則、日々の生活といった「リアルな姿」を知ることが何より重要になります。このページでは、皆さんが札幌第一高等学校について深く理解し、「自分にとって本当に合う学校か」を考えるための情報を、余すところなくお届けします。

札幌第一高等学校の基本情報

まずは、学校の基本的な情報を確認しておきましょう。

項目 内容
正式名称 札幌第一高等学校
公立/私立の別 私立
共学/男子校/女子校の別 男女共学
所在地 〒062-0021 北海道札幌市豊平区月寒西1条9丁目10番15号
代表電話番号 011-851-9361
公式サイトURL https://www.kibou.ac.jp/daiichi/

札幌第一高等学校の偏差値・難易度・併願校

札幌第一高等学校の難易度を、偏差値や内申点、そしてライバルとなる高校など、様々な角度から見ていきましょう。

この学校の大きな特徴は、札幌市内のトップ公立高校を目指す受験生の多くが併願先として選ぶことです。特に札幌南・北・西・東高校の受験生の約7割が併願すると言われており、道内私立高校では最も受験者数が多い学校の一つです。これは、入学者のレベルが非常に高いことを意味しており、入学後も高いレベルで切磋琢磨できる環境があることの証明です。

コース別偏差値と内申点ランク目安

コースごとに求められる学力レベルが異なります。自分の目標と現在の学力を照らし合わせて、どのコースを目指すかの参考にしてください。

コース名 偏差値 内申点ランク目安
文理選抜 68 Aランク
文理北進 64-66 Bランク
総合進学 57-60 C・Dランク

偏差値を見ると、最上位の文理選抜コースは68と、札幌市内のトップ公立高校に匹敵する非常に高いレベルです。文理北進コースも64〜66と難関であり、総合進学コースも50台後半から60と、決して簡単に入れるわけではないことが分かります。

内申点ランクの目安としては、文理選抜コースはAランク(296点以上)、文理北進コースはBランク(276点〜295点)、総合進学コースはCランク(256点〜275点)やDランク(236点〜255点)が一つの基準となります。もちろん、当日の入試得点との兼ね合いで合否は決まりますが、中学時代の学習の積み重ねが非常に重要になる学校です。

同じくらいの偏差値の他の高校

  • 札幌光星高等学校(ステラ・マリスコース)

  • 札幌北高等学校(公立)

  • 札幌西高等学校(公立)

  • 立命館慶祥高等学校

  • 北海高等学校(特別進学コース)

これらの高校は、札幌第一高等学校と学力レベルが近く、受験生が比較検討することが多い学校です。

主な併願校

前述の通り、札幌第一高等学校はトップ公立高校の併願先として絶大な人気を誇ります。

  • 公立高校:札幌南、札幌北、札幌西、札幌東、札幌月寒など

  • 私立高校:札幌光星、札幌日本大学、立命館慶祥、北海学園札幌など

多くの優秀な生徒が併願するため、入学試験の競争は非常に激しくなります。

札幌第一高等学校に設置されている学科・コース

札幌第一高等学校には普通科の中に、目標に応じて選べる3つのコースが設置されています。それぞれのコースがどんな場所で、どんな生徒におすすめなのかを見ていきましょう。

  • 文理選抜コース

    • どんな場所?:東京大学や京都大学といった最難関国公立大学や、医学部医学科への現役合格を目指す、学習特化型のトップコースです。3年間の学習内容を2年半で終える超進度のカリキュラムで、残りの期間は大学受験対策に集中します。

    • どんな生徒におすすめ?:高校生活の全てを勉強に捧げる覚悟があり、自ら高い目標に向かって努力し続けられる生徒向けです。部活動への参加は原則として認められていないなど、学習を最優先する環境です。

  • 文理北進コース

    • どんな場所?:札幌第一高等学校の教育の柱である「文武両道」を最も体現するコースです。北海道大学をはじめとする道内外の国公立大学を目指しながら、全国レベルの部活動にも全力で打ち込める環境が整っています。7時間授業や週課題など、学習量は多いですが、充実した高校生活が送れます。

