福井県立羽水高等学校は、福井市内に位置し、多くの受験生から人気を集める、活気あふれる学校です。勉強と部活動、そして学校行事。そのどれもに全力で打ち込める環境がここにはあります。「欲張りな高校」でありながら、同時に「ちょうどいい高校」でもあると自らを表現するように、生徒一人ひとりが自分のペースで多面的な成長を遂げられるバランスの取れた校風が最大の魅力です。

1963年の創立以来、地域社会を支える人材を育成してきた歴史と伝統を誇る一方で、近年の羽水高等学校は大きな変革の時期を迎えています。2022年度には、より高いレベルの大学進学を目指す「探究特進科」を新設し、独自の探究学習プログラム「PBL」や、生徒が自ら学びをデザインする「ASU」といった先進的な教育活動を次々と導入しています。伝統を大切にしながらも、未来を見据えて進化を続ける学校です。

この記事では、そんな羽水高等学校について、偏差値や進学実績といった基本的な情報から、校則や宿題の量、在校生のリアルな声まで、中学生の皆さんと保護者の方が本当に知りたい情報を余すところなくお届けします。この記事を読めば、羽水高校での3年間が具体的にイメージでき、自分にとって最高の選択肢となるかどうかを見極めることができるはずです。

羽水高等学校の基本情報

まずは、羽水高等学校の基本的な情報を確認しましょう。学校選びの第一歩として、正式名称や所在地などを正確に把握しておくことが大切です。

項目 内容
正式名称 福井県立羽水高等学校
公立/私立の別 公立
共学/別学 男女共学
所在地 〒918-8114 福井市羽水1丁目302番地
代表電話番号 0776-36-1678
公式サイトURL http://www.usui-h.ed.jp/

羽水高等学校の偏差値・難易度・併願校

高校受験において、最も気になるのが偏差値と難易度でしょう。ここでは、羽水高等学校の最新の偏差値と、合格に向けての具体的な目安を解説します。

学科ごとの最新の偏差値は以下の通りです。複数の学習塾や模試によって数値は多少変動しますが、一つの目安としてください。

  • 探究特進科: 60~63

  • 普通科: 58

この偏差値は、福井県内の公立高校の中では上位に位置します。同じくらいの偏差値の高校としては、武生高等学校(普通科)が58、少し上のレベルでは武生東高等学校が59となっています。羽水高等学校は、しっかりとした学力を持ち、大学進学を視野に入れている生徒が多く集まる学校と言えるでしょう。

合格に必要な学力検査(入試本番のテスト)と内申点(中学校での成績)の目安は以下の通りです。

  • 探究特進科:学力検査 320点/500点、内申点 300点前後

  • 普通科:学力検査 303点~315点/500点、内申点 283点前後

近年、羽水高等学校は「探究特進科」を新設し、より高い学力層の生徒獲得を目指す動きを見せています。これは、これまで「普通の進学校」というイメージを持たれることもあった同校が、学力レベルと進学実績をさらに引き上げようとする意欲の表れと考えられます。普通科の安定した人気に加え、探究特進科という新たな選択肢ができたことで、学校全体の学習意欲やレベルが今後さらに向上していく可能性があります。

福井県の公立高校入試では、基本的に他の公立高校を併願することはできません。そのため、羽水高等学校を受験する場合、併願校は私立高校から選ぶことになります。主な併願校としては、以下のような高校が挙げられます。

  • 福井工業大学附属福井高等学校(特に特別進学科)

  • 仁愛女子高等学校(女子生徒の場合、特に特別進学コース)

  • 北陸高等学校

  • 啓新高等学校

羽水高等学校に設置されている学科・コース

羽水高等学校には、目標や興味に応じて選べる2つの魅力的な学科が設置されています。それぞれの特色を理解し、自分に合った学びの場を選びましょう。

  • 探究特進科

    • どんなことを学ぶ場所か:より高いレベルの国公立大学(大阪大学、金沢大学など)や難関私立大学(関関同立など)への進学を目指す学科です。「高度な授業」と、答えのない問いにチームで挑む「探究活動」を両輪に、深い思考力と発信力を養います。3年間クラス替えがなく、文理混合クラスで仲間と切磋琢磨できるのも特徴です。

