国立音楽大学附属高等学校は、その名の通り音楽を深く学びたい生徒のための専門的な環境が整っているだけでなく、多様な進路に対応する普通科も併せ持つ、ユニークで魅力的な私立高校です。1949年に日本初の音楽高校として創立された歴史と伝統を誇り、多くの著名な音楽家を輩出してきました。

この学校の最大の特長は、音楽科と普通科の生徒が同じキャンパスで学び、互いに刺激を受けながら成長できる点にあります。「アンサンブルのくにたち」とも呼ばれる校風のもと、他者と協調し、一つのものを創り上げる経験を通して、豊かな人間性を育むことを大切にしています。

この記事では、そんな国立音楽大学附属高等学校について、受験生や保護者の皆さんが知りたい情報を、進学アドバイザーの視点から分かりやすく解説していきます。偏差値や入試情報はもちろん、学校生活のリアルな様子や卒業後の進路まで、詳しく見ていきましょう。

国立音楽大学附属高等学校の基本情報

項目 内容
正式名称 国立音楽大学附属高等学校
公立/私立の別 私立
共学/男子校/女子校の別 男女共学
所在地 〒186-0005 東京都国立市西2-12-19
代表電話番号 042-572-4111
公式サイトURL https://www.kunion.ed.jp/

国立音楽大学附属高等学校の偏差値・難易度・併願校

国立音楽大学附属高等学校の偏差値は、学科・コースによって異なります。音楽科は専門性が高いため、偏差値だけでは難易度を測れない点に注意が必要です。

  • 普通科:57程度

  • 音楽科:51程度

普通科の難易度は、東京都内の私立高校の中で中堅上位に位置します。合格には、中学校の成績(内申点)が5段階評価で平均4程度あることが一つの目安となるでしょう。同じくらいの偏差値の高校としては、杉並学院高等学校や八王子実践高等学校などが挙げられます。

音楽科の入試では、学力試験(国語・英語)に加えて、専攻実技やソルフェージュなどの専門科目の試験が課されます。そのため、幼い頃から専門的な音楽教育を受けてきた生徒が多く受験する傾向にあり、偏差値の数値以上に高いレベルの競争となります。

主な併願校としては、普通科の生徒は国分寺高等学校や立川高等学校などの都立高校や、近隣の私立高校である錦城高等学校、拓殖大学第一高等学校などを選ぶことが多いようです。音楽科の生徒は、桐朋女子高等学校(音楽科)など、他の音楽系高校を併願することが考えられます。

国立音楽大学附属高等学校に設置されている学科・コース

国立音楽大学附属高等学校には、大きく分けて「音楽科」と「普通科」の2つの学科があり、それぞれに特色あるコースが設置されています。

  • 音楽科

    • 演奏・創作コース: 声楽、ピアノ、弦・管・打楽器、作曲など、専門分野の技術を深く追求し、プロの演奏家や音楽家を目指す生徒におすすめです。

    • 総合音楽コース: 幅広いジャンルの音楽を体験しながら自分の将来を見つけたい生徒向けで、音楽経験がなくてもレベル別指導で安心して学べます。

  • 普通科

    • 特別進学コース: 国公立大学や難関私立大学への進学を目指し、少人数制の授業で深い学びに集中したい生徒におすすめです。

    • 総合進学コース: 学校推薦型選抜や総合型選抜など、多様化する大学入試に対応できる表現力や探究力を身につけたい生徒に適しています。

国立音楽大学附属高等学校の特色・校風

国立音楽大学附属高等学校の校風は、「自由・自主・自律」という言葉で表現できます。生徒一人ひとりの個性を尊重し、自主性を重んじる雰囲気があります。

  • 校則: 制服はなく、服装は自由です。髪型やアクセサリーに関する規定も比較的緩やかで、生徒の自主性に任されている部分が多いようです。

  • 生徒の雰囲気: 音楽科、普通科ともに、自分の目標に向かって真面目に取り組む生徒が多い一方で、穏やかで落ち着いた雰囲気があると言われています。

  • 宿題の量: コースや選択科目によって差はありますが、特に普通科の特別進学コースでは、大学受験を見据えた課題が出されるため、量は多めと感じる生徒もいるようです。

  • スマホの扱い: 校内でのスマートフォンの使用については、一定のルールが設けられているようですが、比較的自由なようです。

  • アルバイト: アルバイトは原則として許可制となっている場合が多いですが、詳細は学校に確認が必要です。

  • 土曜授業: 普通科では月に2回程度の土曜授業があります。また、2023年度からは「KUNIONミライ探究ゼミ」という探究型授業の導入に伴い、隔週6日制となっています。

  • 施設: 2023年にはレッスン室40室などを備えた新校舎が、2024年には人工芝のグラウンドが完成するなど、学習環境は非常に充実しています。

国立音楽大学附属高等学校の部活動・イベント

部活動

国立音楽大学附属高等学校では、音楽系の部活動が非常に盛んですが、運動部も活発に活動しています。部活動への加入は任意です。

  • 文化部: 吹奏楽部、ミニオーケストラ部、軽音楽部、合唱部、JAZZ部など、音楽系の部は特に充実しており、高いレベルでの活動が期待できます。イラスト研究部やオペラ研究同好会といったユニークな部もあります。

