神奈川県立光陵高等学校は、高いレベルの学習環境と、生徒が主役となって創り上げる活気ある学校生活、その両方を手に入れたいと考える中学生にとって、非常に魅力的な選択肢となる高校です。「勉強も頑張りたいけれど、高校生活らしいイベントや部活動も思いっきり楽しみたい」。そんなあなたの想いに応えてくれるのが、ここ光陵高校かもしれません。
生徒たちは「やる時はやる、楽しむ時は楽しむ」というメリハリを大切にしながら、充実した3年間を過ごしています。難関大学への進学を目指す真剣な学びの雰囲気と、体育祭や文化祭でクラス一丸となって盛り上がる熱いエネルギーが共存しているのが、この学校の最大の特長です。
この記事では、そんな神奈川県立光陵高等学校のリアルな姿を、進学アドバイザーの視点から、偏差値や進学実績といったデータから、在校生の口コミまで、詳しく、そして分かりやすく解き明かしていきます。
神奈川県立光陵高等学校の基本情報
まずは、学校の基本的な情報を確認しておきましょう。
項目 | 内容 |
正式名称 | 神奈川県立光陵高等学校 |
公立/私立の別 | 公立 |
共学/別学 | 男女共学 |
所在地 | 〒240-0026 横浜市保土ケ谷区権太坂1-7-1 |
代表電話番号 | 045-712-5577 |
公式サイトURL | https://www.pen-kanagawa.ed.jp/koryo-h/ |
神奈川県立光陵高等学校の偏差値・難易度・併願校
高校選びで最も気になるのが、やはり偏差値や難易度でしょう。ここでは、具体的なデータをもとに光陵高校のレベル感を詳しく見ていきます。
偏差値・難易度
インターネットで検索すると、様々な偏差値が出てきて混乱するかもしれません。サイトによっては56や67といった数字が見られますが、これらは算出方法が異なるため、あくまで参考値です。受験生が本当に知りたいのは、「実際に合格した生徒がどのくらいの学力だったか」という点でしょう。
信頼性の高い大手学習塾のデータによると、2024年度入試における神奈川県立光陵高等学校の合格者平均の全県模試偏差値は「64.4」です。これは神奈川県の公立高校の中でもトップクラスに位置し、高い学力が求められる難関校であることを示しています。
偏差値だけでなく、合格に必要な具体的な目標点も見てみましょう。
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合格に必要な内申点の目安:124.2 / 135点満点
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これは、中学2年生と3年生の9教科の成績(5段階評価)において、ほとんどが「5」で、いくつかが「4」というレベルに相当します。
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合格に必要な学力検査の目安:390.1 / 500点満点
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合格に必要な特色検査の目安:47.8 / 100点満点
神奈川県の公立高校入試では、光陵高校は「内申:学力検査:特色検査」の比率が「5:5:1」で選考されます。つまり、中学校の成績と同じくらい、入試当日の学力検査の得点が重要視されるということです。特に、差がつきやすい英語と数学で高得点を取ることが合格への鍵となります。
同じくらいの偏差値の高校としては、横浜平沼高校(偏差値54)、希望ケ丘高校(偏差値58)、横浜国際高校(偏差値59)、横浜緑ケ丘高校(偏差値61)などがあります。これらの高校と比較検討することで、光陵高校の立ち位置がより明確になるでしょう。
主な併願校
神奈川県の公立高校入試では、別の公立高校を併願することはできません。そのため、光陵高校を受験する場合、併願校はすべて私立高校となります。合格者の多くが選んでいる併願校は、学力レベルや大学進学への意識を反映しており、以下のような学校が挙げられます。
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最難関レベルの併願校:
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山手学院高等学校
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法政大学第二高等学校
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中央大学附属横浜高等学校
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桐蔭学園高等学校(プログレスコース)
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学力的に近いレベルの併願校:
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桐蔭学園高等学校(アドバンスコース)
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青稜高等学校
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日本大学藤沢高等学校
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確実に合格を目指す併願校:
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横浜隼人高等学校(特別選抜コース)
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横須賀学院高等学校(S選抜コース)
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日本大学高等学校(特別進学コース)
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これらの私立高校もそれぞれに魅力的な特色を持っています。併願校選びは、単なる「滑り止め」ではなく、「もう一つの進学したい学校」という視点で、実際に学校説明会などに参加して検討することが大切です。
