常総学院高等学校は、茨城県土浦市に広大なキャンパスを構える、県内でも有数の私立高校です。全国にその名を知られる野球部や吹奏楽部といった部活動の華々しい実績は、多くの人が知るところでしょう。しかし、その魅力は「文武両道」という言葉だけでは語り尽くせません。生徒一人ひとりの目標に合わせて用意された多彩な学習コースは、最難関大学を目指す道から、部活動と勉強を高いレベルで両立させる道まで、多様な可能性を切り拓くためのものです。

この学校案内では、そんな常総学院高等学校がどのような場所なのか、中学生の皆さんや保護者の方々の目線で、詳しく、そして分かりやすく解き明かしていきます。偏差値や進学実績といったデータはもちろんのこと、校則の厳しさや日々の宿題の量、在校生が感じる学校の雰囲気といった、パンフレットだけでは見えてこない「リアルな姿」にも迫ります。

この記事を読み終える頃には、あなたが常総学院でどのような高校生活を送ることができるのか、具体的なイメージが湧いているはずです。あなたの夢や目標と、この学校が提供する環境が合っているかどうか、一緒に確かめていきましょう。未来の選択肢を広げるための、大切な一歩になることを願っています。

常総学院高等学校の基本情報

まずは、学校の基本的な情報を確認しておきましょう。学校選びの第一歩は、正確な情報を把握することです。

項目 内容
正式名称 常総学院高等学校
公立/私立の別 私立
共学/男子校/女子校の別 男女共学
所在地 〒300-0849 茨城県土浦市中村西根1010番地
代表電話番号 029-842-8771
公式サイトのURL https://www.joso.ac.jp/high/

常総学院高等学校の偏差値・難易度・併願校

常総学院高等学校の難易度を把握するために、偏差値は重要な指標の一つです。ただし、この学校のように複数のコースがある場合、コースによって求められる学力レベルが大きく異なる点に注意が必要です。

各種の塾や模試機関が公表している情報を総合すると、常総学院のコースごとの偏差値の目安は以下のようになります。

  • 特進選抜コース (Exクラス含む): 65~68

  • 特進選抜コース (特進クラス): 55~62

  • 進学選抜コース (プログレス): 48~55

  • 進学選抜コース (フロンティア): 45~49

ここで一つ注意点があります。一部のサイトでは特進選抜コースの偏差値が「68」や「62」と非常に高く出ていますが、これは特待生(学費免除などの奨学金がもらえる生徒)として合格するための目安であることが多いようです。特待生を狙うのであればこのレベルの学力が必要になりますが、コースに合格するだけであれば、もう少し下の偏差値でも十分に可能性があります。自分の現在の学力と、入学後の目標を照らし合わせて、どのコースを目指すか考えることが大切です。

難易度をより具体的にイメージするために、他の高校と比較してみましょう。

  • 同じくらいの偏差値の高校(公立): 竹園高等学校(66)、竜ケ崎第一高等学校(61)、土浦第二高等学校(60)、牛久栄進高等学校(60)など。

  • 同じくらいの偏差値の高校(私立): 土浦日本大学高等学校、水城高等学校、茗溪学園高等学校、つくば秀英高等学校など。

合格に必要な内申点の目安については、私立高校のため公立高校ほど厳密な基準はありませんが、一般的に5教科で20~23以上(5段階評価)あると安心材料の一つになると考えられます。特に上位コースを目指す場合や、推薦入試を考えている場合は、日々の授業態度や定期テストの成績も重要になります。

常総学院は、その幅広い学力層に対応したコース設定から、多くの受験生の併願校として選ばれています。

  • 公立トップ校を目指す受験生が、実力試しや万が一の場合の押さえとして特進選抜コースを受験するケース。

  • 県立中堅校を第一志望とする受験生が、進学選抜コースを併願するケース。

    主な併願校としては、上記の「同じくらいの偏差値の高校」で挙げた公立高校や、土浦日本大学高等学校、水城高等学校などがよく名前が挙がります。

常総学院高等学校に設置されている学科・コース

常総学院高等学校の最大の特徴の一つが、このきめ細やかなコース設定です。高校生活の3年間で何を学び、何を目指すのか。その目標に応じて、最適な環境が用意されています。ここでは、高校からの入学生が選択できる4つのコースを紹介します。

  • 特進選抜コース Ex (エクセレント)クラス

    • 東京大学や国公立大学医学部といった、国内最難関大学への現役合格を目指す少数精鋭のクラスです。入学試験の成績最上位者から選抜され、特別なカリキュラムで学びます。最高の環境で学力を極めたい人におすすめです。

  • 特進選抜コース (特進クラス)

    • 難関国公立大学や有名私立大学への進学を目標とする、学習中心のコースです。質の高い授業と手厚い進学サポートで、着実に実力を伸ばしていきます。大学受験に真剣に取り組みたい人に最適です。

