三重県立四日市南高等学校は、県内でも有数の進学校として知られていますが、その魅力は高い学力だけにとどまりません。勉強はもちろん、部活動や学校行事にも全力で打ち込む「文武両道」を地で行く活気とエネルギーに満ち溢れた学校です。生徒たちが主体となって創り上げる熱狂的な学校祭「南高祭」は、多くの生徒にとって最高の思い出となっています。
一方で、その自由で活発な校風の裏には、高いレベルの学習についていくための厳しい学業への要求も存在します。自由と規律、楽しさと厳しさ。この両方を高いレベルで経験できるのが、四日市南高等学校の最大の特色と言えるでしょう。この学校での3年間は、間違いなくあなたを大きく成長させてくれるはずです。
この記事では、そんな魅力あふれる四日市南高等学校について、中学生の皆さんと保護者の方々が本当に知りたい情報を、進学アドバイザーの視点から分かりやすく、そして詳しく解説していきます。この記事を読んで、南高での高校生活を具体的にイメージし、自分にぴったりの学校かどうかを考えるきっかけにしてください。
四日市南高等学校の基本情報
まずは、学校の基本的な情報を確認しておきましょう。
項目 | 内容 |
正式名称 | 三重県立四日市南高等学校 |
公立/私立の別 | 公立 |
共学/別学の別 | 男女共学 |
所在地 | 〒510-8562 三重県四日市市日永岡山4917 |
代表電話番号 | 059-345-3177 |
公式サイトURL | https://www.mie-c.ed.jp/hsyokk/ |
四日市南高等学校の偏差値・難易度・併願校
四日市南高等学校への進学を考える上で、最も気になるのが偏差値と難易度でしょう。最新の情報を基に、詳しく見ていきましょう。
この学校は三重県内でもトップクラスの学力が求められるため、入試に向けた計画的な準備が不可欠です。四日市南高等学校の偏差値は、コースによって異なります。
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普通科: 偏差値 65~66
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普通科数理科学コース: 偏差値 67~69
これらの偏差値は、三重県内の公立高校の中でも非常に高い水準にあります。同じくらいの偏差値の高校としては、津高等学校(普通科 66)や川越高等学校(国際文理科 64)などが挙げられます。このレベルの高校に合格するためには、入試本番での高得点だけでなく、中学校での日々の学習の積み重ねを示す「内申点」が極めて重要になります。具体的な目標としては、45点満点中40点以上が一つの目安となるでしょう。中学1年生の時から定期テストで安定して高得点を取り、提出物などをきちんとこなす真面目な学習態度が求められます。
また、三重県の公立高校入試では、原則として一つの高校しか受験できません。そのため、万が一に備えて受験する私立の併願校選びは非常に重要です。四日市南高等学校を目指す受験生の多くが併願校として選ぶのは、同じ北勢地区や近隣のレベルの高い私立高校です。具体的には、暁高等学校(II類英進コース)、高田高等学校(II類コース)、海星高等学校(国際数理コースや進学特別コース)、津田学園高等学校(特別選抜コース)などが主な選択肢として挙げられます。これらの私立高校もそれぞれ特色があるので、オープンキャンパスなどに参加して、自分に合った併願校をしっかりと選んでおくことが、安心して公立高校受験に臨むための鍵となります。
四日市南高等学校に設置されている学科・コース
四日市南高等学校には、生徒一人ひとりの進路希望や目標に対応するため、2つのコースが設置されています。それぞれの特色を理解し、自分に合ったコースを選びましょう。
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普通科
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どんなことを学ぶ場所か:国公立大学や私立大学の文系・理系を問わず、幅広い進路希望に対応できる柔軟なカリキュラムが特徴です。2年生から文系・理系に分かれ、3年生では自分の志望大学に合わせて多くの選択科目から授業を選べます。
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どんな生徒におすすめか:まだ将来の夢がはっきりと決まっていない人や、幅広い学問分野に興味がある人、自分のペースでじっくりと進路を考えたい人におすすめです。
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普通科数理科学コース
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どんなことを学ぶ場所か:難関国公立大学の理系学部(医学部、工学部など)や文系学部への進学を目指す、より高いレベルの学習を行うコースです。数学や理科の授業内容が普通科よりも高度で、探究的な学習活動が多く取り入れられています。
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どんな生徒におすすめか:将来、研究者や医師、技術者など、理数系の専門分野で活躍したいという高い志を持つ人や、より挑戦的な学習環境で自分を磨きたい人におすすめです。
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コースは分かれていますが、部活動や学校行事はすべて全校生徒が一緒に行います。そのため、コースの違いを超えた友人関係を築くことができ、学校全体としての一体感が強いのも四日市南高等学校の魅力です。
四日市南高等学校の特色・校風
四日市南高等学校の雰囲気をキーワードで表すなら、「文武両道」「自由闊達」「生徒主体」「活気」といった言葉がぴったりです。ここでは、中学生の皆さんが気になる学校生活のリアルな部分を、口コミや評判を基に詳しく紹介します。
この学校の最大の特色は、「厳しい学習」と「大きな自由」が両立している点にあります。この一見矛盾する二つの要素が、南高ならではの独特な校風を生み出しています。
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宿題の量は多いか少ないか