    • どんな生徒におすすめ?:勉強も部活動も、どちらも妥協したくない、エネルギッシュな生徒にぴったりです。高いレベルで両立を目指す仲間たちと、刺激し合いながら成長できます。

  • 総合進学コース

    • どんな場所?:部活動などの課外活動で得た経験を活かし、学校推薦型選抜や総合型選抜なども視野に入れながら、国公立大学や私立大学、専門学校など幅広い進路を目指すコースです。授業は6時間授業が基本で、自分の興味や得意分野を伸ばすための時間的な余裕があります。

    • どんな生徒におすすめ?:特定の部活動に集中したい生徒や、多様な進路の可能性の中から自分に合った道を見つけたい生徒に適しています。指定校推薦枠も豊富です。

札幌第一高等学校の特色・校風

学校の雰囲気や文化は、高校選びで非常に重要なポイントです。キーワードと共に、生徒たちのリアルな声に基づいた学校の姿を紹介します。

キーワード:文武両道、質実剛健、規律重視、進学校

  • 宿題の量は多いか少ないか

    • 口コミでは「非常に多い」という声が圧倒的です。「勉強地獄」「年中勉強しかありません」といった表現が見られるほどで、特に文理選抜・北進コースでは、週末課題や長期休暇中の講習も多く、学習への覚悟が求められます。学習習慣を確立するには最適な環境ですが、楽な高校生活を想像していると厳しいかもしれません。

  • 校則は厳しいか緩やかか

    • 「校則はかなり厳しい」というのが一致した評判です。特に頭髪や服装に関する指導は厳しいようで、「前髪が眉にかかるだけで注意される」といった声もあります。スマホは校内での使用が原則禁止されており、代わりに学校から支給されるタブレット端末を使用します。自由な校風を求める生徒には窮屈に感じられる可能性があります。

  • 生徒たちの雰囲気

    • 全体的には真面目で落ち着いた雰囲気です。高い目標を持つ生徒が多いため、勉強に集中していても浮くことはなく、むしろそれが当たり前の空気感があります。一方で、厳しい校則や勉強量に対する不満を共有しながらも、気の合う友人を見つけて楽しく過ごしている生徒も多く、「友達に恵まれた」という声も聞かれます。

  • アルバイトは可能か

    • 公式な情報は見当たりませんが、厳しい学習スケジュールや校風から考えると、アルバイトは原則禁止、または許可制でかなりハードルが高いと推測されます。特に上位コースでは時間的に難しいでしょう。

  • 制服の評判はどうか

    • 制服は、濃紺のブレザーに、男子はスラックス、女子はオリジナルタータンチェックのスカートという、落ち着いたデザインです。制服自体への大きな不満の声は少ないですが、着崩しは厳しくチェックされるようです。

  • 土曜授業はあるか

    • 口コミには「1年生の時から連続26日登校」といった記述もあり、土曜日にも模試や講習が頻繁に行われていることがうかがえます。特に受験学年や上位コースでは、土曜日の登校は当たり前と考えた方が良いでしょう。