  • 進学選抜コース プログレス

    • 部活動などにも力を入れつつ、GMARCHをはじめとする難関私立大学への進学を目指すコースです。自分のペースで学習計画を立てやすく、文武両立を実現したい生徒に適しています。

  • 進学選抜コース フロンティア

    • 部活動や自分の興味がある活動に打ち込みながら、多様な進路を目指すコースです。基礎学力を固めながら、自分らしい高校生活をデザインしたい人におすすめ。有名大学への進学も十分に可能です。

このように、常総学院では入学時のコース選択が非常に重要になります。自分の学力だけでなく、「高校で何をしたいのか」を真剣に考え、自分に合ったコースを選ぶことが、充実した3年間を送るための鍵となります。

常総学院高等学校の特色・校風

常総学院は、一言で表すなら「規律を重んじる文武両道のマンモス校」と言えるでしょう。1学年あたりの生徒数が多く、多様なバックグラウンドを持つ生徒が集まる活気のある学校です。その一方で、学校生活全体を通して、しっかりとした規律が保たれているのが大きな特徴です。

中学生の皆さんが特に気になるであろう、学校生活のリアルな部分を口コミなどを基に詳しく見ていきましょう。

  • 宿題の量は多いか少ないか

    • 「非常に多い」という声が圧倒的です。特に上位コースでは、「課題の量がおかしいくらい多い」「終わらせるには寝ずにやるか、答えを写すしかない」といった口コミが見られます。これは、学校側が生徒の学習時間を管理し、学力を徹底的に引き上げようとする方針の表れと考えられます。ただこなすだけでなく、自分の力になるように計画的に取り組む姿勢が求められます。

  • 校則は厳しいか緩やかか

    • 「県内でもトップクラスに厳しい」という評判が定着しています。特にスマートフォンやSNSの利用に関しては厳格なルールがあります。校内での使用は原則禁止で、SNSへの学校関連の投稿が発覚すると厳しい指導の対象になることもあるようです。ただし、最近では少しずつ変化も見られ、放課後に校舎の外であればスマートフォンの使用が許可されるようになったという声もあります。服装や頭髪に関する指導も定期的に行われるため、自由な校風を求める人には窮屈に感じるかもしれません。一方で、保護者からは「規律がしっかりしていて安心できる」という声もあります。

  • 生徒たちの雰囲気

    • コースによる違いが大きいようです。特進選抜コースには、高い目標を持つ真面目な生徒が集まり、互いに切磋琢磨する雰囲気があります。一方で、進学選抜コースには、部活動に熱中する活発な生徒や、様々な個性を持つ生徒が在籍しており、にぎやかな雰囲気のようです。学校全体としては、公立高校の受験に失敗して入学した生徒も少なくなく、入学当初は複雑な気持ちを抱えている人もいますが、部活動や学校行事を通して仲間との絆を深めていくようです。

  • アルバイトは可能か

    • 校則で原則禁止されている可能性が高いです。学校側が学業や部活動への専念を重視していること、また校則が厳しいことから、特別な事情がない限り許可されないと考えた方が良いでしょう。

  • 制服の評判はどうか

    • えんじ色(あずき色)のブレザーが特徴的で、品があるという評判です。特に女子生徒の間で人気なのが、正規の無地のスカートとは別に用意されているチェック柄の「サブスカート」です。多くの女子生徒がこのサブスカートを着用しており、制服のかわいさを評価する声が多く聞かれます。

  • 土曜授業はあるか

    • あります。原則として第2・第4土曜日は休みですが、それ以外の土曜日は午前中に授業が行われます。これにより、豊富な授業時間数が確保されており、手厚い学習指導につながっています。

常総学院高等学校の部活動・イベント

部活動

常総学院の「文武両道」を象徴するのが、全国レベルで活躍する部活動の存在です。特に「強化部」に指定されている部は、最高の環境で高みを目指すことができます。

  • 硬式野球部

    • もはや説明不要の、全国屈指の名門です。春夏の甲子園に何度も出場し、優勝経験も豊富です。プロ野球選手も多数輩出しており、野球に打ち込みたい中学生にとっては憧れの存在でしょう。全校生徒が一丸となる甲子園応援は、常総学院ならではの一大イベントです。

  • 吹奏楽部

    • 野球部と並び、学校の顔とも言える存在です。全日本吹奏楽コンクールで何度も金賞を受賞している実力は、全国トップレベル。コンクールだけでなく、地域のイベントや野球応援での演奏など、活躍の場は多岐にわたります。ハイレベルな演奏技術を身につけたい人には最高の環境です。

