滋賀県教育委員会が、令和9年度(2027年度)の県立高校入試の「配慮申請実施要領」を示しました(ファイルは2026年10月27日付)。障害や病気、海外からの帰国などで特別な配慮が必要な人が、どんな手順で、どの書類を出せばよいかが書かれています。あわせて、検査前日・当日に熱が出たときの対応や、追検査の書類の提出期限(2027年3月5日(金)原則午後3時まで)も載っています。
「うちの子は対象になるのかな」「何から始めればいいの」という疑問に答えるつもりで、順番に整理します。
何が発表されたの?
ひとことで言うと、「入試で配慮してほしいときの申し出の道すじ」が決まりました。配慮とは、たとえば別室で受けたり、問題用紙の漢字にふりがなを付けたり、時間を延ばしたりすることです。
どんな配慮が行われてきたの?
資料には、これまでに実施した主な例が載っています。
- 聴覚障害:特別検査場(ふつうの教室とは別の部屋)での受検、補聴器などの持ちこみ、座席の配慮など。
- 視覚障害:特別検査場での受検、座席の配慮、問題用紙などの拡大など。
- 学習障害など:特別検査場での受検、問題用紙などへのルビ(ふりがな)振り、時間の延長など。
- その他:ハンカチ、座布団、松葉杖、薬などを検査場に持ちこむこと。
- 海外帰国生徒など:問題へのルビ振り、時間の延長、辞書の持ちこみ。
どの配慮を行うかは、高校の校長が中学校の校長からの申し出を受け、障害の程度や、いま通っている学校での配慮の状況を考えて、県教育委員会が決めます。つまり「希望すれば必ず通る」ものではなく、中学校での日ごろの配慮が判断の土台になります。
「海外帰国生徒など」に当てはまるのはどんな人?
海外から帰国した生徒や、外国から来た生徒のうち、次の両方にあてはまる人です。
- 帰国した日、または日本に来た日から2027年2月1日(月)までが6年以内。
- 帰国または来日の時点からさかのぼって、海外に継続して1年以上住んでいた。
いつ、だれに相談するの?
最初の一歩は、本人や保護者が中学校に相談することです。中学校生活で日ごろから配慮を受けている人は、できるだけ早く、受けたい高校とも相談を進めるよう書かれています。相談は検査の2か月前から受け付けますが、それより前でもかまいません。
対象の例として、個別の教育支援計画(一人ひとりに合わせた支援の計画)に基づいて支援を受けている人、海外帰国生徒など、病気や障害で配慮を受けている人があげられています。
一方、出願したあとで分かったけがや病気(たとえば骨折で松葉杖を使う、インフルエンザで別室受検になる)は、中学校の校長から出願先の高校の校長へ、すぐ報告・相談する決まりです。
申請の流れと必要な書類
ひとことで言うと、本人は「中学校に申し出る」だけ。あとは学校どうしと県教委がやり取りして決まります。ただし、そのために必要な書類があります。
あらかじめ配慮が必要な人の場合(8ステップ)
- ①志願者・保護者:出願予定の高校が決まったら、中学校の担当者に、希望する配慮を伝える。
- ②中学校長:高校の校長に電話で、希望する配慮と、日ごろ中学校で続けている配慮を説明する。
- ③高校の校長:中学校長に、必要な根拠資料の準備を求める。
- ④中学校長:高校の校長に協議を申し出る。受検日の2か月前から出願までの間に申し出る。出願先を変える場合は、出願変更の最終日まで。
- ⑤高校の校長:県教育委員会(高校教育課長あて)に協議を申し出る。
- ⑥県教育委員会:配慮するかどうか、どんな内容かを決め、「配慮許可通知書」を高校に送る。
- ⑦高校の校長:中学校長に内容を伝え、実施の計画を進める。
- ⑧中学校長:決まった配慮の内容を、志願者・保護者に報告する。
④で中学校が出す書類
- 協議書(配慮1号):中学校から高校あての様式。
- 根拠資料の写し(原本証明は不要):病気や障害の内容が分かるものと、中学校で配慮している内容が分かるもの。例は、診断書、個別の教育支援計画、個別の指導計画、健康の記録など。
- 副申書(3号):根拠資料を補足したいとき、中学校長が作る。
なお、資料には、配慮が必要になる要因として、視覚障害、聴覚障害、知的障害、肢体不自由、病弱・身体虚弱、言語障害、情緒障害、自閉症、学習障害、注意欠陥多動性障害、海外帰国生徒、病気、けがなどが並んでいます。障害や帰国生徒ではなくても、ルビ振りなどの配慮を日ごろ行っているケースは「学習支援」として扱われます。
海外帰国生徒などの場合
受けられる配慮は次の3つです。
- ルビ振り:学力検査などの問題用紙と解答用紙の漢字にふりがなを付ける。
- 時間の延長:中学校で考査の時間延長をしている場合、学力検査などの時間を延ばす。
- 辞書の持ちこみ:外国語と日本語を相互に訳す辞書を2冊まで。辞書を持ちこむと、検査の時間が10分間延びる。
国語の検査に辞書を持ちこむ場合は、漢字の読み・書き取りの問題は点数に入れず、それを除いて100点満点になるよう県教育委員会が配点を調整します。英語の辞書は、英語以外の検査で持ちこむ申請ができます。辞書を持ちこんで時間を延ばせるのは、中学校でも辞書の持ちこみによる時間延長をしていることが前提です。
