岩手県立盛岡農業高等学校は、1879年(明治12年)創立の「獣医学舎」を前身とする、岩手県内で最も歴史のある高校です。「盛農(もりのう)」の愛称で親しまれ、農業や産業の発展に貢献する多くの人材を育成してきました。140年以上の長い歴史の中で、日本の農業と共に歩み、幾多の困難を乗り越えてきた「勧農精神」が今もなお受け継がれています。

広大なキャンパスと充実した施設が魅力の盛岡農業高等学校では、座学だけでなく、動物の飼育や野菜の栽培、食品加工といった実践的な学びを数多く経験できます。専門的な知識や技術を深く探求できる環境は、将来の夢に向かって進む皆さんを力強くサポートしてくれるでしょう。

この記事では、そんな盛岡農業高等学校の偏差値や気になる口コミ、学校生活の様子などを詳しくご紹介します。自然と共に学び、命を育むことの大切さを実感できる「盛農」での高校生活を具体的にイメージしながら、ぜひ最後まで読み進めてみてください。

岩手県立盛岡農業高等学校の基本情報

項目 内容
正式名称 岩手県立盛岡農業高等学校
公立/私立の別 公立
共学/男子校/女子校の別 共学
所在地 〒020-0605 岩手県滝沢市砂込1463
代表電話番号 019-688-4211
公式サイト https://www2.iwate-ed.jp/moa-h/

岩手県立盛岡農業高等学校の偏差値・難易度・併願校

盛岡農業高等学校の偏差値は、全ての学科で「39〜41」程度とされています。

偏差値だけで見ると、岩手県内の公立高校の中では比較的入学しやすいレベルと言えるかもしれません。しかし、盛岡農業高等学校は専門学科のみを設置しているため、入学するためには「なぜこの学校で学びたいのか」という明確な目的意識が重要になります。内申点については、中学での学習内容をきちんと理解し、日々の授業に真面目に取り組んでいれば、合格の可能性は十分にあるでしょう。

同じくらいの偏差値の高校としては、盛岡市立高校(普通科)や紫波総合高校(総合学科)などが挙げられます。

岩手県の公立高校入試では、他の公立高校を併願することはできません。そのため、併願校としては私立高校を受験するのが一般的です。主な併願校としては、盛岡誠桜高等学校、盛岡白百合学園高等学校、盛岡中央高等学校などが考えられます。

岩手県立盛岡農業高等学校に設置されている学科・コース

盛岡農業高等学校には、それぞれ特色のある5つの専門学科が設置されています。自分の興味や将来の夢に合わせて、専門的な知識と技術をとことん追求できる環境が整っています。

  • 動物科学科 – 牛や豚、鶏などの家畜から、犬や猫といった愛玩動物まで、動物の飼育や管理について幅広く学びます。動物が好きで、将来は畜産業やペット関連の仕事に就きたい人におすすめです。

  • 植物科学科 – 米や野菜、果樹、草花など、様々な植物の栽培技術やバイオテクノロジーについて学びます。植物を育てることが好きで、農業生産や品種改良に興味がある人にぴったりです。

  • 食品科学科 – 農畜産物を使ったパンやジャム、味噌などの加工技術や、食品の栄養、衛生管理について学びます。食べることが好きで、食品開発や製造、栄養士などの仕事に関心がある人におすすめです。

  • 人間科学科 – 農業や食、福祉、保育といった分野を総合的に学び、豊かな生活を創造する力を養います。人の暮らしや健康に興味があり、介護福祉士や保育士、地域社会に貢献する仕事を目指す人に向いています。

  • 環境科学科 – 森林の働きや林産物の利用、環境保全などについて学び、自然と共生するための知識と技術を身につけます。自然や環境問題に関心があり、林業や造園、環境調査などの分野で活躍したい人におすすめです。

岩手県立盛岡農業高等学校の特色・校風

盛岡農業高等学校は、「質実剛健」「自治協同」を校訓に掲げ、自然と向き合い命を育む教育を実践しています。その校風は「実践重視」「地域貢献」といったキーワードで表すことができるでしょう。