  • 運動部: バスケットボール部、バドミントン部、硬式テニス部、ダンス部などがあり、音楽科と普通科の生徒が一緒に汗を流しています。

イベント

音楽高校ならではの特色あるイベントが多く、一年を通して生徒たちの発表の場が設けられています。

  • 芸術祭(文化祭): 毎年9月に行われる最大のイベントです。各クラスや部活動が、演奏会やミュージカル、展示など、日頃の成果を発表する場で、非常に盛り上がります。

  • 体育祭: 5月に行われ、クラス対抗で様々な競技に臨みます。学科やコースの垣根を越えて、生徒たちが一丸となるイベントです。

  • 演奏会: 新入生歓迎演奏会(4月)、くにたち音楽会(12月)、音楽祭(1月)、卒業演奏会(3月)など、年間を通して数多くの演奏会が開催され、生徒たちが技術を披露します。

国立音楽大学附属高等学校の進学実績

国立音楽大学附属高等学校は、その名の通り、多くの卒業生が国立音楽大学へ進学します。しかし、普通科を中心に他の大学への進学実績も豊富です。

  • 国立音楽大学への進学: 音楽科の生徒の多くが、内部進学制度を利用して国立音楽大学へ進学します。

  • その他の音楽大学: 東京藝術大学や桐朋学園大学、洗足学園音楽大学など、他の難関音楽大学への進学者もいます。

  • 国公立大学: 普通科からは、東京学芸大学、信州大学、山梨大学などへの合格実績があります。

  • 難関私立大学: 早稲田大学、慶應義塾大学、上智大学、東京理科大学や、GMARCH(学習院大学、明治大学、青山学院大学、立教大学、中央大学、法政大学)といった難関私立大学にも多くの合格者を出しています。

  • 進学サポート: 普通科では、少人数制のメリットを活かし、夏期・冬期講習会や放課後の補講など、きめ細かい指導で生徒一人ひとりの進路希望に対応しています。また、100大学300学科分の指定校推薦枠を持っているのも大きな魅力です。

国立音楽大学附属高等学校の特長・アピールポイント

他の高校にはない、国立音楽大学附属高等学校ならではの強みやユニークな取り組みを紹介します。

  • 音楽科と普通科の併設: 専門性の高い音楽科と、大学進学を目指す普通科が同じキャンパスにあり、互いに良い影響を与え合える環境です。

  • 充実した音楽施設: 2023年に完成した新校舎には、高いレベルの音響設備を持つレッスン室やスタジオが多数あり、音楽に集中できる最高の環境が整っています。

  • 大学との連携: 国立音楽大学の附属校として、大学教員によるレッスンや講義を受けられる機会があります。

  • 自由な校風と制服なし: 生徒の自主性を尊重する校風で、制服がないため、自分らしいスタイルで学校生活を送ることができます。

  • 「KUNIONミライ探究ゼミ」: 2023年度から始まった新しい探究型授業で、これからの社会で必要とされる表現力や思考力を育みます。

  • 国際交流: ドイツやオーストリアの音楽高校と留学協定を結んでおり、国際的な視野を広げる機会があります。

  • 豊富な演奏会の機会: 年間を通して多くの演奏会が開催され、日頃の練習の成果を披露する場が豊富に用意されています。

国立音楽大学附属高等学校の口コミ・評判のまとめ

在校生や卒業生からは、様々な声が寄せられています。

  • 良い点:

    • 「音楽をやるには最高の環境。先生方も専門性が高く、真剣に向き合ってくれる」

    • 「自由な校風なので、のびのびと自分らしく過ごせる」

    • 「普通科でも音楽に触れる機会が多く、感性が豊かになる」

    • 「施設が新しくて綺麗。特にレッスン室の充実は素晴らしい」

    • 「先生と生徒の距離が近く、進路相談などに親身に乗ってくれる」

  • 気になる点:

    • 「駅から少し歩くのが大変」という声が一部あります。

    • 「自由な分、自己管理ができないと流されてしまう可能性がある」

    • 「音楽科は専門の練習で忙しく、普通科との交流がもっとあっても良いかもしれない」

アクセス・通学

国立音楽大学附属高等学校へのアクセスは以下の通りです。

  • **JR中央線「国立駅」**南口より徒歩約13分

  • **JR南武線「矢川駅」**より徒歩約13分

  • バスを利用する場合: JR国立駅南口からバスに乗り、「音高」バス停で下車すぐ。

文教地区である国立市に位置し、落ち着いた環境で学習に集中できます。東京都内だけでなく、神奈川県や埼玉県など、幅広いエリアから生徒が通学しているようです。

国立音楽大学附属高等学校受験生へのワンポイントアドバイス

音楽という共通のキーワードのもと、多様な個性を持った仲間たちと出会えるのが、国立音楽大学附属高等学校の大きな魅力です。もしあなたが、音楽が大好きで、専門性を高めたい、あるいは音楽の溢れる環境で普通科目を学びたいと考えているなら、この学校は最高の場所になるでしょう。国立音楽大学附属高等学校は、自分の「好き」を追求しながら、将来の夢に向かって大きく成長できる学校です。

受験に向けては、普通科志望の人はまず基礎学力を固めること、特に英語と国語はしっかりと対策しておきましょう。音楽科を目指す人は、学力試験に加えて専攻実技の練習が合否を大きく左右します。日々の練習を大切に、高い目標を持って取り組んでください。あなたの音楽への情熱を、ぜひ試験で表現してください。応援しています!

※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。