サレジオ工業高等専門学校、通称「サレジオ高専」は、中学校を卒業した15歳から5年間、専門的な技術や知識をとことん学べるユニークな学校です。「高校」と名前がついていますが、大学のような90分授業で、より深く専門分野を探求できる「高等専門学校(高専)」という特別な教育機関なのです。いち早く将来の夢であるエンジニアやデザイナーへの道を歩み始めたいと考えている君に、サレジオ高専は最高の環境を提供してくれるかもしれません。

普通の高校とは一味違う、その魅力は何なのでしょうか。ものづくりが好き、プログラミングに興味がある、ロボットを動かしてみたい。そんなあなたの知的好奇心を刺激する専門的な授業が1年生の時から始まります。全国でも珍しいカトリック系の工業高専として、技術だけでなく、豊かな人間性を育む教育も大切にしているのが、サレジオ工業高等専門学校の大きな特徴です。

この記事では、そんなサレジオ工業高等専門学校がどんな学校なのか、偏差値や難易度、学校生活の様子、そして卒業後の進路まで、進学アドバイザーとして中学生とその保護者の皆さんに分かりやすく、詳しく解説していきます。あなたの未来の選択肢の一つとして、じっくり読んでみてください。

サレジオ工業高等専門学校の基本情報

サレジオ工業高等専門学校の基本的な情報を表にまとめました。

項目 内容
正式名称 サレジオ工業高等専門学校
公立/私立の別 私立
共学/男子校/女子校の別 共学
所在地 〒194-0215 東京都町田市小山ヶ丘4-6-8
代表電話番号 042-775-3020
公式サイトURL https://www.salesio-sp.ac.jp/

サレジオ工業高等専門学校の偏差値・難易度・併願校

サレジオ工業高等専門学校を目指す上で気になる偏差値や難易度について見ていきましょう。高専の入試は、理数系の科目が得意な生徒にとって有利な場合もありますので、偏差値だけで判断せず、自分の得意分野と照らし合わせて考えることが大切です。

2025年度より、サレジオ高専は情報工学に特化した学校へと変わります。これまでのデザイン学科、電気工学科、機械電子工学科は募集を停止し、情報工学科のみの募集となる点に注意が必要です。

  • 情報工学科:51

同じくらいの偏差値の高校としては、公立では都立農業高校、小岩高校、高島高校などが挙げられます。私立では、成城高校(普通科)、広尾学園小石川高校(SGコース)などが近いレベルの学校と言えるでしょう。

合格に必要な内申点の明確な基準は公表されていませんが、高専の入試では当日の学力検査の得点が重視される傾向があります。しかし、内申点も評価の対象となるため、中学校での成績もしっかりと取っておくことが重要です。

主な併願校としては、偏差値が近い私立高校や、他の工業高等専門学校を受験する生徒が多いようです。具体的な併願校としては、日本工業大学駒場高校や、その他の私立高校などが考えられます。

サレジオ工業高等専門学校に設置されている学科・コース

2025年度から、サレジオ工業高等専門学校は「デジタル人材」の育成に特化するため、以下の学科編成となります。これまでの多様な専門分野から、時代のニーズに合わせた情報工学分野に教育資源を集中させていくことになります。

  • 情報工学科

    • どんなことを学ぶ場所か:コンピュータのハードウェアやソフトウェア、情報ネットワーク技術といった情報工学の基礎から応用までを幅広く学びます。これからの社会でますます重要になるICT(情報通信技術)を駆使して、問題を発見し解決できる技術者の育成を目指します。

    • どんな生徒におすすめか:プログラミングに興味がある、パソコンやスマートフォンが好き、将来はIT業界で活躍したい、AIやIoTといった最新技術を学びたい、という人におすすめです。

サレジオ工業高等専門学校の特色・校風

サレジオ工業高等専門学校は、全国で唯一のカトリック系の工業高等専門学校というユニークな背景を持っています。そのため、単に技術を教えるだけでなく、キリスト教の精神に基づいた人間教育にも力を入れているのが大きな特色です。

  • 校風をキーワードで表現すると、「専門性重視」「実践的」「面倒見が良い」「アットホーム」といった言葉が当てはまるでしょう。学生一人ひとりに寄り添う「アシステンツァ(アシスト)教育」を大切にしています。

  • 宿題の量:高専は専門科目を深く学ぶため、レポートや課題の量は多いと感じる生徒が多いようです。特に実験や実習の後は、まとめるべき課題が多く、計画的に学習を進める力が必要です。