  • 宿題の量:専門的な実習やレポートが多く、普通教科の宿題と合わせると「多い」と感じる生徒が多いようです。計画的に学習を進める習慣が大切になります。

  • 校則:他の高校と比較すると、服装や頭髪に関する指導はやや厳しいという声があります。特に、制服の着こなしについては細かく定められているようです。ただし、生徒会が中心となって靴下の色に関する校則改正に取り組むなど、生徒の自主的な活動も見られます。

  • 生徒たちの雰囲気:専門分野への目的意識が高い生徒が多く、実習などでは協力し合いながら真面目に取り組む雰囲気が見られます。動物や植物が好きという共通点から、生徒同士の仲も良いようです。

  • アルバイト:原則として禁止されていますが、家庭の事情などにより許可を得て行っている生徒もいるようです。

  • 制服の評判:伝統的なデザインの制服で、特に女子生徒のスカート丈は長めに指定されています。

  • 土曜授業:土曜授業は基本的にありませんが、部活動や農業クラブの活動、販売実習などが行われることがあります。

岩手県立盛岡農業高等学校の部活動・イベント

部活動

盛岡農業高等学校では、多くの生徒が部活動に加入し、活気にあふれています。運動部、文化部ともに充実しており、特に農業高校ならではの部活動も盛んです。

  • 運動部:相撲部、スケート部、自転車競技部などが全国レベルで活躍しており、強豪として知られています。その他にも、野球部、サッカー部、バレーボール部など多くの運動部が活動しています。

  • 文化部:吹奏楽部、美術部、書道部、写真部など、文化的な活動も盛んです。

  • 農業クラブ:全校生徒が加入する組織で、日頃の学習成果を発表する大会や、地域と連携したプロジェクト活動など、農業高校ならではの活動を活発に行っています。

イベント

盛岡農業高等学校では、生徒たちが主体となって作り上げる、活気あふれるイベントが年間を通して開催されます。

  • 盛農祭(文化祭):毎年秋に開催される最大のイベントです。生徒たちが育てた新鮮な野菜や果物、手作りの加工品などを販売する「農産物販売会」は、毎年地域の方々で大変な賑わいを見せます。クラスごとの展示やステージ発表などもあり、学校全体が一体となって盛り上がります。

  • 体育祭:学科対抗で行われるため、クラスや学科の団結力が一層深まります。一般的な競技に加えて、農業高校らしいユニークな種目が行われることもあるようです。

  • 修学旅行:例年、関西方面を訪れることが多いようです。歴史や文化に触れるだけでなく、仲間との絆を深める貴重な機会となっています。

岩手県立盛岡農業高等学校の進学実績

盛岡農業高等学校の卒業後の進路は、就職と進学がおよそ半々です。専門的な知識と技術を活かして、多様な分野で活躍しています。

  • 国公立大学:岩手大学、秋田県立大学、帯広畜産大学、釧路公立大学など、主に農業・畜産系の大学への進学実績があります。令和6年度には国公立大学・短期大学に9名が合格しました。

  • 私立大学:東京農業大学、酪農学園大学、日本大学など、全国の私立大学にも合格者を出しています。

  • 専門学校・農業大学校:高校で学んだ専門性をさらに深めるため、調理、福祉、医療、動物関連など、様々な分野の専門学校へ進学する生徒も多数います。また、岩手県立農業大学校や本校の専攻科へ進学する道もあります。

  • 就職:就職希望者の多くは岩手県内の企業に就職しており、農業分野だけでなく、製造業やサービス業など多岐にわたります。公務員になる生徒も多く、特に林野庁の職員採用では、新規採用者の2割が盛岡農業高校出身という高い実績を誇ります。