    • どんな生徒におすすめか:明確な高い進学目標を持ち、将来は地域社会のリーダーとして活躍したいという意欲のある人におすすめです。

  • 普通科

    • どんなことを学ぶ場所か:福井大学をはじめとする国公立大学や多様な私立大学への進学をサポートする、羽水高校の中心的な学科です。成績と希望に応じて「特設クラス」と「標準クラス」に分かれ、自分に合ったレベルで学習を進められます。独自の学習時間「ASU」などを通じて、一人ひとりに合わせた「個別最適な学び」を実現します。

    • どんな生徒におすすめか:大学進学を目指しながら、部活動や学校行事にも積極的に参加したい人。手厚いサポートを受けながら、自分の可能性をじっくりと見つけたい人におすすめです。

この2つの学科設定は、多様な生徒のニーズに応えるための巧みな戦略と言えます。探究特進科がトップレベルの学力層を引きつけ、学校全体の学力向上を牽引する一方、普通科ではクラス分けや「ASU」といった柔軟な仕組みによって、大多数の生徒に手厚いサポートを提供しています。これにより、羽水高等学校は、高い目標を持つ生徒から、じっくり自分の道を探したい生徒まで、幅広い層の期待に応えることができるのです。

羽水高等学校の特色・校風

羽水高校の校風をキーワードで表すなら、「文武両道」「質実剛健」「探究学習」「面倒見が良い」といった言葉が当てはまるでしょう。ここでは、学校生活のリアルな姿を、口コミなどを基に詳しく見ていきます。

  • 宿題の量

    口コミでは「かなり多い」という声が目立ちます。時には夜遅くまでかかることもあるようですが、その分、予習・復習の習慣が自然と身につき、着実に学力が向上するという意見もあります。楽な高校生活を送りたい人には厳しいかもしれませんが、勉強する習慣をしっかりつけたい人には最適な環境です。

  • 校則(スマホ、服装、アルバイトなど)

    他の高校と比較して「厳しい」と感じる生徒が多いようです。

    • スマホ:持ち込みは許可されていますが、校内では電源を切り、カバンの中にしまっておくのがルールです。

    • 服装:月に一度、風紀検査があり、頭髪や制服の着こなしをチェックされます。髪を染めたり、ピアスなどのアクセサリーをつけたりすることは禁止されています。

    • アルバイト:原則として禁止されています。

  • 生徒たちの雰囲気

    真面目に大学進学を目指して勉強に励む生徒がいる一方で、そうでない生徒もいるなど、様々な生徒が混在しているようです。そのため、口コミでは「周りの雰囲気に流されない強い意志が必要」という意見が多く見られます。授業ではよく当てられるため、予習が欠かせない緊張感のある雰囲気もあるようです。

  • 制服の評判

    制服のデザインや評判に関する具体的な情報は見つかりませんでした。学校説明会などで直接確認するのが良いでしょう。

  • 土曜授業

    夏期・冬期講習などに加え、「土曜講座」が開かれており、学習時間を確保するための取り組みが充実しています。

羽水高校の校風は、一言でいえば「面倒見の良い厳しさ」と表現できるかもしれません。宿題の多さや厳しい校則は、学校側が「生徒をしっかり大学に進学させる」という明確な目標達成のために設定した、ある種の親心のようなものと捉えることができます。その一方で、職員室前には質問用の机が用意されていたり、手厚い補習が行われたりと、生徒を支える体制も万全です。自由な校風を求める生徒には窮屈に感じるかもしれませんが、決められた環境の中で着実に力を伸ばしたい生徒にとっては、非常に心強いサポートが得られる学校です。

羽水高等学校の部活動・イベント

勉強だけでなく、仲間との絆を深める部活動やイベントも高校生活の醍醐味です。羽水高校の活気あふれる活動を紹介します。

部活動

羽水高校では運動部、文化部ともに活動が盛んで、多くの生徒が部活動に参加し、充実した放課後を過ごしています。特に、全国レベルで活躍する部や、県内で高い実績を誇る部がいくつもあります。

  • 放送部:16年連続で全国大会に出場している強豪部です。お昼の校内放送や学校行事の音響・司会進行など、学校に欠かせない存在として活躍しています。

  • ハンドボール部:県大会で準優勝し、北信越大会に出場するなど、近年目覚ましい活躍を見せています。

  • 吹奏楽部:「奏思奏愛」をモットーに活動し、コンクールで金賞を受賞するなど高いレベルを目指しています。部員の仲が良いことでも知られています。

  • 書道部:全国大会出場を目指す傍ら、イベントでの書道パフォーマンスで地域の人々を楽しませるなど、幅広く活動しています。

  • 合唱部:コンクールで銀賞を受賞する実力を持ちながら、学校祭ではJ-POPを披露するなど、楽しむことを大切に活動しています。

イベント

羽水高校の学校行事は、生徒たちの心に深く刻まれるものばかりです。

  • 強歩大会(4月)