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「非常に多い」という声が圧倒的です。口コミでは「宿題の山」「課題が多すぎて自分の勉強時間が確保しにくい」といった意見が見られます。これは学校が「予習→授業→復習」という学習サイクルを徹底しており、それに加えて頻繁に行われる小テストや模試の対策も必要になるためです。この厳しい環境が、高い進学実績を支えています。
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校則は厳しいか緩やかか
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学習面での厳しさとは対照的に、校則は「かなり緩やか」という評判です。
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スマホ:授業中以外は基本的に使用が認められており、生徒の自主的な管理に任されています。
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服装:制服はありますが、スカート丈やリボンの結び方など、ある程度の着こなしは許容されているようです。ただし、あまりに華美な場合は注意されることもあります。
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髪型:染髪やパーマは禁止ですが、それ以外の髪型は基本的に自由です。
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この自由さは、生徒に対する信頼の証であり、生徒自身がTPOをわきまえて行動する自主性を育むことにつながっています。
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生徒たちの雰囲気
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全体的に「明るく活発」で、男女の垣根なく仲が良いと評判です。特に学校行事の際には、クラスや学年が一体となって驚くほどの団結力と盛り上がりを見せます。一方で、進学校らしく、普段は真面目に学習に取り組む生徒が多いですが、中には学習意欲に差が見られることもあるようです。周りに流されず、自分の目標を見失わないことが大切になります。
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アルバイトは可能か
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原則として禁止されています。学業と部活動に専念することが求められます。
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制服の評判はどうか
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グレーのブレザーに、男子はネクタイ、女子は青いリボンという組み合わせで、「県内でも可愛い・かっこいい」と非常に人気が高いです。式典用の紺色のネクタイ・リボンもあります。
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土曜授業はあるか
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正規の授業として毎週土曜授業があるわけではありません。しかし、土曜日には希望者向けの進学補習(課外授業)や、全校生徒対象の模試が頻繁に実施されます。特に3年生になると、多くの生徒が参加するため、事実上、土曜日も学校に行く日が多いと考えておくと良いでしょう。
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四日市南高等学校の部活動・イベント
「文武両道」を掲げる四日市南高等学校では、部活動や学校行事も非常に盛んです。勉強だけでなく、高校生活を思いっきり楽しみたい人にとって、最高の環境が整っています。
部活動
運動部・文化部合わせて26以上の部があり、多くの生徒が部活動に加入し、活気にあふれています。全国レベルで活躍する部もあれば、高校から新しいことに挑戦できる部もあり、選択肢は多彩です。
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ワンダーフォーゲル部
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南高を代表する部活動の一つで、過去にはインターハイ(全国高等学校総合体育大会)で2連覇を達成したこともある全国屈指の強豪です。主な活動は登山で、長期休暇には合宿も行います。厳しい自然の中で仲間と協力し、心身を鍛える経験は、他では得られない大きな財産になるでしょう。
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箏曲部
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文化部の雄として知られ、県大会で8連覇を達成するなど、輝かしい実績を誇ります。部員数も多く、毎年9月の文化祭(南高祭)での演奏は圧巻で、多くの観客を魅了します。日本の伝統文化に触れながら、高いレベルで音楽を追求したい人におすすめです。
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その他の部活動
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過去には演劇部や音楽部(合唱)も全国大会に出場経験があり、文化部のレベルの高さがうかがえます。運動部も、陸上競技部、サッカー部、野球部、バスケットボール部など、多くの部が熱心に活動しており、東海大会や県大会で活躍しています。
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イベント
四日市南高等学校の学校生活を語る上で、学校行事は欠かせません。生徒が主体となって企画・運営するイベントは、どれも非常に盛り上がります。
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南高祭(文化祭)