札幌第一高等学校の部活動・イベント

部活動

札幌第一高等学校の「文武両道」を象徴するのが、非常に活発な部活動です。全国レベルで活躍する部が多く、施設も充実しています。

運動部、文化部ともに数多くの部・同好会があり、生徒たちの多様な興味に応えています。特に運動部は全国的に有名で、学校全体の活気の源となっています。

  • 注目の部活動

    • 野球部:甲子園への出場経験も豊富で、全道屈指の強豪として知られています。専用の練習場も完備され、多くの生徒の憧れの的です。

    • サッカー部:FIFA認定の人工芝グラウンドという最高の環境で練習に打ち込めます。全道大会でも常に上位の成績を収める強豪です。

    • バドミントン部:男女ともに非常にレベルが高く、地区大会では優勝の常連です。技術だけでなく礼儀も重んじ、厳しい練習の中で人間的にも成長できる部活です。

    • チアリーダー部:全国大会でも活躍する実力派の部です。学校行事や野球応援などで華やかなパフォーマンスを披露します。

    • 珍しい部活動:文化系の同好会には「郷土研究」や「弁論」、運動系の同好会には「モーグルスキー」や「ゴルフ」など、ユニークな活動の場も用意されています。

ただし、文理選抜コースの生徒は原則として部活動に加入できないなど、コースによっては活動に制限がある場合がある点には注意が必要です。

イベント

学校生活を彩るイベントですが、札幌第一高等学校では学習や部活動に比べると、やや優先度は低いという印象を持つ生徒もいるようです。

  • 一高祭(文化祭):最大のイベントですが、準備期間が1週間程度と他の高校に比べて短いという声があり、少し盛り上がりに欠けると感じる生徒もいるようです。しかし、生徒会が中心となってウェブサイトで情報を発信するなど、盛り上げようという努力も見られます。

  • 体育祭:クラス対抗で盛り上がる、学校全体の一大イベントです。

  • 修学旅行:関西方面などを訪れ、歴史や文化を学びます。

口コミでは「行事は前半に集中しており、後期はひたすら7時間授業をこなす日々」という声もあり、学校全体として、華やかなイベントよりも日々の着実な学習を重視する文化があるようです。

札幌第一高等学校の進学実績

札幌第一高等学校の最大の強みの一つが、その圧倒的な大学進学実績です。道内私立高校ではトップクラスの実績を誇り、多くの生徒が難関大学への切符を手にしています。

国公立大学へは10年以上にわたり毎年100名以上の合格者を輩出しており、安定して高い水準を維持しています。

2024年度 主要大学合格実績(抜粋)

最新の合格実績から、主な大学を抜粋して紹介します(既卒生含む)。

大学分類 主な大学名 合格者数
国公立大学 北海道大学 27名
札幌医科大学 10名
小樽商科大学 23名
東北大学 2名
東京大学 1名
京都大学 1名
難関私立大学 早稲田大学 5名
慶應義塾大学 1名
GMARCH (明治・青学・立教・中央・法政) 合計 61名
関関同立 (関西・関学・同志社・立命館) 合計 27名
道内私立大学 北海学園大学 109名
北海道科学大学 107名

北海道大学に毎年30名前後の合格者を出す実績は、私立高校としては傑出しています。また、東京のGMARCHや関西の関関同立といった難関私立大学にも多数の合格者を輩出しており、全国レベルでの競争力の高さがうかがえます。道内の主要私立大学である北海学園大学や北海道科学大学へは、それぞれ100名を超える合格者を出しており、幅広い学力層の生徒の進路をしっかりとサポートしていることが分かります。

進学実績を支える取り組み

この高い進学実績は、学校の手厚いサポート体制によって支えられています。文理選抜コースの超進度カリキュラム、全コースで実施される豊富な講習や模試、欠席しても授業内容を確認できるオンライン動画配信、週末も利用できる自習室など、生徒が学習に集中できる環境が徹底的に整備されています。

札幌第一高等学校の特長・アピールポイント

他の高校にはない、札幌第一高等学校ならではの強みや魅力を5つのポイントにまとめました。

  • トップクラスの文武両道

    道内でも屈指の進学実績と、全国レベルで活躍する部活動を両立させている稀有な学校です。高い目標を掲げ、勉強にも部活にも本気で打ち込みたい生徒にとって、最高の環境が用意されています。

  • 近代的な学習環境と美しい校舎

    2015年に完成した新校舎は、ホテルのような吹き抜けの玄関ホールや、冷暖房完備の自習室、FIFA認定の人工芝グラウンドなど、最新の設備が整っています。3年間を過ごす場所として、この上なく快適で美しい環境です。

  • 目標に合わせた3つの専門コース

    最難関大学を目指す「文理選抜」、文武両道を実践する「文理北進」、多様な進路に対応する「総合進学」と、生徒一人ひとりの目標やスタイルに合わせて最適なコースを選べるのが大きな魅力です。

  • 「一高進路コンパス」による独自のキャリア指導

    医師や弁護士、公務員など、社会の第一線で活躍する卒業生から直接話を聞けるセミナーが開催されます。将来の夢を具体的にイメージし、学習へのモチベーションを高める貴重な機会となっています。