神奈川県立光陵高等学校に設置されている学科・コース
神奈川県立光陵高等学校に設置されているのは「普通科」のみです。しかし、そのカリキュラムには大きな特長があります。
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普通科
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どんなことを学ぶ場所か:1・2年次では、芸術科目などを除き、全員が同じ共通科目を履修し、幅広い教養と基礎学力を徹底的に固めます。3年次になると、生徒一人ひとりの進路希望や興味関心に合わせて、文系・理系の多様な選択科目の中から自分の時間割を組み立てることができます。
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どんな生徒におすすめか:「まだ将来の夢がはっきり決まっていないから、高校で色々なことを学びながら考えたい」という人にも、「難関大学の〇〇学部に行きたいから、受験に必要な科目を集中的に学びたい」という人にも、どちらのニーズにも応えられる柔軟なカリキュラムです。
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神奈川県立光陵高等学校の特色・校風
光陵高校の雰囲気は、一言でいえば「自主自律」と「文武両道」です。生徒の自主性を尊重する自由な校風のもと、勉強にも行事にも全力で取り組む生徒が多いのが特長です。
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校風を表すキーワード:自由闊達、文武両道、自主自律、落ち着いた雰囲気、やる時はやる
ここでは、中学生が本当に知りたい学校生活のリアルな部分を、口コミなどをもとに詳しく見ていきましょう。
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宿題の量:口コミを見ると、「宿題が多くて大変」という声はあまり聞かれません。後述する「65分授業」で授業内で深い学びを完結させることを重視しているため、いたずらに多い課題が出されることは少ないようです。ただし、日々の予習・復習は不可欠です。
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校則(スマホ、服装など):校則は、他の進学校と比較すると「比較的緩やか」という声が多いです。スマートフォンの持ち込みは許可されていますが、授業中の使用はもちろん禁止です。この「自由には責任が伴う」という考え方が光陵高校の根底に流れています。ルールを破った場合には「奉仕活動」が課されることもあるようで、自主性を重んじるからこそ、生徒一人ひとりの自律した行動が求められます。頭髪やピアスについても比較的自由とされています。
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生徒たちの雰囲気:多くの在校生や卒業生が口を揃えて言うのが「人が良い」ということです。明るく活発な生徒から物静かで落ち着いた生徒まで、様々なタイプの生徒がいますが、お互いを尊重し合う穏やかな雰囲気が特徴です。いじめもほとんど聞かれず、安心して学校生活を送れる環境と言えるでしょう。
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アルバイト:校則で明確に禁止されているわけではありませんが、学業や部活動、学校行事が非常に忙しいため、実際にアルバイトをしている生徒は少ないようです。学校としては、学業や学校活動に専念することを推奨していると考えられます。
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制服の評判:制服は、男子が伝統的な黒の詰襟(学ラン)、女子が紺色のブレザーです。正直なところ、口コミでは「おしゃれではない」「勘弁してほしい」といった声が見られます。制服のデザイン性を重視する人にとっては、少し残念なポイントかもしれません。
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土曜授業:原則として、毎週の土曜授業はありません。週末を部活動や自分の勉強、あるいは休息にしっかりと使えるのは、生徒にとって大きなメリットです。
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施設:校舎について「少し古い」という意見もありますが、最近、校舎や体育館が新しくなり、快適に過ごせるようになったという声も聞かれます。
神奈川県立光陵高等学校の部活動・イベント
「文武両道」を掲げる光陵高校では、部活動や学校行事も非常に盛んです。
部活動
部活動への加入率は文化部・運動部を合わせると9割を超え、ほとんどの生徒が何らかの活動に所属しています。運動部、文化部ともに種類が豊富で、自分の興味に合った活動を見つけやすい環境です。
特に以下の部活動は、高い実績を誇り、学校を代表する存在となっています。
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ダンス部:全国レベルの強豪として知られています。日本テレビ系の「ダンスONEプロジェクト」に参加するなどメディアにも登場し、そのパフォーマンスは技術力、構成力、表現力のすべてにおいて高く評価されています。
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弦楽部:全国高等学校総合文化祭や全国高等学校選抜オーケストラフェスタといった大舞台への出場経験も豊富な実力派です。校内での演奏はもちろん、地域の施設での演奏会なども行い、優しい音色を届けています。
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吹奏楽部:部員数も多く活気があり、夏のコンクールや定期演奏会に向けて日々練習に励んでいます。地域のイベントにも積極的に参加し、多くの人に音楽の楽しさを伝えています。
イベント