  • 校則:校則は「厳しくも緩くもない」という声が多いですが、低学年のうちはスマートフォンの使用に制限があるなど、一定のルールはあります。しかし、2025年度からは全学年で私服着用が可能になるなど、より自由な雰囲気へと変化していくようです(制服の購入・着用は任意)。

  • 生徒たちの雰囲気:ものづくりや特定の専門分野に強い興味を持った生徒が集まるため、真面目で探究心旺盛な生徒が多い傾向があります。共通の趣味を持つ友人を見つけやすい環境と言えるでしょう。

  • アルバイト:アルバイトは原則として禁止されているようです。学業に専念することが求められます。

  • 制服の評判:制服は、特に女子生徒からの人気が高いようです。2005年の移転時に学生と教員で検討して作られた、品のあるデザインが好評です。

  • 土曜授業:平常授業はありませんが、学校説明会などのイベントが土曜日に開催されることがあります。

サレジオ工業高等専門学校の部活動・イベント

部活動

サレジオ工業高等専門学校では、勉強や研究だけでなく、部活動も盛んに行われています。運動部10、文化部8、同好会3があり、多くの学生が興味のある活動に参加しています。

  • 特に有名なのが、NHKの番組でもおなじみの「高専ロボコン」に参加するメカトロニクス研究部です。2007年にはロボコン大賞を受賞するなど、全国レベルでの実績があります。この他にも、ソーラーカープロジェクトや鳥人間コンテストなど、高専ならではの技術力を活かしたプロジェクト活動が活発です。

  • 運動部では、陸上競技部、テニス部、剣道部などが全国高専体育大会に出場する実績を持っています。

  • 文化部には吹奏楽部やモダンダンス部のほか、電子・通信研究部、情報研究部、映像研究部など、専門知識をさらに深められる部活動が揃っているのが特徴です。

イベント

5年間の学生生活を彩る、多彩なイベントが用意されています。サレジオ高専ならではの行事も多く、学生たちにとってかけがえのない思い出となっています。

  • 育英祭(学園祭):毎年秋に開催される学園祭は「育英祭」と呼ばれ、各学科や部活動が研究成果を発表する展示など、工業高専らしい企画が満載です。地域の方々も多く訪れ、大変な盛り上がりを見せます。

  • 研修旅行:一般的な高校の修学旅行にあたるもので、見聞を広める貴重な機会です。

  • 競技大会:クラス対抗で様々なスポーツに汗を流す体育祭のようなイベントで、クラスの団結力が高まります。

  • クリスマスイベント:ミッションスクールならではの行事で、イルミネーションがキャンパスを彩り、厳かな雰囲気の中で行われます。

サレジオ工業高等専門学校の進学実績

サレジオ工業高等専門学校の卒業後の進路は、大きく分けて「大学編入」と「就職」の2つがあり、どちらも非常に高い実績を誇ります。5年間で培った専門知識と実践力が、大学や企業から高く評価されている証です。

卒業生の進路決定率は毎年ほぼ100%に達しており、安定した将来設計が描けるのが高専の大きな強みです。

  • 大学編入:卒業後、さらに学びを深めたい学生は、多くの国公立大学や私立大学の3年次に編入することができます。推薦制度も充実しており、多くの学生がこの制度を利用して進学しています。特に、電気通信大学、東京農工大学、豊橋技術科学大学、長岡技術科学大学といった、技術系の難関国公立大学への編入実績が豊富です。2024年度の卒業生(本科)のうち42名が進学の道を選んでいます。

  • 就職:就職希望者に対する求人倍率は非常に高く、1学年約160名に対して毎年1,500件近くの求人が寄せられることもあります。多くの学生が大手企業や優良企業に就職を決めており、即戦力となる技術者として社会で活躍しています。2024年度の卒業生(本科)は110名が就職し、製造業、情報通信業を中心に様々な業界へ羽ばたいています。

  • 専攻科への進学:本科5年間を卒業後、さらに2年間学びを深める「専攻科」も設置されています。専攻科を修了すると、大学卒業と同じ「学士」の学位を取得でき、大学院への進学も可能になります。

サレジオ工業高等専門学校の特長・アピールポイント

他の高校や高専にはない、サレジオ工業高等専門学校ならではの魅力的なポイントをまとめました。

  • 全国唯一の工業系ミッションスクール:カトリックのサレジオ会を母体としており、技術教育だけでなく「良き社会人」を育てる人間教育を大切にしています。

  • 15歳から始まる5年間一貫の専門教育:中学卒業後すぐに専門分野の学習をスタートできます。大学受験に縛られず、5年間じっくりと好きな分野を探求できる環境は、技術者を目指す生徒にとって大きな魅力です。