    羽水高校の最も象徴的な伝統行事です。男子は約28km、女子は約22~24kmもの距離を1日かけて歩き抜きます。単なる遠足ではなく、体力はもちろん、精神力と忍耐力を鍛えることを目的とした過酷なイベントです。コースは毎年変わり、中には景色が単調で生徒から不評な「九頭竜コース」もあるなど、その本気度がうかがえます。この行事を乗り越えた経験は、大きな自信と仲間との一体感を生み出します。

  • 学校祭(9月)

    3日間にわたって開催される、学校全体が最も盛り上がるイベントです。

    • 1日目(文化祭):フェニックス・プラザという本格的なホールを借り切って行われます。吹奏楽部や合唱部による質の高いステージ発表のほか、ファッションコンテストや、羽水独自の発表企画「羽論(うろん)」など、見どころ満載です。

    • 2日目(文化祭):舞台を学校に移し、クラスごとに出す模擬店や、体育館での歌合戦、有志によるパフォーマンスなどで賑わいます。

    • 3日目(体育祭):グラウンドで様々な競技が行われます。特に、各クラスが趣向を凝らす応援合戦は大きな見どころの一つです。

羽水高等学校の進学実績

高校卒業後の進路は、誰もが気になるところです。羽水高等学校は、生徒一人ひとりの進路実現に向けた手厚いサポート体制を整えており、安定した進学実績を誇っています。

全体的な傾向として、地元の福井大学をはじめとする北陸地方の国公立大学や、近畿地方の有名私立大学への進学者が多いのが特徴です。これは、学校側がこれらの大学を主なターゲットとして、入試対策や進路指導に力を入れている結果と言えるでしょう。

最新の主な大学進学実績は以下の通りです(人数は過年度の実績を参考にしているため、年度によって変動します)。

  • 国公立大学

    • 福井大学:約30名

    • 富山大学:15名

    • 金沢大学:4名

    • その他、福井県立大学などにも多数の合格者を出しています。

  • 難関私立大学

    • 関西、立命館、同志社、関西学院といった「関関同立」や、京都産業、近畿、甲南、龍谷といった「産近甲龍」と呼ばれる大学グループに多くの生徒が進学しています。

これらの進学実績は、学校の充実した学習サポート体制によって支えられています。通常の授業に加えて、夏休みや冬休みには全生徒が参加する課外授業、春の特別講座、そして土曜講座などが開かれ、受験に必要な学力を徹底的に鍛えます。

羽水高校の進路指導は、高望みしすぎず、しかし質の高い、現実的で堅実な目標設定が特徴です。特に福井大学への進学者数は圧倒的で、この大学を目指す生徒にとっては非常に強く、信頼できるパイプラインが確立されていると言えます。これは、地域のニーズに応え、生徒を確実に次のステップへと導くという、学校の賢明な戦略の成果です。

羽水高等学校の特長・アピールポイント

他の高校にはない、羽水高校ならではの強みやユニークな取り組みをまとめました。これらのポイントが、あなたの高校選びの決め手になるかもしれません。

  • 独自の学習時間「ASU (After School Usui)」がある

    毎週金曜日の午後に、生徒が自分で学びをデザインできる特別な時間が設けられています。発展的な内容に挑戦する講座、苦手科目を克服する講座、あるいは静かに自習する時間など、自分の目標やペースに合わせて使い方を選べる画期的な取り組みです。

  • 地域と連携する本格的な探究学習「PBL」

    「地域に提案!」をテーマに、全校でプロジェクト学習(PBL)に取り組んでいます。中心市街地の活性化や防災など、現実社会の課題にチームで向き合い、解決策を探る活動を通して、思考力や協働性を養います。