  • その他の注目部活動

    • 水泳部(特に飛び込み)、バドミントン部、パワーリフティング部なども、関東大会や全国大会で常に上位の成績を収めている強豪です。

    • 運動部だけでなく、文化部も活発です。JRC部(青少年赤十字)は、ボランティア活動に積極的に取り組んでいます。

部活動への加入率はコースによって差があるようですが、学校全体としては非常に盛んです。強化部で全国を目指す生徒から、勉強と両立しながら楽しむ生徒まで、それぞれのスタイルで活動しています。

イベント

常総学院では、勉強や部活動だけでなく、生徒の絆を深めるための学校行事も充実しています。

  • 常友祭(じょうゆうさい)

    • 秋に開催される文化祭です。クラスや文化部が一体となって、展示や発表、模擬店などの企画を練り上げます。一般公開もされ、学校中が大きな賑わいを見せる、生徒が主役のイベントです。

  • トラック&フィールドフェスタ

    • 初夏に行われる体育祭です。学年別に開催され、クラス対抗で様々な競技に挑みます。生徒たちがデザインしたオリジナルのクラスTシャツを着て応援し合う光景は、青春そのもの。この行事を通してクラスの団結力が一気に高まります。

  • 修学旅行

    • 2年生の時に実施されます。行き先は海外になることもあり、過去にはシンガポールやマレーシアといった国を訪れています。異文化に触れる貴重な体験は、一生の思い出になるでしょう。

  • 1年生林間学校

    • 入学して間もない時期に行われる宿泊行事です。カヌーやラフティングといった自然体験活動や、竹を切るところから始める本格的な流しそうめん作りなど、ユニークなプログラムが満載です。クラスメイトとの共同作業を通して、友情を育む大切な機会となっています。

常総学院高等学校の進学実績

常総学院高等学校は、その手厚い学習サポート体制を背景に、毎年優れた大学進学実績を誇っています。特に上位コースの生徒たちは、難関大学への合格を次々と勝ち取っています。

2024年の主な大学合格実績は以下の通りです。

  • 国公立大学

    • 東京大学に2名(うち1名は推薦合格)が合格しています。これは、学校の進学指導力の高さを象徴する結果と言えるでしょう。

    • また、医学部医学科には、北海道大学や筑波大学など国公立大学に4名が合格しており、最難関レベルの挑戦をサポートする体制が整っていることがわかります。

  • 難関私立大学

    • 早稲田大学、慶應義塾大学、上智大学、東京理科大学を合わせた「早慶上理」に、合計39名が合格。

    • 学習院大学、明治大学、青山学院大学、立教大学、中央大学、法政大学を合わせた「GMARCH」には、合計90名が合格しています。

  • その他

    • 私立大学の医学部医学科にも7名が合格しており、国公立と合わせると合計11名が医学の道へと進んでいます。

これらの輝かしい実績を支えているのが、学校独自の進学サポート体制です。

月・水・金曜日の放課後には「特別講座」が開講され、主要教科の学力向上を目指します。講義形式だけでなく、習熟度別の少人数指導や個別指導も行われるため、自分のレベルに合った学習が可能です。また、eラーニング教材も積極的に活用し、生徒が自主的に学習する習慣を身につけられるよう後押ししています。

このように、常総学院は生徒の「行きたい大学」への進学を全力でサポートする環境が整っている学校です。

常総学院高等学校の特長・アピールポイント

他の高校にはない、常総学院ならではの強みやユニークな取り組みをまとめました。

  • 目標に合わせた多彩なコース設定

    • 最難関大学を目指す「Exクラス」から、部活動と勉強を両立させる「フロンティアコース」まで、生徒一人ひとりの目標や学力に応じた4つのコースが用意されており、自分に最適な環境で学ぶことができます。

  • 全国レベルの強力な部活動

    • 甲子園常連の野球部や、全国大会金賞の常連である吹奏楽部をはじめ、多くの部が全国レベルで活躍しています。日本一を目指せる環境があることは、大きな魅力です。

  • 手厚い進学サポート体制と輝かしい実績

    • 放課後の特別講座やeラーニングの活用など、きめ細やかなサポート体制が整っており、東京大学や医学部をはじめとする難関大学への高い合格実績につながっています。

  • 県内屈指の広範なスクールバス網

    • 土浦市内にありながら、つくば、守谷、龍ヶ崎、古河、坂東など、県内の広範囲をカバーする10を超えるバス路線を運行しています。これにより、遠方からでも安全かつ快適に通学することが可能です。

  • 高校では珍しい給食制度

    • 多くの高校がお弁当持参である中、常総学院では栄養バランスの取れた温かい給食が提供されます。これは、忙しい保護者にとって非常にありがたいだけでなく、生徒の健康な体づくりを支える重要な要素です。

  • グローバル教育プログラムの充実

    • 希望者向けに、カナダでのホームステイ研修や、フィリピン・セブ島での英語研修など、海外で学べる機会が用意されています。国際的な視野を広げたい生徒にとって、貴重な経験となります。