光陵高校の学校生活を彩るのが、生徒が主体となって企画・運営する数々のイベントです。中でも「光陵三大行事」と呼ばれる体育祭、光陵祭、学芸音楽祭は、生徒たちの熱意が爆発する一大イベントです。
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体育祭:各クラスが色ごとに分かれて競い合います。特に見どころは、夏休み前から準備を始める「応援合戦」です。衣装や小道具、ダンスなど、独創的なパフォーマンスは圧巻で、クラスの団結力が一気に高まります。
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光陵祭(文化祭):毎年5月末から6月上旬にかけて開催される文化祭です。クラスごとの展示や演劇、有志団体によるステージ発表、文化部の発表など、創意工夫にあふれた企画でキャンパスが活気に満ち溢れます。生徒実行委員会が中心となって運営し、生徒の自主性が存分に発揮される場です。
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学芸音楽祭:クラス対抗の合唱コンクールです。課題曲と自由曲(混声四部合唱)の2曲を歌い、その完成度を競います。音楽の得意な生徒だけでなく、クラス全員で心を一つにしてハーモニーを創り上げる過程は、感動的で忘れられない思い出になります。
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その他のイベント:この三大行事に加え、年に2回開催される球技大会や、2年生の秋に実施される修学旅行など、年間を通して多彩な行事が用意されています。
神奈川県立光陵高等学校の進学実績
神奈川県内有数の進学校である光陵高校は、国公立大学や難関私立大学へ、毎年安定して多くの合格者を輩出しています。
以下は、2025年度入試の主な大学合格実績です(既卒生を含む)。
大学分類 | 主な大学名 | 合格者数 |
国公立大学 | 横浜国立大学 | 23 |
横浜市立大学 | 16 | |
東京都立大学 | 4 | |
お茶の水女子大学 | 4 | |
東京科学大学(旧東工大) | 4 | |
千葉大学 | 3 | |
筑波大学 | 3 | |
東京外国語大学 | 3 | |
(国公立大学合計) | 82 | |
難関私立大学 | 早稲田大学 | 27 |
(早慶上理) | 慶應義塾大学 | 15 |
上智大学 | 12 | |
東京理科大学 | 30 | |
難関私立大学 | 明治大学 | 85 |
(GMARCH) | 法政大学 | 95 |
青山学院大学 | 51 | |
中央大学 | 44 | |
立教大学 | 40 | |
学習院大学 | 17 |
この素晴らしい進学実績は、生徒個人の努力はもちろんですが、学校の手厚いサポート体制によって支えられています。
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課外講習:夏休みなどを利用して、全学年対象の講習が開かれます。特に3年生向けには、大学入試に直結する問題演習を中心とした講座が多数用意されており、実践力を高めることができます。
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勉強合宿:1・2年生の希望者を対象に、夏休みに2泊3日の勉強合宿が実施されます。集中できる環境で自学自習の習慣を身につける絶好の機会です。
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自習室の設置:放課後や休日に利用できる自習室が完備されており、多くの生徒が静かな環境で受験勉強に打ち込んでいます。
神奈川県立光陵高等学校の特長・アピールポイント
他の高校にはない、光陵高校ならではの強みやユニークな取り組みを7つのポイントにまとめました。
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思考力を深める「65分授業」
多くの高校が50分授業であるのに対し、光陵高校では1コマ65分授業を採用しています。これにより、単なる知識の伝達だけでなく、グループワークや発表、演習といった生徒が主体的に参加する時間を十分に確保でき、大学での学びに繋がる深い思考力や表現力を養うことができます。
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独自の探究学習「KU」と「i-ハーベスト」
「総合的な探究の時間」を「KU(光陵ユニバース)」と名付け、生徒が自ら課題を見つけて探究活動を行うプログラムに力を入れています。その集大成として、横浜国立大学と連携した研究発表会「i-ハーベスト」があり、大学教授から直接講評を受ける貴重な経験ができます。
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手厚い進学サポート体制
前述の課外講習や勉強合宿、自習室に加え、様々な分野で活躍する卒業生(OB・OG)を招いた進路講演会など、キャリア教育も充実しています。目標達成に向けた多角的なサポートが整っています。
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生徒が主役の熱い学校行事
「光陵三大行事」は、企画・運営のほとんどを生徒の実行委員会が担います。自分たちの手で最高のイベントを創り上げる経験は、リーダーシップや協調性を育み、一生の思い出と自信に繋がります。
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活発でレベルの高い部活動
9割を超える高い加入率が示す通り、部活動は学校生活の核の一つです。全国レベルで活躍する部から、自分のペースで楽しめる部まで多種多様な選択肢があり、誰もが打ち込めるものを見つけられます。
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自主性を重んじる自由な校風
校則が比較的緩やかで、生徒の自主性が尊重される文化が根付いています。自由な環境の中で自らを律し、責任ある行動をとることを学ぶことができます。
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週末を有効に使える「土曜授業なし」