  • 高い目標を目指す「探究特進科」の設置

    2022年度に新設された、難関大学進学に特化したコースです。ハイレベルな授業と探究活動で、トップクラスの学力を目指す生徒に最適な環境を提供します。

  • 心身を鍛える伝統行事「強歩大会」

    約28kmもの長距離を歩き通す、羽水高校名物の行事です。学力だけでは測れない、忍耐力や精神力といった「生きる力」を育む、他校にはない貴重な経験ができます。

  • 手厚い進学サポート体制

    夏休み・冬休みの課外授業や土曜講座など、正規の授業以外の学習サポートが非常に充実しています。全生徒を対象とした手厚い指導で、着実に大学合格へと導きます。

  • 全国レベルの部活動と本格的な学校祭

    16年連続全国大会出場の放送部をはじめ、活気ある部活動が揃っています。また、学校祭は市内の本格的なホールを借りて行われるなど、何事にも本気で取り組む文化があります。

羽水高等学校の口コミ・評判のまとめ

ここでは、在校生や卒業生から寄せられた様々な声を、良い点と気になる点に分けて公平にご紹介します。学校生活のリアルなイメージを掴む参考にしてください。

  • 良い点

    • 「先生のサポートが手厚い」:質問に行くと丁寧に教えてくれる、進路相談に親身に乗ってくれるなど、先生方の熱心なサポートを評価する声が多数あります。

    • 「勉強する習慣が身につく」:宿題の量が多いため、自然と毎日机に向かう習慣がつくという意見が多いです。卒業後も役立つ力が身につきます。

    • 「地元の国公立大学を目指すには良い環境」:特に福井大学など、地域の主要大学への進学実績が豊富で、目指しやすい環境が整っていると感じる生徒が多いようです。

    • 「行事が楽しく、クラスの団結力が強い」:強歩大会や学校祭など、大変なことも含めて学校行事が大きな思い出になっているという声が目立ちます。

    • 「勉強も部活も両立できる」:勉強一辺倒ではなく、部活動にもしっかり打ち込めるバランスの良さを魅力に感じる生徒もいます。

  • 気になる点

    • 「自称進学校という声も」:よりレベルの高い進学校と比較すると、物足りなさを感じるという意見もあります。最難関大学を目指すには、本人の相当な努力が必要かもしれません。

    • 「宿題が多くて大変」:良い点として挙げる声がある一方、やはり宿題の多さが負担になっているという声も少なくありません。自分のキャパシティと合うか考える必要があります。

    • 「校則が厳しい」:スマホの使用や服装に関するルールが他校より厳しく、窮屈に感じるという意見が見られます。

    • 「本人のやる気次第な面が大きい」:生徒の学習意欲に差があるため、周りに流されず、自分で目標を持って努力し続ける強い意志が求められます。

    • 「国公立大学志向が強い」:先生方の指導が国公立大学志望者に偏りがちで、私立大学を第一志望にしていると少し寂しい思いをする、という声もありました。

アクセス・通学

羽水高校は福井市の中心部にあり、様々な交通手段でアクセスが可能です。

  • バスでのアクセス

    • 京福バス:JR福井駅西口バスターミナル5番のりばから「羽水高校線」に乗車、「羽水高校前」下車、徒歩約3分。

    • コミュニティバス「すまいる」:福井駅前商店街などから「木田・板垣方面」に乗車、「羽水高校前」下車、徒歩約3分。

  • 電車でのアクセス

    • JR北陸本線「越前花堂駅」より徒歩約15~20分。

    • 福井鉄道福武線「花堂駅」より徒歩約20分。

  • 自転車でのアクセス

    • JR福井駅東口から自転車で約10~20分です。

福井市内の生徒が大多数ですが、その人気から坂井市、鯖江市、永平寺町、越前町、大野市といった市外から時間をかけて通学している生徒も少なくありません。

羽水高等学校受験生へのワンポイントアドバイス

ここまで読んでくれてありがとうございます。最後に、進学アドバイザーとして、羽水高等学校を目指す君にメッセージを送ります。

羽水高等学校は、「大学進学という目標に向かって、決められた環境の中でコツコツと努力を積み重ねたい」と考える生徒に特におすすめの学校です。手厚いサポートと、時には厳しいくらいの課題が、君を確実に成長させてくれるでしょう。受験勉強では、苦手科目を作らず、全教科の基礎を徹底的に固めることを意識してください。羽水高等学校の授業や課題は決して楽ではありません。入学後にスムーズなスタートを切るためにも、盤石な基礎学力は最大の武器になります。

「ASU」で自分の学びを探究する姿、仲間と汗を流す部活動、そして強歩大会を乗り越えた達成感。そんな充実した高校生活が君を待っています。頑張ってください、応援しています!

※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。