この場合、本人・保護者は海外帰国生徒等取扱措置願(配慮3号)を中学校長に出します。辞書を持ちこみたい人は辞書持込み申請書(配慮4号)も出します。申請書では、持ちこむ辞書の種類、国語の検査への持ちこみの有無、10分間の時間延長を希望するかどうかを選びます。中学校長は、これらと協議書(配慮1号)を高校に出します。
日程・数字のまとめ
ひとことで言うと、「2か月前から出願まで」に中学校から申し出て、当日のトラブルの追検査は「3月5日の午後3時まで」です。
- 配慮の相談:検査の2か月前から可(それ以前でもよい)。
- 中学校長からの協議の申し出:受検日の2か月前から出願まで(出願変更の場合は出願変更の最終日まで)。
- 追検査の書類の提出期限:一般型選抜(学力検査)、学校独自型選抜(学校独自検査)とも、2027年3月5日(金)原則午後3時まで。
- 海外帰国生徒などの年数の基準日:2027年2月1日(月)。
- 聞き取りテストの時間延長:リップリーディングなどを使う場合は10分間。
- 辞書持ちこみの時間延長:10分間。
検査前日・当日に体調をくずしたら
ひとことで言うと、インフルエンザなどが分かったら、すぐ中学校へ連絡。受け方は「特別検査場」か「追検査」の2つです。
対象は、インフルエンザなどの感染症にかかった(またはその疑いがある)場合、月経に伴う症状などで体調が悪い場合、さらに当日は公共交通機関の事故などで遅れた場合などです。当日については、遅れた時間などで、特別検査場か追検査かを高校が判断すると書かれています。前日までにインフルエンザと分かっている場合は、分かった時点で高校へ連絡し、配慮申請(追検査か特別検査場での受検)を行います。
特別検査場で受ける場合
- 本人・保護者が中学校に、受検番号、氏名、出願先の高校名、希望する理由(診断された病名、体温、身体の状態など)を伝える。診断書があれば中学校に出す。
- 中学校長が高校の校長に電話で協議し、高校が県教委(高校教育課)に電話で協議する。
- 前日の17時までの対応では、可となれば書類(協議書、診断書の写しまたは副申書)を出す。17時以降は「当日の対応」として扱われる。
追検査を希望する場合
- 本人・保護者が中学校に、上の情報と理由を伝え、診断書と追検査受検願を準備する。病院に行っていなければ、すぐ受診して診断書をもらう。診断書が用意できないときは、体温や身体の状態を中学校に説明する。
- 電話での協議のあと、中学校長が高校に「追検査受検願と診断書の写し」を出す。期限は3月5日(金)原則午後3時まで。
- 高校が書類の写しに協議書をつけて県教委に出し、県教委が配慮許可通知書を送る。
受験生・保護者が気をつけること
- 配慮を受けたい人は、志望校が決まったらすぐ中学校へ。手続きの中心は中学校長ですが、根拠資料(診断書や支援計画など)の準備には時間がかかります。
- 配慮は、中学校で日ごろ行っていることが土台です。いまの配慮の内容を、担任や担当の先生と確認しておくと話が進みます。
- 当日の連絡先を決めておく。体調不良のときは、まず中学校へ受検番号、氏名、出願先の高校名、理由を伝える流れです。
- ハンカチやティッシュは、無地のものなら検査当日の持ち物点検で認められた場合に持ちこめるとされています。ただし、手掌多汗症や花粉症などでハンカチやティッシュを持ちこみたい人は、協議が必要です。
- 感染症の予防も呼びかけられています。規則正しい生活、マスク、手洗い、手指の消毒などで、体調を整えて臨みましょう。
検査場の準備についても書かれています。体調不良の人、インフルエンザなどにかかった人、特別配慮が必要な人、遅刻した人のための特別検査場が、通常の検査場とは別に用意されます。検査場や控室は35人以下が原則で(学校の状況で変わる場合あり)、特別検査場は受検者どうしの距離を2メートル以上とります。
よくある質問
Q. 診断書がないと配慮は受けられないの?
根拠資料の例として診断書があげられていますが、個別の教育支援計画、個別の指導計画、健康の記録なども例にあります。また、根拠資料を補う副申書も使えます。どの資料が必要かは、高校の校長との確認で決まります。
Q. 書類の原本証明は必要?
いいえ。根拠資料や診断書の「写し」でよく、原本証明は不要と書かれています。
Q. 辞書は何冊まで持ちこめるの?
海外帰国生徒などが外国語と日本語を訳す辞書は2冊まで(例:日本語とポルトガル語の辞書)です。持ちこむと、検査の時間が10分間延びます。
出典:滋賀県教育委員会「令和9年度滋賀県立高等学校入学者選抜 配慮申請実施要領」、滋賀県「令和9年度入学者選抜情報」(発表:2026年10月27日付、確認:2026年11月1日)。最新の情報は必ず教育委員会・志望校の公式発表で確認してください。
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