  • 規律を重んじる学習環境

    • 厳しい校則や礼儀作法指導を通して、社会で通用する人間性を育むことを重視しています。落ち着いた環境で集中して勉強や部活動に取り組みたい生徒や、規律ある生活を望む保護者から高く評価されています。

常総学院高等学校の口コミ・評判のまとめ

ここでは、在校生や卒業生、保護者から寄せられた様々な声を、良い点と気になる点に分けて公平にご紹介します。学校選びの参考にしてください。

  • 良い点

    • 「上位コースの先生は熱心で、質問にも丁寧に対応してくれる」という声が多く、進学サポートの手厚さが評価されています。

    • 「部活動がとても盛んで、特に強い部活に入れば最高の経験ができる」と、部活動に打ち込める環境を魅力に感じる生徒が多いようです。

    • 「体育祭や文化祭などの行事が楽しく、クラスの団結力が強まる」といった、学校行事への満足度も高いです。

    • 「給食があるのでお弁当を作らなくてよく、とても助かる」という保護者からの感謝の声は、この学校ならではのものです。

    • 「厳しい環境だからこそ、真面目に勉強したい生徒にとっては良い場所だと思う」と、規律ある校風を肯定的に捉える意見もあります。

    • 「コロナ禍でもすぐにオンライン授業に切り替わるなど、私立ならではの対応の速さに安心した」という声も見られました。

  • 気になる点

    • 「校則が厳しすぎる。特にスマホやSNSに関するルールは時代に合っていない」という不満は、生徒から最も多く聞かれる意見の一つです。

    • 「宿題や課題が多すぎて、ただこなすだけの『作業』になりがち。自分の勉強をする時間がない」と、課題の量に苦しむ声も少なくありません。

    • 「コースによって先生の質や熱意に差があるように感じる。下のコースは見捨てられている感じがする」という、コース間の格差を指摘する厳しい意見があります。

    • 「いじめに対する学校の対応が不十分だと感じた」という、深刻な問題点を指摘する声も一部で見られます。

    • 「施設が全体的に古い、汚いと感じる部分がある」といった、設備面での不満も挙げられています。

    • 「『自称進学校』という感じで、学校のプライドと生徒の実態にギャップがある」という、やや批判的な見方をする生徒もいるようです。

アクセス・通学

常総学院高等学校は、広大な敷地を持つ一方で、最寄り駅からは少し距離があります。しかし、それをカバーするのが充実したスクールバス網です。

  • 公共交通機関を利用する場合

    • JR常磐線「土浦駅」西口から、関東鉄道バスに乗車し、「常総学院入口」バス停で下車、そこから徒歩約5分~8分です。

    • JR常磐線「荒川沖駅」からは、駅と学校を直接結ぶスクールバスが運行されています。

  • スクールバスを利用する場合

    • 常総学院の大きな強みであるスクールバスは、県南・県西地域を中心に、非常に広範囲をカバーしています。主な運行エリアは以下の通りです。

      • つくば方面(つくば駅、研究学園駅、松代など)

      • 守谷・つくばみらい方面(守谷駅、みらい平駅など)

      • 龍ヶ崎方面

      • 稲敷方面

      • 坂東・常総・古河方面

      • 桜川・石岡方面

    • これらのバス路線があるおかげで、土浦市やつくば市、牛久市、龍ケ崎市はもちろんのこと、常総市や坂東市、下妻市など、かなり遠方のエリアからも多くの生徒が通学しています。

常総学院高等学校受験生へのワンポイントアドバイス

ここまで常総学院高等学校について詳しく見てきましたが、最後に進学アドバイザーとして、受験生の皆さんにメッセージを送ります。

常総学院は、「自分の目標がはっきりしている生徒」にとって、その実現を力強く後押ししてくれる学校です。最難関大学に進みたい、甲子園でプレーしたい、全国レベルのステージで演奏したい。そうした強い意志があるなら、常総学院の整った環境と手厚いサポートは、あなたの夢を叶えるための大きな翼となるでしょう。特に、規律ある環境の中で自分を律し、目標に向かってコツコツと努力できる人には、最高の3年間が待っています。

受験勉強においては、まず自分の目標とするコースを明確にすることが大切です。特進選抜コース以上を目指すのであれば、中学校の教科書レベルを完璧にマスターした上で、応用問題や発展的な問題にも対応できる思考力を養う必要があります。過去の入試問題を解き、出題傾向を掴んでおくことは必須です。どのコースを受験するにしても、基礎をおろそかにせず、苦手分野を一つひとつ着実に克服していくことが合格への一番の近道です。常総学院で送る未来の自分を想像しながら、日々の勉強に励んでください。応援しています!

※最新かつ正確な情報は、必ず高校の公式サイトや学校説明会で確認してください。