毎週土曜日が休みであるため、平日に集中して学び、週末は部活動の遠征や練習、コンテスト前の集中勉強、あるいは趣味や休息に時間を充てることができ、メリハリのある高校生活を送れます。
神奈川県立光陵高等学校の口コミ・評判のまとめ
ここでは、在校生や卒業生から寄せられたリアルな声を、良い点と気になる点に分けて公平にご紹介します。
良い点
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「とにかく友達に恵まれる。優しくて面白い人が多く、いじめなどもなく平和。ここで一生の友達ができたという声が非常に多いです。」
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「行事が最高に楽しい。体育祭や光陵祭はクラスで一丸となって本気で取り組むので、最高の思い出になります。行事を通してクラスの仲が深まります。」
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「自由な雰囲気で居心地がいい。中学の時よりも自分らしくいられるし、色々な個性を持った人がいるので誰でも馴染めると思います。」
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「勉強と部活・行事のメリハリがつけられる。『やる時はやる』という雰囲気があるので、周りに流されずに勉強にも集中できます。」
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「先生のサポートが手厚いと感じます。質問に行けば親身になって教えてくれる先生が多く、進路相談にもしっかり乗ってくれます。」
気になる点
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「駅から遠く、バス通学が基本。坂道も多いので、通学は正直大変だという声が最も多いです。雨の日などは特に苦労するようです。」
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「制服が正直ダサい(男子は学ラン、女子はブレザー)。おしゃれな制服に憧れる人には向かないかもしれません。」
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「先生の質に差がある(ピンキリ)という意見があります。とても熱心で分かりやすい先生もいれば、授業が分かりにくいと感じる先生もいるようです。」
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「施設が全体的に古いという声があります。ただ、最近改修された部分もあるようです。」
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「良くも悪くも『自称進学校』。勉強する生徒としない生徒の差が激しいという指摘もあります。周りに流されず、自分で律する力が必要です。」
アクセス・通学
口コミで最も多く指摘される「アクセスの悪さ」について、具体的な通学方法を確認しておきましょう。どの駅からもバスを利用するのが一般的で、駅から徒歩で通うのは少し大変です。
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JR「保土ケ谷」駅から
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東口バス乗り場からバスで約10分、「権太坂」バス停で下車し、徒歩約5分。
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JR「東戸塚」駅から
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東口バス乗り場からバスで約10分、「境木中学校前」バス停で下車し、徒歩約10分。
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相鉄線「西横浜」駅から
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バスで約13分、「権太坂」バス停で下車し、徒歩約5分。
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通学している生徒は、横浜市保土ケ谷区、戸塚区、南区などを中心に、JR東海道線・横須賀線や相鉄線沿線の広いエリアから集まっています。光陵高校を志望するなら、一度、平日の朝の時間帯に自宅から学校まで実際に通ってみて、毎日の通学が現実的かどうかを体感しておくことを強くお勧めします。
神奈川県立光陵高等学校受験生へのワンポイントアドバイス
ここまで読んでくれてありがとうございます。最後に、進学アドバイザーとして、神奈川県立光陵高等学校を目指す君にエールを送ります。
光陵高校は、「高いレベルで勉強したい。でも、一生忘れられないような高校生活も送りたい!」と考える、欲張りな君にこそぴったりの学校です。同じ志を持つ仲間たちと切磋琢磨しながら、本気で打ち込める部活動や、クラスの絆が深まる熱い学校行事が君を待っています。ただし、その自由な校風は、しっかりとした自己管理能力があってこそ活かせるもの。周りに流されず、自分の目標に向かって努力し続けられる強い意志が求められます。
受験勉強では、内申点と学力検査のどちらも重要ですが、特に学力検査の得点が合否を分けます。5教科をバランスよく勉強することはもちろん、差がつきやすい英語と数学は、基礎を完璧にした上で、応用問題に数多く取り組んで実戦力を高めてください。そして、光陵高校が実施する特色検査は、単なる知識だけでなく、物事を多角的に捉える思考力や、自分の考えを論理的に説明する表現力が問われます。過去問を解くだけでなく、普段からニュースや社会問題に関心を持ち、「なぜそうなるのか?」「自分ならどう考えるか?」と自問自答し、自分の言葉で説明する練習をしておくと、大きな力になります。
※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。