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南高最大のイベントであり、生徒たちの情熱が爆発する3日間です。1・2年生は教室での展示やアトラクション、3年生は食品販売など、クラスごとに趣向を凝らした出し物を行います。文化部の発表や有志によるステージパフォーマンスも見どころ満載です。最終日は四日市市文化会館を貸し切って行われ、その熱気と一体感は、まさに「青春そのもの」と多くの卒業生が語るほどです。
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体育祭
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南高祭と並ぶ大きなイベントで、クラス対抗で様々な競技に臨みます。応援合戦なども含め、クラスの団結力が試される一日です。
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修学旅行
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行き先は年によって異なりますが、仲間との絆を深める貴重な機会です。
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これらの行事は、勉強の合間の息抜きというだけでなく、企画力や協調性、リーダーシップを育む大切な学びの場となっています。
四日市南高等学校の進学実績
三重県を代表する進学校の一つである四日市南高等学校は、毎年、国公立大学や難関私立大学へ多くの合格者を輩出しています。その高い進学実績は、生徒自身の努力はもちろん、学校のきめ細やかな進路指導の賜物です。
以下に、近年の主な大学進学実績をまとめました。
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国公立大学
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地元の三重大学へは毎年40名以上という、非常に多くの合格者を出しています。その他、名古屋大学、名古屋工業大学、三重県立看護大学といった東海地方の主要な国公立大学への進学者が多いのが特徴です。さらに、京都大学、大阪大学、一橋大学といった全国トップクラスの難関大学にも合格者を輩出しており、高い学力を示しています。
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難関私立大学
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東海地方の難関私立大学である南山大学、名城大学、中京大学、愛知大学などには、毎年それぞれ数十名から100名を超える合格者を出しています。また、関西の「関関同立」(関西大学、関西学院大学、同志社大学、立命館大学)や、関東の「MARCH」(明治大学、青山学院大学、立教大学、中央大学、法政大学)といった全国的に有名な難関私立大学にも多数の合格実績があります。
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これらの輝かしい進学実績を支えているのが、学校独自の充実したサポート体制です。年間6回にも及ぶ個人面談や、学年ごとの進路説明会、様々な分野で活躍する卒業生を招いての講演会などを通じて、生徒一人ひとりが早期から進路意識を高められるように工夫されています。また、土曜日や長期休暇中に行われる進学補習(課外授業)は、大学受験に直結する内容で、多くの生徒が活用しています。国公立大学の二次試験対策として、先生方が個別で小論文の添削指導を行ってくれるなど、手厚いサポートが受けられるのも大きな強みです。
四日市南高等学校の特長・アピールポイント
数ある高校の中で、四日市南高等学校が持つ独自の強みやユニークな取り組みを、5つのポイントに絞ってご紹介します。
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「文武両道」を本気で追求できる環境
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勉強だけでなく、部活動や行事にも全力で取り組むのが南高のスタイルです。全国レベルで活躍する部活動に所属しながら、難関大学合格を目指すことが可能です。どちらか一方ではなく、両方に本気で打ち込みたい生徒にとって、最高の環境が用意されています。
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地域で最も熱いと評判の「南高祭」
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生徒が主体となって創り上げる文化祭「南高祭」は、学校生活最大のハイライトです。クラスや部活動の仲間と一つの目標に向かって努力する経験は、一生の思い出と強い絆を育みます。この行事の熱気を味わいたいという理由で南高を選ぶ生徒も少なくありません。
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生徒を信頼する「自由な校風」
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厳しい学習が求められる一方で、校則は比較的緩やかで、生徒の自主性が尊重されています。スマートフォンの使用や服装など、ある程度の自由が認められているのは、生徒への信頼の証です。この自由な環境が、生徒の自律心を育て、のびのびとした雰囲気を作り出しています。
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手厚い進学サポート体制
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高い進学実績は、充実したサポート体制によって支えられています。頻繁な個人面談や進路ガイダンス、大学受験直前まで行われる補習や個別指導など、生徒一人ひとりの目標達成を学校全体でバックアップする体制が整っています。
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丘の上のキャンパスが育む一体感と達成感
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最寄り駅から学校へ続く急な坂道、通称「桜坂」は、南高生にとって毎日の試練です。しかし、この坂を毎日登りきることで得られる達成感と、丘の上から見える美しい景色は、南高生としての誇りと一体感を育む特別な要素となっています。