  • 高いレベルで切磋琢磨できる仲間との出会い

    札幌中のトップ公立高校を目指す優秀な生徒たちが併願先として選ぶため、入学者の学力レベルは非常に高いです。意識の高い仲間たちに囲まれることで、自然と自分自身の目標も高まり、互いに刺激し合いながら成長することができます。

札幌第一高等学校の口コミ・評判のまとめ

在校生や卒業生の声をまとめると、札幌第一高等学校の光と影が見えてきます。良い点と気になる点の両方を知って、総合的に判断しましょう。

  • 良い点

    • 学習環境は最高:「とにかく勉強に集中したい人には最高の環境」という声が多数あります。校舎は綺麗で、自習室などの設備も充実しており、周りも真面目に勉強する生徒ばかりなので、集中しやすいようです。

    • 先生のサポートが手厚い:熱心に指導してくれる先生や、卒業生のチューターに相談できる体制を評価する声があります。欠席した際に授業動画で学習を補える点も好評です。

    • 部活動に打ち込める:全国レベルを目指せる部活動が多く、施設も整っているため、本気でスポーツに打ち込みたい生徒には非常に魅力的です。

  • 気になる点

    • 校則が厳しく、自由が少ない:最も多く聞かれる不満点です。特に頭髪や服装、スマートフォンの使用に関する規則が厳しく、窮屈に感じる生徒が多いようです。「時代に合っていない」という厳しい意見も見られます。

    • 勉強が大変すぎる・「青春」は少ない:学習量が非常に多く、「高校生活の楽しさよりも勉強が優先される」と感じる生徒が少なくありません。華やかな学校行事などを期待すると、ギャップを感じる可能性があります。

    • 先生の質にばらつきがある:熱心で素晴らしい先生がいる一方で、「人間性に問題がある」「指導方法が古い」と感じる先生もいる、という声が複数見られます。どの先生に当たるかによって、学校生活の満足度が大きく変わる可能性がある点は注意が必要です。

    • 外見と中身のギャップ:新しく近代的な校舎のイメージとは裏腹に、校則や指導方針など、内面的な体質は古いと感じる生徒がおり、そのギャップに戸惑うことがあるようです。

アクセス・通学

札幌第一高等学校への通学方法と、どのエリアから生徒が通っているかの傾向です。

  • 最寄り駅

    • 札幌市営地下鉄東豊線「月寒中央駅」:4番出口から徒歩 約3〜5分です。ほとんどの生徒がこの駅を利用しており、アクセスは非常に便利です。

    • 札幌市営地下鉄東豊線「福住駅」:徒歩 約10〜11分です。こちらも徒歩圏内です。

  • 最寄りバス停

    • 中央バス「月寒中央通10丁目」:徒歩 約2〜3分です。

  • 通学エリア

    学校の所在地は豊平区ですが、地下鉄駅からのアクセスが良いため、札幌市内全域から生徒が通学しています。さらに、その高い進学実績と部活動の名声から、札幌市外の石狩管内はもちろん、旭川、帯広、釧路、さらには稚内といった道内各地から生徒が集まっています。これは、学生寮や下宿を利用してでも通う価値がある、と評価されていることの表れです。

札幌第一高等学校受験生へのワンポイントアドバイス

ここまで読んでくれて、ありがとうございます。最後に、進学アドバイザーとして、札幌第一高等学校を目指す君たちにメッセージを送ります。

この学校は、「大学でこれを学びたい」「部活動で全国を目指したい」といった、明確で高い目標を持っている君に特におすすめです。厳しい環境に身を置き、自分を律しながら努力を続けることで、大きな成長を遂げられる場所です。もし君が、楽なことよりも挑戦することに価値を感じるタイプなら、札幌第一高等学校は最高のパートナーになってくれるでしょう。

受験勉強では、5教科すべてで穴を作らないことが何より大切です。特に、併願するライバルたちは非常に高い学力を持っています。苦手科目をなくし、得意科目をさらに伸ばす努力を続けましょう。そして、日々の授業を大切にし、内申点をしっかり確保することも忘れないでください。目標とするコースに必要な内申ランクをクリアできれば、大きな自信を持って入試本番に臨めます。高校選びは、君の未来への第一歩です。この情報が、君の素晴らしい決断の助けになることを心から願っています。

※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。