進路実現に向けて、インターンシップや地域でのボランティア活動を積極的に行っており、実践的な力を育むことが高い進路決定率につながっています。

岩手県立盛岡農業高等学校の特長・アピールポイント

他の高校にはない、盛岡農業高等学校ならではの魅力的なポイントをご紹介します。

  • 東京ドーム約15個分の広大なキャンパス:県内一の広さを誇る敷地には、水田、畑、果樹園、牧場、演習林など、本格的な実習を行うための施設が揃っています。

  • 専門的な資格の取得を強力にサポート:在学中に、日本農業技術検定、家畜人工授精師、介護職員初任者研修、危険物取扱者など、将来に役立つ様々な資格取得に挑戦できます。

  • 地域や企業との連携プロジェクトが豊富:地元の企業と連携した新商品の開発や、国土交通省と連携した「羊による除草活動」など、社会とつながる実践的な学びの機会が数多くあります。

  • 生徒が育てた農産物の販売実習:文化祭や地域のイベントなどで、生徒たちが丹精込めて育てた野菜や加工品を自らの手で販売します。消費者と直接触れ合うことで、生産の喜びや責任感を学びます。

  • 歴史と伝統に裏打ちされた「勧農精神」:140年以上の歴史の中で培われてきた、農業を通じて社会に貢献しようとする精神が、今も生徒たちに受け継がれています。

  • 農業後継者を育成する「特別専攻科」:高校卒業後、さらに2年間、農業経営について専門的に学ぶことができる課程が設置されています。

  • 「自彊寮(じきょうりょう)」での寮生活:一部の学科では寮生活が義務付けられており、仲間との共同生活を通じて、規律や協調性を学ぶことができます。

岩手県立盛岡農業高等学校の口コミ・評判のまとめ

在校生や卒業生からは、盛岡農業高等学校での学校生活について様々な声が寄せられています。

  • 良い点

    • 「専門的なことを深く学べるので、将来の夢が決まっている人には最高の環境」

    • 「実習が多くて楽しい。座学だけでは得られない貴重な経験ができる」

    • 「動物や植物の世話を通して、命の大切さを実感できる」

    • 「広大な敷地でのびのびと学校生活を送れる」

    • 「先生方が専門分野に詳しく、熱心に指導してくれる」

    • 「就職に有利な資格がたくさん取れるのが魅力」

  • 気になる点

    • 「最寄り駅から遠く、バスの本数も少ないため、交通の便が悪い」

    • 「実習では土や動物に触れるので、汚れたり虫が出たりするのが苦手な人には向かないかもしれない」

    • 「校則が少し厳しいと感じることがある」

    • 「学科によっては、朝早くからの動物の世話などがあり大変」

    • 「いじめへの対応が十分ではないと感じる」という厳しい意見も見られました。

アクセス・通学

盛岡農業高等学校へのアクセスは、公共交通機関を利用する場合、バスが主な手段となります。

  • 最寄り駅からのアクセス

    • IGRいわて銀河鉄道「滝沢駅」からバスで約10分

    • JR「盛岡駅」から岩手県北バスで約30分、「盛岡農高前」バス停下車、徒歩約1〜4分

盛岡市内や滝沢市、矢巾町、紫波町など、比較的広範囲から生徒が通学しているようです。交通の便が良いとは言えないため、多くの生徒がバスを利用していますが、自転車で通学する生徒も見られます。

岩手県立盛岡農業高等学校受験生へのワンポイントアドバイス

盛岡農業高等学校は、「動物が大好き」「植物を育ててみたい」「美味しいものを作ってみたい」「自然環境を守りたい」といった、自分の「好き」や「興味」をとことん追求できる学校です。もしあなたが、机の上での勉強だけでなく、実際に体を動かし、五感を使って学ぶことに魅力を感じるなら、盛岡農業高等学校は最高の学び舎になるでしょう。

受験に向けては、基礎的な学力を身につけることはもちろんですが、それ以上に「なぜ盛農で学びたいのか」「入学してどんなことに挑戦したいのか」を自分の言葉でしっかりと語れるようにしておくことが大切です。面接では、あなたの熱意や目的意識が重視される傾向があります。学校説明会や体験入学に積極的に参加して、盛岡農業高等学校の雰囲気を肌で感じ、自分の夢を具体的に描いてみてください。あなたの挑戦を心から応援しています!

※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。