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四日市南高等学校の口コミ・評判のまとめ
ここでは、在校生や卒業生から寄せられるリアルな声を、良い点と気になる点に分けて公平にご紹介します。学校選びの参考にしてください。
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良い点
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「行事が最高に楽しい」「クラスの団結力が強く、一生の友達ができた」という声が非常に多いです。特に南高祭の盛り上がりは、多くの生徒にとって最高の思い出となっているようです。
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「自由な校風でのびのび過ごせる」「先生が生徒を信頼してくれている」といった、生徒の自主性を尊重する文化を評価する声も目立ちます。
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「周りの生徒のレベルが高く、良い刺激を受けられる」「先生が進路相談に親身に乗ってくれる」など、学習環境や進路サポートの手厚さを評価する意見もあります。
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「制服が可愛いと評判で、着るのが楽しみだった」という声も、特に女子生徒から多く聞かれます。
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気になる点
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「とにかく課題や小テストが多くて大変」「宿題に追われて自分の勉強時間が取れない」という、学業面の負担の大きさを指摘する声が最も多いです。自分のペースで学習したい生徒には、厳しい環境かもしれません。
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「先生によって授業の分かりやすさに差がある」「自称進学校的な雰囲気があり、結局は自分次第」といった、学校の指導に対する厳しい意見も見られます。
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「校舎やトイレなどの施設が古いのが残念」「私立高校の綺麗な設備が羨ましくなる」など、施設の老朽化を気にする声があります。
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「学校が丘の上にあるため、毎日の通学が大変」「特に夏は坂を上るだけで疲れる」という、立地に関する意見も少なくありません。
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これらの口コミから、四日市南高等学校は「自主的に努力し、何事も楽しめる生徒」にとっては最高の環境ですが、「受け身の姿勢の生徒」にとっては厳しいだけの学校になってしまう可能性がある、ということがうかがえます。
アクセス・通学
四日市南高等学校への通学方法についてご案内します。
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最寄り駅からのアクセス
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主な交通手段は、四日市あすなろう鉄道八王子線です。終点の「西日野駅」で下車し、そこから徒歩約5分です。
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ただし、駅から学校までは「桜坂」と呼ばれる急な坂道を登る必要があります。多くの生徒が自転車を押して登っており、体力が必要な通学路と言えます。
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その他のアクセス方法
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JR関西本線「南四日市駅」からは自転車で約15分です。
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近鉄四日市駅などから三重交通バスを利用し、「笹川中学校」バス停で下車する方法もあります。
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通学エリア
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四日市市内の生徒が最も多いですが、隣接する鈴鹿市、亀山市や、少し離れた桑名市など、三重県の北勢地区全域から多くの生徒が通学しています。そのため、朝夕の電車は他校の生徒も利用することから、大変混雑する傾向があります。
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四日市南高等学校受験生へのワンポイントアドバイス
ここまで読んでくれてありがとうございます。最後に、進学アドバイザーとして、四日市南高等学校を目指すあなたにエールを送ります。
この学校は、「勉強も学校生活も、すべてに全力で打ち込みたい」というエネルギーあふれる生徒に特におすすめです。高い目標を持つ仲間と切磋琢磨し、熱狂的な学校行事で一生の思い出を作りたい、そして自由な環境で自律心を養い、人として大きく成長したい。もしあなたがそう願うなら、四日市南高等学校は最高の舞台になるでしょう。ただし、その自由を謳歌するためには、膨大な課題をこなす自己管理能力と、高いレベルの授業についていく学力が不可欠です。
受験勉強では、まず中学校の成績、つまり「内申点」をできるだけ高く保つことを意識してください。目安は40点以上です。そのためには、日々の授業を大切にし、定期テストで安定した成績を収めることが何よりも重要です。その上で、入試本番で高得点を取るために、5教科すべての基礎を徹底的に固め、応用問題にも対応できる力を養っていきましょう。四日市南高等学校への道は決して平坦ではありませんが、その先には、挑戦した者だけが味わえる、かけがえのない3年間が待っています。頑張ってください!
※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。