  • 理論と実践を両立させる充実したカリキュラム:座学だけでなく、実験や実習の時間が豊富に用意されています。実際に手を動かしながら学ぶことで、社会で役立つ実践的な技術力が身につきます。

  • 抜群の就職率と国公立大学への編入実績:卒業後の進路が非常に安定しており、就職にも大学編入にも強いのが最大の強みです。企業からの高い評価が、豊富な求人数に繋がっています。

  • 高専ロボコンなど、特色あるプロジェクト活動:授業で学んだ知識を活かし、チームで一つの目標に向かうプロジェクト活動が盛んです。ロボコンやソーラーカーレースへの挑戦は、他では得られない貴重な経験となります。

  • 一人ひとりに寄り添う「アシステンツァ教育」:サレジオ会の教育理念に基づき、教員が学生一人ひとりを親身にサポートする体制が整っています。学習面だけでなく、学生生活全般にわたって安心して相談できます。

  • 2025年度からの情報工学への特化:時代のニーズに応え、AIやIoTなど最先端のデジタル技術を担う人材育成に力を入れていきます。より専門性の高い教育環境が期待されます。

サレジオ工業高等専門学校の口コミ・評判のまとめ

在校生や卒業生からは、サレジオ工業高等専門学校での学校生活について様々な声が寄せられています。ここでは、ポジティブな口コミと、少し気になる点を公平に紹介します。

  • 良い点

    • 「専門的なことを早くから深く学べるのが楽しい」「自分の好きな分野にとことん打ち込める」といった、高専ならではの学びに対する満足度の高い声が多く見られます。

    • 「就職率が非常に高く、先生方のサポートも手厚いので安心」「大学への編入実績が豊富で、進路の選択肢が広いのが魅力」など、卒業後の進路に関する安心感を挙げる声が多数あります。

    • 「先生との距離が近く、質問や相談がしやすい環境」「少人数教育で丁寧に指導してもらえる」といった、面倒見の良さを評価する口コミも多いです。

    • 「同じ目標を持つ仲間と出会え、充実した学生生活が送れる」という、友人関係に関するポジティブな意見もあります。

  • 気になる点

    • 「レポートや課題の量が多くて大変」「実験や実習の準備が忙しい」など、学習量の多さに関する声があります。高い専門性を身につけるためには、相応の努力が必要なようです。

    • 「校則が少し厳しいと感じることがある」「スマートフォンの使用ルールなどが気になる」といった、校則に関する意見も一部で見られます。

    • 「駅から少し歩くので、雨の日は少し大変」といった、立地に関する口コミもあります。

    • 「理系科目が苦手だと、授業についていくのが難しいかもしれない」という声もあり、入学前から数学や理科の基礎を固めておくことの重要性がうかがえます。

アクセス・通学

サレジオ工業高等専門学校へのアクセス方法は以下の通りです。公共交通機関を利用して、広範囲から生徒が通学しています。

  • 最寄り駅からのアクセス

    • 京王相模原線「多摩境」駅より徒歩約10〜13分

    • JR横浜線・京王相模原線「橋本」駅北口より神奈川中央交通バス「神奈中多摩車庫行き(橋76)」に乗車し、「響きの丘」バス停下車すぐ

町田市、相模原市、八王子市、横浜市、川崎市など、東京都の多摩地区や神奈川県の広域から生徒が通っています。また、遠方からの生徒のために学生寮も完備されています。

サレジオ工業高等専門学校受験生へのワンポイントアドバイス

ここまで読んでくれてありがとう。サレジオ工業高等専門学校という、少し特別な学校に興味を持ってくれたことを、とても嬉しく思います。最後に、進学アドバイザーとして、君にいくつかアドバイスを送らせてください。

サレジオ高専は、「ものづくりが好きでたまらない」「コンピューターの仕組みが気になって仕方がない」「自分の手で何か新しいものを創り出してみたい」そんな強い探求心と情熱を持った君にこそ、ぴったりの学校です。普通の高校生活とは違うけれど、5年間という時間を使って、同じ夢を持つ仲間たちと専門技術をとことん追求できる毎日は、何物にも代えがたい経験になるはずです。

受験勉強においては、特に数学と理科の基礎を徹底的に固めてください。高専の入試問題は、中学校で習う範囲を深く理解しているかが問われます。過去問題を繰り返し解き、問題の傾向に慣れておくことが合格への近道です。サレジオ工業高等専門学校で、君の夢への第一歩を踏み出せるよう、心から応援しています!

※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。